「糖質制限始めたら体調不良になってしまったのだけど、どうしたらいいの?」という悩みを抱えていませんか?
例えば、抜け毛やめまい、眠気などは糖質制限ダイエット実践者に起こりやすい悩みです。また、ダイエット目的に糖質制限を始めたにも関わらず「体重が増えた」という人も存在します。
糖質制限ダイエットを始めた後に、何かしらの不調が生じると「やっぱり糖質制限は危険なのだ」と思って、糖質制限を止めてしまいがちです。
しかし実際には、糖質制限ダイエットに伴って生じるトラブルのほとんどは、糖質制限ではなく他に原因があります。そのため、適切な対処を行うことで、糖質制限ダイエットを継続しながら不調を解消できるのです。
そこで今回は、「糖質制限ダイエットで体調不良になる原因と対処法」について解説します。
糖質制限ダイエットで体調不良になる原因と対処法
問題 | 原因 | 対処法 |
---|---|---|
抜け毛 |
・休止期脱毛 急な体重減少 ストレス 睡眠不足 妊娠、授乳 病気 ・タンパク質分解促進 脂肪、タンパク質の摂取不足 脂質代謝の低下 |
・休止期脱毛 とくに対処する必要はない。時間が経過すれば落ち着いてくる。 睡眠不足やストレスなどが原因である場合には、生活習慣を見直す ・タンパク質分解促進 不足している栄養(脂肪、タンパク質、鉄など)を補う。 |
貧血・めまい |
・鉄不足 ・カロリー不足 |
・鉄を意識して摂取する ・過度な運動は避ける ・食事の摂取量を増やす |
眠気 |
・低血糖 ・タンパク質の摂りすぎ |
・糖質制限を緩める ・食後の眠気であれば、タンパク質の摂取量を減らす |
体重増加 | ・食べ過ぎ |
・生活習慣を見直す ・依存性がある場合には、依存している食品を2週間断つ |
頭痛 | ・水分不足 | ・水分の摂取量を増やす |
便秘・下痢 |
・自律神経の乱れ ダイエットに伴うストレス ・食事の偏り 水分不足 食物繊維不足 脂質不足 |
・自律神経の乱れ 甘いものが食べれないストレスは一時的なものであるため我慢する。生活習慣が乱れている場合には生活習慣を見直す。 ・食事の偏り 不足している水分や栄養素を意識して摂取する。 |
こむら返り |
・マグネシウム不足 ・水分不足 ・塩分不足 |
マグネシウムと水分、塩分の摂取量を増やす。 |
高血圧 |
・自律神経の乱れ ・塩分の過剰摂取 |
・自律神経の乱れ ストレスコントロールと生活習慣の見直し、塩分の摂取量を抑える。 ・塩分の過剰摂取 塩分の摂取量を控える。 |
高コレステロール |
・脂肪を元にエネルギーを作り出すため(内因性) ・高コレステロール食品の摂取量が増えるため(食事性) ・甲状腺ホルモンの問題 |
基本的に気にしなくても問題ない。ただ、中性脂肪値やHDLコレステロール値が異常を示す場合には、対処が必要。また、甲状腺ホルモンに異常が出ている可能性もあるため、体調が悪い場合は精査も必要。 |
抜け毛:糖質制限と体調不良
糖質制限実践者に起こりやすい問題の中でも、「抜け毛」に悩まされる人は多く存在します。
糖質制限中の抜け毛は、一時的な現象であるため基本的に気にしなくても良いです。ただ、抜け毛にはいくつか原因があり、注意しなければいけない場合もあります。
糖質制限で抜け毛が起こる原因
糖質制限をして抜け毛が起こる原因は、主に「急な体重減少などによるストレス(休止期脱毛)」「タンパク質分解の促進」の2つが挙げられます。
・休止期脱毛
糖質制限ダイエットを開始すると、3~4か月で激しい抜け毛に悩まされる人が多いです。中には、10ヶ月や12ヶ月後に抜け毛がひどくなる人もいます。これは糖質制限ダイエットに限った現象ではなく、ダイエットによって体重が急激に減少したことが原因である可能性が高いです。
ダイエットをして体重が急に落ちると、体重の減少を体がストレスと認識して髪の毛が抜けてしまいます。
過度なストレスは、髪の毛への血流供給を調整している自律神経のバランスを崩す原因になります。その結果、髪の毛へ十分な栄養が供給されず、抜け毛が起こってしまうのです。
こうしたダイエットによる体重減少で起こる抜け毛は「休止期脱毛(telogen effluvium)」と呼ばれています。
糖質制限ダイエットを実施すると、ほとんどの場合は大きく体重が減ります。その結果として、休止期脱毛が起こってしまうのです。
また、急な体重減少ではなくわずかな減量であっても、ストレスや睡眠不足、激しい運動、カロリー制限、妊娠、授乳など、精神的、肉体的な負担がかかる場合にも休止期脱毛は起こる可能性があります。
このように、糖質制限ダイエット中には、減量によって自律神経のバランスが崩れて抜け毛が起こりやすくなることを知っておいてください。
・タンパク質分解の促進
髪の毛は、主にタンパク質から作られています。そのため、体内でタンパク質が不足してしまうと、髪の毛が弱くなって抜け毛が強くなる可能性があるのです。
糖質制限ダイエットをしている人の中には、タンパク質不足の状態となってしまう人がいます。
例えば、糖質制限によって糖質の摂取量を減らしたにも関わらず、脂肪やタンパク質の摂取量を増やさない人などです。そうなると、体はエネルギーを作るために必要な栄養が不足してしまいます。
そのため、筋肉を分解するなどしてタンパク質からエネルギーを作り出そうとします。その結果、体内でタンパク質が不足してしまうのです。
栄養不足の他にも、脂肪を元にして上手くエネルギーを作り出せないために、タンパク質の分解が促進してしまう人もいます。例えば、鉄不足の状態にある人は、いくら食事から脂肪を摂っても、脂肪から上手くエネルギーが産出されないため、タンパク質を犠牲にしてエネルギーを作るのです。
(*鉄不足で脂肪からのエネルギー産生が悪くなるメカニズムは、「ダイエット中の生理前に起こる食欲への対処法:生理周期とダイエット」を参考にしてください。)
こうしたメカニズムからタンパク質不足に陥って、抜け毛がひどくなる人もいます。
糖質制限によって起こった抜け毛への対処法
基本的に、体重減少が原因で起こる休止期脱毛による抜け毛は心配要りません。体重の落ち方が落ち着いてくれば、抜け毛も少なくなってくるためです。
もちろん、ストレスや睡眠不足など、体重減少以外の要因が重なっている人は、それらの問題を解消する必要があります。中でも妊娠や授乳中で抜け毛が強くなった場合には、適量の糖質を摂った方が良いケースも存在します。
*そもそも、私は妊娠中や授乳中にダイエットすることを、あまりおススメしません。
また、当然ながらタンパク質の分解によって抜け毛が起こっている場合にも、適切に対処しなければいけません。
例えば、栄養不足でタンパク質の分解が進んでしまっている人は、不足している栄養を補給する必要があります。具体的には、糖質制限によってカロリー不足に陥っている人は脂質の摂取量を増やしたり、もともと貧血傾向にある人は鉄分の摂取量を増やしたりするのです。
糖質制限ダイエットをして糖質の摂取量を抑えていても、栄養が十分に補給されれば抜け毛はおさまります。
そのため、休止期脱毛が思い当たらない人は、何の栄養が不足しているかを予測した上で、その栄養を補給するようにしましょう。適切に栄養が補給されれば、3~4ヶ月で抜け毛が落ち着いてくるはずです。
糖質制限ダイエットを始めて抜け毛が増えた人は、まずは抜け毛の原因を考えて、それぞれに合った対処法を実施しましょう。
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貧血・めまい:糖質制限と体調不良
糖質制限ダイエットを始めた人の中には、めまいを初めとした「貧血」の症状に悩まされている人も多いです。
ただ、糖質制限によって起こる貧血様の症状は、基本的には心配要りません。誤った糖質制限ダイエットによって起こる、鉄欠乏とエネルギー不足が原因であるためです。
糖質制限でめまいが起こる原因
貧血の原因が鉄不足だということは、一般的に認識されています。
糖質制限ダイエットを始めた人の中には、糖質だけでなくレバーや赤身肉などの鉄分が豊富な食材を避けている人も存在します。「内臓や肉類は太りやすいから、大豆製品などでタンパク質を摂る」という間違った認識で糖質制限を行ってしまっているのです。
こうした人の場合、糖質制限とは関係なく貧血になりやすいといえます。また、ダイエットのために一生懸命運動をして汗をかきすぎると、汗から鉄分が喪失されるため、さらに貧血を悪化させることになるのです。
このように、誤ったダイエット法によって鉄不足になると、貧血様の症状に悩まされることになります。
他にも、鉄不足の状態にならなくても、糖質制限ダイエットによってエネルギー不足になると、めまいなどの貧血様の症状が現れる可能性が高いです。つまり、糖質制限を実施することで、結果的にカロリー制限になっているのです。
鉄分が十分であっても、食事から摂取するカロリーが足りなければめまいなどの不調が起こりやすくなります。
糖質制限によって起こっためまいへの対処法
めまいなどの貧血様の症状が出現した場合には、十分な栄養とカロリーを摂取することが大切です。
例えば、鉄欠乏による貧血であれば、レバーや赤身肉、アサリなどを意識して摂取するようにします。また、食事だけで十分な鉄分が摂れないのであれば、サプリメントで補給するのも有効です。
カロリー不足の状態になっているのであれば、脂質が豊富な食品を意識して摂るようにしましょう。バターやチーズ、生クリームなどは低糖質・高脂質でエネルギー補給にはおススメの食品です。他にも、低価格で高栄養である卵も良いでしょう。
このように、めまいなどの貧血様の症状が認められる場合には、基本的に栄養やエネルギーを補給することが大切です。
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眠気:糖質制限と体調不良
糖質制限をすると眠気が少なくなる人がほとんどです。ただ、中には糖質制限ダイエットを始めて日中の眠気が強くなる人もいます。
糖質制限ダイエットによって眠気が強くなる場合には、基本的に糖質制限が上手く実施できていない可能性が高いです。
糖質制限ダイエットで眠気が起こる原因
糖質制限ダイエットをして眠気が強くなる主な原因は、食事からの糖質摂取を制限することで起こる「低血糖」になります。血糖値が下がり過ぎると、脳に必要な糖分が不足してしまうため、眠気が生じるのです。
通常であれば、食事からの糖質摂取を制限しても低血糖の状態になることはありません。体には、必要最低限な糖分を脂質やタンパク質から作り出す「糖新生」という機能が備わっているためです。
しかし、中には糖新生の機能が悪くなっている人も存在します。
例えば、「肝炎」「副腎疲労症候群」といった、肝臓や副腎と呼ばれる臓器の機能が悪くなっている状態の人は、糖新生が起こりにくくなっている可能性があります。糖新生に肝臓や副腎の働きが関与しているためです。
そのため、肝臓や副腎の働きが低下している人は、厳格な糖質制限によって低血糖になりやすいのです。血糖値の調整が上手くいかずに低血糖になった結果。眠気が強くなります。
また食後に強い眠気が生じる人は、タンパク質の摂りすぎが影響している可能性が高いです。糖質制限をすると、どうしても高タンパク質食になってしまいます。
タンパク質を摂りすぎると、糖質とは違って血糖値は上がりにくいものの、「インスリン」というホルモンがたくさん分泌されてしまうのです。このインスリンが、食後の強い眠気を作り出します。実際に私も、昼食に肉類を大量に食べた後は強い眠気に襲われます。
このように、糖質制限によって眠気が強くなる人は、低血糖とタンパク質の過剰摂取が影響している可能性を疑いましょう。
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糖質制限で起こる眠気への対処法
糖質制限を実施すると低血糖になる人は、糖質制限の程度を緩める必要があります。血糖値が高くなることは良くありませんが、低血糖の方が命に関わる問題であるため、危険性は高いです。
そのため、糖新生によって血糖値の維持ができない人は、低血糖状態にならないように食事で血糖値を保つような工夫が必要になります。
例えば、副腎疲労を患っている人であれば、特に15~16時の時間帯に低血糖を起こしやすい傾向にあります。体には、夕方に血糖値が下がるリズムが備わっているためです。
こうした場合、昼過ぎから夕方にかけて、血糖値を維持するために糖質を摂るようにします。食事から糖質を摂取することで、低血糖に陥るのを防ぐのです。
ただ、当然ながらお菓子やケーキ、パンといった血糖値を急激に上昇させるような食品は避けてください。そうではなく、ナッツ類などの緩やかに血糖値を上げる食べ物を選択しましょう。
またタンパク質の摂りすぎで食後に眠気が生じる人は、タンパク質の摂取量を減らせば良いです。食後に眠気が起こらないくらいのタンパク質量を見つけて調整すれば、十分に栄養を摂りながら食後の眠気を防げます。
体重増加:糖質制限と体調不良
糖質制限ダイエットをしている人の中には、ダイエットを目的に糖質制限を始めたにも関わらず、太ってしまう人も存在します。
糖質制限をしても体重が増えてしまう人は、簡単にいうと「食べ過ぎ」が原因であることがほとんどです。
糖質制限で体重が増える原因
糖質制限をすると、肥満の主な原因であるインスリンの分泌が少なくなるため、基本的には痩せます。ただ、いくらインスリンの分泌が減っても、体が処理できる以上に食べ過ぎてしまうと太ります。
通常、体が処理できる量を超えるまで食べることはありません。健康な状態であれば、体の状態に合わせて食欲が調整されるためです。そのため、食べ過ぎてしまう前に、満腹感によってセーブされます。
しかし、ストレスが強かったり、睡眠不足の状態にあったりするときには、食欲の抑制が働かずに食べ過ぎてしまうのです。
また依存性がある食品も、食べ過ぎを招く原因になります。
例えば、糖質制限ダイエットでは、生クリームはほとんど摂取量を制限しなくても良い食品です。そのため、糖質制限ダイエットをしている人には、生クリームを毎日食べる人も多く存在します。
ただ、生クリームは依存性が強い傾向にあります。糖質制限ダイエットをしている人には、依存によって生クリームを大量に食べ過ぎてしまう人が多いのです。当然、体が処理できないほどの生クリームを食べ続けると太ります。
このように、糖質制限をしても体重が増える人のほとんどは、ストレスや睡眠不足、依存によって食欲が抑えられずに食べ過ぎているのです。
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糖質制限で起こった体重増加への対処法
ストレスや睡眠不足によって食べ過ぎている人は、ストレスや睡眠不足を解消しなければいけません。こうした状態のときに食欲を我慢しても、いつまで経っても食欲がおさまらず、空腹感にずっと襲われ続けることになります。
そもそも、ストレスや睡眠不足の状態が続くと、ダイエットどころか、さまざまな不調が出現する可能性が高いです。
そうしたことを避けるためにも、ストレスや睡眠不足を自覚している人は、まずはこれらの問題を解消するようにしましょう。
また依存性によって食べ過ぎてしまう人は、対象となる食品を2週間断つことが大切です。
依存的に食べている食品は、2週間我慢すれば少しずつ依存がなくなります。それに対して、本当にその食品の栄養が必要であって欲している場合には、2週間我慢しても食べたい気持ちはおさまりません。
例えば、カロリー制限をしている人は常にお腹が空いています。ただ、この空腹感は体にとってカロリーが必要であるために起こっているので、いつまで経っても消えません。その一方で依存による食欲であれば、2週間我慢すれば無くなります。
そのため、毎日食べていて依存している可能性が高い食品がある場合には、一度我慢して断つようにしましょう。
特に生クリームやナッツに依存してしまっている人は多いため、注意してください。
頭痛:糖質制限と体調不良
糖質制限ダイエット実践者の中には、頭痛を訴える人も多く存在します。結論から述べると、糖質制限ダイエット中に起こる頭痛のほとんどは、水分不足が原因です。
糖質制限で頭痛が起こる原因
糖質制限をすると、米などの主食から摂取する水分が少なくなります。具体的には、炊いた後の米は、炊く前の重量の50パーセント近い水分を吸い込んでいるのです。そのため、糖質制限ダイエットによって米を食べなくなると、米に含まれている水の分だけ水分摂取量が減ります。
また、糖質制限をするとインスリンの分泌が少なくなります。インスリンには尿の排出を抑える作用があるため、糖質制限をすると尿量が増えて脱水を起こしやすくなるのです。
脱水は頭痛を招く原因の一つになります。脱水が起こると、体は少なくなった血液をできるだけ脳に送り込もうとして、脳内に存在する血管を広げます。このときに起こる血管の広がりが、血管内の神経を刺激して頭痛を発生させるのです。
このように、糖質制限ダイエット中は「糖質制限 → 水分摂取量の減少、尿量の増加 → 脱水 → 脳内血管拡張 → 頭痛」というメカニズムによって頭痛が発生しやすくなっています。
糖質制限で起こった頭痛への対処法
糖質制限ダイエット中の脱水による頭痛を防ぐためには、水を積極的に飲むようにしましょう。こまめな水分補給が脱水を予防することにつながります。
具体的には、1日に約1.5リットルの水を飲むと良いです。コーヒーや緑茶、紅茶といったカフェイン飲料、お酒などのアルコール飲料は脱水を強めるため、水分として含めないようにしてください。むしろ、これらを飲むのであれば、その分だけ水やノンカフェインの摂取量を増やすようにしましょう。
脱水による頭痛は、水分補給を意識することで簡単に解消できます。
便秘・下痢:糖質制限と体調不良
便秘や下痢といったお腹の不調も、糖質制限ダイエット実践者に多い悩みの一つです。こうしたお腹の不調は、主に「自律神経の乱れ」「食事の偏り」という2つの原因から起こります。
糖質制限で便秘・下痢となる原因
基本的に便秘や下痢は「腸が上手く働かなくなる」ことで起こります。腸の動きが悪くなれば便秘になり、逆に腸が過敏になると下痢になるのです。そして、腸の運動をコントロールしているのは自律神経になります。
そのため、自律神経のバランスが崩れると腸の活動が乱れてしまい、お腹の調子が悪くなるのです。
既に述べたように、ダイエット中は自律神経のバランスが崩れやすくなっています。特に甘いものが好きだった人は、糖質制限による「甘いものが食べられない」というストレスを感じるため、自律神経が乱れやすくなっているのです。
その結果、便秘や下痢といった不調が起こります。
また糖質制限ダイエット中には、食事が偏ってしまう人も多いです。偏った食事は、便秘を招く原因になります。
例えば、糖質制限中には水分不足の状態になりがちです。先に述べたように、主食に含まれている水分を摂らなくなることと、尿量が増えるためです。水分不足は、便を硬くして排泄を難しくします。
他にも、食物繊維や脂質の摂取量が不足することでも便秘しやすくなります。特に、糖質制限ダイエット中にも関わらず、カロリーを気にしている人は、脂質を避けがちであるため注意が必要です。
このように、糖質制限ダイエット中に起こる便秘や下痢は、主に「自律神経の乱れ」と「食事の偏り」が原因で起こります。
糖質制限で起こった便秘・下痢への対処法
糖質制限ダイエットによるストレスが原因で便秘や下痢が起こっているのであれば、基本的には慣れれば問題は解消します。糖質制限によって栄養が満たされて糖質依存を抜けると、甘いものを食べないことをストレスと感じなくなるためです。
ただ、その他の精神的ストレスや睡眠不足、ハードな運動などによって自律神経のバランスが崩れている場合には、問題となっている生活習慣を見直さなければいけません。
さらに、こうした自律神経のトラブルによって長年腸内環境が悪くなっている場合には、食事やサプリメントなどで腸内環境を整えることも有効です。腸内環境が良くなることで自律神経のバランスが整うケースもあります。
また食事の偏りが疑われる場合には、食事を見直すようにしましょう。
糖質制限ダイエット中に便秘を招く原因は、主に「水分」「食物繊維」「脂質」「マグネシウム」の4つです。これら4つのうちで不足しているものがあれば、それを意識して摂るようにしてください。食事を変えたことによるお腹の変化は、約2週間で実感できます。
こむら返り(痙攣):糖質制限と体調不良
糖質制限ダイエットを始めて、「こむら返り(痙攣)」が頻繁に起こる人は多いです。こむら返りとは、「ふくらはぎの筋肉が緊張してツッパる」現象を指します。
こむら返りの原因は、主に「マグネシウム」「水分」「塩分」のいずれかが不足していることにあります。
糖質制限でこむら返りが起こる原因
筋肉の緊張や弛緩は、カルシウムやマグネシウムのバランスによってコントロールされています。そのため、カルシウムやマグネシウムといった血液中に存在する電解質のバランスが崩れると、こむら返りが起こりやすくなるのです。
糖質制限を実施すると、肉や魚などの動物性食品を主に食べるようになります。ただ、動物性食品だけを摂っていると、マグネシウムが不足しがちです。マグネシウムは動物性食品に少なく、豆類やナッツ類、雑穀、小麦胚芽、緑色の野菜、海藻に多く含まれているためです。
糖質制限ダイエットによってマグネシウムの摂取が少なくなった結果、筋肉が過剰に緊張してこむら返りが起こってしまいます。
またマグネシウムだけでなく、水分もしくは塩分(ナトリウム)が不足することでも電解質のバランスが崩れて、こむら返りが起こりやすくなります。既に述べたように、糖質制限中は脱水の状態になるため、脱水によってこむら返りが生じている可能性も高いです。
このように、糖質制限ダイエット中は、マグネシウムと水分、塩分の不足が原因でこむら返りが起こりやすくなっています。
糖質制限で起こったこむら返りへの対処法
糖質制限ダイエットを始めて、頻繁にこむら返りに悩まされるようになった人は、とりあえずマグネシウムと水分を意識するようにしましょう。
マグネシウムの摂取は、食事からでもサプリメントからでも問題ありません。例えば、以下に記す食品にはマグネシウムが豊富に含まれています。
アーモンド、くるみ、ゴマ、未精製食品(玄米など)、大豆、ほうれん草、ワカメ、ひじき、するめ、いくら、貝類、干しエビ |
こうした食品と水分を意識して摂ることで、こむら返りは解消しやすくなります。
糖質制限をしている人には、塩分が不足している人は少ないため、まずはマグネシウムと水分の補給を行いましょう。
高血圧:糖質制限と体調不良
基本的に、糖質制限ダイエットを実施すると血圧は下がりやすくなります。高血圧の原因と考えられる「高血糖」「高インスリン」「肥満」の状態が解消されるためです。
ただ、中には糖質制限ダイエットを開始してから血圧が高くなる人も存在します。そうした場合、主に「自律神経の乱れ」「塩分の過剰摂取」が原因として考えられます。
糖質制限で高血圧となる原因
何度も述べているように、糖質制限ダイエット中はストレスによって自律神経のバランスが崩れる人は多いです。糖質を我慢しなければいけないというストレスに、睡眠不足やハードな運動などによるストレスも加わると、精神的、肉体的なストレスが強くなります。
自律神経のバランスが崩れると、血圧は高くなりがちです。血圧を調整している心臓や血管は、自律神経によってコントロールされています。ストレスによって自律神経が乱れると、心臓からたくさんの血液が送り出されることと、血管が縮こまることが重なって血圧が高くなります。
また、糖質制限をしているときには、糖質を避けるために塩分を多く摂りがちです。
血液中に塩分が多くなると、血液の塩分濃度を薄めようとするため、血管内に水分が取り込まれることになります。その結果、血管内の血液量が増えて、血圧が高くなるのです。
このように、糖質制限ダイエット中に血圧が高くなる場合には、自律神経の乱れと塩分の過剰摂取が原因として考えられます。
糖質制限による高血圧への対処法
糖質を我慢することによるストレスは、糖質制限を続けて糖質依存がなくなれば消えます。ただ、睡眠不足やハードな運動によるストレスは、生活習慣を見直す必要があります。
また、塩分を摂り過ぎている場合には、塩分を少し控えるようにすることも大切です。
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高コレステロール:糖質制限と体調不良
糖質制限を実施すると、多くの人はコレステロール値が上がります。コレステロールが高くなることは好ましくないというのが、一般的な認識です。特に、「LDLコレステロール」は悪玉コレステロールと呼ばれており、高値であると必ず病院で指摘を受けます。
しかし実際には、体に悪影響をするコレステロールは、LDLコレステロールの中でも限られています。そして、糖質制限によってLDLコレステロールが高くなるのは、悪玉ではなく善玉のLDLコレステロールが増えるためです。
そのため、糖質制限によってLDLコレステロール値が高くなるのは気にする必要がありません。
糖質制限でコレステロール値が上がる原因
糖質制限をすると、糖質ではなく脂質を元にエネルギーを作り出すようになるため、肝臓で作られるコレステロール(正確にいうとVLDL2)の量が増えます。筋肉などの各組織が、エネルギー源として脂肪を求めるようになるためです。
コレステロールは悪者扱いされがちですが、エネルギー源となる脂肪(脂肪酸)を筋肉などの末端組織へ運ぶためにも必要不可欠な物質になります。そのため、糖質制限をして糖分ではなく脂肪を主なエネルギー源としていると、必然的にコレステロール値が高くなるのです。
また糖質制限食では、卵や肉類などの食事から摂取するコレステロールが自然と増えるため、コレステロール値は高くなります。
そもそも、LDLコレステロールの基準値は、糖質を普通に摂取していて糖質をメインのエネルギー源としている人の値です。いってしまえば、糖質制限をして脂肪を主なエネルギー源としている人には、一般的なLDLコレステロールの基準は当てはまりません。
ただ、中には甲状腺ホルモン(T3)のトラブル(LowT3症候群)が原因でコレステロールが高くなる人もいます。
T3は糖質をエネルギー源として肝臓で作られるため、糖質制限によって減ってしまう可能性があります。T3には、コレステロールを他のホルモン(プレグネノロン、プロゲステロン、DHEA)へ変換する働きがあるのです。
そのため、糖質制限によってT3が作られなくなると、コレステロールがホルモンへ変換されずに血液中にあふれてしまうのです。
糖質制限によってコレステロール値が上がるのには、このようにさまざまな原因が考えられます。
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糖質制限による高コレステロールへの対処法
基本的に、糖質制限ダイエット中にLDLコレステロール値が高っても心配する必要はありません。長期的に糖質制限を続けていると、自然とコレステロール値は調整されるようになります。
ただ、HDLコレステロールが低く、中性脂肪値が高い状態であれば、食事を見直したほうが良いです。こうした場合には、何かしらの原因によって脂肪の合成が促進されている、もしくは体が脂肪を上手く利用できていない可能性が考えられます。
また、中性脂肪値が低すぎる人も注意が必要です。このようなケースでは、厳格な糖質制限を実施するのではなく、適度な糖質摂取をした方が無難だといえます。
さらに、体のダルさや脱力感などの不調がある場合はLowT3症候群を疑うようにしましょう。その場合は、血液検査で甲状腺ホルモンを調べるようにしてください。
その他にも、LDLコレステロール値が心配な人は、首に存在する「頸動脈」のエコー検査も行っておくと良いです。
今回述べたように、糖質制限ダイエットを実施することで起こる体調不良には、必ず原因があります。そしてそのほとんどは、糖質制限自体が問題なのではなく、他に原因があるのです。
そのため、糖質制限ダイエットによる体調不良が起こった場合には、まずはトラブルが発生している原因について考えるようにしましょう。適切な対処を実施しても問題がおさまらないときは、少し糖質制限を緩めるのも一つの手だといえます。