痛み・疼痛

牛乳を飲みすぎると関節痛・痛みが出現する理由:乳糖不耐症

牛乳は、カルシウムなどの栄養補給に適した食品と言われています。日本のほとんどの地域における幼稚園や小学校では、毎日給食に牛乳が出されます。
一方、牛乳は体に良くないという人もいます。私も個人的には、牛乳反対派です。このように考えるのには、さまざまな理由があります。その内の1つが、関節の痛みを誘発、もしくは悪化させる可能性があることです。
牛乳は、背骨の腸と関係する部分を硬くし、背骨全体の柔軟性を低下させます。背骨の柔らかさが障害されると、四肢の関節痛につながります。
そこで今回は、牛乳と関節痛の関係性について解説します。
 
 日本人の腸は牛乳を消化できない
牛乳を飲むと、お腹が痛くなったり、下痢になったりする人は多いのではないでしょうか。これは、日本人の腸が牛乳に含まれる成分を消化できない体質であるからです。
牛乳には、「乳糖(ラクトース)」と呼ばれる、糖の一種が含まれています。乳糖は、「二糖類」と呼ばれ、そのままでは吸収することができません。二糖類は分解して、「単糖類」になることで初めて腸から吸収されます。
乳糖を単糖類に分解するための酵素を「ラクターゼ」といいます。ラクターゼが不足すると乳糖は分解できません。
特定の民族を除き、ほとんどの大人の腸内では、ラクターゼが不足しています。つまり、人によってラクターゼが全く存在しない場合や、あっても量が充分でないケースがあります。そのため、乳糖の許容量には個人差があります。
ラクターゼは、通常1歳から4歳くらいにかけて、その働きが徐々に低下します。つまり、4歳以上では、乳糖の分解能力が低いということです。
このように、ラクターゼ不足で乳糖の消化ができない状態のことを「乳糖不耐症」といいます。乳糖不耐症では、下痢や腹痛、腹鳴、腹部膨満感など、消化不良に関するさまざまな症状が出ます。
乳糖不耐症は、運動機能にも影響を及ぼします。
 乳糖不耐症と関節痛の関係
乳糖不耐症は、腸での消化不良が起こっている状態です。そのため、腸に関係する問題が生じます。
内臓は、自律神経によって支配されています。自律神経とは、無意識下で内臓の働きを調整する神経です。内臓の状態に関する情報は背骨に伝えられます。その情報は背骨の中で処理された後、内臓の活動を修正する指令として内臓に届けられます。
このとき、背骨の中で処理された情報は、背骨周り筋肉にも伝えられます。もし内臓に問題があると、その筋肉は過剰に緊張します。
背骨周囲の筋肉には、収縮するときに、背骨を硬く真っ直ぐにする作用があります。そのため、内臓の不調は、背骨を棒のような状態にします。通常、背骨は柔軟性がありS字状に弯曲(わんきょく)しています。
この弯曲構造があることで、体にかかる衝撃が吸収されます。もし、背骨によるこの機能が低下してしまった場合、その分の負担が四肢の関節にかかります。
また、背骨は体の中心にあるため、四肢の運動全てに関係します。中心にある背骨の柔軟性が低下すると、目的の運動を行うために、末端の四肢の関節が過剰に動く必要がでてきます。つまり、四肢の関節に負担がかかるのです。
この2つの理由があることで、背骨が棒のように硬くなると、四肢の関節痛が出現するのです。
つまり、牛乳の飲みすぎは、以下のような流れで関節痛につながります。
牛乳の飲みすぎ → 腸の消化不良 → 背骨の柔軟性低下、S字弯曲減少 → 関節痛
今回述べたように、牛乳の飲み過ぎは、四肢の関節痛を引き起こす可能性があります。確かに、牛乳には体にとって良い面もあると思います。全てのことに関して言えることですが、物事を見るときはさまざまな視点から見ることが大切です。
特に、健康に関する情報は、多くのことが言われています。そのような情報は、多面から見て吟味することと、実際に行ってみて、どう体が反応するかを試すことが大切です。
そして、いくら一般的に体に良いと言われていることでも、あなたの体に合っていないものはたくさんあるはずです。