痛み・疼痛

糖質の過剰摂取が痛みを長引かせる理由:糖質と慢性痛の関係性

糖質を過剰に摂ると、体にとってさまざまな悪影響があることは、誰もが知っていることです。血糖値が高くなる「糖尿病」はその代表的な例と言えます。
しかし、糖質と体の痛みとの関係性について知っている人は少ないです。実は、糖質は、整形外科疾患の症状と深く関係しています。そして、それは、ほとんどの場合、体にとって好ましくないものです。
そこで今回は、糖質と疼痛の関係性ついて解説します。
 体の治癒には血流が必要
体には「自然治癒力」というものが備わっています。自然治癒力があるため、組織が損傷されても、自然とその傷は治癒します。
この治癒には、「炎症反応」が必要不可欠です。
組織が損傷すると、傷ついた組織を修復するためには、大きく2つのステップを踏む必要があります。そのステップは以下の通りになります。
 ・外傷によって生じた壊死細胞の除去
外傷を受けると、外傷を受けた細胞は壊死します。そして、壊死した細胞は、その機能を果たせないため、体にとっては不要なものとなります。もし、壊死細胞が、損傷部位に残り続けると、体内でさまざまな不都合が起こります。
そのため、壊死細胞は、損傷した場所から除去する必要があります。この除去に働くのが「白血球」と呼ばれる細胞です。
白血球は免疫細胞であり、体にとっての異物を除去する能力があります。白血球は血液に乗って、損傷部位に到達します。そのために、まずは、「損傷部位への血流量増加」という反応が起こる必要があります。
そして、損傷部位に着くと、白血球は壊死細胞を細胞の中に取り込みます。そして、その白血球は、静脈やリンパを通して体から除去されます。
そのため、異物を除去するためには静脈やリンパといった、体液の流れが正常であることも必要になります。
 ・新たな組織形成に必要な材料の供給
ある程度、損傷部位の壊死組織が除去された後は、新しい組織を作るための反応が起こります。そのためには、組織を形成する材料が必要になります。その材料は、血液(動脈)によって運ばれます。
そのため、動脈の流れが正常である必要があります。もし動脈が障害されていると、新たな組織を作るための材料が、損傷部位に届きません。
つまり、組織は壊れたままの状態です。そのため、このステップでも適切な血流が欠かせないということです。
以上のことから、損傷された組織が修復するためには、正常な血液の流れが必要不可欠だということがわかります。そして、糖質の過剰摂取は、血流に大きく影響を与えることで、痛みを長引かせます。
 血糖値の変動は動脈硬化を引き起こす
糖質を摂取すると、血糖値は上昇します。基本的に、糖質以外の栄養素は、血糖値を上げません。
そして、血液中の糖が多い状態は、血管にさまざまな悪影響を与えます。
その主な問題として「動脈硬化」が挙げられます。高血糖や血糖値の変動は、血管の壁を傷つけます。傷ついた血管は、先ほど述べたような炎症反応が起こります。
炎症反応で現れた白血球が、血液中の脂肪などと一緒に血管壁に付着します。そのことにより、血管は柔らかさがなくなります。さらに、血管の中は狭くなり、血液の流れが悪くなります。
このようにして、動脈硬化と血流障害が起こります
先ほど述べたように、組織の修復には、正常な血流が欠かせません。糖質を過剰に摂取して全身の血管に動脈硬化が起こると、血流障害が起こります。すると結果として組織の治癒が妨げられしまい、痛みも慢性化するということです。
今回述べたように、組織の治癒には血液が必要不可欠ですが、糖質を過剰に摂取すると、血流障害が起こるため、組織の修復が障害されます。
そのため、せめて体を痛めている期間だけでも、糖質の摂取は制限することをお勧めします。