女性の病気

更年期障害の症状・特徴と原因:自律神経・ホルモンとの関係

更年期障害は、閉経前後に「のぼせ」や「ほてり」、「異常発汗」などの自律神経失調を中心とした、多彩な不定愁訴(「ふていしゅうそ」自覚症状があるのに、原因となる病気を特定できない状態)を主とする症候群です。
更年期障害は、ホルモンバランスが変化する時期に好発します。このことから、更年期障害の原因は、ホルモンにあるとされています。実際の更年期障害の治療でも、ホルモンバランスを整えることが主です。
しかし、ホルモンに対する治療では、根本的な原因は解決できません。ホルモンが崩れるには、何かしらの要因があり、それを解決することが、根本的治療になるからです。
そして、ホルモンバランスの崩れは、年齢に加えて、「自律神経」のバランスが大きく影響します。
そこで今回は、「更年期障害の基礎的な知識」と、「更年期障害と自律神経との関係性」について解説します。
 更年期障害とは
更年期障害とは、閉経期前後に起こる卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の分泌が減少することで生じる、多彩な不定愁訴を主とする症候群です。
その症状は、「月経異常」をはじめ、「ほてり」、「のぼせ」、「発汗」などの身体的な症状だけでなく、「抑うつ感」や「イライラ」、「不眠」などの精神的なものも出現します。ほとんどの訴えは、検査をしても原因が見つからない「不定愁訴」です。
女性は、月経周期に合わせて卵子を排出します。そして、一生で排卵できる卵子の数は決まっています。そのため、40歳前後になると、正常な働きをする卵細胞は少しずつ少なくなり、月経周期も不規則になります。そして、閉経を迎えます。
その間、卵巣からのエストロゲンの分泌は徐々に低下し、逆に、脳内にある「下垂体」と呼ばれる部位から放出される「ゴナドトロピン」という物質の量が増加します。エストロゲンは、ゴナドトロピンの量を抑制する働きがあります。
そして、更年期障害は、このゴナドトロピンが自律神経の中枢に作用することで生じるとされています。このような理由から、更年期障害の原因は、エストロゲンとゴナドトロピンのアンバランスだと言われているのです。
更年期障害によって現れる症状

血管運動症状 精神神経症状 知覚神経症状 運動器官への症状
・のぼせ、ほてり、発汗
・手足の冷え
・動機
・易怒性
・憂うつ感
・頭痛
・不眠
・めまい
・手足のしびれ
・手足の感覚鈍麻
・耳鳴
・易疲労性
・肩こり
・手足の痛み
・腰痛

 
 更年期障害と自律神経の関係
更年期障害の原因は、「ゴナドトロピンの分泌増大が、自律神経の中枢に作用すること」にあるとされています。この現象は、女性であれば誰でも起こることです。しかし、更年期障害の症状は、発症する人もいれば、ほとんど出ない人もいます。
そのため、更年期障害の原因は、正常で起こるような、ゴナドトロピンとエストロゲンのアンバランスだけではないということです。つまり、このアンバランスを増悪させる要因が、更年期障害の一番の原因だと言えます。
そして、ゴナドトロピンとエストロゲンのバランスを悪くする要因は、自律神経になります。
エストロゲンは、ゴナドトロピンが分泌される下垂体によって、その産生量を調整されています。そして、この下垂体は、自律神経の司令塔である「視床下部」によってコントロールされています。そのため、自律神経に問題が生じると、視床下部にその情報が伝わり、結果として下垂体に影響します。
つまり、「自律神経の問題→視床下部→下垂体→ゴナドトロピンの分泌異常、卵巣機能異常→エストロゲン産生異常」ということが起こります。その結果、エストロゲンとゴナドトロピンのアンバランスが正常以上に生じることになります。
このように、更年期障害の根本的な原因は、自律神経にあります。そして、自律神経は生活習慣の不摂生によって不調になります。つまり、更年期障害の原因は、あなたの生活にある可能性が高いのです。