女性の病気

自律神経の不調が月経前症候群(PMS)を悪化させるメカニズム

月経前症候群(PMS)は、女性の多くが悩まされている症状です。これには、自律神経のバランスが大きく関わっています。
訴えは人それぞれであり、「お腹が張る」程度から「動けないほどの腰痛」などの強い痛み、「イライラや抑うつ状態」などの精神的なものまであります。症状が強い人は、日常生活に支障を来たすほどの影響があります。
これらの症状に共通して言えることは、PMSの症状が強く出ている人の大半は、「自律神経」に問題があります。
そこで今回は、PMSと自律神経の関係性について解説します。
 月経前症候群(PMS)とは
月経前症候群とは、月経前3~10日の「黄体期」の間に現れる、精神的もしくは身体的症状であり、月経とともに減退ないし消失するものを言います。黄体期とは、排卵から月経までの期間を指します。
月経周期は、「エストロゲン」と「プロゲステロン」と呼ばれる2つのホルモンによって作られます。月経から排卵までの「卵胞期」は主にエストロゲンによって、排卵から月経までの「黄体期」は主にプロゲステロンの働きで、その時期の特徴が現れます。卵胞期は、子宮内膜の増殖が主な反応となります。
PMSの症状は、精神症状と身体症状の2つがあります。

精神症状

身体症状

・イライラ

・抑うつ

・不安感

・易興奮性

・乳房痛、緊張感

・腹部膨満感

・頭痛

・四肢のむくみ

 
   月経前症候群(PMS)と自律神経の関係性
月経前症候群(PMS)の原因は、はっきりわかっていません。「エストロゲンとプロゲステロンの不均衡」や「中枢ホルモン異常」、「精神的葛藤」などの要因が説として挙げられています。しかし、先ほども述べたように、PMSの症状には、自律神経の影響が深くかかわっているのです。
月経痛のメカニズムには、「子宮内膜の剥離に伴う、プロスタグランジンの合成」が関係していると考えられています。月経とは、この子宮内膜の剥離で起こる出血のことを言います。
プロスタグランジンは、痛みを増強させたり発熱を誘発したりする作用があります。また、プロスタグランジンには、子宮筋の収縮作用があります。これによって、下腹部痛や腹痛が引き起こされます。さらに、プロスタグランジンが体循環へ流入することで、吐気や頭痛、易疲労性などの全身症状が出現します。
子宮内膜の増殖は、エストロゲンとプロゲステロンの働きによって生じます。また、子宮内膜でのプロスタグランジンの合成は、プロゲステロンにより調整され、増殖期に少なく、月経期に最も多くなります。そして、エストロゲンとプロゲステロンの調整は、主に自律神経が行っています。
そのため、自律神経のバランスが崩れていると、「子宮内膜が過剰に増殖する」「プロゲステロンの合成が多くなる」などの現象が起こり、PMSの症状を強くします
以上のように、PMSと自律神経には深い関係があります。自律神経の乱れは、PMSの症状を悪化させます。つまり、PMSの予防や治療には、自律神経の調整が欠かせないということです。
自律神経を整えるのは、規則正しい生活習慣です。そのため、PMSに悩まされている人は、まずは生活リズムの見直しから行う必要があります。