女性の病気

無月経の原因と分類:女性ホルモン・自律神経との関係

女性特有の病気に「無月経」があります。無月経とは、3ヵ月以上月経がない状態を言います。月経は、妊娠・出産のためには欠かせないものです。そのため、無月経は、女性にとって大きな問題となります。
しかし、無月経の人の多くは、その原因を理解していません。そのため、一時的な対処を行うのみで、根本的な問題を解決している人はほとんどいません。
無月経の原因を把握するためには、まず月経についての正しい知識を身につける必要があります。そこで今回は、まず月経について述べた後、無月経のメカニズムとその原因について解説します。
 月経について
月経とは、女性特有のものであり、約28日周期で起こる、子宮の変化と言えます。一般的に「生理」といわれるものは、月経の過程で生じるものです。
子宮は、妊娠時に胎児が成長する場所です。月経とは、そのための準備を行う過程とも言えます。
月経は、大きく「月経期」、「卵胞期」、「黄体期」の3つに分けられます。この3つの期間が、約28日かけて起こり、1つの周期ができます。この月経周期を作り出すのが、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」です。この2つのホルモンがお互いに作用しあうことで、さまざまな体の変化が引き起こされます。
エストロゲンには、子宮の内側の壁である「子宮内膜」を厚くする働きがあります。プロゲステロンは、厚くなった子宮内膜を、さらに胎児が過ごしやすい状態にする役割を持っています。
月経期とは、いわゆる生理が起こる期間です。月経期では、子宮内膜を厚くするエストロゲンとプロゲステロンの分泌が低下します。そのため、子宮内膜が剥がれ、出血が起こります。
卵胞期は、エストロゲンの分泌量が増加し、子宮内膜が厚くなります。また、エストロゲンは、放出される量が大量になると、さらにその分泌が促されます。そして、エストロゲンの量がピークに到達した後に、排卵が起こります。排卵とは、卵子が卵巣から飛び出すことです。
生理を排卵と勘違いしている人もいますが、生理と排卵は全く別物です。
排卵後は、黄体期になります。黄体期は、プロゲステロンの分泌が増え、子宮内膜がさらに厚くなります。この時期に、卵子が精子と出会い、子宮内に入ると妊娠します。もし、妊娠していない場合は、生理によって、厚くなった子宮内膜は剥がれます。
 無月経について
無月経には、加齢や妊娠などで月経が消失する「生理的無月経」と、通常では月経が起こる期間に、月経が停止してしまう「続発性無月経」があります。生理的無月経は、正常なものであり、小さい子供や閉経後の高齢の人、妊娠・授乳中の人などは、月経がありません。
続発性無月経は、さまざまな原因で起こります。先ほど述べたように、月経は、女性ホルモンの働きによって作られます。そして、女性ホルモンは、脳や卵巣、子宮などによって調整されています。そのため、女性ホルモンのコントロールに関係する場所に問題が生じると、月経は影響を受けます
以下に、原因別における分類を載せます。

視床下部 ・視床下部の機能障害
・Feohich症候群
・キアリ‐フロンメル症候群
・アルゴンツ‐デル‐カスティーヨ症候群
・神経性食欲不振症
・体重減少性無月経
下垂体 ・シハーン症候群
・フォーブス‐オールブライト症候群
・下垂体腺腫
卵巣 ・多嚢胞性卵巣症候群
・早発卵巣機能障害
・手術による卵巣摘出
子宮 ・アッシャーマン症候群
・子宮内膜炎

 女性ホルモンの調整は自律神経によって行われる
女性ホルモンのコントロールは「視床下部→下垂体→卵巣、子宮」という流れで行われます。このうち、視床下部(ししょうかぶ)と下垂体(かすいたい)は脳にあり、ここから、卵巣と子宮の働きを調整するホルモンが分泌されます。その結果として、卵巣と子宮から放出される女性ホルモンが調節されます。
そのため、先ほど述べたように、この過程のどこに問題が生じても、女性ホルモンに影響します。そのため、どこの傷害であっても、無月経が起こる可能性はあります。
しかし、このように、視床下部や下垂体のホルモンに調整されるような体の機能のほとんどは、自律神経によってコントロールされています。視床下部の働きには、脳内のさまざまな場所が関わります。その中でも自律神経は、最も関わりが深い部位だと言えます。
自律神経とは、心臓や血管の筋肉、消化管など、生命維持に必要な体の働きを、無意識で調整する神経です。自律神経の崩れは、ほとんどが生活習慣の不摂生から起こります。
具体的には、以下のような例が挙げられます。
・睡眠障害や精神的なストレス
・過食や偏食
・体力低下、運動不足
今回述べたように、無月経は、女性ホルモンのバランスの崩れによって起こります。そして、女性ホルモンは「視床下部→下垂体→卵巣、子宮」という流れで調整されています。そのため、この過程のどこに問題があっても無月経が起こる可能性はあります。
しかし、最も影響が強いのは、全てをコントロールする視床下部の問題です。そして、視床下部は自律神経に調整されており、自律神経には、生活習慣が深く関係します。つまり、生活習慣の不摂生が無月経に関係しているということです。
もし、あなたが無月経であるならば、まずは生活習慣の見直しから行ってください。生活習慣の改善は、無月経だけでなく、さまざまな体の不調を解消します。