女性の病気

生理周期のホルモンバランスについて図を使ってわかりやすく解説

生理周期が大切だということは知っていても、生理中にホルモンバランスがどのようになっているかをイメージできないのではないでしょうか?
生理周期は、基本的にホルモンバランスの変化によって作られています。そのため、生理周期を理解するためには、生理周期におけるホルモンバランスの変動を知っておくことが必須になります。
ただ、生理周期におけるホルモンバランスの変動は、非常にイメージしにくいのが現状です。
そこで今回は、図を使って生理周期のホルモンバランスについて、できるだけ簡単に解説します。

生理周期の基本

女性は成熟すると、子宮から周期的(約28日周期)に出血するようになります。こうした現象を「生理」といいます。そして、生理による出血は数日間で自然に止まります。このような周期的な出血のサイクルを「生理周期」といいます。
生理周期は、以下に記す図のように、「卵胞期」「黄体期」「月経期」の3つに分類されます。そして、卵胞期と黄体期の間には「排卵」が起こります。

seirisyuuki hormon

卵胞期

卵胞期は「増殖期」とも呼ばれる時期であり、出血(生理)後から排卵までの期間を指します。

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生理周期の特徴は、基本的に「エストロゲン」「プロゲステロン」という2つのホルモンによって作られます。これら2つのホルモンは「女性ホルモン」と呼ばれており、卵胞期にはエストロゲンが多く分泌されています。
エストロゲンには、子宮内膜を増殖・肥厚させる作用があります。排卵後に卵子が子宮内膜に着床するため場所である「ベッド」の骨組み(子宮内膜の肥厚)を作るようなイメージです。
その他にもエストロゲンには、以下のような働きがあります。
・乳管の発達、乳汁分泌の抑制
・子宮内膜の増殖、子宮筋や卵管の成長
・LDLコレステロール値の低下
・脂肪の分解が高まる
・基礎体温の低下
・血液凝固の抑制
・骨量の維持
・皮脂の分泌抑制
こうしたエストロゲンの作用から、卵胞期には体内で以下のような反応が起こります。
・性欲増進
・浮腫み軽減
・自律神経のバランスが整う
・気分が良い
・肌の調子良い

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卵胞期は、だいたい生理(出血)後から16日前後続きます。そして排卵が起こった後は、黄体期に入ります。

黄体期

黄体期には、エストロゲンではなくプロゲステロンが多く分泌されます。このとき、エストロゲンはプロゲステロンと入れ替わるように分泌量が少なくなります。
月経周期におけるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量は、以下に記す図のように変化します。

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プロゲステロンは、エストロゲンに続いて子宮内膜を厚くします。
卵胞期にエストロゲンの作用で子宮内膜が肥厚して受精卵が着床する基盤が作られた後、プロゲステロンがさらに受精卵が着床しやすい状態にするのです。
エストロゲンによって作られたベッドの骨組みの上に、プロゲステロンが布団を引くようなイメージです。骨組みだけのベッドでは心地よく寝ることはできませんが、布団があれば気持ちよく眠ることができます。
受精卵も同様で、エストロゲンだけでなくプロゲステロンによる子宮内膜の増殖が加わって、初めて着床できるようになるのです。
このように、ホルモンが正常に働き、子宮内の環境が整うことで、受精、着床し、妊娠することになります。
その他にもプロゲステロンには、以下のような作用が挙げられます。
・乳腺の発育や乳汁分泌抑制
・子宮内膜の脱落や子宮筋の収縮抑制
・子宮筋の毛細血管の発達促進
・排卵の抑制
・基礎体温の上昇
こうしたプロゲステロンの作用から、黄体期には以下のような反応が起こります。
・性欲減退
・浮腫み、便秘、肩こり
・自律神経崩れる
・落ち込みやすい
・肌荒れやすい(ニキビなど)
以上からもわかるように、プロゲステロンが優位になる黄体期には、卵胞期と違って体調不良になりがちです。このとき、エストロゲンとプロゲステロンによるホルモン調整が上手くいかなかった結果、さまざまな不調が起こるのが「月経前症候群(PMS)」になります。

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月経期

黄体期に受精もしくは着床しなければ、エストロゲンとプロゲステロンによって作られたベッドと布団は一度壊れます。つまり、厚くなった子宮内膜が剥がれ落ちるのです
妊娠しなかったときには、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が一気に減ることで子宮内膜が剥がれます。こうした、血管が豊富な子宮内膜が剥がれるときに子宮から出血が起こる現象が生理です。
生理周期を理解するためには、こうしたホルモン分泌と子宮内膜の状態の変化を知っておくことが必須になります。

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今回述べたように、生理周期はエストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンによって作られています。そのため、エストロゲンとプロゲステロンの働きや、生理周期における変動を知っておけば、生理周期に伴う体の変化を理解できるようになるのです。
ぜひ、あなた自身の体調の変化と照らし合わせて考えてみてください。