その他の症状

体のだるさ(倦怠感)の原因:食事の問題(糖質過剰と脂質不足)

「倦怠感」は、多くの人が訴える症状の1つです。その中の大半の人が、倦怠感を「ただの疲れ」と軽くとらえます。そのため、倦怠感に対して、具体的な対応をする人はほとんどいません。
しかし、倦怠感に限らず、症状が出るということには何か原因があります。内科的疾患などの影響で出ることもありますし、病院では診断されない程度の体の問題でも現れることもあります。
そこで今回は、倦怠感の原因について、食生活の視点から述べます。
 体のエネルギーを作る2つの回路
体のだるさの原因として、体を動かすエネルギーが不足している状態が考えられます。人は、エネルギーを使って脳や内臓、筋肉など全ての細胞を働かることで、生命を維持しています。そのため、そのエネルギーが足りないと全ての細胞の役割が障害されます。
体のエネルギーを産生する回路のうち、主なものとして、次の2つがあげられます。
1つ目は、糖質を原料にエネルギーを作り出すものです。これは、「無酸素性代謝」と言われ、その過程で酸素を必要としません。体に蓄えられた、グリコーゲンなどを代謝することで、エネルギーを生み出します。
そして2つ目は、脂肪を原料にエネルギーを作り出すものです。こちらは、無酸素性代謝に対して「有酸素性代謝」と言われ、その過程で酸素を消費します。
この2つの違いは、エネルギーを作りだす原料の違いにあります。体に蓄積されているグリコーゲン量は、数に限りがあります。一方、脂肪はグリコーゲンとは比べものにならないくらいの蓄えがあります。
実際に、糖質だけをエネルギー源にして生活すると、1日も持たずにエネルギーは枯渇します。それに対して、脂肪をエネルギー源にすると、数ヵ月生活するだけのエネルギーを作ることができます。
 糖質に依存した生活が「倦怠感」を作り出す
つまり、エネルギーの産生が糖質に依存していると、普段の生活でエネルギー不足が起こります。そうなると、何をしてもすぐ疲れる体になります。
先ほど述べたように、脂肪からエネルギーを作る場合は、そのようなことはありません。そのため、主なエネルギー産生を脂質にできれば、通常の生活程度では、疲れない体になります。
多くの人の不調に、この糖質に依存したエネルギー産生が関係しています。「倦怠感」や「過剰な眠気」、「体の痛み」などはその典型例です。
体は糖が体内に入ると、優先して糖質をエネルギー源にします。それは、糖が血液中に高濃度にある「高血糖」は、体にとって良くない状態だからです。血糖値が高いと、血管が損傷され、動脈硬化が起こりやすくなります。
動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞などの大血管障害から、腎臓病や網膜症など細小血管の障害を引き起こします。
そのため、体は、血液中にある糖を優先して使うことで、持続的な高血糖状態を避けようとします。
つまり、食事で糖質制限を行なえば、糖質に依存したエネルギー産生を改善することができます。体は血液中に糖がない場合に、脂肪を分解することでエネルギーを作り出します。そうなると、エネルギー源の中心が脂肪になります。
脂肪からエネルギーが作られれば、血管にかかる負担は少なくなり、体も疲れにくくなります。そのため、結果的に体のさまざまな不調もなくなります。
このことからも、糖質制限を行う際の注意点も分かります。それは、糖質摂取を少なくした分、脂質の摂取を増やす必要があるということです。もし糖質も脂肪も制限してしまうと、体はエネルギーを作り出すものが無くなります。
今回述べたように、糖質に依存した生活は、体のさまざまな不調に関係しています。そのため、何かしら体に不調がある人は、一度、普段の糖質摂取量を見直してみて下さい。わずか1食の糖質を制限するだけで、劇的に症状が変化するはずです。