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腸内細菌には痩せ菌とデブ菌がある!腸内環境を整えると痩せる理由

「腸内細菌に痩せ菌とデブ菌がある」という話を聞いたことがあると思います。ただ、「痩せ菌って何のこと?」というのが正直な感想ではないでしょうか?
腸内環境というと、ただでさえイメージしにくい上に、さらに菌の話になると混乱するはずです。
そうはいっても、ダイエットをしているのであれば腸内環境を整えることは不可欠だといえます。そのため、痩せ菌とデブ菌の違いについて理解しておくことも大切です。
そこで今回は、「腸内細菌における痩せ菌とデブ菌の違い」について解説します。

腸内細菌とは

腸内細菌とは、腸内に生息する細菌です。腸内には多彩な種類の腸内細菌が存在しています。
具体的には、よく知られている「善玉菌」「悪玉菌」「日和見細菌(ひよりみさいきん)」の3つから構成されており、これら3つの腸内細菌のバランスによって腸内環境が作られているのです。
こうしたいくつもの腸内細菌が生息している状態は「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれます。これは、多彩な腸内細菌が存在する腸内を顕微鏡で確認すると、まるで数種類の花が並んで咲いている花畑のように見えるためです。
そして、腸内細菌のバランス(腸内フローラ)は、ダイエットをはじめとした体の健康に大きく関係していることが明らかになっています。

善玉菌と悪玉菌、日和見細菌のバランス

既に述べたように、腸内細菌は主に善玉菌と悪玉菌、日和見細菌の3つに分類されます。そして、健康な人の腸内では「善玉菌 : 悪玉菌 : 日和見細菌 = 2 : 1 : 7」という割合になっているのです。つまり、腸内のほとんどは日和見細菌が占めている状態であるといえます。
善玉菌は、腸内環境を整える作用をもっており、悪玉菌には腸内環境を崩す働きがあります。それに対して日和見細菌は、善玉菌と悪玉菌が優位な方に味方をするのです。
例えば、健康な人では、悪玉菌よりも善玉菌の方が多く存在しています。そのため、日和見細菌は善玉菌と同じような働きをするのです。その結果、腸内環境は良好な状態になります。
その一方で、善玉菌より悪玉菌が優位になってしまうと、腸内細菌の大半を占める日和見細菌が悪玉菌と同じような働きをして、腸内環境を悪化させます。そうなると、腸内環境は一気に悪くなってしまうのです。
このように、腸内環境は善玉菌と悪玉菌、日和見細菌のバランスによって作られています。

痩せ菌「バクテロイデス」とデブ菌「フィルミクテス」

腸内細菌の大半を占める日和見細菌は、主に「フィルミクテス菌」と「バクテロイデス菌」の2つに分類されます。このフィルミクテス菌とバクテロイデス菌のバランスが、肥満と関係しているのです。
具体的には、フィルミクテス菌には、食べ物からカロリーを吸収して肥満を促す作用があります。その一方でバクテロイデス菌は、デンプンや食物繊維を分解して、体のエネルギーとして利用しやすくする働きをもっているのです。
そのため、腸内でフィルミクデス菌が多くなるほど太りやすく、逆にバクテロイデス菌が増えるほど痩せやすい体質となるのです
このように、腸内細菌のバランスはダイエットに深く関係しています。

バクテロイデス菌が痩せ体質を作るメカニズム

既に述べたように、バクテロイデス菌は食事から摂取したデンプンや食物繊維を分解してエネルギーに変換する作用をもっています。

バクテロイデスは短鎖脂肪酸を作って脂肪を付きにくくする

また、この食物繊維の分解過程で合成される物質の一つである「短鎖脂肪酸」が、痩せ体質を作るのです。
短鎖脂肪酸とは「酢酸」「酪酸」「プロピオン酸」という3つの物質の総称になります。そして、短鎖脂肪酸には脂肪の合成抑制と燃焼促進の作用があるのです。
短鎖脂肪酸は腸内でバクテロイデス菌によって作られた後、血液に乗って全身の脂肪細胞に運ばれます。
脂肪細胞は、血液中から脂肪を取り込むことでエネルギーを溜め込みます。ただ、当然ながら脂肪を蓄積しすぎると、肥大化します。このように、脂肪細胞が肥大化した結果、肥満となるのです。短鎖脂肪酸には、こうした脂肪細胞の脂肪取り込みを抑える働きがあります
そのため、バクテロイデス菌によって短鎖脂肪酸がたくさん作られると、脂肪細胞に脂肪が蓄積されないようになるため、太りにくくなります。

バクテロイデスは代謝を高めて脂肪を付きにくくする

また短鎖脂肪酸には、自律神経に作用して代謝を高める働きもあります
自律神経とは、心臓や血管、内臓などの働きを無意識下でコントロールする神経です。具体的には、体を興奮させる「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2つから構成されており、これら2つの神経がバランスを保ちながら体の機能を調整しています。
そして、交感神経の働きが強くなって体が興奮すると、心拍数が増加したり体温が上昇したりすることで代謝が高まるのです。
短鎖脂肪酸には、交感神経を活性化する作用があります。つまり、バクテロイデス菌によって短鎖脂肪酸が多く作られるほど、交感神経が活発に働くことで代謝が高くなるのです。
このように、バクテロイデス菌は短鎖脂肪酸を合成することで、痩せやすい体質を作る腸内細菌になります。

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バクテロイデス菌を増やして痩せ体質を作る方法

それでは、バクテロイデス菌を増やすためにはどうすればいいのでしょうか?
残念ながら、バクテロイデス菌だけを増やす方法はありません。ただ、腸内環境を整えることでバクテロイデス菌が増えて痩せやすくなります。
例えば、ヨーグルトや発酵調味料(醤油、味噌、酢)、キムチなどには、腸内の善玉菌を直接的に増やして腸内環境を整える効果があります。ヨーグルトや発酵食品が健康に良いといわれる一つの理由は、腸内環境を整える効果が期待されるためです。
こうした直接的に善玉菌を増やす食品を「プロバイオティクス」といいます。
それに対して、「オリゴ糖」などは善玉菌のエサとなって間接的に腸内環境を整えます。直接的に善玉菌を増やす食品をプロバイオティクスというのに対して、善玉菌のエサとなるものは「プレバイオティクス」といわれます。
プロバイオティクスとプレバイオティクスは、ともに腸内環境を整えてバクテロイデスを増やします。ただ、フィルミクテス菌とバクテロイデス菌のバランスを整える効果は、プレバイオティクスの方が高いです。
そのため、痩せ菌であるバクテロイデス菌を増やしたいのであれば、プレバイオティクスを意識して摂るようにしましょう。
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腸内環境を整えて痩せる3つのポイント
今回述べたように、腸内細菌には痩せ菌とデブ菌があります。ダイエットを成功させるためには、腸内環境を整えて痩せ菌を味方につけることが大切です。
ぜひ痩せ菌を増やしてダイエットを成功させましょう。