脂質ダイエットによる体質改善

間食をやめられない原因を作るホルモン異常とは?

ダイエット中に起こりやすい悩みの一つに「間食を止められない」ということが挙げられます。つまり、食欲が抑えられずに食べ過ぎてしまうということです。

 

例えば、「昼食をしっかり食べたにも関わらず、午後の仕事をしながらチョコレートを食べてしまった……」「夕食後にテレビを見ながらポテトチップスを食べてしまった……」といった人は多いのではないでしょうか?

 

こうした間食を止められない原因は「意思の弱さ」として片付けられることが少なくありません。つまり「我慢が足りない」と考えられるのです。

 

しかし実際には、間食が止められないのは、食欲を抑制するホルモンである「レプチン」の働きが低下していることに原因があります。レプチンが少なくなったり、作用しにくくなったりすることで、食欲が抑えられずに間食してしまうのです。

 

そのため、ダイエット中で間食が止められない人は、こうしたレプチンについて学ぶことが大切だといえます。食欲をコントロールしているレプチンの特徴を知ることで、効率的に間食を止めることができるようになります。

 

そこで今回は、「ダイエット中の間食をやめられない原因と解消法」について解説します。

 

ダイエット中の間食がやめられない原因と解消法のまとめ

 

・ダイエット中の間食は痩せない原因となる
・間食がやめられない原因として「レプチン抵抗性」が挙げられる
・レプチン抵抗性になると食欲がおさまらず間食がやめられない
・レプチン抵抗性は「肥満」「酸化ストレス、炎症」「高脂肪食」「遺伝」が原因となる
・ダイエット中の間食をやめるためには「炎症を引き起こす食品を避ける」「抗酸化物質を摂取する」「高糖質・高脂肪食を避ける」「ストレスを減らす」「睡眠時間を確保する」「運動する」といった対策が有効

 

ダイエット中の間食が引き起こす問題

世の中に存在するダイエット法の中には、食事の回数を多くする方法もあります。いわゆる「少量頻回食」と呼ばれる食事法です。

 

少量頻回食は「空腹感を感じているときに体が脂肪を溜めやすい」という体のメカニズムから「食事を数回に分けて食べて空腹を感じる時間を少なくすることで、太りにくくする」という理論から成り立っています。

 

少量頻回食の理論が正しければ、適度な間食はダイエットにとって良い影響を与えるような印象を受けます。しかし実際には、間食をすることは肥満を招く原因となるのです。

 

糖質の過剰摂取

間食をすることによる一番の問題は「間食では糖質を過剰に摂取しがちである」ということです。糖質を摂ると、肥満の原因である「インスリン」と呼ばれるホルモンの分泌を促されます。つまり、糖質が含まれる食品を食べると太るのです。

 

例えば、間食として食べられるケーキやパン、クッキーなどは糖質量が多い食品です。その他にも、スナック菓子などにも糖質が大量に入っています。

 

このように、間食として摂取する食品には糖質が過剰に含まれているものが多いのです。そのため、間食をすると、結果的に肥満を促すことにつながりやすくなります。

 

インスリン抵抗性の増大

間食によって起こりやすい問題は、糖質の過剰摂取だけではありません。間食は「インスリン抵抗性」を招いて、太りやすい体となってしまいます。

 

インスリン抵抗性とは「インスリンの効きにくさ」を表す言葉です。インスリン抵抗性が高いと、体内でインスリンが分泌されてもインスリンが作用しにくくなります。

 

例えば、インスリンには血糖値(血液中の糖分量)を下げる作用があります。つまり、インスリン抵抗性があるということは「血糖値が高い状態が維持されやすい」ということです。

 

そうなると、体は血糖値を下げようとして、さらにインスリンを作ります。ただ、それでもインスリン抵抗性があるため、インスリンは上手く働きません。その結果、どんどん体内でのインスリン量が増えて「高インスリン状態」となってしまうのです。

 

このときには、インスリン抵抗性によって血糖値は下がらないものの、インスリンによる脂肪合成作用は発揮されます。

 

そのため、インスリン抵抗性が原因となって高インスリン状態になると、どんどん太りやすくなってしまうのです。

 

そして、インスリン抵抗性を高める原因の一つとして「頻回な食事」が挙げられます。ちょこちょこ間食をすると、食べ物を食べるたびにインスリンが分泌されて、体が常にインスリンにさらされている状態になるのです。その結果、体がインスリンに慣れてしまい、インスリン抵抗性が作られます。

 

このように、間食は「インスリン抵抗性を招いて太りやすい体質を作る」という問題があるのです。

 

インスリン抵抗性に関しては「なかなか痩せない原因について解説:インスリン抵抗性の解消法」に詳しく書いています。

 

間食がやめられない原因:レプチン抵抗性

ここまで述べたように、ダイエット中に間食をすることは、ダイエットの失敗を招く原因になります。そのため、ダイエット中は間食をできるだけ避けるべきだといえます。

 

ただ、ダイエット中の人には「どうしても間食が止められない」という人も少なくありません。そして、間食を止められない人のほとんどは「自分の我慢が足りない」と考えがちです。

 

しかし実際には、間食が止められない理由は意思の問題ではなくホルモンバランスの崩れにあります。

 

食欲の増大と抑制のメカニズム

間食について考える際には、人間の食欲を作っているメカニズムを知ることが大切になります。間食は、食欲が増すことで生み出されるためです。

 

食欲の増大と抑制は、主に「レプチン」と「グレリン」と呼ばれる二つのホルモンによって調整されています。脂肪細胞で作られるレプチンが食欲を抑え、胃で合成されるグレリンが食欲を促すのです。

 

例えば、数時間食べ物を食べずに胃の中が空っぽになると、胃からグレリンが分泌されて食欲が増大します。その一方で、食べ過ぎて体に脂肪がつく(脂肪細胞が肥大化する)と、脂肪細胞でレプチンが合成されて食欲が抑えられるのです。

 

つまり、人の体はレプチンとグレリンがバランス良く働いていれば、状況に合わせて食欲がコントロールされるのです

 

逆にいえば、レプチンとグレリンのバランスが崩れてしまうと、過度に食欲の増大や抑制が起こることにつながります。

 

レプチン合成量の低下

例えば、レプチンが上手く作られなくなる(合成量が低下する)と、レプチンによる食欲抑制が起こらなくなるため、強い食欲が起こるのです。

 

レプチンの合成量が低下する原因として有名なのは「睡眠不足」です。睡眠時間が短くなると太りやすくなるのは、体内のレプチン量が少なくなることが関係しています。

 

睡眠と肥満の関係性については「睡眠不足で太りやすくなる理由と解消法」に詳しく書いています。

 

レプチン抵抗性の増大

また、レプチンが十分に作られていても、レプチンが上手く作用しないために食欲が増大するケースもあります。このように、レプチンが効きにくい状態を「レプチン抵抗性」といいます。

 

レプチンは全身の脂肪細胞で作られます。そして、脂肪細胞で合成されたレプチンは、食欲をコントロールしている脳に作用することで食欲を抑制するのです。

 

レプチン抵抗性は「脂肪細胞で合成されたレプチンが脳に入ることをブロックされる」というメカニズムによって起こります。つまり、脂肪細胞でレプチンが作られるものの、脳まで到達できないため、食欲を抑えることができないのです。

 

その結果、どんどん食欲が増大することになります。

 

こうした、レプチンの合成量低下やレプチン抵抗性があると、食欲が増して間食を止められないことになるのです。

 

間食がやめられないレプチン抵抗性を招く原因

レプチンの合成量が少なくなったり、レプチン抵抗性が高くなったりすると、食欲が抑えられずに間食を止められなくなります。そして、レプチン合成量が低下する原因は、主に睡眠不足です。

 

そのため、間食が止められない人で睡眠不足の人は、まずは睡眠時間を確保することが大切になります。

 

その一方で、レプチン抵抗性が起こる原因は明らかになっていません。ただ、レプチン抵抗性の発生に関わる要因はいくつか報告されています。そこで以下に、レプチン抵抗性を作り出す原因について記します。

 

肥満

レプチンは、脂肪細胞で合成されます。そのため、肥満になって脂肪細胞が肥大化すると、それに伴って体内のレプチン量も増すのです。ただ、体重が増加するとレプチン抵抗性が増大することが明らかになっています

 

肥満がレプチン抵抗性を強める具体的なメカニズムはわかっていません。ただ、インスリン抵抗性と同じように、レプチンへの暴露時間が関係していることが予測されます。

 

肥満になると、肥大化した脂肪細胞からレプチンが大量かつ持続的に作られます。その結果、脳に送られるレプチン量が過剰になって「脳がレプチンの侵入をブロックしてしまう」という考えです。

 

つまり、インスリンと同じように「脳が大量のレプチンに長時間暴露されることで慣れが生じる」ということです。

 

このように、肥満がインスリン抵抗性を作り出すメカニズムははっきりしていません。ただ、どちらにしても、太っているとレプチン抵抗性が高まることは明らかになっているのです。

 

酸化ストレス、炎症

レプチン抵抗性の原因として「小胞体ストレス」は有名です。小胞体ストレスとは、細胞内に存在するタンパク質の合成やカルシウムの貯蔵に関わる「小胞体」に異常が起こることをいいます。小胞体ストレスが強くなると、タンパク質が正常に作られなくなります。

 

こうした小胞体ストレスが、レプチン抵抗性を作っていることが明らかになっているのです。

 

そして、小胞体ストレスを招く主な原因として「酸化ストレス」と「炎症」が挙げられます。

 

酸化ストレスは、体内における「活性酸素」が大量に発生することで生じます。活性酸素とは、細胞の老化を招く物質であり、細胞を傷つける作用をもっています。

 

そのため、活性酸素が増えて酸化ストレスが強くなると、細胞は傷つけられることになるのです。

 

そして、細胞は傷つくと、損傷した部位を治すために「炎症反応」が起こります。炎症反応とは、傷ついた細胞が治る過程のことです。

 

例えば、骨折した後には、骨折部位が腫れて(腫脹)、熱をもちます(発熱)。こうした治癒過程で生じる腫脹や発熱、発赤、痛みのことを炎症反応といいます。

 

炎症は、体が治癒するために欠かせない反応です。ただ、炎症反応が慢性的に起こと、レプチン抵抗性の原因となる小胞体ストレスが生じると考えられています。つまり、「酸化ストレス → (慢性)炎症 → 小胞体ストレス → レプチン抵抗性」というメカニズムです。

 

例えば、酸化ストレスを高める要因として「糖化(グリケーション)」が挙げられます。糖化とは、血糖値が高くなることで、体を構成しているタンパク質に糖分が付着する現象です。糖化されたタンパク質は「終末糖化産物(AGEs)」と呼ばれ、活性酸素を発生させて酸化ストレスを高めることになります。

 

糖化以外にも、酸化ストレスを招く要因としては、以下のような例が挙げられます。

 

・血糖値(血液中の糖分量を示す値)の急激な変動
・精神的ストレス
・睡眠不足
・細菌やウイルス
・アレルギー、自己免疫異常、代謝異常
・重金属や化学物質
・薬や食品添加物

 

高脂肪食

また、高脂肪食もレプチン抵抗性を招く原因になると考えられています。実際に、インスリン抵抗性について実験する際には、マウスに対して高脂肪食を与えることで、インスリン抵抗性マウスを作るのです。

 

具体的には、マウスに与える食事の栄養素の60パーセントを脂質にすることで、マウスにインスリン抵抗性を作ることができます。特に、飽和脂肪酸の一種である「パルチミン酸」が、インスリン抵抗性に関与していることが明らかになっているのです。

 

こうしたことから、高脂肪食はインスリン抵抗性を招く大きな要因として考えられています。

 

遺伝

レプチン抵抗性には、遺伝的な要素があることも明らかになっています。

 

間食をやめる方法

ここまで述べたように、ダイエット中の間食を止められない原因の一つにレプチン抵抗性があります。

 

そして、レプチン抵抗性の原因としては、「肥満」「慢性的な炎症」「高脂肪食」「遺伝」が挙げられます。つまり、こうしたレプチン抵抗性を招く要因を解決できれば、ダイエット中の間食を止めることにつながる可能性が高いのです。

 

そこで以下に、レプチン抵抗性を改善する方法について記します。

 

炎症を引き起こす食品を制限する

レプチン抵抗性を引き起こす原因の中でも、慢性的な炎症は多くの人に関係していることです。そして、慢性炎症を招く原因の一つに食事が挙げられます。

 

例えば、過剰な糖質摂取は、糖化や血糖値の急激な変動を引き起こして酸化ストレスを強めます。そのため、甘いものや小麦粉製品などを食べ過ぎることは、レプチン抵抗性を招く原因になるといえます。

 

また、脂肪の中でも植物油などに含まれている「オメガ6系脂肪酸」は、炎症を強める栄養素として有名です。その他にも、マーガリンやクッキー、ジャンクフードなどに含まれているトランス脂肪酸も、体内で炎症を引き起こします。

 

このように、糖質やオメガ6系脂肪酸、トランス脂肪酸を多く含む食品を制限することが、レプチン抵抗性の改善につながるのです。

 

抗酸化物質を摂取する

さらに、炎症を招く食品を避けるだけでなく、体内での酸化反応を抑える栄養素である「抗酸化物質」を摂取することも、レプチン抵抗性を防ぐことにつながります。

 

例えば、赤ワインやコーヒーなどに含まれている「ポリフェノール」は抗酸化物質として有名です。抗酸化物質は、体内での酸化反応を抑えることで、レプチン抵抗性を改善します。

 

その他にも、ビタミンAやビタミンC、ビタミンEなども抗酸化作用をもった栄養素です。特に野菜や果物などには、抗酸化作用を持つ栄養素が豊富に含まれています。

 

こうした抗酸化物質を積極的に摂取することが、体内における炎症反応を抑制し、レプチン抵抗性の改善につながるのです。

 

高糖質・高脂肪食を避ける

糖質は、糖化や血糖値の変動によって体内での酸化ストレスを強めます。ただ、糖質はそれだけではなく、インスリン分泌を促して肥満を招くことでもレプチン抵抗性を引き起こすのです。

 

肥満になって脂肪細胞が肥大化すると、その分だけレプチンが多く分泌されるようになります。その結果、レプチン抵抗性ができるのです。

 

また、先ほど述べたように、糖質だけでなく高脂質食もレプチン抵抗性を招くことが明らかになっています。

 

こうしたことから、レプチン抵抗性を改善するためには、高糖質・高脂肪食を避けることが大切です。

 

ストレスを溜め込まない

ストレスは、体内で酸化ストレスを高める大きな要因です。そのため、ストレスを溜め込まないことも、レプチン抵抗性を改善するために重要になります。

 

睡眠時間を確保する

既に述べたように、睡眠不足はレプチンの分泌低下を引き起こす原因の一つです。またそれだけではなく、睡眠時間が短くなると、自律神経のバランスが崩れてしまい、ストレスがたまりやすくなります。

 

そのため、睡眠不足になると体内での酸化ストレスが強くなり、レプチン抵抗性を強めることになるのです。

 

こうしたことから、レプチン抵抗性を改善するためには、十分な睡眠を確保することも大切になります。

 

運動する

マウスによる実験ですが、運動がレプチン抵抗性を改善することが明らかになっています

 

具体的には、高脂肪食によってレプチン抵抗性の状態となったマウスを、1日1時間の「かご回転運動」を5日間行わせると、レプチン抵抗性が改善したのです。

 

運動によってレプチン抵抗性が改善したメカニズムははっきりしていません。ただ、それでも運動がレプチン抵抗性に対して良い影響を与える可能性があることは示唆されているのです。

 

こうしたことから、運動をすることもレプチン抵抗性を改善し、食欲を抑えることにつながる可能性があるといえます。

 

その他

既に述べたように、レプチン抵抗性の原因となる小胞体ストレスを避けるためには、酸化や炎症を防ぐことが大切です。ただ、その他にも小胞体ストレスを防ぐ方法が存在します。

 

簡単に説明すると、小胞体ストレスは「酸化、炎症 → 分子シャペロンの機能低下 → オートファジーの機能破綻 → 細胞膜の流動性低下」という4段階の、いずれかのステップで起こります。分子シャペロンやオートファジーとは、正常なタンパク質を作るために必要な機能だと考えてください。

 

そして、細胞膜の流動性は合成されたタンパク質が放出されるために必要な機能です。

 

これら4段階のどこで問題が生じても、小胞体ストレスが生じます。

 

炎症を引き起こす物質の摂取を控えたり、抗酸化物質を摂取したりすることは、酸化や炎症を防ぐことになります。ただ、その他の部位で問題が生じている場合には、酸化や炎症を避けても小胞体ストレスが起こってしまうのです。

 

そのため、小胞体ストレスを防いでレプチン抵抗性を改善するためには、分子シャペロンやオートファジー、細胞膜の流動性などの問題への対策も必要になります。そして、それぞれの問題を解消するためには、以下のような方法が有効です。

 

分子シャペロンの機能低下 → 寒中水泳、断食(ファスティング)、朝日を浴びる(HSP:ヒートショックプロテイン)
オートファジーの機能破綻 → 断食
細胞膜の流動性の低下 → 青魚、亜麻仁油、シソ油などを摂取する(オメガ3系脂肪酸の摂取)

 

今回述べたように、ダイエット中の間食は、できる限り避けるべきだといえます。そして、間食が止められない場合には、レプチン抵抗性が関係している可能性が高いのです。そのため、ダイエット中で間食を止めれずに悩んでいる人は、レプチン抵抗性を疑うようにしましょう。

 

また、もし以上に述べたレプチン抵抗性の原因で思い当たるものがあれば、それを改善することが、食欲を抑えて間食を止めることにつながるはずです。

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