病気に対する考え方

病気を「治す」ではなく、「元に戻す」と考えることの重要性

病気の治療と言えば、「病気を治す」と考える人が多いと思います。実際に、医療従事者も、このような思考の人がほとんどです。
確かに「治療」という言葉は、「治す」という意味があります。しかし、人の体には、自然治癒力が備わっています。そのため、人為的なことを何か行うよりも、自然に任せた方が体の治癒は促されるはずです。
そこで今回は、病気に関して、「治す」ではなく、元に「戻す」という思考をもつことの重要性について解説します。
 病気はなぜ起こるのか?
病気を良くするためには、「なぜ病気が起こるのか?」ということを知っておく必要があります。そのことによって、病気の本質が理解できるからです。
病気は、体自身が、体内で起こっている変化に対して、修復を行っている結果として生じる反応です。このような体内の変化の多くは、自律神経の不調によって起こります。そのため、病気の大半は、自律神経が関係しています。
つまり、病気とは、自律神経の不調によって生じた体の変化を、調整しようとして起こった反応です。
薬など、病院で行われるほとんどの治療は、その表面に出た反応を抑えつけます。しかし、その表面化している現象は、病気の根本的な原因である、自律神経のバランスを取り戻すために起こっているものです。自律神経は、生命に不可欠な内臓などの働きを調節しています。
そのため、もしこのような反応を、薬などで無理やり抑え込むと、自律神経のバランスは戻りません。そして、最終的に自律神経が働かなくなると、生命を維持することができません。
言ってしまえば、病気は、体の治る過程で起こっているものであり、生きるために必要な反応なのです。ほとんどの病院では、こうした体に不可欠な現象を止めてしまうような治療を行っています。それでは、症状が軽減することはあっても、病気が良くなることはありません。
 自律神経とは
自律神経とは、意識することなく、内臓や血管の働きを調節する神経です。寝ているときに心臓が動き続けているのも、運動すると呼吸が速くなるのも自律神経の働きです。他にも、食べたものの消化・吸収をしたり、寒くなると血管を収縮させて体温を保ったりするのも、自律神経の働きです。
そのため、自律神経は、生命を維持するために必要なものと言えます。
また、自律神経は、興奮時に活発になる「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」の2つに分けられます。
通常、交感神経と副交感神経がバランスをとることで、機能を発揮します。自律神経の機能は、体全体のバランスを整えることで、結果的に自然治癒力を高めることにあります。
ほとんどの人は、交感神経の緊張が高くなることで病気になります。これは、ストレスや生活習慣の不摂生などで生じるものです。自律神経は、生体リズムによってコントロールされています。そのため、自律神経のバランスを良くするポイントになるのは、規則正しい生活習慣です。
 病気は「治る」のではなく、元に「戻る」
そもそも病気になるのは、自律神経のバランスが崩れることで起こります。そして、自律神経が元の状態に戻ると、自然治癒力が活発に働きます。それにより、自然と病気は良くなります。
そのため、病気については、「治る」というより元に「戻る」と考えた方が自然です。
これは、感染症などでも同様です。確かに感染症は、外部からの異物によって起こります。しかし、いくら感染源となるものが体内に侵入しても、自律神経のバランスが整っており、自然治癒力が適切に働いていれば、問題ありません。
もし症状が出ても、自然治癒力によって、自然と元に戻ります。
問題なのは、自律神経のバランスが悪く、自然治癒力が低下している場合です。このような状態では、崩れたバランスが元も戻らず、ずっと病気にかかったままになります。
このような考え方をすると、病気は「治す」のではなく、体を元の状態に「戻す」ことで、良くなるということがわかります。そのため、病気を良くするために、医療従事者が行うべきことは、体のもともと備わっている自然治癒力を発揮できるようにすることです。
また、その自然治癒力は、自律神経が関係しています。そして、自律神経は生活習慣によって作られる、生体リズムによってコントロールされていることは、先ほど述べました。
このように、病気を良くするには、医療従事者の力だけではなく、病気にかかっている本人の理解が不可欠です。むしろ、ほとんどの病気は、本人の努力だけで良くすることができます。これは、内科であろうが整形であろうが同じことです。
私がこのような情報発信をしているのも、そのことを多くの人に認識してほしいためでもあります。