自律神経

パーキンソン病の原因を知り、予防・治療する:自律神経との関係

パーキンソン病は、姿勢や動作障害などが高度に現れるため、多くの人が悩まされる病気です。しかし、原因もはっきりしておらず、診断基準も明確ではありません。また、進行性の病気であるため、徐々に体の機能が障害されていきます。
パーキンソン病では、体が固くなります。これにより、自身の動作に障害が出ます。そしてこのことが、介護者にとって大きな負担になります。
一般的には、パーキンソン病の原因は不明とされています。しかし、パーキンソン病には、自律神経が深くかかわっており、自律神経の不調によって発症することが分かっています。
そこで今回は、パーキンソン病の原因について解説します。
 パーキンソン病とは
パーキンソンは、神経伝達物質である「ドーパミン」の分泌が減少するために起こるとされています。神経同士の情報交換は、ドーパミンのような神経伝達物質と呼ばれるもので行われています。
つまり、神経伝達物質の放出が減るということは、神経による情報の伝わりが悪くなるということです。
そして、ドーパミンは、とくに運動機能に関係する情報を伝達しています。そのため、パーキンソン病では、主に姿勢や動作などの運動が障害されます。
また、「振戦(しんせん)」と呼ばれる体の振えや、「固縮(こしゅく)」と言われる筋肉の異常な緊張、「自律神経障害」などが、パーキンソン病の代表的な症状です。
パーキンソン病の多くは、50~60歳代から初老期にかけて発症し、日本での発症は1000人に1人程度と言われています。
パーキンソン病の原因は、ドーパミンの分泌を行う「黒質(こくしつ)」と呼ばれる細胞の障害とされています。しかし、なぜ黒質に問題が生じるのかはよくわかっていません。そのため、パーキンソン病の治療法も、ドーパミンの量を増やす薬など、対処的な方法が主になっています。
 自律神経の体への影響
実は、黒質細胞の障害は、自律神経の問題から起こる可能性があります
自律神経とは、内臓や血管などを無意識に調整する神経です。また、興奮時に働く「交感神経」と、リラックス時に活動する「副交感神経」の2つに分類されます。この交感神経と副交感神経がお互いにバランスを取りながら、機能を果たしています。
さらに自律神経は、免疫とも深く関係しています。免疫とは、体に異物が侵入したときなどに反応し、体に害のあるものを除去する反応です。
免疫には「白血球」が関係します。白血球は、異物を除去するために働きますが、状況によってその形を変化させます。白血球のうちの1つに、「顆粒球(かりゅうきゅう)」と呼ばれるものがあります。顆粒球は、細菌などの大きな異物を破壊します。
白血球のうちのもう1つに「リンパ球」といわれるものがあります。リンパ球は、顆粒球とは違い、ウイルスなどの小さな異物に対して反応し、攻撃します。
白血球と自律神経は密接に関係しています。交感神経の活動が活発な場合、顆粒球の産生が多くなります。逆に副交感神経の働きが強い場合は、リンパ球の数が増えます。
また、顆粒球は、「活性酸素」を大量に放出するという特徴があります。活性酸素は、正常な組織や細胞を壊す作用があります。そのため、活性酸素が大量に生じると、組織や細胞の損傷・変性が起こります。
さらに、交感神経には血管を収縮させる作用があります。そのため、交感神経の緊張は、組織への血流を減少させます。
 
 パーキンソン病と交感神経の関係性
パーキンソン病の発症には、この交感神経と顆粒球が関わっています。
パーキンソン病の原因は、黒質の機能異常によるものです。黒質は、神経細胞の中でもとくに豊富な血液が必要な細胞です。交感神経の緊張は血管を収縮させ、組織への血流を障害します。そのため、交感神経が優位になると、黒質への血液供給が減り、機能が低下します。
また、交感神経の緊張は、顆粒球を増加させ、活性酸素を発生させます。黒質部分に活性酸素が大量に存在すると、黒質細胞は障害・変性します。
つまり、交感神経の過剰な活動が、パーキンソン病の原因だということです。
今回述べたように、パーキンソンの発症には、自律神経が深く関わっています。とくに、交感神経の過剰な緊張が関係します。そして、交感神経は、ストレスによって活性化されます。そのため、頑固な人や頑張る人は交感神経が緊張しやすく、パーキンソン病にかかりやすくなります。
このように考えると、パーキンソン病の予防と治療は、自律神経を整えることが第一になります。神経細胞は、一度損傷するともとには戻りません。そのため、普段から自律神経のバランスを整え、病気の発症を予防することが大切です。