歩行のメカニズムと筋肉の動き

人間を含めた動物は、自らの位置を動かすために「移動」を行います。動物の多くは四肢を使った移動や二足歩行をしますが、その中でも人間は「直立した二足歩行による移動」という特有の運動を行います。

 

また歩行は単なる移動手段ではなく、運動としても活用することができます。一定時間の歩行運動は有酸素運動となり、脂肪燃焼効果や運動によるストレスの発散を期待できます。

 

そこで歩行の運動がどのような要素で成り立っているか確認し、普段の運動に役立てましょう。

 

 歩行の周期
歩行は地面に足が接地してから離れるまで、周期的な運動が繰り返されます。片方のかかとが地面に接地し、再び同じ側の足のかかとが接地するまでのことを「歩行周期」といいます。

 

歩行周期の中でも足が地面に設置している間を「立脚期(立脚相)」、地面から足が離れている間を「遊脚期(遊脚相)」といいます。

 

立脚相はさらに、かかとが地面に接地した瞬間(踵接地)、足の裏全体が地面に接地した瞬間(足底接地)、体重が接地している足の真上を通過する瞬間(立脚中期)、かかとが地面から離れる瞬間(踵離地)、つま先が地面から離れる瞬間(足指離地)という相に分けられます。

 

遊脚相は、さらに加速期・遊脚中期・減速期の3つに分けられます。

 

 人間の重心位置と歩行の重心
歩行は、不安定なバランスを連続して回復していく運動と捉えることもできます。前方に身体が倒れないように、重心をコントロールしていくのです。歩行をしているときには、前方だけでなく、上下左右にも重心が移動していきます。

 

成人だと、重心の位置は地面から身長の55~56%の位置にあります。身体の位置でいうと骨盤の中、仙骨のやや前面といわれています。

 

歩行していのときには、この重心が上下左右に動いてきます。上下移動は、立脚中期が一番高い位置にあり、かかとが接地する瞬間が一番低い位置にきます。また左右の動きも立脚中期が最も左右に移動する瞬間です。

 

重心の位置は、歩行速度を上げると振れ幅が大きくなります。この上下左右方向の重心移動の距離を最小限にすることが、より効率的な歩行をするときに必要となります

 

 筋肉の働きが歩行に与える影響
歩行時には多くの筋肉がタイミングよく働いています。どこかの筋肉に緊張があったり、働くタイミングがずれたりしていると偏った歩き方になり、変形性関節症などの疾病の原因になります

 

例えばお尻にある筋肉の一つである中殿筋の働きは、立脚時に骨盤が左右に傾いてしまわないように活動します。中殿筋の働きが不十分だと、太ももの外側にある筋肉や靭帯が過剰に働き、膝の内反(膝が外側にカーブする)が発生する一因となります。

 

他にもすねの外側に位置する前頚骨筋は、つま先を持ち上げるときに働きます。この筋肉がうまく働かないと、遊脚相でつま先が上がりきらず、つまずく原因となります。

 

また、姿勢を維持する筋肉である脊柱起立筋群や腹筋群も歩行時に働きます。脊柱起立筋群は背中を反らす動作で働きます。腹筋群は身体を屈めたり、お腹をコルセットのように固めたりするときに動きます。この2つの筋群が働くことで身体の安定性を高めて、スムーズな歩行を助けているのです。

 

特に腹筋群は、骨盤や腰椎の安定性に関わっています。腹筋群の活動により、骨盤や仙骨、脊柱の動きが安定し、身体がブレることなく歩行することができます。

 

なお、足裏のアーチが正常より減ってしまう偏平足は、膝から下の骨が内側に向きやくすなり、膝関節にねじれる力が加わりやすくなります。

 

このように、歩行時にはさまざまな筋肉と関節が協調して働くことで成り立っています。
歩行をするときに痛みがある場合は、その原因は痛みのある場所ではなく、関連した他の部位に原因があることもあります。体力維持のためにも正しい歩行動作を理解し、いつまでも歩ける筋力を保ちましょう。

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