女性の病気

女性ホルモンの特徴と作用・働き:エストロゲンとプロゲステロン

女性の体は、特徴的な構造をしています。それは、妊娠・出産のために必要不可欠なものです。しかし、それゆえに、女性特有のさまざまな症状が出てしまうことがあります。女性だけに起こる症状に大きく関係しているのは、「女性ホルモン」です。
「更年期障害」などの、女性に特有の症状の多くは、ホルモンバランスの崩れによって引き起こされます。そのため、女性ホルモンについて理解しておくことは大切です。
そこで今回は、女性ホルモンの働きについて述べます。
 女性ホルモンの種類
女性ホルモンには、「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2つがあります。これらは、ともにコレステロールを原料に卵巣で作られるホルモンであり、生理周期などの女性のライフサイクルに大きく関わります。
エストロゲンとプロゲステロンは、相互に関係しバランスをとることで、正常に作用します。しかし、それゆえにこの2つのホルモンのバランスが崩れると、体にさまざまな悪影響を与えます。
更年期障害は、その代表例であり、急なホルモンバランスの変化によって引き起こされる症状です。その他にも、生理不順や骨粗鬆症、動脈硬化、心筋梗塞など、多くの病気に関わっています。また、ニキビや「しわ」など、皮膚の美容面にも影響します。
 エストロゲンの働き
エストロゲンは、乳房や子宮、卵巣など女性特有の構造への作用だけでなく、肝臓や血管、骨などにも影響を及ぼします。
乳房では、乳管の発達や乳汁分泌の抑制といった作用があり、子宮では、子宮内膜の増殖、子宮筋や卵管の成長に関係します。さらに、コレステロールの1種である「LDLコレステロール」の値や基礎体温の低下、骨量の維持、血液の「抗凝固作用」、皮脂腺の分泌抑制など、全身に作用します。
更年期以降は、エストロゲンの分泌が低下するため、骨粗鬆症や動脈硬化などが起こりやすくなります。
エストロゲンは、痛みにも関係しており、疼痛を引き起こす「プロスタグランジン」という物質の合成を促します。そのため、エストロゲンの分泌に関係する要因を知っておくことは、私のような専門家や、体に痛みをもつ女性にとって大切です。
 プロゲステロンの働き
プロゲステロンは、エストロゲンとは違った働きがあります。乳房においては、乳腺の発育や乳汁分泌抑制を行います。子宮では、子宮内膜の脱落や子宮筋の収縮抑制、子宮筋の毛細血管の発達を促します。また、卵巣にも作用し、排卵を抑制します。
さらに、プロゲステロンは、基礎体温の上昇を引き起こします。生理周期によって基礎体温が変化するのは、エストロゲンとプロゲステロンの2つの影響によるものです。
通常、排卵前はエストロゲンの分泌が盛んになります。これにより、基礎体温の低下や子宮内膜の肥厚が起こります。一方、排卵後は、プロゲステロンが優位になるため、基礎体温は上昇します。
このような理由から、基礎体温を測ることで、ホルモンバランスの状態を確認することができます。
以上のように、女性には女性特有のホルモンがあり、それぞれに大切な働きがあります。エストロゲンとプロゲステロンの働きを知ることで、女性に特徴的な病気だけでなく、体の痛みについても理解が深まります。
とくに、今まで自分の体の中に関心を持っていなかった女性の方は、今回の記事をきっかけに、ぜひ自らの体内でつくられるホルモンについて知っておいてください。