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自律神経の調整法を学び、病気を予防・治療する:運動、徒手療法

自律神経の不調はさまざまな問題を引き起こします。うつ状態などの精神的な症状はもちろんのこと、関節の痛みや腹痛などにも関係します。
そのため、自律神経を整えることは、体の健康にとって欠かすことができないものです。
病院では、自律神経の治療というと、ほとんどが薬によるものかと思います。しかし、自律神経が崩れる原因の多くは、生活習慣にあります。そのため、生活習慣の見直しを行うことは必須になります。
また、運動などによって、生活習慣の影響を受けにくい体にすることはできます。さらに、徒手的な手技によって、自律神経のバランスを整えることもできます。
そこで今回は、初めに自律神経の概要を述べた後、自律神経の調整方法について解説します。
 自律神経とは
自律神経とは、内臓や血管などを無意識にコントロールする神経です。自律神経は、興奮時に働く「交感神経」と、リラックス時に活動する「副交感神経」によって構成されます。
そして、交感神経と副交感神経のバランスが整うことで、適切に機能が発揮されます。
そのため、交感神経の活動が過剰になったり、副交感神経の働きが低下したりすると、バランスが崩れ、機能が障害されます。
 自律神経に対する運動の効果
運動は、自律神経に対してさまざまな効果があります。例えば、適切な運動を行うことによって、自律神経のバランスを整えることができます。そして、自律神経を整える運動として、今回は、3つ紹介します。
 ・有酸素運動
自律神経は、精神的な緊張によって崩れやすくなります。これは、精神的な緊張が心拍数の増加を促すためです。また、逆に心拍数が増えることで、人は心理的に不安定にもなります
この現象は、運動においても同様です。激しく動いた後は、心拍数が増加します。そのような状態では、気持ちは高揚しており、心理的には不安定になっています。
つまり、精神的なストレスでも運動によるものでも、心拍数が増えると精神状態は乱れます。このように、その人の心理状態には、精神面はもちろんのこと、心拍数が大きく影響しています。
そのため、日常生活において、いかに心拍数を上げ過ぎないということがポイントになります
体力が低下していると、通常の生活をしているだけでも心拍数が高くなります。そうなると、それだけで自律神経が崩れることになります。
また運動は、全身の血流を良くするため、そのことでも自律神経は調整されます。
 ・呼吸運動
呼吸は、意識的にも無意識的にも行われる運動です。つまり、自律神経が関わっていますが、自分自身でコントロールできるものです。
呼吸においては、息を吸うときに交感神経が優位になり、息を吐くときに副交感神経が活発に働きます。そのため、状況に応じて、意識を吸気と呼気のどちらに置くかを変えることで、自律神経を整えることができます。
また、腹式呼吸は内臓の動きを促します。内臓の運動は、副交感神経によって調整されています。そのため、内臓の活動が盛んになると、副交感神経が活性化されます。
 ・ストレッチ
ストレッチを適度に行うことで、体の緊張をほぐす効果が得られます。また、ストレスや睡眠不足などで、交感神経が過剰に働くと、体をリラックスさせる副交感神経の活動が弱くなります。
その場合に、ストレッチを行って体の緊張を低下させると、自律神経が調整されます。
 自律神経に対する徒手療法
理学療法士が徒手的な治療を行うことで、自律神経のバランスを整えることができます。徒手的な手技による効果は、主に3つのメカニズムから成ります。
 ・マッサージ
徒手的な刺激によるマッサージには、体をリラックスさせる効果があります。これは誰もが納得できることです。
マッサージによって、体の緊張が落ちることで、自律神経のバランスが整います。
 ・肋骨の関節
肋骨と背骨の関節の近くには、自律神経の司令塔が位置します。そのため、肋骨と背骨の関節を徒手的に刺激したり、運動を促したりすると、自律神経に影響が及びます。
とくに、弱い刺激を長時間加えることで、副交感神経が活性化されることが明らかになっています。そのほかにも、「同部位への刺激によって、交感神経の活動性が減少した」との報告がされています。
 ・頭蓋骨の調整
頭蓋骨は、一般的に動かない骨と言われていますが、実際には可動性があります。そして、頭蓋骨の動きは「脳脊髄液」と呼ばれる、脳と脊髄が浸かっている液体の循環に関与します。
脳脊髄液には、さまざまな役割があります。脳と脊髄の保護や、脳や脊髄を中心とした、神経の栄養にも関与しています。
また、ストレスや、睡眠不足などの生活習慣の不摂生によって、頭蓋骨の動きは悪くなります。頭蓋骨の可動性が低下すると、脳脊髄液の循環が障害され、神経への栄養が不足します。その結果として、自律神経に影響を及ぼします。
そのような状態のときは、徒手的に頭蓋骨の運動を促すことで、脳脊髄液の循環を改善します。
今回述べたように、自律神経に対する対処法はたくさんあります。その中でも、有酸素運動や呼吸運動、ストレッチなどはあなた自身で行えることです。このような運動を行うときのポイントは、「痛みない」、「無理ない」、「きつくない」程度が大切です。
今回紹介したような運動を習慣化することで、ストレスに強い体作りを行うことができます。