ダイエット 失敗

ダイエット失敗?ダイエット中に起こりやすい不調の原因と対処法

あなたは、ダイエット中に体の不調を感じてダイエットを断念した経験がないでしょうか?
例えば、ダイエット中に「体重は順調に落ちてきたけど、倦怠感が強くなった……」「ダイエットを始めて肌荒れがひどくなった……」といったことは、よく聞きます。
そして、こうした不調が原因となって、ダイエットを止めることになる人は少なくありません。
このように、ダイエット中に不調が生じるのは、ほとんどが「間違ったダイエット方法」が原因です。誤ったダイエット方法を実践すると、自律神経の活動が乱れてしまうため、さまざまな不調が出現することになります。
そのため、ダイエット中に起こりやすい不調の原因と対処法を理解しておくことが大切です。そうすることで、ダイエットを継続して行うことができるようになるため、ダイエットに成功します。
そこで今回は、「ダイエット中に起こりやすい不調の原因と対処法」について解説します。

ダイエット中に起こりやすい不調の原因と対処法のまとめ

・ダイエット中に起こる不調の多くは自律神経が原因
・ダイエット中は自律神経に悪影響が及びやすい
・自律神経の問題で背中の痛み(筋肉痛)、肌荒れ(にきび)、抜け毛、だるさ、めまい、貧血、頭痛、動悸、便秘・下痢など、さまざまな不調が起こる
・ダイエット中に不調が生じたときは、食事や運動などの生活習慣を見直す

ダイエット中の不調を招く自律神経

ダイエット中に生じる不調の多くは、自律神経のバランスが崩れることが原因で起こります。

自律神経が全身の不調を招く理由

自律神経とは、心臓や内臓、血管などの活動を無意識下でコントロールしている神経です。例えば、寝ているときには意識がありませんが心臓は動き続けています。これは自律神経の働きによるものです。
また運動したときには、意識することなく心臓の活動が強くなり、血圧や心拍数が高まります。これも、自律神経の作用によって起こる反応です。
具体的に自律神経が支配している組織には、以下のようなものが挙げられます。
・心臓
・肺
・胃腸(内臓全般)
・血管
・内分泌器官(ホルモン)
・汗腺
・立毛筋
・生殖器
・腺(唾液腺など)
このように、自律神経は全身のさまざまな組織の活動を支配しています。このことから、自律神経のバランスが崩れると、さまざまな不調が出現することが予測できます。
例えば、自律神経のバランスが崩れて心臓が過度に働くようになると、血圧が高くなり高血圧になります。また、自律神経の乱れによって胃腸の運動が障害されると、胸やけや消化不良、胃痛などが出現する可能性があります。
さらに、血管は筋肉や皮膚、内臓など、さまざまな組織に栄養を運ぶ役割があります。
そのため、自律神経のバランスが崩れて血管の運動が悪くなると、血流が障害されてその血管が支配していた(血流を送っていた)組織の働きが低下してしまいます。
このように、自律神経の不調は全身のさまざまな問題を引き起こす原因になります。
そして、ダイエット中に生じる不調のほとんどは、こうした自律神経の働きが大きく影響しています

ダイエット中は自律神経のバランスが崩れやすい

ダイエット中には、食事を制限したり激しい運動を行ったりします。ある程度の食事制限は、消化しなければいけない食べ物の量が少なくなるため、内臓にかかる負担が小さくなります。その結果、内臓を支配している自律神経への負荷も少なくなるため、自律神経のバランスにも良い影響を及ぼします。
ただ、極端にカロリーや特定の栄養素を制限するような食事をすると、逆に内臓への負担が大きくなります
例えば、極端にカロリーを制限すると、内臓が活動するために必要なエネルギーが不足してしまいます。そうなると、内臓が働かず消化がスムーズに行われないようになり、消化不良を起こすことにつながります。
そして、こうした内臓の不調は、自律神経にも影響を及ぼし、自律神経の活動を乱す原因となります。
また、運動に関しても同様です。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、自律神経のバランスを整える効果があります。
それに対して、短距離走やハードな筋トレなどは、自律神経のバランスを崩す大きな要因となります。例えば、あなたが100メートル走を休憩なしに、全力で10回実施したとします。そうすると、間違いなく呼吸が乱れて息が上がります。
このとき、自律神経がコントロールする肺や心臓、血管には大きな負担がかかっています。その結果、自律神経にも過度な負荷が加わり、自律神経の活動が乱れます。
このように、ダイエット中には自律神経のバランスが崩れやすい状態となっています。特に、食事制限やハードな運動を取り入れているダイエット法を実践していれば、なおさら自律神経の活動は乱れやすくなります。
そして、自律神経のバランスが崩れた結果、全身にさまざまな不調が出現することになります。

ダイエット中に起こりやすい不調

ダイエットを行っている中で、さまざまな不調を経験する人が少なくありません。既に述べたように、ダイエット中に起こる不調を引き起こしている原因の多くは、自律神経のバランスの崩れにあります。
そこで以下に、ダイエット中に起こりやすい不調の原因・メカニズムについて記します。

背中の痛み、筋肉痛

ダイエット中に、背中の痛みや筋肉痛など、体の痛みを経験する人は多いです。特に、背中の重だるさや締め付けられるような痛み、モモ裏の突っ張り、ふくらはぎのこむら返りなどは、ダイエットを行っているときに現れやすい症状です。
この中でも、背中の痛みは「内臓体性反射」と呼ばれる自律神経が関係した反射によって起こります。
内臓の活動は、自律神経によってコントロールされています。そして自律神経は、それぞれの内臓に対応した背骨の中から走行しています。例えば、胃を支配している自律神経は、肩甲骨の真ん中より少し上方の高さにある背骨から出ています。
内臓体性反射とは、内臓などに負担がかかった際に、その内臓を支配している背骨部分の周りにある筋肉を緊張させる反射です。
つまり、内臓に何らかの負荷がかかると、背中の筋肉が固くなります。その結果、背中には痛みが出現することになります。
例えば、ダイエット中に極端なカロリー制限を目的に、1日食事を抜いたとします。そうなると、胃は全く活動する必要がないため働きが悪くなります。そうした状態で翌日にいきなりいつも通りの食事を摂ると、食べ物を消化するために胃がいつも以上に頑張って活動しなければいけなくなります。
その結果、内臓体性反射が起こり、胃を支配している背中部分に痛みが出現するようになります。
このように、内臓に負担がかかると、内臓体性反射によって背中に痛みが起こります。また、内臓体性反射による筋肉の緊張によって背骨の動きが固くなると、手足の筋肉もこわばりやすくなります
背骨には、体のバランスを保つ機能があります。背骨が柔らかく動くことで、体のバランスは維持されています。
例えば、立っているときに後ろから急に強く押されると、足を一歩踏み出すことでバランスを保ちます。その一方で、軽く押される程度であれば、足を出す必要はありません。そしてこのときには、背骨が微妙に動くことで、倒れないようにバランスをとっています。
そのため、もし背骨の柔軟性が低下してしまうと、バランス能力が低くなります。
そして、バランスが悪くなると、人は転倒しないように全身の筋肉を緊張させて、体が前後左右にブレないようになります。
例えば、氷の上では、滑って転倒しないように全身を固くします。これは、氷によってバランスが崩れやすくなっているため、転倒しないように起こる反応です。背骨の柔軟性が低下すると、これと同じような反応が生じます。
その結果、太ももの後ろにある筋肉(ハムストリングス)やふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が緊張して、筋肉痛が発生します。

肌荒れ(にきび)

ダイエット中に起こりやすい不調の一つに、ニキビや乾燥、くすみ、目の下のクマなどの肌荒れがあります。
肌荒れの多くは、皮脂の過剰分泌や乾燥が原因で起こります。
例えば、思春期にニキビができやすいのは、成長期という時期的な要因からホルモンバランスの変化が大きいために、皮脂の分泌量が増えることが原因です。
皮脂が過剰に出ることで毛穴を防ぎ、毛穴が詰まってニキビが発生します。
逆に大人のニキビは、皮脂の分泌が少なくなることが原因で起こります。皮膚が乾燥すると、本来であれば新しい角質に生まれ変わる(新陳代謝する)はずの古い角質が、そのまま肌の上に残り続けます。この古い角質が、毛穴を防いでニキビを発生させます。
また、乾燥している肌は、皮脂による防御作用が弱くなっているため、外部からの刺激を受けやすくなります。その結果、肌にダメージが加わり、ニキビができやすくなります。
このように、ニキビをはじめとした肌トラブルの原因の多くは、皮脂の分泌や肌の新陳代謝(ターンオーバー)の異常にあります。そして、こうした皮脂の分泌や新陳代謝をコントロールしているは自律神経です。
自律神経は、皮脂を分泌する皮脂腺の活動を支配しています。
例えば、精神的なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、皮脂腺から皮脂が過剰に分泌されるようになります。また逆に、自律神経の活動が乱れて皮脂の分泌量が少なくなることもあります。
どちらにしても、自律神経のバランスが崩れると、適切な皮脂量のコントロールができずに、ニキビなどの肌荒れが起こりやすくなります。
また、新陳代謝をコントロールしているのは血流です。新陳代謝とは、新しいもの(栄養素)と古いもの(老廃物質)が入れ替わることをいいます。具体的には、動脈によって栄養(酸素など)が送られて、静脈とリンパによって不要となった老廃物(二酸化炭素など)が排泄されます。
そして、こうした動脈や静脈、リンパの活動をコントロールしているのは自律神経です。そのため、自律神経のバランスが崩れると、新陳代謝も悪くなります。
このように、自律神経の乱れは、皮脂の分泌量と新陳代謝に悪影響を及ぼし、ニキビをはじめとした肌荒れを招きます。

抜け毛

ダイエット中には、抜け毛がひどくなる人も少なくありません。そして、ダイエットによって抜け毛がひどくなる理由は、主に「自律神経の不調」と「栄養不良」の2つが挙げられます。
 ・自律神経の不調
抜け毛を引き起こす原因の一つは、肌荒れと同じように皮脂分泌の異常と血行不良(新陳代謝の低下)にあります。既に述べたように、自律神経のバランスが崩れると、皮脂の分泌が適切に行われないだけでなく、血流も悪くなります。
皮脂が過剰に分泌されると、毛穴が詰まり、血流が不足すると、髪の毛へ十分に栄養が送られなくなります。
そうなると、髪の毛が痩せてしまい、抜けやすくなります。
さらに、抜け毛には「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンの分泌異常が関係しています。
エストロゲンは、髪の毛を成長させる働きを持っているホルモンです。そのため、エストロゲンの合成・分泌量が少なくなると、抜け毛が多くなります。
そして、こうしたホルモン分泌は自律神経によってコントロールされています。つまり、ダイエット中に自律神経のバランスが悪くなると、エストロゲンの分泌が適切に起こらなくなり、毛が抜けやすくなります。
このように、自律神経の不調は、さまざまなメカニズムによって抜け毛を引き起こします。
 ・栄養不良
髪の毛を構成している栄養素は、主に「タンパク質」です。そのため、ダイエット中に食事制限をして、肉類や卵類などのタンパク質を豊富に含む食品の摂取量が少なくなると、髪の毛は細くなり抜けやすくなります。
また、ビタミンや亜鉛、鉄分といった栄養素は、髪の毛の発育をサポートする働きを持っています。そのため、これらの栄養素の不足も、抜け毛の原因となります。
このように、髪の毛の発育には、さまざまな栄養素が必要不可欠です。ダイエット中に、食事を制限することで栄養バランスが崩れると、抜け毛が起こることになります。

だるさ、眠気

体のだるさといった倦怠感や眠気も、ダイエット中に起こりやすい不調です。例えば、「朝起きるのがきつくなった……」「仕事中に眠気や疲労を感じやすくなった……」「体力が落ちてすぐに疲れるようになった……」といった症状です。
ダイエット中にこうした不調が起こるのは、エネルギー不足が生じていることが原因であることがほとんどです。
内臓でも脳でも筋肉でも、細胞が活動するためにはエネルギーが必要不可欠です。例えば、脳が働くためには「ブドウ糖」と呼ばれるエネルギー源が必要になるということは、聞いたことがあると思います。
このように、どのような細胞であっても、適切に活動するためにはエネルギーが必要です。
そして、ダイエット中に食事(カロリー)制限をしたり、ハードな運動を実施したりすると、細胞が活動するためのエネルギー源が不足することになります。具体的には、カロリー制限は体内に取り入れるエネルギー源を減らし、激しい運動は消費するエネルギー量を増やします。
こうして、摂取するエネルギー量と消費するエネルギー量のバランスが崩れると、体内でエネルギー不足が生じて、細胞の活動が障害されます。
このようなエネルギー不足の影響が、筋肉や心臓などに及ぶと、倦怠感などのダルさが出現します。また、脳のエネルギーが足りなくなると、眠気やイライラなどが生じることになります。
以上のように、ダイエット中に倦怠感や眠気が生じるのは、間違った食事法と運動法によってエネルギーの収支バランスが崩れることが原因です。

貧血(めまい)、頭痛、動悸

貧血は、赤血球細胞の量的もしくは質的な異常によって起こります。赤血球は、血液中で酸素を運ぶ働きがあるため、貧血になって赤血球が減ったり(量的な異常)、働きが悪くなったり(質的な異常)すると、全身の細胞が酸欠状態となります。
そのため、貧血は先ほど述べたようなエネルギー不足の状態を引き起こす原因にもなります。そして、ダイエット中に貧血が起このは、主に「栄養不良」が関係しています。
 ・栄養不良
鉄分が不足すると貧血になりやすいことは、一般的に認識されていることです。
鉄は、赤血球中に存在する「ヘモグロビン」を構成する主な材料になります。そのため、食事による鉄分の摂取が不足すると、ヘモグロビンが作られなくなるため、結果的に貧血になります。
また、「ビタミンB12」や「葉酸(ようさん)」と呼ばれる栄養素は、赤血球が作られるときに必要となるものです。つまり、ビタミンB12や葉酸の摂取量が少なくなると、赤血球の合成量が減ってしまい貧血になります。
そして、ビタミンBや葉酸が不足することで起こる貧血は、「悪性貧血」と呼ばれます。
こうした貧血の原因となる成分が多く含まれている食品には、以下のようなものが挙げられます。


鉄分 豚、鳥レバー、ひじき、小松菜、生揚げ、かつお、まぐろ、納豆、ほうれん草
ビタミンB12 牛、豚レバー、魚介類、貝類、卵黄、チーズ
葉酸 牛、豚レバー、卵黄、大豆製品、ほうれん草、ブロッコリー


このように、ダイエット中で過剰な食事制限をして、鉄分やビタミンB12、葉酸の摂取量が不足すると貧血を発症することになります。
 ・自律神経の不調による貧血様の症状
自律神経のバランスが崩れると、貧血様の症状が出現します。例えば、貧血になるとめまいや頭痛、動悸などが現れます。そして、自律神経の不調でも、こうした貧血と同じような症状が起こります。
既に述べたように、自律神経は血流をコントロールしています。そのため、自律神経の活動が乱れると、貧血と同じように細胞に血液や栄養が送られなくなります。その結果、めまいやふらつき、動悸などの症状が出現します。
ただ、このような自律神経の不調による症状は、貧血とは原因が異なります。
こうしたことから、ダイエット中にめまいやふらつき、頭痛、動悸といった症状が出現した場合には、貧血と自律神経の不調のどちらが原因かを見分けなければいけません。
どちらも、根本的な解消法は食事などの生活習慣を見直すことにありますが、注意すべき点が異なるため、しっかりと鑑別することが大切です。そして、これらの鑑別は血液検査によってできるため、こうした不調が続く場合には病院で検査を受けるようにしましょう。
最後に、貧血と自律神経の不調によって出現する症状についてまとめます。
・めまい、ふらつき、立ちくらみ、眠気
・倦怠感、ダルさ、脱力、疲労感
・動悸、息切れ、頭痛
・顔面蒼白
・耳鳴り

便秘・下痢

ダイエット中には、便秘や下痢といった腸の不調が起こるケースが多くあります。そして、ダイエット中に腸のトラブルが起こる原因は、主に「自律神経の不調」「食物量の不足」の2つです。
 ・自律神経の不調
既に述べたように、ダイエット中に過度なカロリー制限を行ったりハードな運動を実施したりすると、自律神経のバランスが崩れます。そして、腸の運動は自律神経によってコントロールされているため、自律神経の活動が乱れると、腸のトラブルが引き起こされます。
例えば、ストレスを感じたときには便秘になりやすいのは想像しやすいと思います。これは、自律神経のバランスが崩れた結果、腸の活動が低くなるために起こる現象です。
また、自律神経のバランスが崩れると、逆に下痢を引き起こす可能性もあります。
つまり、自律神経のバランスが悪くなると腸の適切な運動が起こらなくなるため、便秘と下痢のどちらが生じてもおかしくないといえます
このように、ダイエット中には自律神経のバランスが崩れることで、便秘や下痢といった腸トラブルが起こります。
 ・食物量の不足
便を作る食物繊維が不足していると、当然ながら便秘になります。そのため、過度な食事制限によって食事量を極端に減らすことは、便の形成を減らして便秘を招きます。
そして、そうした状態では腸の活動はどんどん悪くなってしまいます。その結果、食事制限を止めて、再び十分な量の食事を摂っても、腸が上手く運動しなくなってしまっているため、便秘が続くことになるのです。
このように、ダイエット中は食事量が不足することでも便秘になります。

ダイエット中に起こる不調への対処法

ダイエット中に起こる多くの不調は「自律神経のバランス不良」もしくは「栄養不足」の2つが原因で生じます。そして、自律神経のバランスを崩しているのは、主に生活習慣です。具体的には、誤った食事や睡眠、運動という誤ったダイエット方法が自律神経の活動を乱します。
ダイエット中は、痩せたい一心であるため、生活習慣を乱しがちです。
例えば、極端に食事を制限したりハードな運動をしたりすることなどは、自律神経のバランスを崩す原因になります。
当然ながら、カロリー不足や特定栄養素の欠乏といった、栄養不良によって起こる不調は、食生活の乱れによって生じます。
そして、こうした生活習慣の乱れを引き起こしているのは、間違ったダイエット方法を実践していることが原因です。そのため、ダイエット中に生じる不調を予防・解消するためには、ダイエット方法(生活習慣)を見直すことが大切になります。
そこで以下に、ダイエット中の生活習慣を見直す際のポイントについて記します。

食事を見直す

食生活の崩れは、自律神経のバランスを乱す原因となります。そのため、以上に挙げた「ダイエット中に起こりやすい不調」の全てに影響する要素だといえます。
そして、ダイエット中に起こりやすい食習慣の問題は、主に「摂取カロリー不足」「特定栄養素の欠乏」の2つです。ダイエットを目的とした食事法では、こうしたカロリー不足と特定栄養素の欠乏を避けるように注意しなければいけません。
 ・カロリーではなく糖質を制限すべき理由
多くのダイエット法は、カロリー制限を提唱しています。しかし、体重の増減をコントロールしているのはカロリーではなくホルモンです。また、食事から摂取するカロリーは、体を動かすエネルギー源となります。
そのため、カロリーを極端に制限すると、エネルギー不足を起こしてさまざまな不調が出現します。
体への脂肪蓄積をコントロールしているのは、主に「インスリン」と「レプチン」と呼ばれる2つのホルモンです。
インスリンは、すい臓で合成・分泌されて体に脂肪が付くことを促します。それに対してレプチンは、脂肪細胞で合成・分泌されて、体への脂肪蓄積を抑える作用を持っています。
つまり、インスリンの分泌が過剰になると肥満が促進されます。
そして、食事から体内に摂り入れる栄養素でインスリンの分泌を促すのは「糖質(炭水化物)」のみです。米や小麦粉、砂糖などに含まれる糖質は、インスリンの分泌量を増やし、肥満を促進する原因になります。
また、糖質の摂取によるインスリンの過剰な分泌は、血糖値(血液中の糖分量)を大きく変動させます。血糖値の変動は、体内のホルモンバランスを崩して自律神経の活動を乱すことにつながります。
例えば、糖質を過剰に摂取すると、その分だけ血糖値は急上昇します。そのため、血糖値を下げるために、すい臓は大量のインスリンを分泌しなければいけません。その結果、すい臓にかかる負担が大きくなり、すい臓の活動をコントロールしている自律神経のバランスも崩れやすくなります。
さらに血糖値の変動を抑えるために大量のホルモンが分泌されると、そのことが原因で自律神経にかかる負担も大きくなります。
このように、カロリー制限は不必要な上に、エネルギー不足を引き起こす大きな要因です。さらに、糖質は自律神経のバランスを崩す原因になります。こうしたことから、ダイエットに必要な食事法はカロリー制限ではなく糖質制限であるといえます。
特に、エネルギー不足で起こる不調(筋肉痛、ダルさ、眠気、倦怠感、めまい、頭痛、動悸など)が生じている場合には、エネルギー摂取量を見直すことが大切です。
 ・ダイエット中の不調を招く原因となりやすい栄養素
ダイエット中に、食事で摂取するカロリー量を見直しても不調が改善しない場合には、特定栄養素が欠乏している可能性があります。そして、ダイエット中に不足しがちな栄養素には、いくつか代表的なものがります。
例えば、カロリー制限をしている人は、カロリー量が高い「脂質」が不足しやすくなります。
脂質は、体の主なエネルギー源となる栄養素です。また、ホルモンや体の細胞を構成する原料でもあります。そのため、脂質の摂取量が不足すると、エネルギー不足になったりホルモンバランスが崩れたりします。
また既に述べたように、タンパク質やビタミン、亜鉛、鉄分の摂取は抜け毛の原因となり、鉄分やビタミンB12、葉酸の摂取量が不足すると、貧血を引き起こします。
そして、これらの栄養素は、魚介類や肉類などに多く含まれており、ダイエット中に不足しがちな栄養素です。
他にも、食物繊維が足りないと便秘を招きやすくなります。
このように、ダイエット中に不調が生じた際には、摂取している総カロリー量不足と、特定栄養素の欠乏の2点に注意することが大切です。

運動を見直す

既に述べたように、運動も自律神経のバランスを崩す要因の一つです。また、運動することはエネルギー不足を招く原因にもなります。そのため、ダイエット中に不調が生じた場合には、運動習慣についても見直すことが大切です。
そして、ダイエット中の運動習慣で注意すべきことは「過剰な運動になっていないか?」ということです。
例えば、息が切れるような短距離走や、筋肉痛が残るようなハードな筋トレは、自律神経の活動を乱します。また、そうした運動はカロリーを過剰に消費するため、食事でカロリーを制限したときと同じように、体内でのエネルギー不足を引き起こします。
つまり、過剰な運動は自律神経のバランスを崩すだけでなく、カロリー不足を招く原因になります。既に述べたように、体重の増減をコントロールしているのはカロリーではありません。そのため、そもそも痩せるためにカロリー消費を促すような過剰な運動は不必要です。
こうしたことから、ダイエット中に不調が生じた場合には、運動の負荷量や運動時間などを見直すことが大切です。
特に、以下に記すことが当てはまる場合には、実施する運動内容を変更するようにしましょう。
・息切れするような運動をしている(心拍数が120を超えるような運動)
・筋肉痛が残るほどの筋トレをしている
・翌日に疲労感が残るほど長時間運動している

その他の生活習慣を見直す

食事と運動は、ダイエット中に不調を招く主な要因です。ただ、これら2つを見直しても不調が解消しない場合には、その他の生活習慣についても検討する必要があります。
例えば、睡眠はダイエットにも大きく影響する生活習慣です。睡眠が短いと、それだけで肥満を抑制するレプチンの分泌が少なくなるだけでなく、レプチンとは相反する働き(食欲増進)を持つ「グレリン」と呼ばれるホルモンの分泌が促されます。
さらに、睡眠不足は、それ自体が自律神経のバランスを崩します。
そのため、特にダイエット目的で仕事後にジムに通ったり、夜遅くに運動したりすることで睡眠時間が短くなっているような人は、睡眠習慣を見直すことが大切です。
さらに、精神的なストレスも、ダイエット中の不調を招きやすい要因です
精神的なストレスは、睡眠不足と同じように自律神経のバランスを崩します。例えば、食事制限などによって強くストレスを感じると、自律神経の活動は乱れます。また、職場や家族などとの人間関係によって生じるストレスも、ダイエット中の不調を出現させる原因になります。
このように、ダイエット中に不調が起こっているときには、日常生活上で起こっている精神的なストレスについても見直すようにしましょう。
今回述べたように、ダイエット中は、さまざまな不調に悩まされがちです。ただ、ダイエット中に起こる不調の多くは、食事や運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣を見直すことで予防・解消することができます。
そのため、ダイエット中に不調が生じないようにするためには、正しい方法でダイエットを実践することが大切だといえます。