ダイエット 豆知識

痩せない原因は自律神経にある?自律神経とダイエットの関係性

あなたは「自律神経を整えて痩せる」という話を聞いたことがあるでしょうか?
体の健康を保つ上で、自律神経の働きが正常であることは大切です。自律神経は、消化器や心臓、血管など、生命を維持するために必要な器官の活動をコントロールしています。
そのため、自律神経に問題が生じると、体のさまざまな部位に障害が発生します。そして、それが長期間続くと、がんや脳梗塞、心筋梗塞といったような病気が発症します。このように、自律神経は多くの疾患に大きな影響を与えます。
また自律神経は、病気だけでなくダイエットにも関係します。そして、ダイエットを成功させる鍵は、自律神経の働きにあるといっても過言ではありません。
そこで今回は、自律神経とダイエットの関係性について解説します。

自律神経とダイエットの関係性

自律神経とダイエットには密接な関係があります。自律神経がダイエットに及ぼす影響を理解しておけば、ダイエットで失敗する可能性は大きく減ります。

自律神経とは

自律神経とは、心臓や内臓の働き、血管の運動、ホルモン分泌など、体にとって重要な機能を調整している神経です。意識して体を動かすときに働くような神経(体性神経)とは違い、自律神経は無意識下で活動します。
例えば、「歩く」「話す」「歌う」といった行為は、その人自身が意識することによって起こるものです。
一方で、「心臓の拍動」や「内臓による消化」といったものは、意識してコントロールできるものではありません。いくらあなたが「胃液を分泌させよう」と思っても、実際に胃液の量が増えることはないです。
こうした体内における調整は、自律神経によって行われます。そして、自律神経による調整は、自動的でありながら非常に精密かつ正確に行われているのです。

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そのため、自律神経は体の健康にとっては欠かせないものだといえます。

ダイエットとホルモンの関係性

ダイエットに成功するためには、ホルモンコントロールが欠かせません。特に健康的に痩せたいと考えている場合は、ホルモン分泌を調整することで痩せる以外には方法がありません。
多くの人は、「カロリー制限」や「ハードな運動」を行うことで、痩せようとします。しかし、それでは健康的にダイエットを行うことはできません。
それは、「体に蓄積する脂肪をコントロールしているのは、カロリーではなくホルモンである」からです。一般的には、摂取カロリーと消費カロリーを計算して、余剰となったカロリー分が脂肪として貯蔵されると考えられています。
しかし、人の体はそのような単純なメカニズムによって脂肪蓄積をコントロールしていません。実際には、カロリーではなくいくつかのホルモンによって、脂肪の貯蔵量は精密に調整されています。

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ホルモンによる脂肪貯蔵のコントロールが正常に機能していれば、肥満になることはありません
逆に、食事制限や運動を頑張って痩せようとしても、ホルモンによって食欲や代謝が変化することで体重は減り過ぎないように調整されます。

ホルモンと自律神経の関係性

こうしたホルモンの分泌を調整しているのが自律神経です。ホルモンは、体のさまざまな器官で合成されて分泌されます。
多くのホルモンは、脳の「視床下部」と呼ばれる場所で調整されています。そして、視床下部は自律神経の活動と深い関係にあるため、自律神経が乱れると視床下部の働きにも悪影響が及びます
そうなると、視床下部によってコントロールされているホルモンの調整も上手くいかないようになります。その結果、ホルモンの働きが悪くなります。

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もちろん、ホルモンが乱れることで自律神経の働きが悪くなることもあります。そのため、自律神経とホルモン、脳には以下のような関係性が成り立ちます。
自律神経 ⇔ 脳(視床下部) ⇔ ホルモン
このように、自律神経とホルモンは相互に関係しています。そして多くの場合は、生活習慣の乱れから自律神経のバランスが崩れ、ホルモン調整も乱れます。そのため、ホルモンコントロールを良好な状態に保つためには、自律神経が乱れないような生活習慣を行うことが大切だといえます。

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ダイエットのキーホルモン:インスリン、レプチン

先に述べたように、体への脂肪貯蔵をコントロールしているのはホルモンです。特に、膵臓(すいぞう)から分泌される「インスリン」と、脂肪細胞から作られる「レプチン」の2つが脂肪の蓄積には関係しています。
インスリンは、血糖値が高くなった際に、血糖値を調整するために分泌されるホルモンです。高血糖の状態は、体にとって大きな負担となるため、インスリンによって即座に血糖値を下げる必要があります。
インスリンには血糖調整作用以外にも、脂肪を蓄積する働きがあります。食べた物を脂肪として貯蔵することを促すだけでなく、体内にある中性脂肪の分解を阻害します。
つまり、インスリンは肥満を促すホルモンだといえます。
一方で、レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンであり、脳にある摂食中枢に働きかけて満腹感を引き起こす作用があります。レプチンは肥満細胞に脂肪が一定以上蓄積されると、分泌が促されます。
そのため、体に脂肪が蓄積してくるとレプチンの分泌が促されることで食欲が低下します。また、レプチンは代謝を高めて脂肪の燃焼を促します。その結果、体にそれ以上の脂肪が貯蔵されることはなくなるため、肥満になることはありません。

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つまり、健康な状態でホルモンコントロールが適切に行われていれば、自然と肥満は避けることができます。
このように体重の増減には、主にインスリンとレプチンという2つのホルモンが関わっているのです。

食事と自律神経、ダイエットの関係性

ここまで述べたように、ホルモンと自律神経は相互に関連して体重をコントロールしています。そして、自律神経を乱すのは生活習慣です。また生活習慣の中でも、食事は自律神経のバランスに大きく影響します。自律神経が血糖値を調整しているためです。
血糖値が上昇すると、その分だけ自律神経が頑張って調整することになります。具体的には、「血糖値の上昇 → 自律神経 → インスリン分泌 → 血糖値調整」という反応が起こります。

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つまり、血糖値と自律神経も相互に関係しています
血糖値を急激に上げるような、炭水化物が多い糖質過多な食事をしていると、それだけで自律神経が乱れてしまうのです。
基本的には、以下のような流れで自律神経とホルモンが乱れて肥満になります。
・「生活習慣の不摂生 → 自律神経の崩れ → 血糖値の上昇、ホルモンバランスの崩れ → 肥満」
・「糖質の過剰摂取 → 血糖値の上昇 → 自律神経、ホルモンバランスの崩れ → 肥満」
逆に、糖質制限のような糖質の過剰摂取を抑える食事は、自律神経を乱しにくい食事といえます。
食事と自律神経、ダイエットにはこのような関係があります。

運動と自律神経、ダイエットの関係性

食事だけでなく、運動も自律神経と深い関係があります。そのため、自律神経を整えてダイエットをするときには、運動も意識しなければいけないのです。
自律神経には、「不安や緊張で心拍数が増えると乱れる」という特徴があります。そのため、仕事中に緊張していたり、ストレスを感じていたりして心拍数が多くなっているような人は、自律神経が適切に働いていない可能性があります。
そうした場合に、有酸素運動を行うことで自律神経を整えることができます。

有酸素運動が自律神経を整える

有酸素運動には、ストレス解消だけでなく、心肺機能を強くする効果があります。つまり、有酸素運動を継続して行い体力が付くと、ある程度の運動では心拍数が過剰に増えないようになります。
そして、心肺機能が強くなると、運動による刺激だけではなく、緊張や不安といった精神的なストレスでも、心拍数の増加が生じにくくなります
このように有酸素運動を行うことは、ストレス解消に加えて、精神的ストレスへの適応力も高める効果があります。そのため、自律神経の働きを正常に維持するために、有酸素運動は有効だといえます。

呼吸運動が自律神経を整える

また、体の機能において唯一自律神経を意識的にコントロールできるものが呼吸です。呼吸は、無意識にも起こりますし、意識的に調整することもできます。
そうした特徴を持つ呼吸をコントロールすることで、自律神経を調整することが可能です。
具体的には、吐く息を長くすることで自律神経が整います。呼吸中は、吸気時に体の緊張が高くなり、呼気時に体がリラックスします。そのため、ゆっくり息を吐くように意識すると、自律神経は自然と調整されます。
以上のように、運動と自律神経には密接な関係があります。

自律神経のバランスを整える運動法

自律神経を整えるためには、有酸素運動と呼吸運動が効果的です。有酸素運動を行うことでリラックス効果だけでなく、精神的なストレス刺激に対する適応力も高くなります。また、呼吸を意識することで意識的に自律神経をコントロールすることができます。
そして、具体的な有酸素運動の方法は、心拍数が110を越えないような運動になります。
心拍数を測定しながら行う方法がベストですが、いつでもそのような環境にあるとは限りません。そうした場合には、以下の点に注意して運動を行いましょう。
・息があがらず、きついと感じない
・毎日行ってもつらくない
・継続して行うことができる
このような運動を、1日20分前後、週に2~3回行うと、あなたの自律神経は自然と調整されるようになります。
また、自律神経をコントロールするための具体的な呼吸法は、以下の手順で行います。
・口からゆっくり息を吐く(8秒程度)
・ある程度吐いたら、鼻から息を吸う(4秒程度)
・再び口からゆっくり息を吐く
このような呼吸法を、可能であれば5分程度続けます。ポイントは、吐く息を長くすることと、無理に一生懸命呼吸を行わないことです。
呼吸法に関しても、苦しくない範囲で行うことが大切です。初めは短い呼吸になりがちですが、慣れてくれば自然と長く呼吸を行えるようになります。そのため、最初のうちは、短くても問題ないため、きつくない程度で実践するようにしましょう。
以上のような、有酸素運動と呼吸法を行うことで、自律神経を整えることができます。
今回述べたように、自律神経とホルモン、ダイエットには相互関係があります。ほとんどの人は「生活習慣の不摂生による自律神経の乱れ」もしくは「糖質の過剰摂取」が原因で、ホルモンコントロールが不良となり肥満になります。
このように、「肥満の根底に自律神経が大きく関与している」ということを理解しておいてください。そして、有酸素運動や呼吸法を行うことは、自律神経の活動を整え、バランスが乱れにくい体を作ることにつながります。