マーガリンは、バターの代用品として製造された食品です。バターが動物性脂質であるのに対して、植物性油であるマーガリンは健康的な食品ということで人気が出ました。また、「太りにくい食品」として、ダイエットをしている人の中でも広がりました。
しかし実際には、マーガリンには「トランス脂肪酸」が豊富に含まれているため、マーガリンを食べると太りやすくなるのです。またそれだけでなく、トランス脂肪酸の過剰摂取は、さまざまな病気の発症に関与しています。
こうしたことから、ダイエットを成功させるためには、トランス脂肪酸が体に与える影響について理解しておくことが大切です。
そこで今回は、「ダイエット中にマーガリンを避けるべき理由:トランス脂肪酸の害」について解説します。
マーガリンがダイエットに与える影響
「動物性の油は太りやすい」という考えから、「植物性油であるマーガリンは太りにくい」という誤った認識が広がっています。しかし実際には、動物性食品を摂ったからといって太るわけではありませんし、植物性食品が太りにくいということでもないのです。
逆に、「動物性油であるバターよりも健康に良い」と考えられていたマーガリンの方が、太りやすいだけでなく、体に対してさまざまな弊害をもたらすことが明らかになっています。
ダイエット中は動物性食品を意識して摂取すべき
ダイエットをしている人の中には、「肉やバターなどの動物性食品は太りやすい」と考えている人がたくさんいます。動物性食品に含まれる脂肪である「飽和脂肪酸」に、肥満を促したり、コレステロールを高めたりする危険性があるという誤った認識をしているためです。
ただ実際には、「動物性食品(脂質)を食べると太る」ということはありません。動物性脂質は、食べても体を動かすための効率の良いエネルギーとして利用されるためです。
そして、むしろダイエット中には動物性食品を積極的に摂取することが大切だといえます。
動物性食品に含まれている飽和脂肪酸は、全身の細胞やホルモンを作る原料になったり、体を動かすためのエネルギー源になったりします。つまり、飽和脂肪酸は体を正常に動かすためには欠かせない栄養素だといます。
ダイエットをしている人の中には、飽和脂肪酸の摂取量が不足している人が多いです。
また、動物性食品に豊富に含まれているタンパク質は、筋肉や肌、髪の毛などを構成する材料です。さらに、タンパク質の摂取は、体に蓄積されている脂肪の燃焼を促す「グルカゴン」と呼ばれるホルモンの放出を促進します。
そのため、ダイエット目的に動物性食品の摂取量を減らすと、痩せにくくなるだけでなく、肌や髪の毛のトラブルの発生につながる可能性が高いのです。
このような理由から、ダイエット中には肉類やバターといった動物性の食品を背曲的に摂取すべきだといえます。
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マーガリンに含まれるトランス脂肪酸とは
ここまで述べたように、動物性食品は太る原因になりません。また、摂取量が不足すると、さまざまな不調を招く可能性があるのです。
その一方で、「動物性食品であるバターが体に悪い」という理由から代用品として作られた植物性油である「マーガリン」は、摂り過ぎると太りやすくなります。それは、マーガリンに含まれている「トランス脂肪酸」に原因があるのです。
トランス脂肪酸とは、簡単に説明すると「自然には存在しない、人工的に作られた不自然な脂肪」といえます。
例えば、植物性油には「常温では液体として存在する」という特徴があります。つまり、サラダ油などは、固まらずに液体であることが自然の状態なのです。
それに対してマーガリンは、植物性油であるにも関わらず固体となっています。これは、植物性油を人工的に操作して、トランス脂肪酸という不自然な脂肪を作り上げているために起こっている現象です。
このように、「トランス脂肪酸とは人工的に作り出した不自然な油である」という認識をもっておくようにしましょう。
トランス脂肪酸が体に及ぼす影響
それでは、人工的に作り出したトランス脂肪酸は、体に対してどのような影響を与えるのでしょうか。
植物性油(植物性脂質)は、動物性油(動物性脂質)に多く含まれている飽和脂肪酸ではなく、「不飽和脂肪酸」という種類の脂質で構成されています。飽和脂肪酸がホルモンやエネルギー源となるのに対して、不飽和脂肪酸は細胞や脳を形成する材料となるのです。
例えば、全身の細胞は「細胞膜」と呼ばれる膜で外枠を囲まれています。不飽和脂肪酸は、こうした細胞膜を作るための材料となり、細胞膜の働きに大きく影響します。
そして、細胞膜は細胞が健康的に活動するために重要な役割を担っているのです。
例えば、細胞膜には、血液中から栄養素を細胞内に取り込んだり、細胞内で生じた老廃物質を排泄したりするといった役割があります。またその他にも、細胞膜は「細菌やウイルスの侵入防止」「細胞同士の情報伝達」「ホルモンの合成」といった働きをしています。
つまり、細胞膜が正常に働いていなければ、細胞が元気に活動することができないのです。人間の体は細胞から作られています。そのため、当然ながら細胞の活動が悪くなると、体にも不調が生じるようになるのです。
そして、不飽和脂肪酸の代わりにトランス脂肪酸が細胞膜の原料として使われてしまうと、細胞膜は本来の役割を果たせなくなってしまいます。
その結果、細胞が正常に活動しなくなるため、さまざまな不調が出現するようになるのです。
マーガリンとダイエットの関係
そうしたトランス脂肪酸によって細胞膜の働きが悪くなって生じる不調の一つとして肥満が挙げられます。トランス脂肪酸が細胞膜の中に入り込むと「代謝」が悪くなってしまい、太りやすくなるのです。
代謝とは、糖質や脂質といった栄養素からエネルギーを作り出す過程のことをいいます。例えば、食事から摂った糖質が血液によって全身へ送られて、全身の細胞を動かすためのエネルギーに変換されるのは代謝の一つです。
そして、代謝が正常に行われるためには、血液中から細胞内へ栄養が届けられなければいけません。また、代謝で細胞内に生じた老廃物を血液中に排出することも大切です。
健康な細胞膜であれば、必要な栄養素が細胞内に取り込まれ、不必要な物質は細胞外へ排出されます。その一方でトランス脂肪酸が入り込んだ細胞膜であると、栄養素や老廃物の出入りが妨げられてしまうのです。
こうなると、細胞に蓄積された脂肪を燃焼してエネルギーを作り出すこと(代謝)ができなくなります。その結果、太りやすくなってしまうのです。
またトランス脂肪酸は、細胞膜を作る原料にはなるものの、エネルギーとして利用することはできません。そして、細胞膜にも入り込むことができなかったトランス脂肪酸は内臓脂肪に蓄積されることになります。
このように、トランス脂肪酸を豊富に含むマーガリンは、代謝を悪くしたり内臓脂肪として蓄積されたりすることで、ダイエットを邪魔するのです。
トランス脂肪酸が関係する病気
マーガリンに含まれているトランス脂肪酸は、全身における細胞の働きを悪くします。そのため、トランス脂肪酸を摂り過ぎると、全身のどこの部位に不調が生じても不思議ではないのです。
例えば、トランス脂肪酸が影響する代表的な病気として「心臓病」が挙げられます。
心臓病を引き起こす原因の一つとして「コレステロールのアンバランス」はよく知られています。血中における、善玉コレステロールと呼ばれる「HDL」が少なく、悪玉コレステロールといわれる「LDL」が多くなってしまうことで、血管が硬くなったり、狭くなったりするのです。
HDLとLDLは、どちらも体にとって必要なものですが、このようにバランスが崩れてしまうと問題となります。
通常、健康な体であれば、HDLとLDLのバランスは肝臓によってコントロールされています。肝臓が血液中のHDLとLDLを監視して、2つのバランスが崩れないように調整しているのです。
ただ、トランス脂肪酸を過剰に摂取しすぎると、肝臓の細胞にトランス脂肪酸が入り込んでしまい、肝臓が適切に働かなくなります。その結果、肝臓によるコレステロール調整機能が低下してしまい、HDLとLDLのバランスが崩れしまうのです。
その他にも、トランス脂肪酸は以下の病気にも関係しています。
病気 | トランス脂肪酸が影響する臓器 |
---|---|
がん | 全身の免疫細胞、活性酸素を作り出すことでも関与 |
糖尿病 | 膵臓、筋肉などの糖質を取り込む細胞 |
加齢黄斑変性 | 網膜 |
不妊 | 精子、卵子 |
子宮内膜症 | 子宮 |
うつ | 脳 |
認知症 | 脳 |
ADHD(注意血管多動性障害) | 脳 |
トランス脂肪酸を豊富に含む食品
ここまで述べたように、トランス脂肪酸は、ダイエットのためだけでなく健康を維持するために避けるべきだといえます。マーガリンは、こうしたトランス脂肪酸を豊富に含む食品の代表例です。
ただ、トランス脂肪酸は、多くの人が認識している以上にたくさんの食品に入っています。そして、そうしたトランス脂肪酸が豊富に含まれる食品を知らずに食べることが、あなたのダイエットを邪魔している可能性があるのです。
そのため、ダイエットを成功させるためには、トランス脂肪酸を避ける方法を知っておくことが重要になります。
そして当然ですが、トランス脂肪酸を避けるためには、トランス脂肪酸をたくさん含んでいる食品を食べないようにすることが大切です。既に述べたように、マーガリンはトランス脂肪酸が豊富に入っている食品の代表になります。
その他にも、「粉ミックス」と呼ばれるようなケーキ用の小麦粉やインスタント食品(カップラーメン、インスタントスープ)、フライドポテトなどのファストフードは、トランス脂肪酸がたくさん含まれています。
また、糖質制限などで好んで食べられる唐揚げには、「ショートニング」と呼ばれるトランス脂肪酸が大量に入っているのです。
これは私の実体験ですが、いくら糖質制限などを行っていても、唐揚げなどの揚げ物を食べ過ぎると太りやすくなります。これには、トランス脂肪酸が影響している可能性があります。
このように、一般的に認識されている以上にトランス脂肪酸はたくさんの食品に入っています。以下に、トランス脂肪酸を多く含む食品についてまとめます。
・マーガリン、ショートニング
・ケーキ用小麦粉
・インスタント食品(インスタントラーメン、インスタントスープ)
・冷凍食品
・ドーナツ、パウンドケーキ
・スナック菓子(ポテトチップス)
・シリアル食品
・クッキー
・コーヒーフレッシュ
・ドレッシング
・ホイップクリーム
ダイエットをしているときには、特に以上に記した食品は避けるように注意しましょう。
今回述べたように、マーガリンに大量に入っているトランス脂肪酸は、肥満を招く原因になります。ただ、多くの人はダイエットのために糖質などの摂取量は制限しますが、トランス脂肪酸については気にしていません。
これまで食事制限などを行っても痩せられなかった人は、トランス脂肪酸が原因かもしれません。ぜひ、一度食生活を見直し、トランス脂肪酸を摂り過ぎていないかを再確認するようにしましょう。