脂質ダイエットによる体質改善

糖質制限ダイエットに飽和脂肪酸の摂取が大切な理由

脂質が多い食品を、ダイエットの敵と考えている人は多くいます。特に、動物性の脂質の摂取を制限する人はたくさんいます。それは、「食事から脂質を摂りすぎると体に蓄積する脂肪も増える」「カロリーを摂りすぎると太る」といったイメージがあるためです。

 

しかし実際には、食事からとった脂質はそのまま体の脂肪になることはありませんし、カロリーが高いものを食べたから太るということもありません。これは、体の生理学的な働きや栄養学的な事実から考えると当たり前のことです。

 

また、健康的で正しいダイエットを行うためには、糖質を制限した上で、しっかりと脂質を摂取することが重要になります。

 

その中でも、ダイエットで失敗する人の多くは、飽和脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の摂取量が不足しています。健康的かつ効果的なダイエットを成功させるためには、飽和脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を十分に摂ることが大切です。

 

そこで今回は、「ダイエット中に摂取すべき脂質」について解説します。

 

脂肪を構成する脂肪酸の種類

食事から摂取する脂肪は、脂肪酸が組み合わさることによって構成されています。そのため、脂肪を作っている脂肪酸の割合がどのようになっているかで、その構造や機能は異なります。

 

そこで、脂肪の役割を理解するためには、構成要素である脂肪酸の働きを知っておくことが必須になります。

 

脂肪酸は、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに分類されます。その中でも飽和脂肪酸が多く含まれている脂肪には、バターなどの動物性脂肪やココナッツオイルなどがあります。そして、飽和脂肪酸の代表的な例としては「パルチミン酸」や「ステアリン酸」などが挙げられます。

 

不飽和脂肪酸は、主に植物性油と呼ばれるものに多く含まれています。また不飽和脂肪酸は、「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分類されます。

 

一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)は、「オレイン酸」を代表とする脂肪酸であり、オリーブオイルに多く含まれています。

 

一方で多価不飽和脂肪酸は、さらに構造の違いからオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸に分類されます。そして多価不飽和脂肪酸は、オメガ6系脂肪酸もオメガ3系脂肪酸も、人間の体内では合成されないため、食事から摂取する必要があります

 

こうしたことから、多価値不飽和脂肪酸は「必須脂肪酸」とも呼ばれます、

 

体の健康にとって、このようなオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸のバランスが重要になります。特に、サラダ油に多いオメガ6系脂肪酸の過剰摂取と、魚油や亜麻仁(あまに)油、エゴマ油などに豊富に含まれるオメガ3系脂肪酸の不足が問題となっています。

 

一言で脂肪といっても、このように構成している脂肪酸によって構造や機能が異なります。

 

動物性脂質の役割

一般的に、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪やバターなどは「動脈硬化を進行させる」「血液中のコレステロール値を上げる」というような悪いイメージを持たれています。

 

これは1950年代に、ある科学者によって提唱された「脂肪悪玉説」に原因があります。

 

しかし実際には、飽和脂肪酸は体にとって欠かせない役割を多く持っています。また、飽和脂肪酸には、不飽和脂肪酸に生じやすい「酸化」が起こりにくいという特徴もあります。

 

酸化とは、酸素がある化合物に結合する反応のことをいいます。わかりやすい例では、鉄を熱したときにサビが付くのは、鉄に酸素が付着して酸化するために起こるものです。そして、体の細胞にも酸化現象は関係しており、酸化が細胞の老化を引き起こすとされています。

 

さらに、油でも酸化反応は起こります。具体的には、油を熱するときに、油に含まれている脂肪酸が酸化します。

 

既に述べたように、植物性油に多く含まれている不飽和脂肪酸は、酸化しやすい性質を持っています。つまり、植物性油は熱にさらされるとすぐに酸化します。こうして酸化された油は、体の細胞を老化させます。

 

その点、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪は、熱しても酸化が起こりにくいです。

 

こうしたことから、料理などで油を熱して使用する場合には、植物性油よりも飽和脂肪酸を多く含む動物性油の方が適しているといえます。

 

また、飽和脂肪酸には以下のような役割があります。

 

・体のエネルギー源になる
・ホルモンの原料になる
・細胞膜の原料になる
・脳の細胞を構成する材料になる

 

特にダイエットを行う人で、お米やパンなどの糖質を制限している場合、体のエネルギー源となる主な栄養素が糖質ではなく飽和脂肪酸となります。そのため、糖質制限中は飽和脂肪酸を多く含む食品を摂取しないと、体がエネルギー不足になります。

 

動物性脂質はカロリーが高く太りやすいというイメージを持つ人が多いと思います。しかし、それは糖質を過剰に摂取している人にのみ当てはまることです。

 

糖質の摂取量を制限している人は、食事から摂取した飽和脂肪酸や体に蓄積されている中性脂肪を主なエネルギー源とします。そのため、糖質制限をしている人にとっては、飽和脂肪酸は太る原因になりませんし、健康を維持するために欠かせない栄養素になります。

 

このように飽和脂肪酸は、体を動かす効率的なエネルギーとなったり、体の重要な構造物の原料となったりする、体にとって欠かせない栄養素だといえます。

 

オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の関係性と役割

不飽和脂肪酸であるオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、どちらも体の健康にとって欠かせないものです。

 

そして、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、ともに炎症反応に関わります。炎症反応とは、体が傷ついた後に、組織を修復するために必要な反応です。炎症症状には、疼痛や発赤、発熱、腫脹がありますが、これらは組織が修復する過程で起こる症状です。

 

オメガ3系脂肪酸は、炎症をスムーズに鎮静化する役割があります。その一方でオメガ6系脂肪酸は、炎症を発起させる作用があります。

 

炎症は組織が修復するためには必ず必要な反応ですが、長期化すると「慢性炎症」と呼ばれる病態になります。慢性炎症は、がんや糖尿病、自己免疫疾患などさまざまな慢性病の原因となります。また、肥満にも慢性炎症は関係しています。

 

オメガ6系脂肪酸による炎症発起作用は、体が治癒するためには欠かせません。しかし、オメガ6系脂肪酸が過剰になると、炎症の鎮静化が遅れて慢性炎症となります

 

そして、多くの人は、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが崩れており、オメガ6系脂肪酸が過剰な状態となっています。

 

具体的には、理想的なバランスは「オメガ3系脂肪酸:オメガ6系脂肪酸 = 1:4」とされています。しかし実際には、日本人の多くは、「オメガ3系脂肪酸:オメガ6系脂肪酸 = 1:20」となっているといわれています。

 

そのため、ほとんどの人にとっては、オメガ6系脂肪酸を控えて、オメガ3系脂肪酸を摂取することが大切だといます。

 

以下に、その他のオメガ3系脂肪酸の効果について記します。

 

・LDLコレステロールの低下
・中性脂肪値の低下
・動脈硬化の予防
・高血圧の改善
・脂肪肝の予防
・認知症の予防
・うつの発症リスク軽減
・便秘解消

 

このように、オメガ3系脂肪酸には、体にとってさまざまな健康効果があります。既に述したように、多くの人は、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが崩れています。そのため、意識してオメガ3系脂肪酸を摂取することで、以上のような効能が期待できます。

 

ダイエット中に摂取すべき脂質

ダイエット中には、脂質の摂取を避ける人が多くいます。しかし、既に述べたように、脂質は体の健康を維持するために欠かせない栄養素です。特に、ダイエット中に意識して摂るべき脂質は飽和脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の2つです。

 

飽和脂肪酸の摂取量が足りないと、細胞のエネルギー不足が生じたり、ホルモンバランスが崩れたりしてさまざまな不調が起こります。

 

ダイエットで失敗する人の多くは、こうした飽和脂肪酸不足が原因となって出現する不調によってダイエットを断念することになります。例えば、冷え症や倦怠感、脱力感、生理不順といったものは、飽和脂肪酸の摂取が足りずに起こる可能性がある問題です。

 

また、オメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸のバランスが崩れると、全身で慢性炎症が起こりやすくなります。慢性炎症の状態では、脂肪細胞の代謝が障害されてしまうことで、痩せにくく太りやすい体質になります。

 

こうしたことから、ダイエット中には、積極的に飽和脂肪酸とオメガ3系脂肪酸を摂取すべきだといえます。

 

ただ、飽和脂肪酸を効率的にエネルギーに変換するためには、糖質制限が重要になることも理解しておいてください。

 

今回述べたように、脂肪は構成する脂肪酸によって大きく構造や機能が異なります。そして、脂肪の中でも悪者扱いされやすい動物性脂質は、体の健康にとって欠かせない飽和脂肪酸を多く含んでいます。

 

ただ、飽和脂肪酸も糖質の過剰摂取が伴うと、健康にとってもダイエットにとっても害となりやすいことは事実です。また、必須脂肪酸と呼ばれる不飽和脂肪酸もオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸のバランスが重要です。

 

そのため、食事における脂肪は摂取する種類だけでなく、摂り方も重要だといえます。

 

健康的なダイエットを成功させるためにも、適切な脂質に関する知識を学んで実践するように意識しましょう。

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