その他体に関すること

ロコモティブシンドロームを運動と食事から予防する

「ロコモ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?正式には「ロコモティブシンドローム」といい、訳すと「運動器症候群」といいます。
「ロコモ」とは加齢や疾病により、関節・筋肉・骨・平衡感覚など、運動に関する機能の低下が起こり、運動能力が低くなることを意味します。ロコモが進行すると「立つ」「歩く」という日常的な動作が困難になり、介護が必要となる場合もあります。
 平均寿命と健康寿命
ロコモの話題に入る前に、「平均寿命」と「健康寿命」という2つの言葉について確認していきましょう。
まず平均寿命ですが、「生まれた子供があと何年生きることができるかの期待値」です。2013年の日本人男性は80.21歳、女性は86.61歳です。
次に健康寿命ですが、「日常生活が制限されることなく健康的に生活できる期間」を表します。2013年の日本人男性は71.19歳、女性は74.12歳です。
この2つの数値の差は何を意味するのでしょうか。この期間は、寝たきりであったり介護が必要であったりと、一人で日常生活を送るのが困難な時期を意味します。
そして、この寝たきりや要介護の原因とされているのが「ロコモ」といわれています
 ロコモが進行する要因
ロコモが進行するのは、いくつかの要因があります。まず一つ目が、「筋力の低下」です。デスクワークが中心の仕事をしていたり、運動する機会から離れたりしていると、筋力の衰えは進行していきます。
ちょっとした運動(例えば階段の登り降り)でも疲れを感じやすくなっていると感じている方は、筋力が減少しているサインです。加齢が進むことで、筋力はさらに衰えます。
身体を支える骨や関節を動かしているのが筋肉なので、少しバランスを崩した時に転んでしまうということも起こり得ます。場合によっては、怪我をすることもあるでしょう。
怪我によって入院が必要となったときには、さらに筋力は使われなくなります。そして最終的に「歩く」「立つ」ということが困難になり、ロコモティブシンドロームになっていくのです。
筋力の低下以外にも、「運動器の疾患」もロコモの進行の要因です。例えば「変形性関節症」や「骨粗鬆症」があげられます。この2つは、若いうちから身体をよく動かしたり、適切な栄養を食事から摂取したり、適切な処置を早期にしたりすることで予防することができます。
「変形性関節症」は関節を構成する組織が、長期間の偏った使い方や加齢によって形そのものが変形してしまうことで起きる疾患です。例えば、膝の関節内にある軟骨がすり減り、膝の痛みが出ることがあります。これも変形性関節症の一種です。
例えば、膝の痛みがあると運動することから疎遠になります。その結果、身体を動かすことが減り、体力が低下していきます。このように痛みが原因となり、ロコモを進行させることもあります。
一方で「骨粗鬆症」は、骨の新陳代謝が鈍くなり、骨の強度が減った状態のことをいいます。骨粗鬆症が進行すると、転倒してしまったときなどの衝撃で、骨折しやすくなるといったことが起きます。そのため、寝たきりになるリスクが高まります。このようにして骨粗鬆症がロコモの一因となるのです。
 ロコモを予防するには
ロコモを予防するには「運動」と「食事」が重要です。運動といっても、たくさん汗をかくような運動ではなくても、運動量を確保することはできます。例えば、通勤時に1駅分手前で降りて歩いて行く、エスカレーターを使わずに階段を使うなど、というように日常的にできる運動は多くあります。ちょっとした空き時間に散歩をするものいいでしょう。
食事については、偏った食事やサプリメントに頼りすぎず、普段の食生活からバランスを取ることが望ましいです。低栄養は骨の成長を妨げ、筋肉がやせ細る原因となります。
ロコモはメタボリックシンドロームと同様に健康寿命を短くする要因の一つといわれています。運動習慣と食生活を見直しより健康的な生活を送りましょう。