糖尿病

ペットボトル症候群を学び、糖質摂取の害を知る:糖尿病予防

ペットボトル症候群という言葉は、聞いたことある人が多いのではないでしょうか。これは、「清涼飲料水アシドーシス」とも言われます。ペットボトル症候群は、清涼飲料水の摂取によって、「アシドーシス」と呼ばれる危険な状態に陥ってしまうものです。
アシドーシスとは、血液が酸性に傾いた状態を指します。血液の酸塩基平衡が保たれていることで、体の細胞は正常に活動します。
もし酸塩基平衡が崩れ、酸性やアルカリ性に傾くと、細胞の活動は障害されます。人の体は、細胞が集まることによって構成されます。そのため、細胞の働きが妨げられると、生命の維持に影響してきます。それくらい、酸塩基平衡というものは大切なものです。
体は、酸塩基平衡を維持するために、さまざまな機能を有しています。その働きによって、酸塩基平衡は厳密にコントロールされており、簡単に崩れることはありません。
ペットボトル症候群とは、清涼飲料水の影響で、酸塩基平衡のバランスが崩れてしまったことによって起こるものです。清涼飲料水は、子供でも簡単に手に入るものですので、全ての年代に起こりうる問題です。
そこで今回は、ペットボトル症候群について解説します。
 ペットボトル症候群とは
ペットボトル症候群とは、先ほど述べたように、血液における酸塩基平衡が崩れ、血液が酸性に傾いている状態を指します。この原因には、膵臓(すいぞう)で作られる、「インスリン」というホルモンが関係します。
インスリンは、血液中から細胞内への、糖の取り込みを促す働きがあります。つまり、血液中の糖の濃度をコントロールするということです。
高血糖は、体にとってとても危険な状態です。なぜなら、血糖値の上昇は、先ほど述べた酸塩基平衡を崩しやすい状態にするだけでなく、動脈を硬くしたり、神経や筋肉の働きを妨げたりするからです。そのため、インスリンは、とても重要なホルモンです。
清涼飲料水は、液体中に糖質が含まれています。このような糖は、体にとても吸収されやすいです。そのため、毎日清涼飲料水を飲むと、それを飲むたびに血糖値が上昇し、インスリンが大量に分泌されます。
このような状態がくり返され続けると、最終的には、インスリンを産生する膵臓(すいぞう)が働かなくなり、インスリンが作られなくなります。そのため、インスリン不足による高血糖になります。とくに、遺伝的に糖尿病の素因がある人や、境界型糖尿病の人は、注意が必要です。
このように、インスリンの働きが障害された結果、高血糖状態となり、「糖尿病性ケトアシドーシス」となるのがペットボトル症候群です。
ペットボトル症候群の特徴を以下に示します。
・清涼飲料水を大量に摂取する
・青年期から中年の男性に多い
・肥満があるか、肥満であった過去がある
・血縁者に糖尿病患者がいる
・本人に病識がない
症状としては、糖尿病性ケトアシドーシスと同様であり、口渇、多飲、多尿、腹痛、悪心、嘔吐、脱水、意識障害などが認められます。
 糖尿病性ケトアシドーシスとは
糖尿病性ケトアシド-シスとは、インスリンの働きが低下した結果、酸塩基平衡が崩れ、アシドーシスになった状態を言います。このような場合は、緊急入院が必要です。
ケトアシドーシスというと、「ケトン体」と呼ばれる脂肪から作られる物質が問題とされることが多いです。確かにケトアシドーシスの状態では、ケトン体値が高くなっています。しかし、インスリンが正常に働いている場合には、血液中のケトン体値が高くなることは問題ありません。
ケトアシドーシスは、ケトン体値が上昇していることではなく、血液が酸性に傾いていることが問題なのです。冒頭でも述べたように、血液中の酸塩基平衡は厳密にコントロールされています。
そのため、通常では、血液中のケトン体値が上昇しても、酸塩基平衡は保たれるため、血液が酸性に傾くことはありません。しかし、これにインスリンの作用不足が加わると、酸塩基平衡が崩れ、血中の酸性度が高くなってしまうのです。
つまり、糖尿病性ケトアシドーシスの原因はインスリン不足にあり、清涼飲料水の多量摂取は、このインスリンの障害を引き起こすということです。
今回述べたように、ペットボトル症候群は、清涼飲料水の飲みすぎによって起こる、インスリンの分泌障害です。多くの人は、清涼飲料水の危険性を軽視していますが、これは命に関わる問題です。嗜好品として、たまに飲むのは仕方ありませんが、日常的に飲み続けるのは必ず避けるようにしてください。