女性は、性器の特徴的な構造によって、女性特有の症状が出現しやすくなっています。体の違いという意味では男性も同様ですが、女性の場合、男性と違って「妊娠・出産」があるため、とくに特徴的な症状が出現します。
妊娠・出産は、体の「自然治癒力」に関わる、ホルモンのバランスを大きく変えます。
また、ホルモンの関係以外でも、女性性器の特徴ゆえになりやすい病気はあります。膀胱炎は、その代表的な例です。これは、女性が男性と違って、尿道が短いことや、細菌が繁殖しやすい腟や肛門が尿道口の近くにあるためです。
女性性器は、男性のものとは異なる点が数多くあります。そこで今回は、女性性器の特徴について解説します。
女性性器の解剖
女性性器は、内性器と外性器の2つに分けられます。内性器には、子宮、卵巣、卵管、腟が含まれ、外性器は外陰のことを指します。内性器は、主に内分泌機能や妊娠・出産に関係し、外性器は性行に関与します。
女性性器は、骨盤の中に存在します。子宮は、前方が膀胱、後方が直腸で挟まれるような位置にあります。子宮は、成熟女性では鶏卵大であり、全長約7センチ、重さは約60~70グラムあります。また、子宮は大きく「子宮体」と「子宮頸」の2つに分けられます。
子宮からは、「子宮固有索」と「「卵管」が出ています。子宮固有索は、卵巣に続き、卵管はその卵巣を上からおおいかぶさるように存在する「卵管采(らんかんさい)」につながります。
子宮は、他の臓器と同じように、「腹膜」と呼ばれる内臓をおおっている膜で、他の臓器から隔離されています。このような臓器を、「腹腔外臓器」といいます。一方、腹膜に包まれず、腹腔の中に存在している卵巣は、「腹腔内臓器」と言われます。この特徴ゆえに、起こりやすい病気もあります。
また、卵巣は母指頭大の器官であり、先ほども述べたように、子宮と子宮固有索でつながっています。また、卵巣は、卵管采に向けて卵子を放出します。卵管采で受けられた卵子は、卵管によって子宮に送られます。
女性性器の機能
子宮は、受精卵を発育させる器官です。卵巣から排卵され、卵管采で受け取られた卵子は、卵管内で受精すると、子宮の内側(子宮内膜)に着床して成長します。そこで、子宮外でも生きることができるまで大きくなると、胎児は娩出(べんしゅつ)されます。
また、子宮内膜は、受精していない場合に、月経周期に伴って周期的に剥がれて新しく作られます。このときに、子宮内膜が剥がれて出血する現象を「月経」といいます。
卵巣は、卵子の生成や成熟、排卵を行う器官です。ここでは、女性に特有の「プロゲステロン」と「エストロゲン」という2つのホルモンが作られます。月経周期は、この2つのホルモンのバランスによって作られます。そして、女性特有の病気の多くは、このホルモンが影響します。
ホルモンの異常によって生じる症状で、よく知られているものは「更年期障害」です。これは、急なホルモンバランスの変化によって起こるものです。
以上のように、女性性器には男性のものにはない特徴が多くあります。この違いのため、女性は妊娠・・出産ができますが、そのことが、女性特有の症状を引き起こしやすい原因にもなります。今回述べた女性性器の構造と機能を知ることで、さまざまな女性特有の病気を理解できるようになります。