痛み・疼痛

ストレスと頭痛の関係性:側頭筋と血管・血流、自律神経

頭痛は、たくさんの人が悩まされている症状です。とくに、デスクワークなどの若い女性には、慢性的に頭痛を持っている人が多いです。そして、そのような人は、我慢したり、薬で痛みを緩和したりして過ごしているのが現状です。
頭痛の多くは、病院にいっても原因がはっきりしません。また、頭痛のほとんどは、筋肉が硬いことによる「緊張性頭痛」や、異常な血管が原因で起こる「偏頭痛」と診断されます。そして、それぞれに対応する薬が処方されます。
しかし、出された薬剤を使っても、頭痛を治療することはできません。
 頭痛は薬では治らない
緊張性頭痛には、筋肉を柔らかくするような薬が処方され、偏頭痛には、血管の運動を抑えるような薬が出されます。しかし、これらは一時的には痛みを緩和しますが、効果が切れるとまた疼痛は再発します。
なぜなら、このときの痛みの発生には、筋肉が硬くなることにも、血管の運動が障害されるのにも原因があるからです。その根本的な問題を解消しないと、頭痛は繰り返すことになります。そして、これらの症状は、自律神経の不調によって引き起こされていることがほとんどです。
自律神経の不調を招くものとして、ストレスがあります。ストレスは、頭痛の発生に深くかかわっています。
そこでここからは、ストレスが頭痛の原因となる理由について解説します。
 
 ストレスは頭の筋肉を緊張させる
ストレスがかかると、頭にある「側頭筋(そくとうきん)」と呼ばれる筋肉が緊張します。作業に集中したり、緊張したりしているときは無意識に歯を食いしばっているものです。
側頭筋は、歯を噛みしめるときに使われる筋肉です。「こめかみ」の後方に指を置いてみて下さい。その状態で歯を食いしばると、ピクピクする筋肉があると思います。それが側頭筋です。側頭筋は、頭蓋骨から顎の骨にかけて付着しています。
筋肉は、緊張すると、その筋を栄養する血管を圧迫します。血管が圧迫されると、組織に酸素が届かなくなります。つまり、酸欠状態になるということです。
体の細胞は、酸素があって初めて活動ができます。つまり、酸欠状態のように酸素が不足している状態は、とても危険です。そのため体は、酸素不足になると、警告信号として痛みを出すことで、その状況をその人自身に知らせます。
筋肉の緊張は、このようなメカニズムで痛みにつながります。
また、側頭筋は、頭の側方に位置しています。つまり、側頭筋による頭痛は、頭のこめかみ辺りを中心に生じるのです。
 ストレスは自律神経の不調を招く
頭痛の多くは、血管に原因があることがほとんどです。血管による痛みは、「血管の圧迫による血流不足」と、「一時的な血管の収縮後に起こる、反射的な拡張」の2つが原因で生じます。また、先ほど述べた側頭筋による頭痛は、血流不足によるものです。
ストレスが強くなると、自律神経が乱れます。自律神経には、興奮時に緊張する「交感神経」と、リラックス時に働く「副交感神経」の2つがあります。ストレスは、交感神経の活動を活発にします。
交感神経は、血管を収縮させる作用があります。そのため、ストレスがかかると一時的な血流不足が起こります。さらに、組織の血流が足りなくなると、「セロトニン」と呼ばれる血管を広げる役割のある物質によって、血管は反射的に広がります。このときの血管の拡張によって、痛みが生じます。
また、副交感神経は、血管を広げる働きがあります。仕事中は、交感神経が緊張し、血管が収縮しています。しかし、仕事後に急にリラックスすると、副交感神経が活性化され、急激に血管の拡張が起こります。このような現象が発生するため、仕事後や、週末などの休日に頭痛が強くなる人が多いのです。
今回述べたように、ストレスは、筋肉の緊張を高めることと、血管を収縮させることで頭痛を引き起こします。原因がわからないと言われている頭痛の多くは、自律神経に問題があります。
そのため、普段から自律神経を整えるような生活を送ることで、頭痛の予防と改善を図ることができます。