障害予防法

障害を予防する運動:有酸素運動の自律神経への効果と実践方法

健康的な生活を送るためには、関節痛や四肢の痺れ、倦怠感といった体の不調を予防することが大切です。体に不快な症状があると、生活の質は間違いなく落ちることになります。
例えば、スポーツが趣味である人が膝に痛みがあれば、好きな運動を満足に行うことができません。その結果、その人は生活に対して充実感を得ることができなくなります。
このように、より充実した人生を送るために障害の発生を予防することは必須だといえます。そして、障害を防ぐためには、睡眠と食事、運動という3つの生活習慣を整えることが大切です。
その中でも、多くの人が実践していることが運動です。ただ、ほとんどの人は障害を予防するための正しい運動法を行なえていません。
そこで今回は、障害を予防するための運動である有酸素運動について解説します。
 有酸素運動の効果
有酸素運動が体の健康にとって良い影響を与えることは、多くの人が理解しています。よく知られている有酸素運動の効果は、脂肪を燃焼したり体力を付けたりするということです。
ただ、有酸素運動の効果はそれだけではありません。特に障害予防という観点からは、有酸素運動が自律神経に与える影響が重要です。
関節痛や下肢の痺れ、便秘、不眠といったような体に起こる不調の多くは、自律神経の乱れが原因で起こります。そのため、自律神経の働きが正常であることは障害を予防するためには欠かせません。
有酸素運動にはリラックス効果があるため、運動を行うだけでストレスを解消し自律神経を整えることにつながります。
また自律神経は、過剰な運動を行ったりストレスを受けたりすることで乱れます。例えば、仕事で毎日ストレスを感じている人は、自律神経が崩れている可能性が高いです。また、毎日陸上選手のように疲れ果てるくらい運動している人も、自律神経は整っていない場合が多いです。
これは、自律神経が心臓と深く関係しているために起こることです。というのも、心臓の動きは自律神経によって調節されているためです。
強いストレスや過剰な運動は、心拍数を急激に上げます。緊張したり、運動を行なったりした場合に心臓がドキドキするのは誰もが経験したことがあると思います。このときは、心臓への負担が大きくなっている状態だといえます。
そのように心臓へ過剰な負荷がかかると、心臓の働きをコントロールしている自律神経にも大きな負担となります。そうなると、自律神経のバランスが乱れます。
有酸素運動を行うことで体力がつくと、ある程度の運動や精神的なストレスでは心拍数が上がらなくなります。その結果、多少の運動やストレスでは自律神経が崩れなくなるため、自律神経が強くなるといえます。
一方で無酸素運動では、筋肉量は増えますが、体力の向上は期待できません。また、無酸素運動自体が自律神経のバランスを崩すきっかけになります。そのため、無酸素運動は自律神経にとっては、あまり好ましくない運動だといえます。
このように、有酸素運動は自律神経を整えるだけでなく、多少の負荷では乱れないように強くする効果があります
  有酸素運動の実践
有酸素運動とは、酸素を使いながらエネルギーを作り出して行う運動のことをいいます。一般的には、「ある程度長い時間を継続して行う運動」「負荷が軽い持続的な運動」というように認識されています。具体的には、ウォーキングやジョギングなどが有酸素運動になります。
実際に有酸素運動を行う際は、以下の点に気をつけて行うようにしましょう。
・自覚的にきついと感じない、息があがらない
・毎日行っても苦痛にならない
・長く続けることができる
そして、具体的には心拍数が110を越えないような運動にすることがポイントです。心拍数は、手のひらを返した状態で手首の親指側に指を当てることで測定できます。15秒測り、それを4倍することで1分間辺りの心拍数を出せます。
例えばウォーキングを行うときは、運動前に心拍数を測定します。そして、少し息が弾んできたタイミングでもう一度心拍数を確認します。このとき、心拍数が100に至っていないようでしたらそのまま運動を継続します。
運動時間は15~30分程度を目安に行い、運動が終わった後も心拍数を測定します。
そして、何度か行ってみて、運動中と運動終了後に心拍数が多くても120回を超えていないような運動強度と運動時間の運動を見つけて下さい。それが、あなたに適した有酸素運動です。
その運動を週に2~3回の頻度で継続することで、あなたの自律神経は強くなり、結果的に障害の予防につながります。
今回述べたように、有酸素運動には自律神経を整えて強くする効果があります。そのために必要な運動は、きつくなく継続できるレベルの運動です。具体的には、心拍数が110程度まで上がるような運動が最適な運動レベルだといえます。
実際に心拍数を測定しながら運動を行うことで、あなたに適した運動強度と運動時間を見つけるようにしてください。