自律神経

自律神経が原因で発症するアレルギー疾患:自律神経と病気の関係

日本において、アレルギー疾患に悩まされている人は少なくありません。ただほとんどの病院では、アレルギー疾患に対して薬物療法などによる対症療法が主であり、根本的な治癒を促す治療法は行われません。
そのため、アレルギー疾患に悩む多くの人が、慢性的に薬に頼り、症状をごまかしながら生活しています。
実際には、アレルギー疾患のほとんどは、自律神経の乱れが根本的な原因として存在しています。つまり、アレルギー疾患を克服するためには、自律神経のバランスを整えることが必須だといえます。
そこで今回は、「自律神経が原因で発症するアレルギー疾患(気管支喘息、アトピー性皮膚炎、電磁波過敏症)」について解説します。

気管支喘息

アレルギー疾患の一つに、咳がなかなか収まらない「喘息(ぜんそく)」があります。喘息は正式には「気管支喘息」と呼ばれ、空気の通り道である「気道(気管支)」に炎症が起こって気道内が狭くなることで発症する病気です。
気管支喘息の主な症状は「ちょっとした刺激で起こる過剰な咳」になります。それは、炎症がある気管支は、普通では反応しないような弱い刺激にも過敏になっているために起こります。そのため、喘息の原因は組織の炎症にあると考えられています。
そして、治療法は炎症を抑えるための「ステロイド薬」の吸入や、気管支拡張薬、抗アレルギー薬などの処方といった薬物療法が主になります。
しかし、このような薬物療法は、表面上に現れている症状を一時的に抑えているに過ぎません。そのため、根本的な解決するのが困難です。根本的に問題を解消したいのであれば、喘息の根本的な原因をしっかり理解して対処することが大切です。
気管支喘息のように、体が過敏に反応する本当の原因は、「自律神経の不調」にあります。そして、こうした喘息と自律神経の関係を理解すれば、薬による対処療法では、喘息が予防できないことも納得できます。
そこで以下に、気管支喘息の原因について解説します。

気管支喘息と自律神経の関係性

気管支喘息は、アレルギー疾患の1つです、アレルギーとは、体が「アレルゲン(抗原)」と呼ばれる、ある物質に対して過敏に反応することを指します。アレルゲンとなるの代表的な物質としてダニや花粉、ハウスダスト、化学物質などがあります。
通常では、これらのアレルゲンに触れても過剰な発作は起こりません。しかし、アレルゲンは体にとって異物であるため、体内に侵入すると、アレルゲンを排除するような反応が起こります。
具体的には、鼻や気道に入った花粉やハウスダストなどは、咳(せき)やたん、くしゃみといったもので体外に出されます。このような反応(防衛反応)は、一過性であれば正常です。むしろ、体を守るために必要不可欠なものだといえます
しかし、アレルギーの場合、こうした防衛反応が過剰に起こってしまいます(アレルギー反応)。
気管支喘息では、そうしたアレルギー反応による過剰に炎症が起こってしまった結果、気道が通常以上に狭くなり、息苦しさや呼吸困難感が出現します。
アレルギー疾患のように、ある刺激に対して体が過敏に反応してしまう原因の多くは、自律神経にあります。自律神経には、興奮時に働く「交感神経」と、リラックス時に活動する「副交感神経」の2つがあります。
そして、副交感神経の働きの1つに、「リンパ球」を増やすというものがあります。リンパ球とは、体内に侵入した異物を攻撃し、排除するような役割を持つ免疫細胞です。
つまり、リンパ球は「異物から体を守る機能を持つ細胞」ということです。
このように、通常では体を守るために働いているリンパ球ですが、その数が過剰になると問題が起こります。外から侵入した異物に対して過剰に反応するようになります。その結果、アレルギーの症状が現れます。
そのため、アレルギーの主な原因は、副交感神経の過剰な興奮によるリンパ球の異常な増殖ということができます。

副交感神経が過剰になる習慣とは

副交感神経は、リラックスしている時に活発に活動します。体の健康を保つためには、交感神経と副交感神経の両方の働きが必要です。
既に述べたように、副交感神経は体の免疫反応を強くします。そのため、副交感神経の働きが弱くなると、体の免疫は下がります。交感神経は、運動を行う時などに筋肉へ送る血液量を増やすなどして、体を興奮させる役割を持っています。
このように、交感神経も副交感神経は、どちらの働きも体にとっては欠かせないものです。しかし、どちらかの神経が過剰に活動しバランスが悪くなると問題です。
そして、副交感神経が過剰になった状態がアレルギーとして現れます。そのため、過度に副交感神経を活性化するような生活はアレルギーを悪化させます。
具体的には、以下のような生活習慣が副交感神経を過剰に活性化します。
・体を動かさない
・遅寝遅起といったようなダラダラ生活
・甘いものを好んで食べる
・食べ過ぎ
アレルギー疾患の人にとっては、このような生活は発作を悪化させる要因になります。そのため、とくに注意するようにしてください。
また、過剰なストレスも、自律神経のバランスを崩すきっかけになります
体は、ストレスを受けると、交感神経を興奮させてストレスに対応するような体の反応を起こします。それは、血圧や心拍数の上昇といったものです。既に述べたように、このような変化は体にとっては必要なものです。
しかし、ストレスが過度もしくは長期的にかかると、交感神経の働きは悪くなります。それは、体が自律神経のバランスを取り戻すために、反射的に副交感神経の活動が過剰になるからです。また、交感神経は働きすぎると、疲弊して本来の役割を果たさなくなります。
そのため、ストレスの受ける量が強かったり長引いたりすると、交感神経ではなく、副交感神経の活動を過剰にしてしまいます。
上記の内容を理解すれば、気管支喘息の薬が、気管支喘息を治さないという理由も理解できます。ちなみに、気管支喘息に処方される薬のほとんどは、交感神経を過度に緊張させます。そのため、結果的に副交感神経を過剰に働かせる結果となり、症状を悪化させる可能性があるため注意が必要です。

アトピー性皮膚炎

アトピーは正式には「アトピー性皮膚炎」と呼ばれ、子供から大人まで幅広い年代の人が悩まされるものです。アレルギー反応と関係がある症状のうち、皮膚の炎症を伴うもので、過敏症の一種でもあります。
原因は分かっておらず、薬などで一時的に症状を抑えていくような治療が中心になります。
しかし、薬ではアトピーを治すことはできません。なぜなら薬は、表面に現れた現象を無理やり押さえつけるだけで、原因を解消しないからです。アトピーに限らず、体に何かしらの症状がある場合、必ずそのような状態になる理由があります。
その原因を治療せずに、薬で症状を押さえつけると、逆に悪くなることもあります。とくにアトピーに対するステロイド薬は、作用が強いため、副作用が大きな問題となっています。
そこで今回は、アトピーの原因について解説します。

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎とは、アレルギー反応が皮膚に起こる病気です。
既に述べたように、アレルギー反応とは「通常では無害な物質に対して体の免疫システムが過剰に反応すること」を指します。一般的なアレルギー反応としては、「かゆみ」や発疹、くしゃみなどが挙げられます。また、症状が強くなると「アナフィラキシー反応」と呼ばれる、生命に関わるような状態にもなります。
皮膚は、表面から大まかに「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造をしています。表皮には、水分の蒸発や異物の侵入、紫外線などから体を守るような働きがあります。
そして、真皮には、血管や汗腺、脂腺などがあり、発汗などを行う役割があります。さらに、皮下組織は、皮膚と筋肉をつなぐ組織であり、皮下脂肪が多く含まれています。そのため、栄養の貯蔵や体温の保持などの機能があります。
アトピー性皮膚炎は、表皮にアレルギーが起こっている状態です。表皮の乾燥とバリアー機能の異常が起こるため、かゆみなどの症状が生じます。
原因としては、細菌の影響や遺伝的要因、食生活、環境物質などさまざまな説がありますが、どれもはっきり解明されていません。このような理由から、原因に対する治療ではなく、症状を押さえつけるような一時的な対処が行われているということです。

アトピーと自律神経の関係性

アトピーをはじめとする、アレルギー反応の多くは、自律神経の問題で起こります
自律神経とは、心臓をはじめとする内臓や、血管などを意識することなくコントロールしている神経です。自律神経は、興奮時に働く交感神経と、リラックスしているときに活発になる副交感神経に分けられます。そして、お互いが相互に働くことで機能を発揮します。
アレルギー反応は、このうちの副交感神経の異常によって起こります。副交感神経には免疫細胞を活性化するという作用があります。そして、アレルギー反応は、免疫細胞の過敏な働きによって起こります。
つまり、副交感神経が過剰に働き、免疫細胞が活発になると、アレルギー反応が引き起こされるということです。
副交感神経は、ゆっくりしているときやリラックスしているときに活発に働きます。つまり、日常生活をメリハリなくだらだら過ごしている人や、運動不足などの人は副交感神経が過剰に働きます。
他にも以下のような要因があります。

生活リズム

夜型生活

食生活

甘い物の食べ過ぎ

脂っこいものの食べ過ぎ

炭酸飲料の飲み過ぎ

アルコールの飲み過ぎ

腹いっぱい食べる

活動

運動不足

日光浴不足

精神的、肉体的ストレス

育て方

過保護

肥満

また、アレルギー反応を引き起こすきっかけとなるもの(アレルゲン)について、以下に記載します。

環境

農薬

接着剤

排気ガス

その他

アレルギー食品

ホコリ、ダニ

動物

ニコチン

薬品、化粧品、食品添加物

低気圧

このように、アトピー性皮膚炎も「副交感神経の過剰な活動」という自律神経の問題が存在しています。その状態のときにアレルゲンに触れると、皮膚でアレルギー反応が起こります。
こうしたことから、アトピー性皮膚炎を根本的に予防・解消するためには、自律神経のバランスを整えることが重要だといえます。

電磁波過敏症

人々の中には、電気製品のそばに近づくと、動悸や耳鳴り、めまいなどの症状が現れる人がいます。このような症状が現れる場合、「電磁波過敏症」と呼ばれる病気が疑われます。
電磁波過敏症は一般的に知られているものではありませんが、多くの人が悩まされている病気です。簡単に説明すると、電子機器などから発せられる電磁波に対して体が過敏に反応し、身体にさまざまな不調が現れる疾患です。
原因もわかっておらず、病気の概念は定まっていません。そのため、あまりメジャーな疾患ではないといえます。
しかし、体にある症状が現れるということは、何かしら原因があります。そして、電磁波過敏症は、自律神経の不調が原因で発症するケースが多いです。自律神経の働きが悪くなることで、通常では反応しないような電磁波に対して体が過剰に反応してしまいます(アレルギー反応)。この影響により、さまざまな症状が出現します。
そこで以下に、電磁波過敏症の原因について解説します。

電磁波過敏症とは

電磁波過敏症は、アメリカの医学者であるウィリアム・レイ氏によって作られた名称です。「ある程度の電磁波にさらされると、身体にさまざまな不調が出現する」という疾患概念であり、心理的な問題が大きいものとされています。
主な症状には、以下のようなものがあります。

皮膚の症状

その他

チクチクした感覚

灼熱感

発赤

痛み

頭痛

疲労

精神的ストレス

睡眠障害

筋肉痛

集中力低下

めまい、吐き気、動機

一般的に、電磁波が健康に与える影響については、否定的な意見が多いです
しかし、原子力発電所で電磁波の一種である「放射線漏れ」が起こってから、電磁波の身体への作用を心配する人が増えています。
現在、科学的な研究の結果では、自称電磁波過敏症の人は、電磁波の存在を検出できないことがわかっています。
具体的には、自称電磁波過敏症の人は「本物の電磁波にさらされた場合と、偽物の電磁波にさらされた時の両方で体調不良を訴えた」という実験結果から、そのように言われています。
そのため、WHO(世界保健機関)は、「医学的診断基準はなく、自称電磁波過敏症の人が訴える症状が電磁波と関連するような科学的根拠はない」としています。
電磁波過敏症を訴える人々は、主にマイクロ波と呼ばれる電磁波を原因としています。マイクロ波の具体例として、送電線や家電製品から出る電源周波数(50/60Hz)と、携帯電話の電波などがあります。
しかし、これら2つでは波長や周波数が全く異なっており性質も違います。そのため、両者を一括りにして同列に扱うことはできません。
ちなみに、電磁調理器などは、この2つの中間の周波数にあたります。
このような理由からも、電磁波過敏症に対しては、否定的な見解が多いです。しかし、電子機器に近寄るこおとで、何かしらの症状が出現している人がいることも事実です。そのため、科学的にはわかっていなくても何かしらの原因があるはずです。
そこで、もっと別の視点から電磁波過敏症の原因について考えていきます。特に、自律神経が電磁波過敏症に与える影響を考えると、電磁波過敏症に対する理解が深まります。

電磁波過敏症と自律神経の関係性

既に述べたように、自律神経には、興奮時に活性化される交感神経と、リラックス時に活動する副交感神経があります。この2つの神経がバランス良く働くことで、体の健康は維持されます。
そのため、どちらかの活動が過剰になったり、逆に働かなくなったりすると、身体には何かしらの症状が現れます。電磁波過敏症は、このような自律神経のバランスの崩れによって、さまざまな訴えが出現するようになると考えます。
通常、体には免疫機能が備わっています。免疫機能があるおかげで、体内に侵入した細菌やウイルスを排除できます。
このように、体にとっての異物から体を防御するためには、まずはそのような刺激を感知する必要があります。そして、認識した物質に関する情報を受けた免疫細胞が、その物質を攻撃することで、侵入を防いだり排除したりします。
既に述べたように、免疫機能は、副交感神経の活動が活発になることで、より強く発揮されます。そのため、体の免疫を維持するためには、副交感神経の働きが欠かせません。
しかし、副交感神経の活動が過剰になると問題です。なぜなら、あまりに副交感神経が強く作用すると、刺激に対する免疫細胞の反応も過剰に働くからです。そのため、通常では免疫細胞が関与しないような弱い刺激にまで、過敏に対応するようになります。
この結果、正常な状態では問題にならないような刺激に対して過敏になるため、さまざまな症状が引き起こされます。
化学物質過敏症なども、同様の原因で起こっていると考えられます。
このように、電磁波過敏症の原因も、アレルギー疾患と同じように副交感神経の過剰な活動が関係していると考えられます。
今回述べたように、アレルギー疾患を発症する原因の多くは自律神経にあります。アレルギー疾患を予防、改善するためには、副交感神経を過剰に働かせないような生活を送ることが大切です。メリハリのある生活を行い、適度に交感神経を活性化しましょう。
そうすることで、あなたを悩ませているアレルギーの症状は、きっと軽くなるはずです。
最後に、自律神経のバランスが崩れることで発症する可能性があるアレルギー疾患についてまとめます。
・花粉症
・アレルギー性鼻炎
・アレルギー性角膜炎
・接触性皮膚炎