痛み・疼痛

膝(ひざ)関節の痛み・疼痛の原因:膝関節とお皿の関節

ひざの痛みは、腰痛に並んで日本人に多い症状の一つです。実際、ひざの痛みで病院に通っている人はたくさんいます。
病院に通われている人の大半は、手術を行うまで悪くなっていません。しかし、痛みを長い間放置しておいた人などは、知らない間に変形が進行し、病院に来た時には手術しか治療方法がないという場合もあります。
また、ひざの痛みは、一般的に知られている「変形性関節症」によるものだけではありません。関節の変形を伴っていなくても、ひざの痛みが出現することは多々あります。
そこで今回は、ひざの痛みの原因について解説します。
 「ひざ関節」の痛み
いわゆる「ひざ関節」とは、太モモの部分である大腿骨と、その下の下腿骨によって形成される「脛骨大腿(けいこつだいたい)関節」のことをいいます。変形性関節症で変形する関節は、大半がこの部位です。
この関節の間には、「半月板」という関節のクッション材のようなものが挟まっています。半月板には、衝撃を吸収したり、関節の動きを滑らかにしたりする役割があります。
半月板が傷ついたり、その下にある軟骨が損傷したりすることで、関節内に炎症が生じ、痛みが引き起こされます。
脛骨大腿関節は、ねじれのストレスで痛みを生じやすいという特性があります。そのため、脛骨大腿関節での痛み症状として以下のような特徴があります。
・ひざをねじると痛い
・方向転換をするときに痛い
・歩くと痛い
このような症状がある場合は、脛骨大腿関節に問題がある可能性があります。
 「お皿」とも呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」の痛み
ひざには、一般的に「お皿」と呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」があります。実は、この膝蓋骨と大腿骨にも関節があり、そこが痛みを発する場合もあります。この関節も変形する可能性があります。
この関節は「膝蓋大腿(しつがいだいたい)関節」と呼ばれますが、関節の構造は一般的なものと同じです。しかし、脛骨大腿関節とは違い、半月板は存在しません。
膝蓋骨は、人体の中でも大きい「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」と呼ばれる筋肉によって上からおおわれています。これは、太モモの前面にある筋肉で、ひざを伸ばすような力を入れるときに働く筋肉です。
そのような解剖学的な特徴から、大腿四頭筋が強く収縮すると、膝蓋骨は上から押さえつけられ、大腿骨に圧迫されるような形になります。そのため、膝蓋大腿関節には、ひざに力を入れたときに痛みが出るという特徴があります。
また、膝蓋大腿関節の痛みには、以下のような特性があります。
・立ち上がるときに痛い
・階段動作のときに痛い
・昇りより下りが痛い
・ひざの前面が痛い
このような症状がある場合は、膝蓋大腿関節に問題がある可能性が高いです。
以上のように、ひざの痛みといってもその原因は一つではありません。そのため、「ひざの痛み全てに効く」というような運動などはありません
痛みというものは、人によって原因が異なるため、その治療法もそれぞれ違うものになります。そのため、ひざを痛めた場合は、「あなたのひざの痛み」に合った治療を行ってくれるところを探すことが大切です。