体の機能

腸内環境における善玉菌、悪玉菌の働き:便秘になる問題

健康には、「腸内環境を整えることが大切だ」ということはよく言われます。確かに、体調が悪いときは、便秘や下痢など、お腹の調子が悪くなりがちです。そのため、体調不良の際には、腸内の状態がよくないということは想像できます。
では、なぜ健康にとって腸内環境は大切なのでしょうか。また、具体的に、腸内が良い状態であるとは、どのような状態なのでしょうか。
今回は、腸内環境について解説します。
 腸は最大の免疫器官
腸は、「第二の脳」と言われるほど、神経細胞が多く存在しています。その理由の1つに、腸が、体にとって不可欠な免疫機能を担っているということがあります。
食べ物は、口や胃で消化された後、腸に入ります。腸に入った後は、血液中に吸収されるか、便として排泄されます。腸の一番よく知られている役割は、このような、食べた物からの栄養吸収になります。
しかし、食べ物には、たくさんの細菌やウイルスが付着しています。もしそのような異物が、血液中に入ってしまうと、体は病気になってしまいます。
そのため、腸には、腸内に入ってきた異物を、体にとって安全なものかどうかを識別する力があります。これが、腸の免疫機能です。このような、複雑で、精巧な作業を行う必要があるため、腸には神経細胞がたくさん存在しているのです。
また、腸から吸収された食べ物は、肝臓に入ります。この肝臓でも、それが体にとって毒性があるものかどうかの判別が行われます。
そして、毒性のあるものは肝臓で解毒されます。「薬や食品添加物、アルコール、カフェインなどの異物が、肝臓に負担をかける」と言われるのは、このような理由からです。
このように、体は、腸と肝臓の2重体制で、体内に入ってくるものを監視しているのです。
 腸内環境とは
腸内環境という言葉は、よく聞くものです。「腸内環境を整えて健康になりましょう」、「便秘は腸内環境が悪くなることで起こる」など、腸内環境は、体にさまざまな影響を与えるものとして認識されています。
腸内環境とは、腸内に住んでいる「腸内細菌」の状態のことを言います。腸内には、「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見(ひよりみ)菌」の3つの菌が存在しています。
善玉菌は、腸内を整え、悪玉菌は、腸内を乱します。日和見菌は、善玉菌と悪玉菌のうち、数が多い方に味方をし、優位な方と同じ役割を果たすようになります。また、善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合は「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」が理想だと言われています。
このように日和見菌は、他の菌と比較して圧倒的に多く存在しています。そのため、腸内環境は、ちょっとした変化で、すぐに善玉菌優位にも悪玉菌優位にも変わるのです。
便秘のほとんどは、このような腸内環境の乱れによって起こります。また、便秘になると、腸内環境が悪くなるという悪循環が生じます。便秘になるような体の状態は、健康にとって良くないです。その上、便秘になると、さらに腸内環境は悪化し、体は不健康になるのです。
このような理由からも、便秘は体にとって好ましくない状態ということがわかります。
さらに、先ほど述べたように、腸には免疫機能という、生命維持に欠かせない役割があります。もし腸内環境が乱れていると、腸の免疫機能は低下します。このような理由からも、腸内環境は、常に良い状態にしておくことが大切です。
今回述べたように、腸には、食べ物を識別するという、免疫機能があります。そして、その機能を最大限発揮するためには、腸内環境が整っていることが重要です。
腸内には、体にとって好ましい細菌と、体を不調にする細菌がいます。これらのバランスは、ストレスや睡眠、食事、運動などの生活習慣によって決定されます。そのため、生活習慣を整えておくことは、腸内環境を良くし、結果的に体の健康につながるということです。