糖尿病

糖尿病(DM)の人が知っておくべき法則:小さな数の法則

糖尿病患者において、治療の一番の目標は血糖値のコントロールにあります。そして、糖尿病の怖さはその合併症にあります。合併症は、血糖値の問題によって生じます。血糖値が安定しないと、脳卒中や心筋梗塞、腎臓病など、命に関わるような合併症が起こります。
血糖値が持続的に高い状態は、体にとって問題です。その一方で、血糖値の変動が大きい場合、合併症を引き起こす可能性が高まります。
そのため、血糖値のコントロール方法を知っておくことは大切です。また、血糖値は、常時測定しているわけではありません。そのため、ある程度の予測の上で、血糖値をコントロールすることになります。血糖値の変動の予測が正確であればあるほど、血糖値の調整は上手くいきます。
そこで今回は、血糖値の変動の予測に役立つ、小さな数の法則について解説します。

摂取する炭水化物の評価における法則

糖尿病患者のうち、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」が全く出ていない人の場合、1gの炭水化物によって血糖値が約5mg/dL上昇します。そのため、食品に含まれている糖質の量が正確であれば、摂取する炭水化物を量から、どれくらいインスリンが必要かは予測できます。
しかし、食品の説明ラベルに示されている数値は、正確ではありません。実は、ラベルに書かれている数値には、20パーセント前後の誤差が認められています。
そのため、あなたがラベルを見て、血糖値の上昇を予測しても、それは当てにならないということです。また、1つの食品の誤差でもこれだけ大きいのであれば、食べるものの数が多くなれば、その数値のズレはさらに著明になります。
また、糖質を多く含む炭水化物は、少量でも血糖値を大きく上昇させます。一方、糖質を余り含まない食品は、いくら食べても血糖値の変動はほとんど起こりません。
そうは言っても、食べ過ぎは厳禁です。食べる量が多くなると、腸に入る食べ物の量も増えます。実は、腸には、「腸の中にたくさんの物が入ることで刺激されると、血糖値を上げるようなホルモンを出すように体に働きかける」という性質があります。
つまり、いくら糖質が少ない食品といっても、大量に食べると血糖値を上昇させることになります。
先ほども述べたように、理論的には、いつも食べている食品に含まれる糖質量から、インスリンの必要量は予測できます。しかし、記載されている糖質量は正確なものではなく、大きな誤差があります。また、いくら糖質が少ない食品といっても、大量に摂取すると、血糖値を上昇させます。
そのため、血糖値を上げないような、糖質部分の少ない食事を、少量摂取することが大切です。

インスリン注射の法則

糖尿病では、インスリン注射が必要な場合が少なくありません。インスリン注射はもちろん、血糖値のコントロールのために行います。そのため、インスリン注射が体に及ぼす影響を理解しておくことは大切です。
インスリンは、注射したものすべてが血液中に入るわけではありません。どの程度のインスリンが吸収されているかは不明確ですし、インスリンに対する体の反応も毎日異なります。
つまり、インスリン注射の血糖コントロールへの影響は、精密ではないということです。そのため、インスリン注射の量が増えれば増える分だけ、その不確実性も高くなります。
外から入れるインスリンは、体にとっては異物になります。そのため、インスリンを打つと、そのインスリンを破壊しようと、免疫反応が起こります。そして、インスリンの量が多いほど、その反応は激しく起こります。
アレルギーなどは、過剰な免疫反応の結果として起こります。このように、免疫反応が強く起こると、体には不快な症状が現れます。つまり、インスリンの量が多いと、体に起こる不調も強く生じるということです。
もちろん、人によってインスリンの必要量は異なります。しかし、その中でも、インスリン注射の量が少なければ少ないほど、その調整は簡単で正確性が高くなるとのです。
今回述べたように、食事にしても、インスリン注射にしても、含まれる糖質量や全体の摂取量、インスリンの投与量が少なければ少ないほど、血糖値のコントロールを正確に行えます。
この法則に従うことで、血糖値の以上によって生じる問題を、最小限に抑えることができます。