痛み・疼痛

股関節痛と骨盤の関係性:股関節の痛みは骨盤の柔軟性が原因

股関節は、意外と痛みを訴える人が多い部位です。若いスポーツ選手から高齢者まで、さまざまな年代の方が股関節痛で整形外科を受診されます。病院では、痛み止めや湿布、電気などの処方が主で、場合によっては、股関節のストレッチが指導されることもあります。
しかし、それでは股関節の痛みは改善されません。なぜなら、股関節痛の原因の多くは、骨盤の関節にあるからです。
そこで今回は、股関節痛と骨盤の関係性について解説します。
 股関節と仙腸関節
股関節は、両足の付け根に位置する関節です。太ももの骨である大腿骨と、骨盤の骨で構成されます。骨盤側の関節が受け皿の形であり、そこに球形である「大腿骨の頭」の部分がきれいにはまり込みます。そのため、股関節は安定性が高い関節と言えます。
このような関節の形状は「球関節」と呼ばれ、動きの大きな関節です。つまり、股関節は可動性と安定性の両方を持った関節であるといえます。
骨盤は、腰の下にある「仙骨」と関節を作ります。この関節を「仙腸関節」といいます。
仙腸関節は、関節の動きは小さいですが重要な関節であり、四肢の運動における動作の中心となります。理学療法士である私も、ほとんどの患者さんに対して、始めに仙腸関節を調整します。
 仙腸関節の動きが悪くなると、股関節に負担がかかる
関節では、「隣接する関節の動きが悪いとき、制限された分まで他の関節が過剰に動く」という現象が起こります。これその理由としては、ある一1つの動作は、背骨から指先までの全ての関節が適切に動くことで達成されるからです。
例えば、手先の関節しか使用していないような「文字を書く」という動作も、実際には、肩甲骨から背骨の関節まで動いています。
どのような動作でも、背骨に近い関節ほど、その可動性が大切になります
先ほども述べたように、仙腸関節は股関節の隣接関節であり、背骨寄りの関節になります。そのため、仙腸関節の可動性が低下すると、股関節はその分の動きを代償する必要があります。つまり、動作遂行のために正常以上の動きが求められるということです。
これは、どこの関節であっても同様です。
例えば、ひざ関節を使った動作であれば、より背骨に近い、股関節や仙腸関節の可動性が必要になります。股関節や仙腸関節の動きが制限されていると、ひざ関節に過剰な負担がかかります。
以上のように、ある動作の遂行には、その運動に使う関節のよりも中枢側にある関節の動きが求められます。とくに、股関節では仙腸関節が問題であることが多いため、これを機会に骨盤の硬さに注目してみて下さい。