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運動で短期間に痩せるダイエット方法を避けるべき理由

あなたは、「運動をすればすぐに体重が減る」と考えたことはないでしょうか? 運動して汗をいっぱいかけば、何となく体重がすぐ減るような気がしますよね。
そのため、運動に短期的なダイエット効果を求めてしまう気持ちはわかります。
しかし実際には、短期間の運動にはほとんどダイエット効果はありません。正しいダイエット方法であれば、短期間で体重が減るのではなく、長期間かけて少しずつ体重が減っていきます。
ダイエットを成功させるためには、こうした体重の減少に関する正しい認識を持っておくことが大切です。
そこで今回は、「運動で短期間に痩せるダイエット方法は間違っている」について解説します。

「運動で短期間のダイエット効果がある」と勘違いしやすい理由

「運動するとすぐに体重が減るのではないか」という期待を持って運動をしたことはないでしょうか? 
ダイエットというと、食事制限に並んで運動をすることが常識になっています。そのため、「痩せるためには運動をしなければいけない」という認識をもっている人は多いです。
確かに、運動はやり方次第でダイエットをサポートします。ただ、運動によって即効的なダイエット効果があるというのは勘違いです。運動をした後に一時的に体重が減ることはあっても、それは汗によって水分が減っただけであり、脂肪が無くなったわけではありません。
それでは、なぜ「運動に即効的なダイエット効果がある」という勘違いが起こりやすいのでしょうか? 以下に、その理由について解説します。

運動時の発汗による体重減少

運動を行うと、汗をかきます。特に、夏などの気温が高いときに長時間かけて運動すると、大量の汗が出ます。
当然ですが、発汗によって体内から水分が出ると、その分だけ体重が減ります。実際に、一日中運動をして大量の汗をかくと、それだけで1~2キロも体重が軽くなっていることもあります
例えば私であれば、中学生や高校生のときに野球をしていました。休日に1日中部活をした後は、朝計った体重から1キロ減っているということは日常茶飯事でした。その経験から、私自身も「運動すればすぐに体重は減るのだ」と思っていたのです。
このように、「運動によって大量に汗をかくと、実際に体重が減る」という事実は、「運動に即効的なダイエット効果がある」と勘違いさせる大きな要因となります。

運動によるカロリーの消費量がわかる

一般的には「カロリーの摂取量を減らしたり、カロリーの消費量を増やしたりするほど体重が減る」と考えられています。あなたも、そのように考えてダイエットをした経験があるのではないでしょうか?
運動を実施すると、運動によって消費されるカロリー量がわかります。
例えば、「エアロバイクを1時間実施したら○○キロカロリー消費する」「水泳を1時間実施したらおにぎり××個分のカロリーが消費される」といったことを聞いた経験はあるはずです。
実施したことに対するカロリーの消費量が視覚化されると、「今の運動でこれだけカロリーが消費されて、その分だけ脂肪が燃焼されたのだ」と感じるのではないでしょうか?
つまり、「視覚化された数値分だけ、体重が減ったと感じさせられる」ということです。
こうした数値が視覚化されることも、「運動に即効的なダイエット効果がある」と勘違いさせる要因となります。

運動をやった感がある

ダイエット目的の運動というと、器具を使ったハードな筋トレや、大量の汗をかくようなウォーキングなどを想像するのではないでしょうか?
実際に、ダイエットジムでは激しい筋トレを推奨している施設も多いです。しかも、全国的に有名であるダイエットジムが、宣伝によってそのようなイメージを植え付けているので、なおさら「ダイエットにはハードな運動が必要なのだ」という認識が強くなっています。
そして、そうしたハードな筋トレや長時間の運動などは「やった感」があります。
例えば、ダイエットジムで1時間しっかり筋トレをした後には、筋肉痛が起こります。運動した後に筋肉痛が生じると、「あぁー筋トレ頑張ったな」と感じるのではないでしょうか?
他にも、有酸素運動を長時間行って大量の汗をかくと、シャツがビショビショになります。シャツを脱いだときに、汗でシャツが重くなっているのを感じると「これだけ汗をかくほど頑張った」という充実感を覚えるはずです。
このように、運動を実施した後には「運動を頑張った」という高揚感があります。この「やった感」も、運動に即効的なダイエット効果があると勘違いさせてしまう大きな要因です。

運動に短期的なダイエット効果がない理由

ここまで述べたような理由から、運動には即効的なダイエット効果があると勘違いしてしまいがちです。「運動すれば体重が減る」と期待してしまうことは理解できます。私自身も、以前はそのように考えていました。
しかし実際には、残念ながら運動しても即効的なダイエット効果はありません。
ここからは、運動による即効的なダイエット効果がない理由について解説します。

運動時の発汗による体重減少は一時的

運動して汗をかくと、その分だけ体重が減ります。これは、実際に体重計で計ってみると明らかです。ただ、運動による発汗で減った体重は一時的な現象であり、すぐに元に戻ります
運動すると汗をかくのは、運動して高くなった体温を発汗によって下げるためです。ヒトの体では、体温が高すぎても低すぎても筋肉や内臓、脳などが上手く働かなくなります。そのため、運動で体温が高くなり過ぎないように、発汗することで体温を調節しているのです。
汗をかくと、皮膚から汗が蒸発するとき体温が奪われます。
「汗かいたらすぐに拭かないと体が冷える」と言われた経験はあるのではないでしょうか? これは、汗によって体温が必要以上に下がってしまうのを防ぐための対策です。
このように、運動時に起こる発汗の目的は体重減少ではなく、体温の調節になります
当たり前ですが、運動によって発汗した分の水分は補給しなければ脱水状態に陥る可能性が高いです。脱水は、体にとって非常に危険な状態だといえます。
例えば、体内に水分が十分にないと、運動したときのように急な体温上昇が起こったときに対応できません。そうなると、体内に熱がこもってしまい、脳や内臓などに悪影響が及ぶことになります。
そのため、体は運動で発汗した分の水分を補うように、喉の渇きを作り出して水分補給を促すのです。当然、水分を摂ればその分だけ体重は元に戻ります
つまり、運動で汗をかいた分だけ体重が減っても、その分だけ後から水を飲むようになるため、発汗による体重減少は一時的でしかないのです。

運動で短期間に減った体重は元に戻る

短期間で体重が減ると嬉しいですよね? ただ、「即時的に減った体重は元に戻る」ということは、経験的にも理解しているのではないでしょうか?
実際に、もし運動で即効的に体重が減っても、短期間で落ちた体重は必ず元に戻ります。ヒトの体には「セットポイント」と呼ばれる基準があるためです。
セットポイントは、エアコンに備わっている自動調節機能のようなものになります。
エアコンは「○○度」と設定すれば、室温が設定した値になるように自動で調整してくれます。例えば、28°と設定したときに、来客によって人口密度が増して室内の温度が30°まで上がったときには、28°まで室温が下がるように冷風が送り出されるのです。
エアコンでいう設定温度と同じように、ヒトの体内にも設定体重というものが定められています。この設定体重がセットポイントです。
エアコンが状況に応じて設定温度に自動で調節してくれるように、体重もセットポイントから大きくずれないように、コントロールされるのです
例えば私であれば、セットポイントは59キロであると予測されます。実際に、結婚式などのイベント事で食べ過ぎて体重が増えても、数日経つと自然と59キロに戻ります。逆に、あまり食べないと体重が減りますが、このときも数日後には59キロになっているのです。

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このように、ヒトの体にはセットポイントという基準があり、その値から大きくズレないように自動で調節されています。そのため、短期的に体重が減ったとしても、基本的には元に戻るようになっているのです。

真のダイエットは長期的に体重が減る

運動だけでなく、トイレに行った後に体重が減っていたり、ご飯を食べた直後に体重が増えていたりして、一喜一憂した経験があるのではないでしょうか?
ここまで述べたように、こうした短期的な体重の変化は、結局セットポイントが変わらない限りは元に戻ります。一時的に体重が減っても、食欲が増したり、代謝が下がったりすることで、自動的にセットポイントの値に調整されるのです。

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真のダイエットとは、セットポイントが下がって長期的に体重が減ることを目的とした方法だといえます。以下のように、基準値であるセットポイントの値が少しずつ下がっていっているのであれば、本当の意味でダイエットに成功していると考えて良いでしょう。

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つまり、運動であろうが食事であろうが、即効的に体重が減るダイエット方法は間違っているのです。
ダイエットを成功させるためには、こうした体重減少に関する正しい認識をもっておくことが大切になります。
今回述べたように、運動に即効的なダイエット効果はありません。一時的に体重が減ったとしても、それは発汗などによるものであり、すぐに戻ります。
本当の意味で体重が減るときには、徐々にセットポイントが下がっていき、長期的に体重が落ちていきます。こうした正しい認識をもっておけば、運動によって短期的に体重を落とすことが、いかに意味のないことであるかが理解できるはずです。