痛み・疼痛

痛み・疼痛を予防・解消する思考法:ストレスをためない考え方

ストレスはさまざまな病気に関係します。高血圧やうつ状態などは、その典型的な例として知られます。また、このような内科的疾患や精神的疾患だけでなく、関節の痛みなどの整形的な疾患にも影響します。
そして、「ストレス=悪い」というイメージを持っている人が多いですが、そう単純ではありません。
まずは、ストレスについて解説します。
 ストレスとは
ストレスとは、「各種のストレス刺激(ストレッサー)に対する生体の全身的局所的な生体防衛反応」とされています。つまり、一般的に使われている「ストレス」という言葉は、正確にはストレッサーのことを指します。
ストレスとストレッサーをゴムに例えると、ゴムを伸ばそうとする刺激がストレッサーで、ゴムが元の長さに戻ろうとする力がストレスであるといえます。
体でも同様であり、外部から物理的であれ、精神的であれ何らかのストレッサーが加わると、それに対応するような反応が起こります。またストレッサーは、ストレスを引き起こすもの全てを指します。
そのため、先ほど述べたような因子だけでなく、血糖値といった血液中の変化などの化学的なものもストレッサーに含まれます。
体は、ある程度のストレッサーがあることで、その状態を保つことができます。その具体例として、関節に対する運動ストレスを取り上げて説明します。
関節内は、「関節液」と呼ばれる液体で満たされています。この関節液の作用によって、軟骨が栄養されたり、関節の運動が円滑に行われたりします。そして、関節液は関節に運動が起こることで、新しい液と古い液が入れ替わります。
もし運動が起こらず、古い関節液が残っていると、軟骨は栄養されませんし、関節の運動も滑らかに行えないようになります。
また、ストレスは人によって異なります。ある人にとっては、大きなストレスを起こすようなストレッサーでも、別の人にとっては、全くストレスが生じないようなものであることもあります。
これには、その人の体の強さや、物事の受け止め方が関係します。
 価値観がストレスを大きくする
ストレスでよく問題に上がるのは、精神的なストレスです。精神的なストレスは、自律神経を乱し、血圧や血糖値などを上昇させます。
精神的なストレスは、生活していると誰でも感じるものです。急な用事が入ったり、予想外の出来事が起こったりすると、人はストレスを感じます。このようなことは、どれだけ避けようとしても、すべてなくすことは不可能です。
つまり、精神的なストレス自体を無くすことはできません。そのため、ストレッサーをどうにかするのではなく、それに対するストレス反応を小さくすることが大切です。
ストレス反応が大きくなるのは、自分の期待と大きく異なった出来事が起こった場合です。対人関係であれば、相手に期待した反応と、実際の行動が大きく違うとストレスを感じます。
例えば、部下に文章を書く仕事を任せたとします。あなたは、約2000字程度の文字数の文章を完成形で提出されることを期待していたとします。しかし、実際は、部下は500字しか書いておらず、内容も不十分な状態で提出してきました。
このとき、あなたの期待と実際の反応に大きな差が出るため、大きなストレスになります。
一方で、最初から、「期限までに提出してくれればいいや」、「まだ期限まで余裕があるから、何回か修正しながら完成させていこう」などという風に考えていたら、全くかかるストレスは変わってきます。
前者は完璧主義者で、それを他人にまで求めてしまっています。後者は、そのようなことは無く、「何事もどうにかなる」という考えの持ち主です。
このように、その人の考え方である「価値観」と、相手への期待によって、同じストレッサーでも、体に起こるストレス反応は大きく変わります。言ってしまえば、この価値観がその人の病気を作っていることも少なくありません。
もしかしたらあなたの不調は、あなたが持っている価値観を変えなければ、良くならないかもしれません。
しかし、価値観を変えることは、とても難しいです。その人の価値観は、生まれてから今までの、さまざまな要因が複雑に混ざり合って形成されているからです。そのような価値観をすぐに修正することは、よほどのことがなければできません。
そのため、まずは、相手への期待を大きくしないことが大切です。これは、相手を低くみるという意味ではなく、あなたと相手は違う人間であることを認識するということです。
そうなると、相手が、あなたが期待した行動とは違うことを行っても、期待とのズレが小さいためストレス反応は大きくなりません。
今回述べたように、ストレス反応は、その人の価値観や相手への期待の度合いで大きく変わります。そして、体に起こる過剰なストレス反応は、さまざまな病気の原因になります。貴方の健康のためにも、このような思考を身に付けておくことは大切です。