背骨の重要性

背骨・脊柱を柔らかくする運動で痛みを解消:胸腰椎のストレッチ

背骨の硬さは、体のいろいろな不調を引き起こします。その理由としては「背骨が自律神経の影響を受けやすいこと」や「背骨が体の中心にあること」などが挙げられます。
背骨の柔らかさがなくなると、四肢の痛みはもちろんのこと、肩こりや浮腫み(むくみ)、手足の痺れなどのさまざまな症状が出現します。逆にいえば、背骨の柔軟性が確保されていると、このような不調は予防できます。
そのため、背骨の柔らかさを向上させて、維持するための運動を知っていることは大切です。そして、日々あなた自身で背骨のケアを行うことで障害を予防することができます。
そこで今回は、背骨を柔らかくする運動について具体的な方法を解説します。
 背骨の3方向の運動
背骨は、首、胸、腰の3部位に分かれています。これら3つの部位が全てつながることで、1本の背骨(脊柱)が作られています。また、首、胸、腰の各部位によって、それぞれ骨の形に特徴があります。その形状の違いから、各部位ごとに得意な運動と苦手な動きがあります。
そして背骨の運動には、前後の動きである「屈曲伸展(屈伸)」と、左右に倒す「側屈」、捻じりの動作である「回旋(かいせん)」の3つがあります。
背骨の一番上に位置する首の骨(頚椎)は、その上に頭を乗せています。頭には目や耳などの感覚器官があるため、さまざまな動きを行える必要があります。
例えば、顔を横に向けるような動作が行えることで、周りを見渡せるようになります。その結果、周囲の状況を把握することができ、危険などを察知できるようになります。そのため、頭を動かす首の骨は、屈伸、側屈、回旋の3つの全ての運動を大きく行うことができます。その中でも首の骨は、特に回旋(捻り)を得意としています。
首の下に位置する胸の骨(胸椎)には、肋骨がついています。そのため、基本的には胸椎は運動が制限されています。ただ、その中でも胸の骨は、回旋の運動を得意としています。
そして、胸椎の下に位置する腰の骨(腰椎)は、それぞれの関節面に特徴があり、回旋(捻れ)が起きにくい形になっています。そうしたことから、スポーツなどで「腰を回す」といわれる動作は、実際は腰ではなく胸の骨(胸椎)と股関節で行われています。
つまり、胸椎や股関節の動きが悪くなると、腰に過剰な負担がかかる可能性があります。このことから、腰痛を持っている人は、胸椎と股関節を柔らかくすることが重要だといえます。
その一方で、腰椎では屈伸と側屈運動は大きく行うことができます。
背骨の各部位の得意とする運動を、以下にまとめます。
 ・頚椎は屈伸、側屈、回旋の全ての運動
 ・胸椎は回旋運動
 ・腰椎は屈伸、側屈運動
 各部位の柔軟性を向上させる運動
背骨の硬さによる問題の多くは、胸椎と腰椎に起こります。頚椎は、下に位置する胸椎と腰椎の動きが制限された結果として障害されることがほとんどです。これは、背骨の中でも、特に胸椎と腰椎が自律神経と関係しているためです。
背骨が硬くなる原因のほとんどは、生活習慣の問題から生じる自律神経の乱れが原因で起こります。
そのため、特に問題となりやすい「胸椎と腰椎の柔軟性を向上させる運動」を以下に記します。
 ・胸椎の運動1



 ① 仰向けで両ひざを立て、両手を横に広げます(もしくは頭の後ろで手を組みます)。
 ② 息を吐きながら、両ひざを左右どちらかに倒します。
 ③ 息を吸いながら、両ひざを起こし、①の姿勢に戻ります。
 ④ 反対も同様に行い、10回程度繰り返します。
 ・胸椎の運動2

 ① 椅子に座って、足を軽く広げます。
 ② 片手を反対の膝(ひざ)の上、もう一方の手で椅子の後ろの縁をつかみます。
 ③ 息を吸いながら背中を伸ばします。
 ④ 息を吐きながら、手の力で椅子をつかんだ方に体を捻じります。
 ⑤ 体を正面に戻して、①~④を片方5回程度繰り返します。
 ・腰椎の運動1

 ① 椅子に座って、約90°足を広げます。
 ② 息を吐きながら力を抜き、背中全体を丸めます。
 ③ 息を吸いながら、へそを前に突き出すようにして腰を伸ばします。
 *このとき、胸を張るのではなく、骨盤と腰を動かすように意識して下さい。
 ④ ①~③を1分程度繰り返します。
 ・肋骨の運動

 ① 椅子に座って、約90°足を広げます。
 ② 頭の後ろで手を組み、胸を張ります。
 ③ 腰を前に突出し、背中を伸ばします。
 ④ ③の姿勢を維持したまま、息を吐きながら体を横に倒します。
 ⑤ 息を吸いながら、体を③の姿勢に戻します。
 ⑥ 反対も④、⑤を行い、左右10回ずつ繰り返します。
今回述べたように、背骨の硬さは、さまざまな体の不調を招きます。言い換えれば、どのような症状でも、状態を良くするためには背骨の柔軟性は基本になります。背骨を柔らかくし、体の不調を起こさないため、今回、記載した運動だけでも定期的に行うようにしてみてください。