整形外科的疾患に類似する内科的疾患による痛みに注意すべき
体に痛みが出たとき、多くの人は、整形外科的な問題を考えます。腰痛があれば「ヘルニア」や「腰椎分離症」、肩の痛みであれば「五十肩」や「筋の断裂」などを疑います。
しかし、整形外科的な問題に思えるような体の痛みであっても、実は内科的な疾患から起こっていることがあります。もちろん、そのようなことは医者が見極め、その人に合った病院を紹介することが当たり前です。
それでも、痛み程度では病院に行かない人もいますし、医者が見逃すこともあります。そのため、あなた自身がある程度、体の疼痛について知っておく必要があります。
そこで今回は、内科的な疾患による痛みの特徴について解説します。
整形外科疾患による痛みの特徴
整形外科疾患による疼痛は、ある組織に何かしらの刺激が加わった際に起こります。もちろん、炎症がある場合は、そのような誘発するものがなくても、常に痛いことがあります。しかし、整形外科疾患による疼痛のほとんどは、損傷している組織に圧力などがかかるときに痛みを発します。
例えば、肩の筋肉が切れていたとします。筋肉が断裂していても、炎症がなければ、安静時に痛みが出現することはありません。
一方、重い物を持ったり、洗濯物を干したりといった、筋肉を収縮させるような動作を行うと痛みが出ます。また、症状を誘発するような動作を繰り返すと、どんどん疼痛が強くなるというのも特徴の1つです。
つまり、痛みがある関節を動かすような動作で疼痛が誘発できます。他にも、以下のような特性があります。
・炎症で安静時に痛みがあるとき、痛み止めが効く
・損傷している組織を押したら痛みが出る
・安静にしていると痛みが落ち着く
このような特徴が認められる場合は、整形外科的な問題で痛みが出ている可能性が高いです。
内科的疾患による痛みの特徴
一方、内科的疾患による疼痛は、整形外科的疾患によるものとは特徴が異なります。そして、内科的疾患による痛みの場合は、内科的な治療によって、原因となっている内科疾患を治さなければなりません。
そのため、整形外科でいくら治療を行っても、症状が良くなることはありません。むしろ、内科的な治療を行わないため、痛みなどがどんどん強くなる可能性があります。
内科的疾患による疼痛と、整形外科的疾患によるものの一番の違いは、動作による症状の変化です。先ほど述べたように、整形外科的疾患は、問題のある関節が動くと痛みが悪化します。
しかし、内科的疾患の場合、関節に問題がないため、運動で症状が変化することは少ないです。むしろ、安静時や就寝時に痛みがあることが多いです。
また、内科的疾患による疼痛があるときは、内科的疾患に特有の症状を伴うことがほとんどです。
以下に、内科的疾患に特徴的な症状の例を挙げます。
・発熱、発汗、寝汗
・吐き気、嘔吐、下痢
・蒼白、めまい、失神
・疲労
・急な体重減少
また、痛みや痺れ(しびれ)、筋の緊張などの整形外科的疾患と類似する症状でも、一般的な整形外科的疾患では、起こらないような特徴というものもあります。例えば、左右同時に痛みなどの問題が生じたり、急に筋力低下が起こったりするなどです。
人は左右均等に体を使うことはありませんので、整形外科的な痛みが左右同時に発症することはありません。筋力低下に関しても、神経に問題があったり、痛みが強くて力が入りにくかったりしない限り、急に起こることはありません。
発疹やいぼなどの皮膚、爪(つめ)などの変化も、整形外科的な疾患では起こりにくいものの例として挙げられます。
最後に、内科的疾患で痛みが出現する可能性がある場所を、部位別にまとめます。
右肩痛 |
肝臓、胆のう疾患 肺疾患 |
左肩痛 |
心臓疾患 肺疾患 胃疾患 脾臓疾患 |
背部痛 |
胃・十二指腸疾患 肺疾患 心臓疾患
|
腰痛 |
腎臓疾患 肝臓・胆のう疾患 腹部大動脈瘤 腸疾患 婦人科系疾患 |
股関節痛 |
腎臓疾患 婦人科系疾患 |
今回述べたように、整形外科的疾患に似たような症状でも、実は内科的疾患が原因であることがあります。そのような場合は、受診するべきは整形外科ではなく、内科です。
病院は万能ではありません。最終的にあなたの体を守るのは、あなた自身です。そのため、あなた自身が今回の記事に書いたような知識を有し、痛みに対して自分なりの考えを持つこと大切です。
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