砂糖が精神面に与える影響とは?甘いものに依存性がある理由
あなたは「砂糖が体に悪い」という話を聞いたことがあるのではないでしょうか?
砂糖を摂り過ぎると、さまざまな病気を発症しやすくなります。例えば、糖尿病は砂糖を過剰に摂取すると発症リスクが高まる病気の代表的なものです。
そして、お菓子やアイスなどに大量に含まれている砂糖の問題は、肉体的なものだけではありません。砂糖は、あなたの精神面にも大きな影響を及ぼし、「依存」という状態を引き起こす原因になります。
そこで今回は、「砂糖が精神面に及ぼす影響」について解説します。
砂糖が依存性
砂糖は、お菓子やケーキ、アイスといった甘いものだけでなく、多くの加工食品に含まれています。また、普段料理をしないほとんどの人は、どのくらい料理に砂糖が入っているかは、想像もつかないと思います。
さらに、毎日料理をしている人でも、既製品にどれほどの砂糖が使われているかを理解している人は少ないです。
スーパーなどで販売されている加工品には、あなたの想像を超える量の砂糖が含まれています。また、普段から飲んでいるジュースにも膨大な量の砂糖が入っています。
糖質が体に与える影響
さらに、多くの人が毎食食べる、ご飯やパンといった主食も、結局は「糖質」がメインであるため、体に対して砂糖と同じような影響を与えます。ほとんどの人は、このことを理解していません。
実際には、米であろうが砂糖であろうが、糖質です。
糖質は血糖値(血液中の糖分量を示す値)を上げて、「動脈硬化」を引き起こす原因になります。動脈硬化とは、動脈が硬くなってしまった状態です。そして、動脈硬化は、腎臓や神経、目などの全身の器官に悪影響を及ぼします。
多くの人は、砂糖(糖質)がこのような害を持っていることを知っています。それにも関わらず、砂糖の摂取を止めることができない人がほとんどです。
これは、お菓子などの一般的に言われる、「甘いもの」だけでなく、米やパンなども同様です。
糖質は依存性物質「ドーパミン」を作り出す
確かに、甘いものやご飯が好きな人には「甘いものを全く食べないなんて考えられない」という人も少なくありません。ただ中には、「体に悪いから止めようと考えているけど、どうしても食べてしまう……」と悩んでいる人も多くいます。
これには、糖質がもつ特性が関係しています。
糖質には、脳内の「脳内報酬系」と呼ばれるものを刺激する作用があります。そして、糖質によって活動が促された脳内報酬系は、「ドーパミン」と呼ばれる物質を分泌することで、幸福感を生み出します。
中には、「甘いものを食べると幸せ」という人がいますが、それは糖質がドーパミンの分泌を促しているために起こる感情です。
砂糖による幸福感に頼るのは薬物依存やギャンブル依存と同じ
ただ、このように砂糖によって幸福感を生み出しているのは、極端にいうと「薬物依存」や「ギャンブル依存」と同じような状態です。薬物やギャンブルも、砂糖のように脳内報酬系を刺激することで幸福感を作り出します。
そして、脳内報酬系を活動させる刺激(砂糖や薬物、ギャンブル)が無くなると、幸福感が消えてしまいます。そうなると、再び幸福感を味わうために、砂糖や薬物、ギャンブルに手を出して、無理やりドーパミンの分泌を促します。
このようにして、砂糖や薬物、ギャンブルの依存性は作られます。
さらに糖質は、脳内報酬系とは別に、「エンドルフィン」というホルモンの分泌を促します。エンドルフィンは脳内麻薬とも言われ、強い快感を生み出します。例えば、マラソンなどで、長距離走っていると気分が高揚してくる「ランナーズハイ」と呼ばれる現象は、エンドルフィンの作用によるものです。
このように糖質は、脳内に働きかけ、幸福感や快感を生み出すことで依存させます。
砂糖が気分に与える影響
ここまで述べたように、砂糖は依存性を作り出しやすい物質です。また、砂糖は気分の変動にも大きく影響します。
砂糖は血糖値を大きく変動させる
病院で「うつ」や「気分障害」と診断される人の多くは、血糖値の変動が原因と言われています。
血糖値の変動は、気分に大きく影響することが明らかになっています。具体的には、血糖値が上昇すると気持ちが高揚し、逆に低下すると、気分が落ち込むとされています。
糖質を摂取すると、血糖値は急激に上昇します。「高血糖(血液中に糖がたくさんある状態)」は、既に述べたように、動脈硬化などを引き起こす原因となるため、体にとって非常に危険な状態です。
そうしたことを避けるために、糖質を摂取して血糖値が急上昇すると、体には血糖値を急激に下げるような反応が起こります。
つまり、糖質を摂取した後には、体内で「急激な血糖値の上昇 → 急激な血糖値の低下」という反応が起こります。
血糖値の変動がうつやキレやすさを作り出す
また血糖値の低下は、空腹感を作り出して食欲を増進させます。そのため、さらに糖質を欲するようになります。そして、血糖値の変化によって作り出された空腹に従って再び糖質を摂取すると、血糖値の大きな変動を繰り返すことになります。
この血糖値の変化が、気分の波を作り「うつ」や「気分障害」を引き起こします。よく問題となっている「キレやすい」子供も、同様に血糖値の変動が影響していると言われています。
このように、糖質は依存性が強いだけでなく、気分の変化にも影響しています。
今回述べたように、糖質は、脳に幸福感や快感を作り依存性を生み出します。さらに、糖質を摂取すると血糖値が大きく変動し、その変化に伴って気分が高揚したり落ち込んだりします。
このような糖質の依存性は、麻薬に匹敵する程強いと言われています。そのため、止めるにはかなりの覚悟が必要です。しかし、糖質のさまざまな体への悪影響を考えると、糖質は最も制限すべき栄養素だといえます。
当然、いきなり完全に糖質を断つことは難しいです。ただ、お菓子などの甘いものを減らすことは可能です。
ぜひこうした砂糖が体に及ぼす悪影響を理解して、普段摂取している糖質量を減らすように心がけてください。そうすることが、あなたの不調を解消したり、体の健康を維持したりすることにつながります。
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