ダイエット 基本

目標を宣言することがダイエット成功につながる理由

ダイエットを行う上で、「目標」を立てることは重要です。ダイエットに限ったことではありませんが、何かを達成しようとするときには、目指すべきものを明確にしておくと、やるべきことが明らかになり、行動しやすくなります。
また、目標は立てるだけでなく、「宣言」することが大切です。人の心理には、「一貫性の法則」というものがあります。
これは、「自分が既にしてしまったことを一貫していたい」「他者に一貫性のある人物であると思われたい」という心理です。つまり、一度宣言したことに対しては、どうにかして一貫した行動を取るようにします。
年の初めに、会社の朝礼などで「今年の目標」を宣言する会社が多いですが、これは一貫性の法則を活用したものです。みんなの前で宣言することで、「約束(コミット)したことに伴った行動を取るように心理的に働きかけて、実際に目標を達成させよう」という意味があります。
こうした人間の心理を生かすことで、ダイエットを成功させることにつながります。
そこで今回は、「目標を宣言することがダイエット成功につながる理由」について解説します。

目標を宣言することの重要性

何かを行う際に、目標を明確にしておくことが大切であることは一般的に知られています。
例えばダイエットであれば、「1ヵ月後までに5キロ痩せる」「夏までにウエストを5センチ小さくする」といったように、具体的な目標を定めます。そして、決めた目標は心の中に止めておくだけでなく、紙に書いて貼ったり、誰かに宣言したりすることが推奨されます。
これは、人間に働く「一貫性の原理(法則)」と呼ばれる心理を応用したものです。
人には、「宣言したことと一貫していたい」「一貫した人物であると他者から見られたい」という心理があります。つまり、一度口に出したことは守りたいし、守るような人間であると思われたいということです。
そのため、人間は口に出してコミットしたこと(自分が決断したこと)に対しては、何かと理由をつけて正当化しながら行動するようになります。
例えば、会議の場面において、ある意見に対して一度反対の立場を取ったとします。そうした場合に、もし途中で「自分が間違っているかも……」と思っても、一貫性の原理によって「いや、自分の考えは間違えていない」「ここで意見を曲げたら皆からいい加減な人間だと思われる」という心理が働きます。
その結果、なかなか自分の意見を変えることができなくなります。
ダイエットを行う際にも、目標を宣言したり紙に書いて家の壁に貼ったりすることで、一貫性の原理が働きます。そのため、目標を誰かにコミットすることで、ダイエットは成功しやすくなります。
このように、ダイエットにおいて目標を立てて宣言することは、心理学的根拠に基づいたアプローチになります。

一貫性を保つことで得られるもの

人間には、「宣言したことを一貫させたい」という心理があります。これは、現代社会を効率的に生活するためにも役立っています。実際に、習慣に従って行動することは、さまざまな場面において最善となることが多いです。
例えば、あなたが普段から朝食には和食を食べていたとします。そうなると、もし旅行に行ってホテルのバイキングで朝食を食べることになり、和食と洋食のどちらかを選択できたとしても、いつもの習慣から和食を選ぶ可能性が高いです。
そして実際に、和食を選んだ方が無難であることがほとんどです。
もし普段と違った洋食を朝から食べてしまうと、脂っこいものやパンなどの小麦粉類を多く摂取することになります。そして、いつもと違ったものをたくさん摂った結果、体調を崩してしまうかもしれません。
その一方で、和食であれば、いつもと同じメニューであるため、そうした不調が生じる可能性は低いです。
また、普段の習慣に従うことで、「どっちが美味しいかな?」「体に良いのはどっちかな?」といったように、無駄に悩むことが無くなります。
こうした食事の例に限らず、現代はさまざまな情報があふれており、たくさんのことから選択を迫られる場面が多いです。一貫性の原理が働くことで普段の習慣を貫くことは、このような複雑な日常生活を効率的に過ごすために役立っています。

一貫性を保つ注意点

一貫性を保とうとする心理は、ダイエットを成功させるためだけでなく、効率的に生活するために欠かせません。ただ、こうした人間の心理を応用し、商品の販売などを行っている企業もいます。
そのことを理解しておかなければ、あなたは一貫性の原理を逆手に取られて、不必要な商品を買わされることになります。
例えば、おもちゃ屋では、そうした人間の心理を応用して店の売上を上げています。
おもちゃ屋さんは、クリスマス後の1月に商品が売れにくくなる傾向にあります。これは、クリスマスプレゼントを買った人たちが、その次の月には出費を抑えようとするためです。
そうした際に、おもちゃ屋さんはクリスマス前に、子どもが欲しがりそうなおもちゃを大々的に宣伝します。そして、子どもが親に対して「クリスマスには、このおもちゃが欲しい」と言うように仕向けます。親は、そのような子どもの要望に対して「イエス」と答えることになります。
ここでおちゃ屋は、クリスマスの前に宣伝した商品を、クリスマス前には少ししか卸さずに、売り切れの状態にします。つまり、宣伝を見てクリスマスプレゼントとして買いに来た人たちに対して、あえてその商品が買えないような状況を作ります。
その結果、目的とする商品を購入できなかった人たちは、仕方なく他のおもちゃをクリスマスプレゼントとして買うことになります。
そして、クリスマスが過ぎて1月になったときに、おもちゃ屋は再びクリスマス前に宣伝した製品をコマーシャルに流します。そうすると、一度子どもに対して「そのおもちゃを買ってあげる」と宣言した親は、一貫性の原理が働いてしまい、商品を購入しにおもちゃ屋に行くことになります。
このときおもちゃ屋は、クリスマス前と違い、大々的に宣伝した商品を大量に入荷します。その結果、クリスマス後の1月にも、大きな売上を上げることになります。
このように、一貫性の原理を応用して商品を販売している企業はたくさんあります。そして、中にはこうした人間の心理を悪用している会社もあるため、騙されないように注意しなければいけません。

一貫性の法則をダイエットに生かす具体的な方法

一貫性の法則は、生活を便利にするためには欠かせないものです。ただその一方で、そうした人間の心理が悪用されている場合もあります。
そして、一貫性の法則はダイエットに生かすことができます。
例えば、ダイエットの目標を、誰かに宣言したり紙に書いて貼ったりします。その結果、あなたには一貫性の法則が働くため、目標を達成しよう(コミットしたことを一貫させよう)という気持ちが強くなり、ダイエットを実行することにつながります。
以下に、一貫性の法則を使ってダイエットを成功させる方法の例を挙げます。
・SNSなどを使って大々的にダイエットすることを宣言する
・ダイエットジムに通って、トレーナーに目標を宣言する
・家族や友人に痩せることを宣言する
・毎日見える場所に目標を書いた紙を張っておく
・携帯電話の待ち受けに目標を載せておく
こうした工夫を行うことで、一貫性の法則が作用するため、あなたはダイエットで成功しやすくなります。
ただ、目標を宣言したことが、無理なダイエットや高額なダイエット商品の購入につながることもあります。そのため、目標を宣言する前に、正しいダイエットの理論と方法を理解しておくことが大切です。そうすることで、目標の宣言はプラスに働くようになります。
今回述べたように、人には「宣言したことに一貫性を保ちたい」という心理が働きます。ダイエットを行う際には、こうした一貫性の法則を上手く活用することで、より容易に成功できるようになります。
ぜひ目標をコミットすることで、ダイエットを成功させましょう。