脂質ダイエットによる体質改善

糖質制限によって不調が出現?糖質制限を行うべきでない人

ダイエットを成功させるためには、糖質制限が欠かせません。糖質は脂肪蓄積を促す「インスリン」と呼ばれるホルモンの分泌を促進するためです。

 

広く取り入れられているカロリー制限では、カロリーが高い脂肪の摂取を控えます。しかし実際には、脂肪を抑えるよりも糖質の摂取量を減らした方が健康的に痩せることができるのです。

 

ただ糖質制限を行って、めまいや脱力感、倦怠感といった不調が出現する人も存在します。そして、そうしたトラブルが原因で糖質制限を批判する人も多いのです。

 

しかし、糖質制限で不調が出現した場合には必ず理由があります。体の状態によっては、糖質制限を行うべきでない人もいるのです。

 

こうしたことからも、糖質制限を実践する際には、糖質制限によって不調が出現するメカニズムについて理解しておく必要があります。

 

そこで今回は、「糖質制限を行うべきでない人」について解説します。

 

糖質制限をしても低血糖が起こらない理由

糖質制限には、食後における血糖値(血液中の糖分量)の上昇を抑えるというメリットがあります。つまり、糖質の摂取量を控えると「血糖値の変動が小さくなる」ということです。

 

ただ一般的には「糖質制限をすると血糖値が保てずに低血糖を起こす」と考えられています。

 

しかし実際には、糖質を制限しても低血糖にはなりません。血液中の糖分量は、食事に含まれる糖質で保たれているわけではないためです。

 

血糖値は食べ物の糖質で保たれているわけではない

一般的に「血糖値は炭水化物などの糖質を多く含む食品を摂ることで維持されている」と考えられています。ただ基本的に血糖値は、食事によって保たれているわけではありません。

 

確かに、糖質を多く含む食品は血糖値を上昇させます。しかし、糖質の摂取は血糖値を上げるだけであり、空腹時の血糖値を維持することには関与していないのです

 

例えば私であれば、安静時(空腹時)の血糖値は80台ですが、イモ類などを含む味噌汁を食べるだけで血糖値は100を超えます。さらに、パンを食べると血糖値は140を超えるまで上昇するのです。

 

ただ、1日糖質を摂らなくても、空腹時の血糖値が80を下回ることはありません。

 

つまり、糖質を含む食品は血糖値を上げはするものの、最低限必要な血糖値を維持するためには必須ではないのです。

 

肝臓による糖新生

血糖は体のエネルギーとなるため、生命を維持するために必要です。特にエネルギー源として血糖(ブドウ糖)しか利用できない「赤血球」は、血糖値が下がってしまうと上手く働かなくなります。また脳も、赤血球ほどではないもののエネルギー源をブドウ糖に頼っているため、低血糖になると影響を受けます。

 

ただそうはいっても、空腹時の血糖値が80を上回っていれば赤血球や脳が活動するための糖分量としては十分です。

 

そして、こうした空腹時の血糖値は、食事による糖質摂取ではなく、肝臓における「糖新生」と呼ばれるメカニズムによって維持されています。

 

糖新生とは、脂肪やタンパク質、乳酸などからブドウ糖を産生する仕組みです。具体的には、以下に記す3つのメカニズムによってブドウ糖を作り出して、血糖値を維持します。

 

・脂肪組織 → グリセロール → 肝臓 → 糖新生 → ブドウ糖(血糖) → 筋肉、脂肪細胞

 

・タンパク質 → アミノ酸 → 肝臓 → 糖新生 → ブドウ糖(血糖) → 筋肉、脂肪細胞

 

・ブドウ糖代謝 → 乳酸 → 肝臓 → 糖新生 → ブドウ糖(血糖) → 筋肉、脂肪細胞

 

以上のように、肝臓における糖新生では、食事で糖質を摂取しなくても脂肪やタンパク質からブドウ糖を作り出すことができます。

 

体には、こうしたメカニズムが備わっているため糖質制限をしても低血糖症にはならないのです。

 

<関連記事>
糖質制限で低血糖症が起こらないメカニズム

 

糖質制限を行うべきでない人

ここまで述べたように、通常であれば糖新生によって空腹時の血糖値は維持されているため、糖質制限を行っても低血糖症を発症することはありません。ただ、中には空腹時の血糖値を保てないような状態の人がいることも事実です。

 

空腹時の血糖値が維持できない人は、食事から摂取する糖質で血糖値を保っています。そのため、そうした人たちが糖質制限をすると、エネルギー源としてブドウ糖を多く利用している脳や、完全にブドウ糖に依存している赤血球にエネルギー不足が生じてしまうのです。

 

そして、空腹時の血糖値が保てない主な原因は「糖新生ができない」「インスリンが過剰に分泌されている」という2つが挙げられます。

 

糖新生ができない2つの原因

既に述べたように、空腹時の血糖値は主に肝臓における糖新生によって保たれています。そのため、糖新生が上手く行われない状態であれば、空腹時の血糖値が維持できないのです。

 

 ・副腎疲労症候群
糖新生が阻害される一つの原因として「副腎疲労症候群」があります。副腎疲労症候群(アドレナルファティーグ)とは、副腎の働きが悪くなる病気です。副腎疲労症候群に関しては「副腎疲労症候群(アドレナルファティーグ)とは:病態、症状」に詳しく書いています。

 

副腎疲労症候群になると、糖新生を促す「コルチゾール」と呼ばれるホルモンの分泌量が少なくなってしまうため、糖新生が起こりにくくなるのです。

 

例えば、何かの原因で血糖値が80以下に下がってしまったとします。通常であれば、体は低血糖症を防ぐために副腎に働きかけてコルチゾールの分泌を促します。そうすることで、糖新生を誘発して血糖値を維持するのです。

 

ただ、副腎疲労症候群になると、こうしたコルチゾールの分泌が起こりにくくなるため、血糖値が保たれなくなります。

 

こうしたことから、副腎疲労症候群の人は、急に糖質制限をすると低血糖症を引き起こす可能性が高いのです。

 

 ・肝臓疾患
また、糖新生は肝臓で行われます。当然ながら、肝硬変などの肝臓疾患がある場合にも、糖新生が起こりにくくなります。

 

血糖値を下げる要因が大きい

さらに、インスリンには血糖値を下げる作用があるため、インスリンが過剰に分泌されている場合にも空腹時の血糖値を維持することができません。

 

例えば、普段から糖質を過剰に摂取している人は、体内で大量のインスリンが作られています。そしてこうした人たちの体内では「糖質を摂取して血糖値が上昇するものの、反動でインスリンが大量に分泌されて、逆に血糖値が下がり過ぎてしまう」という反応が起こるのです。

 

このような、糖質の過剰摂取による大量のインスリン分泌によって起こる低血糖は「反応性低血糖症(機能性低血糖症)」と呼ばれます。

 

また「インスリン抵抗性」がある人は、体内のインスリン量が高い状態となっているため、急な糖質制限をすると低血糖症を引き起こす可能性があります。インスリン抵抗性とは「インスリンの効きにくさ」を指す言葉です。

 

インスリン抵抗性によってインスリンの効きが悪くなると「血糖値上昇 → インスリン分泌 → インスリン抵抗性 → 血糖値が下がらない → インスリン分泌……」というように、どんどんインスリンが合成されて、体内のインスリン量が増えてしまうのです。

 

その結果、空腹時の血糖値が下がり過ぎて低血糖状態に陥りやすくなります。

 

ちなみに、こうしたインスリン抵抗性は、2型糖尿病やメタボリックシンドロームの人に起こりやすい傾向にあるため、これらの疾患を患っている人は注意が必要です。

 

その他にも、アルコールやカフェイン、タバコなどの過剰摂取も、低血糖症を起こす原因となります。低血糖症に関しては「低血糖症の原因と精神症状・身体症状が出現するメカニズム」に詳しく記載しています。

 

このように、血糖値を維持できないような状態にある人は、急な糖質制限を避けるべきだといえます。

 

糖質制限によって起こりやすい不調

血糖値が維持できない人が糖質制限を行うと、さまざまな不調が出現します。既に述べたように、脳や赤血球は低血糖による影響を受けやすい器官です。そのため、低血糖症になると、脳や赤血球に関連した症状が現れます。

 

具体的には、以下のような症状が出現する可能性があります。

 

精神症状 身体症状

・イライラ
・抑うつ
・感情が抑えられない
・不眠
・引きこもり
・感情が乏しくなる
・完璧主義
・幻聴・幻覚

・頭痛、冷え、ふらつき
・動悸
・手足のふるえ
・朝の倦怠感
・筋肉痛
・甘いものを欲する
・慢性疲労
・関節炎、アレルギー、湿疹
・ため息、生あくび

 

以上の症状が認められる場合には、糖質制限によって低血糖となっている可能性があるため注意が必要です。

 

糖質制限を行うべきでない人の対処法

糖新生が上手く行えない状態にある人やインスリンの過剰分泌が起こっている人は、糖質制限を実施する際には注意しなければいけません。ただそうはいっても、こうした問題を抱えた人たちでも、糖質制限を実践することは可能です。

 

以下に、それぞれのパターンにおける糖質制限中に起こる低血糖への対処法について記します。

 

糖新生ができない人

副腎疲労症候群や肝臓疾患などにおいて糖新生が上手く行えない人は、まず副腎疲労症候群や肝臓疾患の治療を行うことが大切です。糖新生を妨げている原因疾患が治癒すれば、糖質制限を行っても問題ありません。

 

ただ、糖質の過剰摂取が副腎疲労症候群や肝臓疾患を招いているケースも少なくありません。そうした際には、これらの疾患を治療するために糖質量を制限する必要があるのです。

 

そうはいっても、副腎疲労症候群や肝臓疾患があると、急な糖質制限を行うと低血糖症を招いてしまいます

 

そのため、副腎疲労症候群や肝臓疾患のために糖質制限を行わなければいけない場合は、「複合性炭水化物」を摂取することで血糖値を保つように工夫することが大切です。

 

複合性炭水化物とは、玄米やイモ類といった穀物などのことを指します。それに対して、砂糖や生成された炭水化物は「単純炭水化物」と呼ばれます。これらは、どちらも炭水化物であるため、血糖を維持するために役立ちます。

 

ただ、単純炭水化物は、食べた後にすぐに血液中に吸収されるため急激に血糖値を上昇させます。その一方で複合性炭水化物は、単純炭水化物と比べて構造が複雑であるため、消化して吸収するまでに時間がかかるのです。

 

つまり、複合性炭水化物は急に血糖値を上げない食べ物だといえます。

 

こうしたことから、副腎疲労症候群や肝臓疾患などで糖新生が上手く働かない人は、複合炭水化物を摂取しながら血糖のコントロールを行うことが大切になります。

 

血糖値を下げる要因が大きい人

糖質の過剰摂取やインスリン抵抗性によって低血糖症が起こる人は、糖質制限をすることが重要になります。糖質の摂取がインスリンの過剰分泌を招いているためです。

 

ただ、このときにもいくつか注意しなければいけないことがあります。

 

例えば、これまで過剰に糖質を摂取していた人は、血糖値をコントロールする機能が障害されている可能性が高いです。そのため、急に糖質制限をすると、低血糖症を引き起こしやすくなっています。

 

そうしたことを避けるためにも、まずは単純炭水化物の摂取から控えるようにすることが大切です。複合炭水化物を使って血糖のコントロールが上手くいくようになってから、糖質制限を進めていくことで、少しずつ血糖コントロール能力が回復してくるようになります。

 

また、インスリン抵抗性がある人は、糖質制限だけではインスリン抵抗性が改善しないケースが多々あります

 

そのため、インスリン抵抗性によって高インスリン状態となっている場合には、インスリン抵抗性に対する治療を行う必要があるのです。インスリン抵抗性に対する対処に関しては「なかなか痩せない原因について解説:インスリン抵抗性の解消法」に詳しく書いています。

 

このように、糖質制限を行うべきでない人であっても、やり方を工夫することで糖質制限を実施できるようになります。

 

今回述べたように、糖質制限を行って不調が出現する場合には、必ず原因があります。そのため、糖質制限によって体の調子が悪くなったときには「なぜ不調が現れているのか?」ということを考えて、適切な対処を行うことが大切です。

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