ダイエット 糖質制限

ダイエットに必要な体のエネルギー源に関する基礎知識

あなたは、体を動かすエネルギーについて理解しているでしょうか?
ダイエットには、エネルギー源を取り入れるための食事を制限したり、エネルギーを消費する運動を増やしたりすることがつきものです。
このような理由からも、ダイエットを成功させるためには、エネルギー源に関する正しい知識を持っておくことが大切になります。エネルギー源に関して誤った解釈をしたままダイエットを実行すると、エネルギー源の不足が起こり、さまざまな不調が生じてダイエットに失敗することになります。
そうしたことを避けるためにも、ダイエットを成功させるには、エネルギー源に対する正しい認識を持っておくことが重要です。
そこで今回は、「体のエネルギー源に関する基礎知識」について解説します。
エネルギー源に関して間違いやすいことや、エネルギー源となる物質、エネルギー源の選択基準、エネルギーに影響する因子などを理解しておくことで、健康的かつ効果的なダイエットを行えるようになります。

ダイエット時のエネルギー源に関する間違い

一般的によく知られているエネルギー源は、「ブドウ糖」です。ブドウ糖は、ご飯やパンなど、食事の主食となる炭水化物(糖質)から作られるものです。
多くの人は、体が疲れていたり頭が回らなかったりするなど、いわゆる「エネルギー(カロリー)不足」といわれる状態になると、糖分が足りないと考えます。これは、特に「脳のエネルギー源は糖のみである」という認識から起こる思考です。
しかし実際には、脳は糖以外もエネルギー源として利用できます。そのような事実を理解しておかないと、ダイエット中などに、誤った食事制限を行ってしまうことになりかねません。
体の中で、唯一ブドウ糖しかエネルギー源にできない細胞は、「赤血球細胞」です。赤血球細胞は、糖以外からエネルギーを生み出すことができません。ただ、赤血球に必要な糖分量は、食事で糖を摂取しなくても、肝臓によって作られます。
肝臓では、タンパク質や脂質などの糖質以外の栄養素を使って糖質を作り出します。こうした反応は専門用語で「糖新生」といわれます。
そして、赤血球細胞に必要な糖分量は、肝臓で行われる糖新生だけで十分足ります。
また、筋肉や内臓などの細胞は、ブドウ糖ではなく脂肪からエネルギー源を作り出すことができます。つまり、体の細胞活動を維持するためには、必ず食事から糖分を補給する必要はありません。
こうしたことから、「食事で十分な糖分量を摂らなければ、エネルギー不足の状態となる」という考えは、正しくないと言えます。

ダイエット時にエネルギー源となる栄養素

体の主なエネルギー源は、炭水化物(糖質)を構成している「グルコース」、脂肪から得られる「遊離脂肪酸」、タンパク質の原料である「アミノ酸」の3つになります。
そのため、食事ではこれら「3大栄養素」と呼ばれる糖質、脂肪、タンパク質を摂るることが大切です。もし食事を制限することでエネルギー源となる栄養素の摂取量が不足してしまうと、エネルギーが足りず、体には何かしらの不調が現れます。
一般的には、こうした三大栄養素が主なエネルギー源として知られていますが、以下に示すものもエネルギー源となりえます。

ケトン体

肝臓によって、脂肪酸やアミノ酸から合成される物質です。脳のエネルギー源になるものであり特に食事から摂る糖質を制限している人にとっては、体の重要なエネルギー源になります

乳酸

筋トレや短距離走などの激しい運動である「無酸素運動」を行う時に、代謝産物として作られる物質です。乳酸は、肝臓で行われる糖新生において、糖を作り出す時の材料となります。

酢酸

酢酸は、胃腸などの消化管で炭水化物が発酵されるときや、肝臓や筋肉による遊離脂肪酸から作り出されます。
この他にも、食事中から得られるもので、エタノールやフルクトース、ガラクトースといったものも、エネルギー源となるものです。このように、一般的に知られているもの以外にも、多くの物質がエネルギー源として利用されています。
こうしたことを理解しておくと、ダイエットを目的とした特定の栄養素が足りないような食事制限を行う場合に、注意しなければいけないことなどが見えてきます。
例えば、糖質制限は、一般的に「脳のエネルギーが足りなくなるために避けた方が良い」と考えられています。しかし実際には、脳はケトン体もエネルギー源として利用できます。そのため、ケトン体の材料となるタンパク質と脂質を十分に摂取していれば、食事から摂取する糖質量を抑えても、脳がエネルギー不足になることはありません。
特にダイエットを行う際には、こうしたエネルギー源になる物質に関する知識を有していることが大切になります。

ダイエット成功のために理解しておくべきエネルギー産生システム

今まで述べたエネルギー源から、細胞を活動させるためのエネルギーを産生しているシステムは、主に2つあります。それは「ブドウ糖‐グリコーゲンシステム」と「脂肪酸‐ケトン体システム」です。ただ、多くの人は、前者のブドウ糖‐グリコーゲンシステムしか認識していません。
そこで以下に、それぞれのエネルギー産生システムについて記します。

ブドウ糖‐グリコーゲンシステム

ブドウ糖‐グリコーゲンシステムとは、主に食べ物に含まれる糖質(炭水化物)を分解することで得られる「ブドウ糖」を元にしてエネルギーを作り出すメカニズムです。

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糖新生によるエネルギー供給

また食べ物以外にも、肝臓や筋肉中に蓄積されているグリコーゲンの分解や、タンパク質や脂質を元に「糖新生」からも、ブドウ糖は作り出すことができます。
糖新生とは、タンパク質や脂質を原料にしてブドウ糖を作り出す仕組みのことをいいます。これは、食品から糖質を摂取しなくても、血糖値(血液中の糖分量)を維持するために備わっているシステムです。
つまり、食事から糖質を摂取しなくても、糖新生が正常に行われていれば、タンパク質や脂質によってブドウ糖が産出されるため、血液中の糖分量は維持されます
このように、「食べ物に含まれている糖質」や「肝臓、筋肉などに蓄積されているグリコーゲン」「糖新生」から作られたブドウ糖からエネルギー源を作り出すのが、ブドウ糖ーグリコーゲンシステムになります。

ブドウ糖-グリコーゲンシステムは本来補助的な役割

大半の人は、こうしたブドウ糖-グリコーゲンシステムから作られるエネルギーが、人間の活動を支えていると考えています。しかし、本来、ブドウ糖‐グリコーゲンシステムは補助的な役割しかありません
もし仮に、人間のエネルギー産生システムが、ブドウ糖‐グリコーゲンシステムだけに依存していた場合、体に蓄えられたエネルギー源だけでは1日も活動し続けることができません。体内(肝臓や筋肉)に蓄積されたブドウ糖は、激しい運動をすると1~2時間で全て消費してしまいます。
そのため、ブドウ糖-グリコーゲンシステムからのみエネルギーを作り出している場合は、常に糖質を摂取して血液中にエネルギー源となる糖分を補給する必要が出てきます。
特に、心臓は24時間常に活動してエネルギーを消費しているため、心臓がこのシステムに頼っていたら、いつ心停止するかわかりません。

ブドウ糖からしかエネルギーを作れないのは赤血球だけ

人体の中で、ブドウ糖以外からエネルギーを得ることができない細胞は、「赤血球細胞」のみです。よくブドウ糖が必要だといわれる脳は、脂肪酸の分解によって得られる「ケトン体」という物質からエネルギーを作り出すことができます。
また、赤血球細胞に必要なエネルギーの量は、既に述べた「糖新生」によって充分賄えます。糖新生によってブドウ糖を作るためには、糖質は必要ありません。
このように、人は食事から糖質を摂取しなくても活動するエネルギーを作ることができるのです。

脂肪酸‐ケトン体システム

一方、脂肪酸‐ケトン体システムは、食事や体脂肪の中性脂肪を分解して得られる「脂肪酸」と、脂肪酸をさらに分解すると生じるケトン体を元にしてエネルギーを作り出す仕組みです。

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人の中心的エネルギーは脂肪酸-ケトン体システム

人体の中心的エネルギー源は、ブドウ糖-グリコーゲンシステムではなく、こうした脂肪酸‐ケトン体システムで作られます。
既に述べたように、ブドウ糖‐グリコーゲンシステムに依存していると、体内に蓄積されている分だけであれば、数時間しかエネルギーを作ることができません。それに対して脂肪酸‐ケトン体システムは、体に蓄えられている分だけで、数ヵ月分のエネルギー源を生み出すことができます。
脂肪酸-ケトン体システムは、体に蓄積されている脂肪をエネルギー源としてエネルギーを作り出します。

脂肪はエネルギー効率が良い

ブドウ糖やグリコーゲンと比較すると、体にストックされている脂肪量は遥かに多いです。また、ブドウ糖は1グラム当たり4キロカロリーのエネルギーしか生み出すことができません。その一方で、脂肪は1グラム当たり9キロカロリーのエネルギーを産出することができます。
例えば、ブドウ糖と脂肪が、体内にそれぞれ10グラム存在していたとします。そうなると、ブドウ糖10グラムからは40キロカロリーのエネルギーしか作られないのに対して、脂肪からは90キロカロリーのエネルギーが生み出されます。
つまり、ブドウ糖と脂肪では、エネルギー源として使用できる量が同じであっても、脂肪の方が2倍以上のエネルギー量を作り出すことができます。
このように、脂肪酸-ケトン体システムによってエネルギーを作る場合には、そもそも体に蓄積されている脂肪量が多いため、食事に依存することなく安定してエネルギーを産出することができます。さらに、ブドウ糖と比較すると、1グラム当たりのエネルギー産生量が2倍以上であるため、非常に効率的なシステムであるといえます。

脂肪からのエネルギー供給であれば数ヶ月食事なしでも動ける

実際に、食事に頼ることなく活動すると仮定した場合、ブドウ糖-グリコーゲンシステムだけだと1日も動き続けることができません。
それに対して、脂肪酸-ケトン体システムを活用していれば、食事なしで数ヶ月間活動し続けることができるとされています。
そのため、誰であっても基本的な生活では、脂肪酸‐ケトン体システムによってエネルギーが供給されています。そして、激しい運動時もしくは食事で血糖値が上昇した場合にのみ、ブドウ糖‐グリコーゲンシステムが使われています。
このように、体のエネルギーはさまざまな物質やメカニズムから作られます。ダイエット中の食事制限を行う際には、こうしたことを理解しておく必要があります。

エネルギー産生システムは何を基準に選ばれるのか?

体を動かすためのエネルギー源となる物質や、エネルギーを産生するシステムは複数あります。こうしたエネルギー源やエネルギー産生システムは、エネルギーを作り出す組織や、血糖値の状態によって、利用される物質やシステムが異なります。
そこで以下に、エネルギー源とエネルギー産生システムの選択に関わる要素について記します。

組織による違い

同じ一つの体であっても、組織によって利用しやすいエネルギー源が異なります。例えば、健康の世界では「脳はブドウ糖しか使うことができない」と説があります。しかし、正確には、ブドウ糖以外にも脳のエネルギー源となる物質はあります。

ミトコンドリアがない赤血球はブドウ糖しかエネルギーとして使えない

すでに述べたように、脳はケトン体もエネルギー源として利用することができます。一方、赤血球はエネルギー源として、ブドウ糖しか利用できません。
これは、赤血球細胞にミトコンドリアが存在しないことが原因です。脂肪を使ったエネルギー産生には、ミトコンドリアの働きが欠かせません。そのため、ミトコンドリアがない赤血球は脂肪をエネルギー源にできず、糖質にエネルギー源を依存しているのです。
このように、組織によって利用しやすいエネルギー源は異なります。そこで以下に、組織ごとに使いやすいエネルギー源についてまとめます。

糖、ケトン体

筋肉

糖、脂肪、、タンパク質、ケトン体

肝臓

タンパク質、脂肪、糖、アルコール

腎臓皮質

糖、脂肪、ケトン体

腎臓髄質

褐色脂肪組織

脂肪

白色脂肪組織

脂肪

小腸

タンパク質、ケトン体、さまざまな燃料

大腸

脂肪、アミノ酸、糖、さまざまな燃料

赤血球

リンパ球、マクロファージ

タンパク質、糖、脂肪、ケトン体

表で示したように、それぞれで利用しやすいエネルギー源は異なります。そして注意すべきことは「ほとんどの組織が糖以外からもエネルギーを生み出すことができる」ということです。

肩甲骨を動かすと痩せやすくなる理由:褐色脂肪細胞

また話は変わりますが、「肩甲骨を動かすと脂肪が燃焼されやすい」ということがいわれています。このことにも、組織別によるエネルギー産生の特徴が関係しています。
肩甲骨の間の組織には、「褐色脂肪細胞」と呼ばれる細胞が豊富に存在します。褐色脂肪細胞は、脂肪しかエネルギー源として利用できません。そして、肩甲骨をしっかり動かすと、褐色脂肪細胞が刺激されます。
その結果、褐色脂肪細胞の活動が活発になり、効率的に脂肪が燃焼されるということです。

最低限必要な糖は糖新生で補われる

また、既に述べた赤血球や腎臓髄質などは、糖からしかエネルギーを得ることはできません。しかし、ここで必要な糖質は、タンパク質や脂質を材料に糖を作り出す糖新生によって生体内で生産できます。そして、体に必要とされる糖分量は、糖新生だけで十分補えます。
そのため、繰り返すことになりますが、「エネルギーが不足しているからといって食事から必ず糖質を摂取しなければいけない」ということはないのです。
このことも、組織によってエネルギー源として利用できる物質が違うことが関係しているのかもしれません。

血糖値の状態による違い

既に述べたように、エネルギー源として利用される物質は、組織によって異なります。また、エネルギー産生システム(エネルギー源)は、エネルギーを作り出す組織だけでなく、食後や食前などの条件の違いによっても大きく変わります。
具体的には、基本的に利用されるエネルギー源は、血液中の糖質量(血糖値)によって決まります。

血糖値が高いとエネルギー源としてブドウ糖が優先して使われる

食事で糖質を摂取した後は、糖質が血液中に吸収されるため、一気に血糖値が上昇します。そして、約4時間をかけて、元の値に戻っていきます。
人の体にとって、血糖値が高いことは、危険な状態といえます高血糖では、血管が損傷されやすいことがわかっており、これがきっかけに「動脈硬化」起こります。また、血糖値が上がっている状態は、老化やがんの原因と言われている、「酸化ストレス」も強くなっています。
そのため、血糖値が高い場合には、優先的に血液中の糖をエネルギー源として利用することで、血糖値を下げようとする反応が起こります。

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血糖値が低いとエネルギー源として脂肪が優先して使われる

一方、食事で糖質を摂取しなかった場合や、食後4時間経った後では、血液中には糖が余分に存在していません。そして、このときに残っている血液中の糖は、赤血球などの糖しかエネルギー源にできない細胞にとっての貴重なエネルギー源になります。
つまり、このときは「血液中の糖はできるだけ、赤血球や腎臓髄質以外の細胞の活動には利用したくない状況にある」といえます。そのため、血液中に余分な糖分量が存在していないときは、脂肪やケトン体といった他のエネルギー源が優先的に使われるようになります。

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このように、エネルギー源として利用される物質は、血液中に含まれる糖分量(血糖値)によって異なります。
このことを知っておくと、「どのような場合に運動をすると脂肪が燃焼しやすいのか」「食事ではどのようなことに気をつければ脂肪がエネルギー源として利用されやすいのか」など、ダイエットに役立つアイデアが浮かんでくるはずです。

ダイエット中のエネルギー消費に影響する因子

エネルギーの消費には、さまざまな要因が関係します。既に述べたような、組織や血糖値は、エネルギー産生に大きく影響する代表的な要素です。エネルギーの産生に関係するということは、エネルギーの消費にも影響することになります。
また、組織の違いや血糖値以外にも、エネルギー消費に影響している要因はいくつかあります。そこで以下に、エネルギー消費に影響する因子について述べます。

身体の大きさ

身体のサイズは、基礎代謝量に影響を及ぼします。基礎代謝の半分以上は、身体の大きさによって決定しています。
例えば、体重に10kgの差があると、成人男女の基礎代謝量において、1日当たり120キロカロリーの違いが生じます。

体組成

体組成とは、体を構成している物質の割合のことを言います。例えば、「体の何パーセントがタンパク質によって作られており、脂肪は何パーセントを占めている」といったものです。
この体組成の違いによっても、消費するエネルギーは変動します。
そして、体組織の中で、一番エネルギーの消費に影響している要因は脂肪組織の割合です。一般的に脂肪組織は、代謝速度(エネルギーを消費する速度)が遅くなりがちです。そのため、脂肪組織が多いと、エネルギー消費は少なくなります。

年齢、性別

年齢や性別も、エネルギー消費に影響を及ぼします。例えば、幼児では体温維持にエネルギーがより多く利用されますし、子供では、体の成長にエネルギーが使われます。そのため、子どもは必然的に消費エネルギーが高くなります。
また、成人では脂肪量が増加したり筋肉量が減少したりすると、エネルギー消費量が低下します。
また、男性と女性では、一般的に男性の方が、基礎代謝量は高い傾向にあります。

食事

食べることは、直接的にエネルギーの消費を促します。これは、「食後熱産生」と呼ばれる現象が関係ししています。食後熱産生とは、「食後数時間にわたって、エネルギー消費が増える反応」のことを言います。
そのため、ある程度までの食事量を増やすことは、エネルギー消費を高くしますが、低栄養の食事では、逆にエネルギー消費量は低下するのが一般的です。

気候

気候は、体温の維持に影響することでエネルギー消費に関係します。通常、25℃以下の気温では、体温維持のために「寒冷誘導熱産生」と呼ばれる反応によって、熱を生み出します。一方30℃以上では、発汗作用のためにエネルギーが必要であるため、エネルギー消費量が増加します。
つまり、寒くても暑くても、エネルギーの消費量は高くなるということです

遺伝

エネルギー消費に関する遺伝的な影響は、多くの研究で明らかになっています。そのため、生まれつき太りやすい体質というものは存在するいえます。具体的には、それぞれの体質によって、代謝量の差が生まれます。

ホルモン状態

ホルモンの状態は、代謝に大きく影響します。特に「甲状腺ホルモン」は、代謝を向上させ、エネルギー消費を大きくすることで有名です。そのため、甲状腺ホルモンの分泌が障害されている場合は代謝が低くなるため、太りやすくなります。
また、女性における月経周期によっても、代謝量はわずかに変動します。一般的には、排卵直後に代謝が高くなります。
さらに、妊娠初期では基礎代謝はわずかに減少しますが、妊娠後期には高い状態を維持します。

心理的状態

心理的な変化も、エネルギー消費に影響を及ぼします。例えば、急な恐怖や不安は、代謝を亢進させる「エピネフリン」というホルモンの分泌を促します。そのため、結果的に、エネルギー消費が高くなります。
ただ、日常生活において、仕事中にかかるストレスは慢性的なものが多いです。慢性的なストレスが、エネルギー消費にどのような影響を与えるかについては、現在、はっきり分かっていません。

薬理学的物質

カフェインやニコチンなども、代謝に影響を与えます。カフェインやニコチンは、エネルギー消費量を増加させます。その一方で、高血圧薬である「β遮断薬」と呼ばれる薬は、エネルギー消費を減少させます。

病気の進行

腫瘍や発熱、皮膚の火傷などは、代謝速度を増加させるため、エネルギー消費量を高くします。このように、病気によっても、エネルギー消費量は変化します。
このように、組織や血糖値以外にも、さまざまな要因がエネルギーの消費には影響しています。
今回述べたように、体のエネルギーについて理解するためには、エネルギー源となる物質や、エネルギーを生み出すシステム、エネルギー消費に影響する因子など、さまざまなことを学ぶ必要があります。
そして、こうしたエネルギーに関する基本知識を知ることが、ダイエットを成功させることにつながります。