その他の症状

むくみが起こる原因:内科的疾患、循環障害、自律神経障害

むくみは、多くの人が悩まされる症状です。特に高齢者やデスクワークの女性でよく見られ、さまざまな問題に影響しています。手足の痺れや、動かしにくさなどは、むくみが原因で生じるものの代表例です。
また、むくみは短時間で治まるような一過性のものと、病気などによって起こるものがあります。そのうち、顔や足などの特定部位に起こり、起床後1時間程度で消えるむくみは、あまり心配いりません。
そのような場合、病気の心配はいりませんが、むくみによる症状は出現しています。そして、むくむということは、体に何かしらの不調が起こっている証拠です。そのまま放置しておくと、大きな問題に発展する可能性があります。
そこで今回は、むくみの原因について解説します。
 病気で起こるむくみ
むくみは、何かしらの病気があって起こる場合があります。そもそもむくみは、水分のコントロールがうまくいかないことで生じます。そのため、体の水分調節に関係する機能が障害されるとむくみます。
体内の水分は、血液とリンパ液、組織液、体腔液の4つで構成されます。これらのうち、血液とリンパ液については、どんなものかが想像しやすいかと思います。
組織液とは、血液の外にあり、細胞と細胞の間を満たすものです。一方、体腔液は、肺がある胸腔や、消化器などの内臓が入っている腹腔といったような、体の空間に存在する液です。他にも関節内にある、関節液なども体腔液に含まれます。
体の約60パーセントは水であり、そのうちの約3分の2が細胞内にあります。残りの3分の1が細胞外にあり、そのうちの4分の1が血液で、残りが組織液になります。
むくみは、組織液が増えることによって起こります
体液は、心臓などの「循環器系」や肝臓、腎臓、リンパ管などがお互いに作用し合って調整されます。そのため、このような器官に問題が生じると、むくみが生じます。そして、それぞれに症状の特徴があります。
例えば、心臓病では、午後に下半身がむくみ、腎臓病では、まぶたや手などに症状が出ます。また肝臓病では、「腹水」が生じます。
両下肢がむくむ場合は、うっ血性心不全やネフローゼ症候群(腎臓病)、肝硬変やがんなどの慢性的な体力や免疫の低下が原因となります。一方、片足だけのケースでは、静脈に問題があることが多いです。
このように、水分調節に関わる器官に問題がある場合は、その病気の治療が必要になります。
 病気以外で起こるむくみ
病気以外で起こるむくみのほとんどは、「リンパ」の問題で起こります。先ほども述べたように、体内における水分コントロール不足によって、組織液が異常に増えるために、むくみが生じます。また、組織液の多くは、リンパによって排泄されます。
リンパには、組織で不要になったものを、血液内に戻すという役割があります。
そして、リンパの流れは、筋肉の収縮によって促されます。リンパには、心臓のように血液を送り出してくれる機能がありません。つまり、筋肉が十分に働かないと、リンパ液の流れは悪くなるのです。
そのため、筋肉が衰えていたり、デスクワークなどで筋肉を使わなかったりすると、リンパ液の流れは障害され、むくみが起こります。
また、自律神経などに問題があり、発汗などの体温調節がうまくいっていない場合にも、体内の水分量が増え、それがむくみの原因になります。このような体温調節機能の問題は、水分のとり過ぎや、日常的にエアコンの効いた環境にいることで起こります。
体の自律神経機能が正常であれば、エアコンが効いた環境でも体は適応します。そのため、むくみは起こりません。しかし、1日中エアコンの効いた部屋で過ごすことを繰り返すと、そのことが自律神経の不調を引き起こす可能性があります。
このように、病気で起こるもの以外のむくみは、運動不足と自律神経の不調、環境の問題が原因になります。
そして、環境に関しては、あなた自身が調整することは難しい場合が多いです。そのため、むくみの解消には、適度な運動や、規則正しい生活習慣によって、筋力を鍛えたり、自律神経を整えたりすることが大切です。
もちろん、病気によって生じるむくみは、専門の治療を受ける必要があります。先ほど述べたような特徴がある場合は、まずは専門家に相談することが大切です。