体の機能

体温と免疫の関係性を学び障害の予防に生かす

健康のためには、「体温が高いことが大切である」ということは誰もが知っていることです。細胞が活動するためには、一定の体温が必要です。体温が一定以上に低下すると、細胞は生きることができません。そのため、体温の低下はさまざまな病気と関係しています。
体温の低下で起こる問題に、体の免疫機能の低下が挙げられます。いわゆる「免疫力」と呼ばれるものです。
そこで今回は、体温と免疫の関係性について解説します。
 正常な体温
体の細胞が生存するためには、体温が必要です。高すぎても低すぎても、細胞の働きは悪くなります。細胞の活動に最も適した体温は36.5~37.0℃と言われています。
昔は、日本人の平均体温も36.8℃というように、細胞が活動しやすい体温だったとされています。しかし、現代では、ほとんどが36.0℃前後、低い人では35℃未満の人もいます。このように、以前と比較して低体温の人が圧倒的に多くなっているのです。
これには、生活環境の変化が影響しています。現代では、エアコンなどで外部環境が常に整っています。そのため、現代人の体の体温調節機能は弱くなっています。
さらに、食生活の変化や夜型生活など、生活習慣の不摂生も、体温が低下している原因です。
 体温と免疫の関係
体温と免疫機能には密接な関係があります。そのため、体温は誰でも手軽に測定できる、免疫機能の指標になります。
先ほど述べたように、最も細胞の活動が活発になるのは、36.5~37.0℃です。免疫機能が最大になるのも、この状態の体温です。そして、体温が1℃下がると、免疫機能が30パーセントも下がると言われています。一方、体温が1℃上がると、免疫機能は5~6倍になるとされています。
体温の低下は、血液の流れを悪くします。これにより、全身の代謝が低下し、さまざまな問題が引き起こされます。
細胞に栄養が届かないと、細胞は活動できません。また、細胞に老廃物が溜まっていても、その働きは妨げられます。体温が低下した場合、このようなことが、全身のどこに起こってもおかしくありません。そのため、体温の低下はいろいろな症状を引き起こします。
その中でも、がんは、体温の体への影響を説明するときによく使われる病気です。がんは、体温が35.0℃で最も増殖し、39.3℃以上で死滅すると言われています。つまり、がんも体温に、大きく影響される病気ということです。
そのような理由から、がんの治療法には、温熱刺激を用いた治療もあります。
 体温の変化
体温は、さまざまな要因で変化します。その代表的なものが「日内変動」です。体温は、午前3~5時の間に最も低くなります。そして、その後は午後5時辺りまで上昇し続けます。最低体温と最高体温は1℃近く違います。
また、体温は年齢によっても異なります。誰でも感じることですが、赤ちゃんの体は温かいです。一方、年を重ねるごとに体温は低下するため、高齢者の体温は低いです。
体温の低下は、高齢者が病気にかかりやすい理由の1つになります。そのため、高齢者は、体温を維持するために、体温を作り出す筋肉の衰えを予防することが大切です。特に、筋肉の70パーセント以上は下半身にありますので、下半身の運動を行うことが重要です。
他にも、食生活の不摂生や薬剤の使用、ストレス、睡眠不足なども、体温の低下を招く原因になります。このように、体温はさまざまなものからの影響を受けているのです。
今回述べたように、体温を維持することは、体の健康の基本になります。そして、体温は多くの要素が組み合わさって作られます。そのため、低体温の人は、その原因が何にあるのかを見極め、改善することが大切です。