痛み・疼痛

目と頭痛の関係性:後頭下筋群が頭痛の原因となる理由

「パソコン作業などで目を酷使したら、頭痛が起こった」というのは、よくあることだと思います。しかし、目の疲れが頭痛とどのように関係しているのかを知っている人は少ないです。
そこで今回は、目と頭痛の関係について述べます。
 頭痛の原因
頭痛の原因の1つに、頭頸部周りにある筋肉の緊張が挙げられます。首周りの筋肉は、頭の皮膚や筋肉とつがっています。そのため、首周りの筋肉の硬さは、頭の皮膚と筋肉の柔軟性を低下させます。
筋肉が緊張するということは、筋肉が過剰に働いているということです。筋肉が収縮するためには、エネルギーが必要です。つまり、筋肉が緊張しているときは、通常以上のエネルギーが必要な状態と言えます。
体はエネルギーが不足すると、その場所に栄養を送り込もうとします。栄養は、血液によって運ばれます。そのため、血管を拡張することで、血流が増え、栄養が届けられます。
この血管の拡張を行う際に、分泌される物質は、血管を広げると同時に痛みを誘発します。緊張した筋肉に痛みがでるのはこのような理由からです。つまり、「筋肉の過収縮→エネルギー不足→血管拡張物質→血管拡張、疼痛」という流れで疼痛が出現します。
頭痛も同様で、首周りの筋肉の緊張に伴い、頭の皮膚や筋肉も硬くなります。その結果、エネルギーが不足し、血管の拡張と頭痛が生じるのです。
 後頭下筋群とは
頭と首の間(頭の付け根)には、小さな4つの筋肉があります。これらは「後頭下筋群」と言われ、上下2つの「頭斜筋」と「後頭直筋」の合計4つで構成されます。
この小さな筋肉群は、わずかな頭の動きを調整します。例えば、右側にあるものを見るとき、通常、目の動きだけでものを捉えます。しかし、対象物が視線だけでは確認できないところにあるときは、頚部の動作を加えて対象物を見ます。
頚椎を動かしたほうが、視野が広がることは理解できると思います。実際には、頚椎に運動が起こると、その上にある頭も動きます。
頭部には脳があります。人は本能で、脳や心臓など、生命維持に必要不可欠な臓器にはできるだけ負担をかけないようにする傾向があります。これは、生命を守るためです。そのため、極力、頚部を動かさすことを避けます。
そこで、視野を広げるために、頚部と頭が動こうとするのを制御するのが後頭下筋群というわけです。目を使う作業を行うと、頭が動かないように後頭筋群が制御に働くため、緊張が高くなります。その結果、頚部と頭の筋肉が硬くなり、頭痛が起こるということです。
また、後頭下筋群の下には、頚部の動脈や、頚部と後頭部に関係する神経が通っています。この頚部に関係する神経は、目の神経とつながっています
そのため、後頭下筋群の過緊張は、後頭部の痛みだけでなく、目のかすみや眼窩痛など、目に関連した症状を誘発します。逆に、目の使い過ぎは、神経を介して後頭部の痛みにつながります。
今回述べた内容を以下にまとめます。
・後頭下筋群は、目を使うとき、頭の動きをコントロールする
・後頭下筋群の下には、後頭部、頚部に関係する神経が通っている
・後頭下筋群の下を通っており、頚部に影響する神経は、目の神経ともつながっている
このように、目と後頸部、後頭部はさまざまなメカニズムで関係しています。そのため、目を酷使すると、頚部痛や頭痛を誘発する可能性があります。逆に、頚部の筋肉を使いすぎても、目のかすみなど、目と関連した症状が出る可能性があります。
デスクワークなどで、目をよく使う人で、頭痛がある場合、ケアすべきところは、頭頸部より目かもしれません。特に、目の疲れやかすみなどの症状がある人は注意が必要です。