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甲状腺ホルモンの作用機序:T4がT3へ変換されて細胞で作用する過程

kozyosen hormon

 

甲状腺ホルモンは「トリヨードサイロニン(以下T3)」「遊離トリヨードサイロニン(以下FT3)」「サイロニン(以下T4)」「遊離サイロニン(以下FT4)」など、さまざまな種類があります。

 

これらの違いは理解していても、甲状腺ホルモンが作られた後に、どのような過程でホルモンとして作用を発揮するかはイメージしにくいのではないでしょうか?

 

例えば、「甲状腺から分泌されたT4は、どのようにしてT3へ変換されるか?」といったことは、非常に難しいです。

 

ただ、甲状腺ホルモンが働くまでの過程を理解しておけば、甲状腺ホルモンに問題が生じたときに、原因を追究できるようになります。

 

そこで今回は、「甲状腺ホルモンの作用機序」について解説します。

 

T3、FT3、T4、FT4の違いについてわからないのであれば「甲状腺ホルモンに関する基礎知識:T3、T4とFT3、FT4の違い」を先に見てください。

 

甲状腺ホルモンの作用機序に関するまとめ

 

・FT4とFT3のうち、細胞内で作用を発揮するのは主にFT3
・FT4は細胞内に入るとT3へ変換されて甲状腺ホルモンとして作用する
・血液中のT3は、全体の20%が甲状腺から分泌されて、残りの80%はFT4が肝臓や腎臓、腸でT3に変換されたもの
・T4からT3へ変換されるためには、「チロキシン-5-デヨージナーゼ(iodothyronine deiodinase:以下D)」と呼ばれる酵素が必要
・甲状腺ホルモンが細胞で働くまでには、酵素やさまざまな臓器が関与している
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甲状腺ホルモン(Th)が働くまでの過程

甲状腺ホルモンが作用を発揮するためには、T4ではなくT3に変換される必要があります。

 

ただ、甲状腺で作られる甲状腺ホルモンの多くはT4です。そのため、甲状腺ホルモンは甲状腺から分泌された後に、複雑な過程を経てT3となって甲状腺ホルモンとして働くのです。

 

そこで以下に、甲状腺ホルモンが働くまでの過程について記します。

 

甲状腺から血液中へ

脳からTRH、TSHが作られた後は、甲状腺から血液中にT4とT3が分泌されます。そして、甲状腺から放出されたT4とT3の大半はタンパク質と結合します。

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具体的には、血液中にあるT4の約65パーセント、T3の約75パーセントがタンパク質と結合しているのです。

 

そして、タンパク質と結合していないわずかなFT3とFT4は、そのまま細胞内に入って甲状腺ホルモンとして働きます。

 

T4からT3が作られる過程

甲状腺から分泌されるT3は、血液中に存在するT3全体の約20パーセントです。残りの80パーセントは、T4から変換されて血液中に放出されます。

 

具体的には、肝臓と腎臓、腸の3部位でT4がT3へ変換されます。

 

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また、FT4が細胞内に入ってT3へ変換される経路もあります。

 

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このように、甲状腺で作られたT4は、さまざまな過程を経てT3へ変換されるのです。

 

*血液中でT3、T4からタンパク質が外れてFT3とFT4になる反応もあります。

 

なぜ肝臓と腎臓でT3が作られるのか?

ここまで述べたように、T3の大半は肝臓と腎臓で作られます。それでは、なぜ他の臓器ではなく肝臓と腎臓でT3が作られるのでしょうか?

 

それは、肝臓と腎臓にT4をT3へ変換するための「酵素」が存在するためです。酵素とは、体内で起こる反応を速める物質になります。つまり、必要な酵素が存在することで、スムーズに反応が起こるのです。

 

T4からT3に変換される反応が起こるときには、「D(チロキシン-5-デヨージナーゼ:iodothyronine deiodinase)1、2」という酵素が必要になります。D1、2が存在して、初めてT4がT3へ変換されるのです。

 

肝臓と腎臓には、D1がたくさんあります。そのため、血液中から肝臓や腎臓にT4が入ると、T3へ変換されるのです。

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ちなみに、D2は脳や下垂体、心臓、筋肉、脂肪、甲状腺に存在しています。そのため、酵素によってT4がT3へ変換されるイメージとしては以下の図のようになります。

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このように、肝臓と腎臓にはT4をT3へ変換する酵素が存在するために、T3が作られるのです。

 

肝臓内でT4がT3へ変換される過程

中でも、肝臓における甲状腺ホルモンの変換は重要になります。

 

ここからは、少し細かい話になりますが肝臓内におけるT4からT3への変換過程について解説します。

 

既に述べたように、血液中のFT4は肝臓に入ってT3へ変換されます。

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ただ、肝臓内での変換は、図に記しているように単純ではないのです。

 

具体的には、肝臓に入ったT4の60パーセントは、そのままT3へ変換されます。ただ、残りの40パーセントは、半分が「rT3(不活性型の甲状腺ホルモン)」に変換されて体外へ排泄され、残りの半分は腸を介してT3へ変換されるのです。

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図中にあるrT3やT3S、T3ACは、T4のように不活性型の甲状腺ホルモンになります。ただ、rT3は体外へ排出されますが、T3S、T3ACは腸内でT3へ変換されて甲状腺ホルモンとしての役割を果たすのです。

 

このように、T3の産生には肝臓や腎臓だけでなく、腸の働きも関係しています。

 

D3が活性化されるとLowT3になる

T4に関わる酵素には、D1.2だけでなく、D3も存在します。D1.2がT4をT3へ変換するのに対して、D3はT4を「rT3」にするのです。

 

 

既に述べたように、rT3とは不活性型の甲状腺ホルモンであり、甲状腺ホルモンとしての役割を果たしません。つまり、D3によってrT3が多くなると「甲状腺では甲状腺ホルモンが作られているのに、ホルモンとしての作用が発揮されていない」という状態になるのです。

 

そうなると、血液検査でT4は正常値(甲状腺でT4は作られるため)なのにT3だけが低値となってしまいます。

 

こうした状態を「LowT3症候群」といいます。LowT3症候群になると、TSHやT4の値は正常なのに体温の低下や倦怠感、脱毛など、甲状腺機能低下症の様な症状が出現してしまうのです。

 

このように、D3が活性化されてrT3が増えると、LowT3症候群と呼ばれる状態になります。

 

<関連記事>
LowT3症候群とは?LowT3症候群の原因から症状、対処法まで全て解説

 

今回述べたように、甲状腺ホルモンが細胞で作用を発揮するまでには、酵素や複数の臓器が関与しているのです。甲状腺ホルモンについて考えるときには、こうしたことまで知っておくと、より深く理解できるようになります。


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