ダイエット 豆知識

生理前に甘いものを食べたくなるのは鉄不足が原因?

生理前って甘いものが食べたくなりますよね?ただ、「生理前は食欲が増す」というのは一般的であるため、「しょうがないか……」と思っていませんか?
しかし、生理前に甘いものが食べたくなるのには明確な原因があります。特に、鉄やビタミンBなどの栄養が不足している場合には、生理前に甘いものが食べたくなるのです。
そこで今回は、「生理前に甘いものが食べたくなる原因」について解説します。

生理前の甘みに対する食欲は鉄不足が原因?

普段甘いものを欲さなくても「生理前だけは甘いものを食べたくなる」と感じたことはないでしょうか? もしそうであれば、栄養不足やエネルギー不足が根本的な問題として潜んでいる可能性が高いです。
ツイッターを使ってアンケートを実施したところ、鉄不足が生理前の甘みに対する食欲増進に関与している可能性が高いことが示唆されました。

生理前の食欲に関するアンケート

生理前の甘みに関して、ツイッターを使ってアンケートを行いました。
具体的には、最初に以下の問いかけをしました。

糖質制限をしていて普段は甘いものを欲さない女性に質問です。
普段は甘みを欲さなくても生理前は甘いものを欲しますか?

そうすると、以下のような結果になったのです。

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この結果は、「糖質制限をしていている女性の大半は糖質依存から抜けれていない」と捉えることができます。さらに、続いて「この調査で「全く欲さない」以外に答えた人に質問です。

以下に上げるいくつかの項目でいくつ当てはまりますか?
・貧血を指摘された
・フェリチン値が低い(30以下)
・朝起きるのが辛い
・冷え症がある
・倦怠感が生じることが多い」

以上の項目は、鉄不足を示唆する症状です。つまり、当てはまる項目が多いほど、鉄不足である可能性が高いといえます。
そして、このアンケートに対する結果は、以下のようになりました。

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見てわかるように、糖質制限をしていて普段甘いものを欲さないにも関わらず、生理前には甘いものを食べたくなる人の大半は鉄不足の症状があるのです。

鉄不足があると甘いものを欲するメカニズム

男性と比較すると、生理で出血する女性は鉄不足になりやすいです。そして鉄不足になると、脂肪からエネルギーが産出しにくくなるため、甘いものを欲しやすくなります。糖質をたくさん摂ることでエネルギー不足を補おうとするのです。
通常、体を動かすためのエネルギーは、以下の図に記すように糖質と脂質(脂肪酸、ケトン体)から作られます。

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図に記しているように、エネルギーが産出される過程は嫌気的代謝と好気的代謝の2つに分類されます。簡単に言うと、嫌気的代謝は酸素を使わずにエネルギーを作り出し、好気的代謝はエネルギーの産出に酸素が不可欠な代謝です。
嫌気的代謝と好気的代謝では、圧倒的に好気的代謝の方が産出されるエネルギー量が多いのです。
そして、好気的代謝の中でも「電子伝達系」と呼ばれる反応が起こるためには「鉄」が欠かせません。つまり、鉄がないと好気的代謝によって十分なエネルギーが作られなくなるということです

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生理で鉄不足になると、好気的代謝によってエネルギーが作られなくなるため、嫌気的代謝にエネルギーの産生を依存することになります。図を見てわかるように、嫌気的代謝でエネルギーを作り出すためには、エネルギー源であるブドウ糖が必要不可欠です。
そのため、鉄不足の人は生理前になると、嫌気的代謝によってできるだけ多くのエネルギーを作り出そうとしてブドウ糖( = 甘いもの)を欲するようになるのです。

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生理前の食欲は鉄欠乏だけの問題ではない

続けて、以下の質問に対するアンケートを実施しました。

[生理前でも甘いものを全く欲さない人に質問です]
以下に上げるいくつかの項目でいくつ当てはまりますか?
・貧血を指摘された
・フェリチン値が低い(30以下)
・朝起きるのが辛い
・冷え症がある
・倦怠感が生じることが多い

つまり、「生理前に甘いものを欲さない人に、鉄不足の問題を抱えている人が少ないかどうか?」というアンケートです。その結果、以下のような結果になりました。

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確かに生理前に甘いものを欲する人と比較すると、生理前でも甘いものを全く欲さない人には鉄欠乏の症状が出ていない人が多い傾向にあります。これは、2つを見比べるとよくわかるはずです。

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ただ、このことからは「生理前に甘いものを欲さない人にも、鉄欠乏の症状をもっている人は存在する」ということもわかります。
これは、「生理前の甘いものに対する過剰な食欲に関係しているのは鉄欠乏だけではない」といえます。例えば、鉄欠乏があったとしてもエネルギーを十分に作り出せる人は、生理前であっても甘いものを欲さない可能性が高いです。
その一方で、鉄欠乏がなくても甘いものを欲するケースも考えられます。
例えば、鉄欠乏以外でもビタミンB群不足であれば、好気的代謝によるエネルギー産生が悪くなります。そうなると、鉄欠乏と同じように嫌気的代謝に依存してしまうため、糖分を欲するようになります。
また、排卵前にはエストロゲンが多く作られますが、エストロゲンの処理にはビタミンB6が必要不可欠です。つまり、もともとビタミンB6不足の人は、生理前にビタミンB群不足に陥りやすくなります。
ブドウ糖が好気的代謝によってエネルギーを作り出すとき、「ピルビン酸」から「アセチルCoA」に変換されなければいけません。ピルビン酸からアセチルCoAに変わるときには、ビタミンB群が必要不可欠になります。
ビタミンB群が不足している人は、生理前にはエストロゲンの処理のためにさらにビタミンB群が不足してしまい、以下の図に記すようにエネルギー不足に陥ってしまうのです。

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その結果、嫌気的代謝でできる限りエネルギーを産出しようとして、糖質である甘いものを欲するようになります。
このように鉄欠乏以外にも、ビタミンB群不足がある人も生理前に甘いものを欲しやすいのです。
今回述べたように、生理前に甘いものを食べたくなるという現象には、鉄やビタミンBといった栄養不足が影響している可能性があります。
そのため、生理前に甘いものが止まらなくて困っているのであれば、「生理前だからしょうがないか……」と諦めるのではなく、鉄やビタミンBなどの栄養を補給してみてください。それだけでも、生理前の甘いものに対する欲求は落ち着くはずです。