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糖質制限でLowT3症候群になりやすい人の5つの特徴

「糖質制限をしたらLowT3症候群になってしまった……」という悩みを抱えていないでしょうか? 厳格に糖質制限をしても、全く問題なく体調が良くなる人もいます。ただ、糖質制限を実施して体調不良になるケースが多いのも事実です。
糖質制限によって起こる代表的な不調に「LowT3症候群」が挙げられます。LowT3症候群とは、甲状腺ホルモンの働きが悪くなってしまい、疲れやすさや脱力感などの症状が現れる病気です。
安全に糖質制限をするためにも、「糖質制限によってLowT3症候群を発症しやすい人の特徴」を理解しておきましょう。
そこで今回は、「糖質制限でLowT3症候群になりやすい人における5つの特徴」について解説します。

糖質制限でLowT3症候群になりやすい人の5つの特徴

・女性である
・強いストレスや睡眠不足がある
・鉄不足がある
・カロリー制限(ダイエット)をしている
・脂肪の燃焼が悪い

LowT3症候群とは?

LowT3症候群とは、「T3」と呼ばれる甲状腺ホルモンが少なくなった状態です。甲状腺ホルモンの働きが悪くなってしまい、倦怠感や脱力感、体温低下といった代謝に関連する症状が出現する病気になります。
LowT3症候群は、極端なダイエットや重篤な病気など、体がエネルギー不足の状態になると発症します。
詳しくは「LowT3症候群とは?LowT3症候群の原因から症状、対処法まで全て解説」を参考にしてください。

糖質制限でLowT3症候群が発症しやすい理由

極端なダイエットや病気ではなく、糖質制限によってLowT3症候群になる人も少なくありません。
糖質制限に加えてカロリー制限もしていれば、エネルギー不足によってLowT3症候群になるのは当然です。ただ、糖質制限をしている人の中には、脂質やタンパク質でしっかりとカロリーを摂取しているにも関わらず、LowT3症候群になってしまう人も存在します。
そこでここからは、糖質制限がLowT3症候群の発症へ与える影響について解説します。

糖質制限をするとコルチゾールが増える

糖質制限をすると、必然的に「コルチゾール」がたくさん作られるようになります。コルチゾールとは、「副腎」と呼ばれる器官で作られるホルモンであり、体内で糖分を作り出す働きをもっています。
人間が生命を維持するためには、体内に糖分が必要不可欠です。赤血球や脳の一部など、エネルギーを糖からしか作り出せない組織があるためです(その他の組織は脂肪からもエネルギーが作り出せます)。
コルチゾールには、体内でタンパク質や脂肪から糖分を作り出す作用があります。こうした体内で糖を産生する仕組みを「糖新生」といいます。
糖新生を促す一つの要因として、コルチゾールが挙げられます。
糖質制限では食べ物から摂る糖質を減らしているため、通常以上に糖新生によって糖が作られなければいけません。そのため、糖質制限をしていると、必然的にコルチゾールがたくさん作られるようになるのです。
コルチゾールが過剰になると甲状腺ホルモンである「T3」の産生が妨げられます。

lowT3

そのため、糖質制限であまりにコルチゾールの分泌が促されると、LowT3症候群を発症しやすくなるのです。
また糖新生が上手く行われない人は、体に最低限必要な糖分が作られなくなるため、エネルギー不足によってLowT3症候群となる可能性があります。
このように、糖質制限をするとLowT3症候群を発症しやすくなるのです。
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糖質制限ダイエット中の低血糖を防ぐ「糖新生」とは?
女性が糖質制限するとLowT3症候群になりやすい理由

糖質制限をすると肝臓のエネルギー源が不足しがちになる

糖質制限をしていると、赤血球や脳の一部では糖新生によって作られた糖をエネルギー源とします。ただ、筋肉や脳の一部などのその他の細胞では、脂肪や「ケトン体」をエネルギー源としているのです。
ケトン体とは、脂肪から作られる物質であり、糖や脂肪と同じように細胞のエネルギー源となります。
通常の食事をしていると、エネルギーの大半が脂肪や糖から作られます。その一方で糖質制限をしていると、食事からの糖が極端に少なくなるため、脂肪とケトン体が主なエネルギー源になるのです。
ケトン体は、体内におけるほとんどの細胞でエネルギー源として利用できます。ただ、肝臓はケトン体をエネルギー源として利用できません
肝臓では非活性型の甲状腺ホルモン(T4)から活性型の甲状腺ホルモン(T3)への変換が行われます。当然、T4をT3へ変換するときには、肝臓にエネルギーが必要です。糖質制限をして脂肪酸やケトン体をメインのエネルギー源としていると、ケトン体を利用できない肝臓がエネルギー不足となってしまう可能性があります。

lowT3

その結果、T3が少なくなってLowT3症候群となってしまうのです。
当然、脂肪肝や肝炎などで肝機能が低下しているケースも同様です。
このように、肝臓がケトン体をエネルギー源として利用できないことも、糖質制限をするとLowT3症候群になりやすい理由の一つだといえます。
<関連記事>
甲状腺ホルモンに関する基礎知識:T3、T4とFT3、FT4の違い

糖質制限でLowT3症候群になる人の5つの特徴

ここまで述べたように、糖質制限をすること自体がLowT3症候群を発症する一つの要因になります。ただ、糖質制限をしてもLowT3症候群にならない人もたくさんいます。
そこで、糖質制限をするとLowT3症候群になりやすい人の特徴について記します。

女性である

女性は「ストレスが溜まりやすい」」「睡眠不足になりやすい」「女性ホルモンのバランス」「筋肉量の少なさ」「鉄不足」などの影響でLowT3症候群になりやすいです。こうした要因が、コルチゾールの過剰なエネルギー不足を悪化させることになります。
そのため、女性が厳格な糖質制限をすると、さらにLowT3症候群を発症しやすくなります。
女性がLowT3症候群になりやすい理由に関しては、「ダイエットをしている女性がLowT3症候群になりやすい理由」に詳しく書いています。

ストレスや睡眠不足がある

ストレスや睡眠不足は、コルチゾールの分泌を促します。そのため、ストレスや睡眠不足が強い人が糖質制限をすると、LowT3症候群を発症しやすくなります。
例えば、神経質でストレスを受けやすい性格の人は、コルチゾールが作られやすいです。その他にも、慢性的なストレスや睡眠不足、過剰な運動、過労はコルチゾールが過剰な状態を招きます。
そうした状況で糖質制限をすると、コルチゾール過多を強めてしまうため、LowT3症候群になりやすくなってしまうのです。
ちなみに、コルチゾールには筋肉を分解する働きがあるため、コルチゾールが多いと筋肉量も少なくなり「非筋肉質」となりやすいです。

鉄不足がある

血液検査などで明らかな貧血が認められる人は、糖質制限によってLowT3症候群になりやすいです。
肝臓においてT3を産生する際には、鉄が必要不可欠になります。

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また、肝臓以外におけるエネルギー産生にも鉄が欠かせません。
糖質制限をすると、糖というエネルギー源が少なくなります。当然、鉄不足のためにエネルギーが作られにくい状況で糖質制限をすると、さらにエネルギー不足の状態と招きやすくなります。
つまり、鉄不足になると「肝臓におけるT3の産生が不足してしまう」「エネルギーが不足してしまう」という2つの理由で、LowT3症候群を発症しやすくなるのです。
このように、鉄不足がある場合にも、糖質制限によってLowT3症候群が発症しやすくなるのです。

カロリー制限をしている

糖質制限をする上では、カロリー制限にならないようにすることは基本になります。
ただ、どうしてもダイエット目的に糖質制限をしていると、知らぬ間に糖質制限 + カロリー制限になりがちなのです。
特に女性には、炭水化物の代わりに肉や卵といったタンパク質、脂質を摂ろうとしても、なかなか十分な量を食べられない人も多いです。そうなると、糖質制限をしているつもりが、結果的にカロリー制限になってしまいます。
このように、タンパク質や脂質をしっかり食べれない人は、糖質制限によってカロリー不足となりLowT3症候群を発症しやすくなるのです。

脂質代謝が悪い(脂肪からエネルギーを作り出せない)

既に述べたように、糖質制限をすると糖質ではなく脂肪やケトン体を主なエネルギー源とします。ただ、中には脂肪やケトン体から上手くエネルギーを作り出せない人もいるのです。
例えば、脂肪からエネルギーを作り出すためには、ビタミンB群や鉄、マグネシウム、亜鉛など、さまざまな栄養素が必要になります。
こうした栄養素が不足していると、脂肪から十分にエネルギーが作れなくなってしまうのです。
糖質制限をしているのに脂肪からエネルギーが作れないと、当然ながらエネルギー不足になってしまいます。その結果、LowT3症候群を発症するのです。
このように、脂肪の代謝が悪い人も、糖質制限をするとLowT3症候群になる可能性が高いといえます。
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今回述べたように、糖質制限自体がLowT3症候群を招く一つの要因になります。もちろん、糖質制限によって体調が良くなる人もたくさんいます。
ただ、以上に挙げた「女性である」「ストレスや睡眠不足がある」「鉄不足がある」「カロリー制限をしている」「脂質の代謝が悪い」という5つの特徴に当てはまる場合には、糖質制限によってLowT3症候群を発症する可能性が高くなるため、注意してください。