脂質ダイエットによる体質改善

糖質制限ダイエットで起こるエネルギー産生システムの変化

ダイエットを成功させるために、糖質制限を実施することは重要です。糖質は肥満の元となる「インスリン」というホルモンの分泌を促します。そのため、完全に糖質を断たないとしても、痩せるためには糖質の摂取量を抑えることが不可欠だといえます。

 

ただ、糖質は体を動かすためのエネルギー源となる物質です。そうしたことから「糖質制限をするとエネルギー不足になる」という心配をする人は少なくありません。

 

しかし実際には、体には食事から摂取する糖質量を制限しても、血糖値やエネルギー供給を維持する仕組みが備わっているのです。糖質制限を実施する上では、こうした体のメカニズムを理解しておくことが重要になります。

 

そこで今回は、「糖質制限ダイエットで起こるエネルギー産生システムの変化」について解説します。

 

糖質制限(ファスティング)時におけるエネルギー供給システムのまとめ

 

・エネルギーは「ブドウ糖」「脂肪酸」「ケトン体」の3つから作られる
・脳はケトン体をエネルギー源として利用できる
・食事の内容(糖質の摂取や断食)によってエネルギー供給の仕組みは変化する

 

  血糖調整メカニズム 組織のエネルギー源 脳のエネルギー源

糖質摂取時
(糖質摂取から2~3時間後)

食事から摂取した糖分 ブドウ糖 ブドウ糖
糖質摂取後3時間以降 肝臓のグリコーゲン ブドウ糖 ブドウ糖
糖質摂取後3~12時間 肝臓のグリコーゲン+糖新生 ブドウ糖+脂肪酸 ブドウ糖
糖質制限2日~24日 糖新生 脂肪酸+ケトン体 ブドウ糖+ケトン体
糖質制限24日以降 糖新生 脂肪酸+ケトン体 ケトン体+ブドウ糖

 

通常の糖質を摂取している場合

通常の食事をしていると、糖質(炭水化物)とタンパク質、脂質といった三大栄養素の割合は「糖質 : タンパク質 : 脂質= 60 : 20 : 20」くらいになります。つまり、「食事から摂取する栄養素の半分以上が糖質になっている」ということです。

 

食事から摂取した糖分は、腸から血液中に吸収された後、約半分が肝臓に蓄積されてます。そして、肝臓で取り込まれなかった残りの糖が、血液に乗って全身の細胞へ送られます

 

体を動かすためのエネルギー源は、主に「ブドウ糖」「脂肪酸」「ケトン体」の3つです。食事で糖質を摂取した後は、以下の図に記すように、ブドウ糖からのエネルギー産生が優位になります。

このように、主に糖分を原料としてエネルギーを作り出しているときには、脂肪は燃焼されにくくなっています。つまり、痩せにくい状態だということです。

 

そして、こうした食事から摂った糖質がメインのエネルギー源として利用される状態は、血糖値が下がる食後約2~3時間まで続くのです。

 

いってしまえば、1日3食を糖質が豊富に含まれる食事をしていると、寝ているとき以外は脂肪がエネルギー源としてほとんど使われないのです。

 

また食事で摂った糖分は、以下の図に記す流れを経て、初めて血糖となります。

 

図にあるように、食事から摂取した糖分は約半分がインスリンの作用によって、肝臓にグリコーゲンとして蓄積されます。このときインスリンの分泌がないと、食事から摂取した糖分は肝臓に蓄積されないため、そのまま血液中に放出されて血糖となります。つまり、血糖値が急激に上がるのです。

 

糖尿病などでインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの効きが悪かったりする人は、こうしたメカニズムによって食後の血糖値が上がりやすくなります。

 

また通常では、食事を摂取したときは、身体が予測して食事から摂った糖分が血糖に変わる前にインスリンの分泌を促します。そのため、いきなり糖分が多い食事を摂っても急激に血糖値が上がることはないのです。

 

このように、一般的に推奨されているような食事を摂取していると、常に糖がメインのエネルギー源として利用されることになります。

 

糖質制限した場合

それでは、糖質制限をするとエネルギー源はどのように変化するでしょうか。

 

既に述べたように、食後2~3時間までは食事から摂取した糖分によってエネルギーが産出されます。その後のエネルギー供給の変化を以下に記します。

 

糖質摂取2、3時間~

食後2~3時間経過すると、食事から摂った糖分が血液中から無くなります、つまり、血糖値が空腹時の値(100以下)まで下がるということです。

 

しかし、まだこのときには、食事で摂取した糖分の半分が肝臓に蓄積された状態です。食事に由来した糖分がなくなると、肝臓に溜め込んでおいたグリコーゲンが分解されて血糖となり、血糖値が維持されます。

 

つまり、エネルギー源が「食事由来の糖分 → 蓄積されたグリコーゲン」と変化するのです。

食事からの糖分が消費された後も、体内ではこのようなメカニズムによって血糖が維持されて、主に糖からエネルギーが産生されます。

 

食後3時間~24時間後

食後3時間が経過すると、食事から摂取した糖分ではなく、肝臓に蓄積されているグリコーゲンを分解することで血糖を維持するようになります。ただ、肝臓に蓄積されているグリコーゲンの量は約100グラムです。そのため、数時間~24時間で肝臓のグリコーゲンは底を尽きてしまいます

 

そのときに、次のエネルギー供給システムとして働くのが「糖新生(グルコジェネシス)」です。

 

糖新生とは、脂肪酸やアミノ酸を原料に、肝臓でブドウ糖を作り出す仕組みのことをいいます。つまり、体は食事から糖分を摂取しなくても、脂肪やタンパク質からブドウ糖を作り出せるのです。

 

筋肉や心臓などの組織は、ブドウ糖がなくても脂肪からエネルギーを産出できます。その一方で赤血球と脳(全体の20-30%程度)は、糖分からしかエネルギーが得られないのです

 

赤血球や脳が活動するために必要なブドウ糖を作り出すために、体には糖新生が備わっているのです。

 

糖新生によって血糖値が維持されているとき、他の組織はできる限り糖分をエネルギー源として使わないようにしています。糖新生によって作られたブドウ糖を、赤血球や脳へ優先的に届けるためです。

 

そこで、蓄積されたグリコーゲンを分解してエネルギーを得ていたときよりも、脂肪酸からエネルギーを作り出す割合が大きくなります。

 

ちなみに、脳はブドウ糖以外にケトン体をエネルギー源として利用できますが、この段階では、まだブドウ糖をメインのエネルギーとして使っている状態です。

 

また、このときに脂肪からエネルギーを作り出す回路(TCA回路や呼吸鎖)が上手く働いていないと、エネルギー不足で不調を起こすことになります。糖質制限やファスティングで失敗する人には、こうした脂質代謝(TCA回路や呼吸鎖)に問題がある人が多いです。

 

さらに「副腎疲労症候群」や「肝臓疾患」などで、糖新生の機能に問題がある人も、糖質制限に失敗します。

 

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糖質制限(ファスティング)2日~24日

糖質制限やファスティングを行って体内でのインスリン分泌が低いと、体に蓄積されている中性脂肪が「グリセロール」と「脂肪酸」に分解されます。こうした反応は「リポーシス」と呼ばれます。

 

リポーシスによって産出されたグリセロールは糖新生に使われます。その一方で、脂肪酸は細胞のエネルギー源となるのです。

 

ただ、既に述べたように脳は脂肪酸をエネルギー源とすることができません。さらに、糖新生で作られる糖分量は1日約180グラムです。これだけの糖分量では、ブドウ糖のみをエネルギー源としている赤血球や脳へのエネルギー供給を補えません。

 

つまり、糖新生だけでは、赤血球と脳のどちらかがエネルギー不足となる可能性が高いといえます

 

しかし、赤血球は糖しかエネルギー源として使えないのに対して、脳は「ケトン体」をエネルギー源として利用できます。ケトン体とは肝臓で脂肪酸から合成される物質であり、赤血球や肝臓以外の組織であれば、脂肪酸と同じようにエネルギーを作り出せるのです。

 

そのため、この時期には脂肪酸に加えてケトン体が多く作られるようになります。

まだ脳のエネルギー源はブドウ糖が優位ですが、脳でのエネルギー産生においてケトン体が担う割合が大きくなるのです。

 

既に述べたように、脳は全体の20-30%はブドウ糖からエネルギーを作り出す必要があります。逆にいうと、全体の70パーセントはケトン体を元にエネルギーを産出できるのです。

 

ケトン体は、脳以外では特に基礎代謝に関わる心臓や筋肉、腎臓でエネルギー源として使われます。

 

そして、この段階におけるそれぞれの組織におけるエネルギー源は以下のようになります。

このように、体には食事からの糖質を制限しても、蓄積された脂肪(中性脂肪)を上手く活用することで、エネルギー不足を起こさないような仕組みが備わっているのです。

 

糖質制限(ファスティング)24日後以降

糖質制限やファスティングをして24日以上経つと、さらに脂肪やケトン体によるエネルギー産生がメインになります。

 

長期間糖質制限をしている人で脂質の代謝が上手く行われている人は、図のような状態になっています。つまり、脂肪酸とケトン体がメインのエネルギー源として利用されているのです。

 

またこのときには、筋肉の分解を防ぐために「成長ホルモン」、代謝が低下しないように「アドレナリン」の分泌が促されます。こうしたホルモンのおかげで、長期間糖質制限やファスティングを実施しても筋肉はエネルギー源として利用されませんし、代謝も下がらないのです。

 

ただ、体脂肪率が4パーセントを下回った状態でファスティングを実施すると、筋肉が分解されてエネルギー源となります。

 

こうした理由から、あまりに痩せすぎている場合には、ファスティングは避けるようにしましょう。糖質制限に関しても、体脂肪率があまりに低い場合には止めておいた方が無難です。

 

最後に、糖質制限やファスティング時のエネルギー供給の変化をまとめます。

 

  血糖調整メカニズム 組織のエネルギー源 脳のエネルギー源

糖質制限時
(糖質摂取から2~3時間後)

食事から摂取した糖分 ブドウ糖 ブドウ糖
糖質制限後4時間以降 肝臓のグリコーゲン ブドウ糖 ブドウ糖
糖質制限後4~12時間 肝臓のグリコーゲン+糖新生 ブドウ糖+脂肪酸 ブドウ糖
糖質制限2日~24日 糖新生 脂肪酸+ケトン体 ブドウ糖+ケトン体
糖質制限24日以降 糖新生 脂肪酸+ケトン体 ケトン体+ブドウ糖

 

今回述べたように、糖質制限やファスティングを行うと、血糖を維持するメカニズムや各組織のエネルギー源が変化します。こうした体内におけるエネルギー産生システムを理解しておくと、糖質制限やファスティングで失敗しないようになります。

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