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糖質制限ダイエットは危険?糖質制限に対する5つの勘違い

糖質制限ダイエットをしていると、「糖質制限ダイエットは危険だから止めた方が良い」という話を聞きませんか?
糖質制限ダイエットというと、体への危険性が指摘されがちです。例えば、「脳には糖分が必要だから、糖を摂取しないと脳の働きが悪くなる」ということはよく聞きます。他にも、「筋肉がなくなる」「ケトン体が増えるため危険」といった批判もあります。
そのため、糖質制限でダイエットをする前には、こうした危険性に対する不安を持ってしまいますよね?
しかし実際には、糖質制限食にはそのような健康面に対する心配はいりません。上記のことは、体の生理的な機能を考えると、糖質制限を実施しても起こらないことがわかります。
もちろん、厳格に糖質制限ダイエットを実践するのであれば注意は必要です。しかし、ある程度の糖質制限であれば、誰でも問題なく実践できます。
また、糖質制限で痩せた後のリバウンドを心配する人も少なくありません。もちろん、糖質制限によって痩せた後、糖質の摂取量を一気に増やすとリバウンドします。ただ、糖質の摂り方や摂る量に注意すれば、ある程度体重が減った後に糖質を摂り始めてもリバウンドする心配はありません。
そこで今回は、「糖質制限ダイエットを始める際に起こりやすい5つの勘違い」について解説します。

糖質制限ダイエットで問題視される4つの危険性

糖質制限ダイエットの危険性に関しては、主に4つのことについて指摘されます。これらは、昔から言われていることであり、とくに根拠もなく信じ続けられていることです。
ただ一般的に言われている糖質制限に対する危険性が、糖質制限を始める人たちを不安にさせていることは事実です。
そこで以下に、糖質制限に対する4つの批判について記します。

糖質制限ダイエットをすると脳がエネルギー不足になる

「脳の細胞はエネルギー源として糖しか利用できない」という認識は、一般人だけでなく医療従事者でも共通しています。しかしこれは間違っています。人の細胞でエネルギー源として糖しか使えないのは赤血球だけであり、脳はその他の物質もエネルギー源として利用できます。
具体的には、脳は「ケトン体」と呼ばれる物質を使って、エネルギーを生み出すことができます。ケトン体とは、脂肪から作られるものであり、体内で日常的に産生されている物質です。
ケトン体はエネルギー源の1つとして、日常的に利用されます。人体のエネルギー源は、主に「ブドウ糖」「脂肪酸」「ケトン体」の3つです。
先に述べたように、ブドウ糖からしかエネルギーを作ることができないのは赤血球のみです。脳もケトン体からエネルギーを生み出すことができるため、糖質制限によってブドウ糖の摂取を控えても、脳のエネルギーが不足することはありません。

糖質制限ダイエットでは血液がドロドロになる

糖質制限ダイエットをすると、「肉が多く野菜が少ない」という一般的にバランスが悪いといわれる食事になります。そのため、「脂肪の摂り過ぎで血液がドロドロになる」というイメージがもたれるのです。
これも「脂肪=悪者」という誤った認識から起こるものです。確かに、糖質制限食をすると、脂肪の摂取量は必然的に増えます。しかし、脂肪は体にとって必要不可欠なものです。
「脂肪を摂ると、コレステロール値が上がり、血液がドロドロになる」など言われますがそのようなことはありません。血液中のコレステロールは、ほとんどが食事から摂取したものではなく、体内で作られているためです。つまり、食事で摂った脂肪量は血液中のコレステロール値にあまり影響しません。
そもそもコレステロールは、細胞やホルモンを作る材料になったり、体を動かすためのエネルギーになったりします。そのため、コレステロールが不足すると、「疲れやすい」「集中力がなくなる」などの症状が出ます。
確かに、通常の食事で脂肪の量を多くすると、肥満などの問題が出ることは事実です。しかし、これは糖質制限を行っていない場合の話です。つまり、糖質と脂肪がセットになると問題なのであって、糖質を制限していれば、脂肪の摂取が問題になることはほとんどありません。
もちろん、体にとって良くない油を摂るとさまざまな悪影響が出ます。しかし、良質の脂肪さえ摂取していれば、そのような心配はいりません。

糖質制限ダイエットでは筋肉が衰える

「糖質制限食をすると、タンパク質を使ってエネルギーを作るため、筋肉が衰える」とよく言われます。
確かに食事の糖質量が少なくなると、タンパク質を基にエネルギーを産生します。しかし、このことによって筋肉量が少なくなることはあり得ません。
このような、タンパク質からエネルギーを作り出すメカニズムは、どのような食事をしている人にも起こっています。筋肉の分解は、誰にでも日常的に起こっていることです。
このときに使われているタンパク質は、筋肉が分解された後に、そこでできた「アミノ酸」が余った場合のみです。そのため、食事の糖質量には全く左右されることはありません。糖質の摂取量が多くても少なくても、アミノ酸に余裕がなければ、タンパク質がエネルギーに使われることはありません。
体におけるエネルギー利用の優先順位は以下の順番になります。
アルコール → ブドウ糖 → 脂肪酸やケトン体 → アミノ酸
つまり、摂取カロリーの全体量が不足しない限り、筋肉が分解されて、エネルギーに利用されることはあり得ません。タンパク質の前に、糖質や脂肪が優先して利用されます。
筋肉を分解することで、エネルギーの産生を行うとしたら、極端なカロリー不足が長期間続き、体に蓄積されていた脂肪と糖分が全て無くなってしまった後です。通常の生活でこのようなことは起こらないため、糖質制限で筋肉が衰える心配はいりません。

糖質制限ダイエットではケトン体が増えて危険

これは、医療従事者などによく指摘されることです。これも生理学的に考えると、とくに体に問題ないことは説明できます。
確かに糖質制限食では、ケトン体の濃度が高くなる可能性があります。しかし、ケトン体は、体にとって害のあるものではなく、むしろエネルギー源となるなど、体に必要なものです。ケトン体が危険だと言われるのは、糖尿病の合併症で起こる「ケトアシドーシス」の影響です。
ケトン体は酸性の物質です。ケトアシドーシスとは、ケトン体が血液中に増えることで血液が酸性に傾いた状態のことをいいます。
しかし、血液中の酸性、アルカリ性といった酸塩基平衡は、さまざまな体の機能によって厳格に調整されています。そのため、ケトン体の血中濃度が通常の30倍になっても、血液が酸性に傾くことはありません。
糖尿病の場合、インスリンというホルモンの働きが悪くなってケトン体が増えます。インスリンの作用が悪くなった状態でケトン体が増えると、血液が酸性に傾いてケトアシドーシスと呼ばれる危険な状態になります。
つまり、ケトン体が問題となるのは、インスリンの作用が悪くなっている場合なのです。
このように、一般的な認識では「ケトン体の増加 → 血液が酸性に傾く → 危険」となっていますが、糖尿病でない限りケトン体の増加で血液の酸塩基平衡が崩れることはありません
そのため、糖質制限をすることでケトン体が増えて体が危険な状態になることはありません。

糖質制限ダイエットで痩せたらリバウンドする

糖質制限に対する批判以外にも、糖質制限後のリバウンドに対して不安をもつ人は多いです。糖質制限を実施すると、ほとんどの人は体重が落ちます。糖質の摂取量を抑えることで、肥満の元である「インスリン」と呼ばれるホルモンの分泌が少なくなるためです。
そのため、糖質制限はダイエット方法としても利用されています。
ただ、「糖質制限で痩せても、糖質制限を止めるとリバウンドする」という不安から、糖質制限を実施できない人は多いです。確かに、糖質制限によって体重が減ったあと、元々食べていた量と同じくらい糖質を摂り始めると太ります。
しかし、糖質制限ダイエットで痩せた後でも適度な糖質量に抑えておけば、基本的にリバウンドする心配は要りません
例えば、一般的な日本人の糖質摂取量は250g/1日だといわれています。糖質制限では、糖質の摂取量がおおよそ130g/日を下回るように指導されます。また、20g/日以下とほとんど糖質を摂らないように指導されるダイエットジムもあります。
そのときに、ダイエット期間中だけ20g/日以下に抑えて、ダイエット期間終了後に250g/日に戻すとリバウンドするのは当たり前です。そもそも、糖質摂取量が250g/日というのは糖質を摂りすぎなのです
それに対して、ダイエット期間に糖質摂取量が20g/日以下で体重が減った後も、100g/日前後の糖質摂取量であれば、基本的に大きくリバウンドすることはありません。はっきりいって、この程度の糖質量でリバウンドするようであれば、ダイエット方法が間違えています。
このように、適切なダイエット方法であれば、糖質制限ダイエット後にある程度の糖質を摂取するようになってもリバウンドすることはないのです。
今回述べたように、糖質制限食の安全性は生理学的な事実から証明されています。そのため、日常的に糖質制限を行っても、体にとっては問題ないのです。
もちろん、厳格な糖質制限にはリスクも伴っています。そのため、1日の摂取量を120g以下に減らすような糖質制限ダイエットを実施するときには、専門家の指導の下で行うようにしましょう。