ダイエット やり方

血糖値をコントロールしてダイエットを成功させる5つのポイント

「ダイエットのために血糖値のコントロールが重要である」ということは理解しているでしょうか?
血糖値のコントロールが悪いと、体重をコントロールしている自律神経やホルモンバランスが崩れてしまうため、太りやすくなります。
ただ、血糖値のコントロールを良くするといっても、具体的な方法がわからないのではないでしょうか? もしかしたら「糖質制限をする」ということが頭に浮かんだかもしれません。
確かに、食事から摂取する糖質量を調整すれば、血糖値のコントロールにつながります。しかし、血糖値を調整している要因は食事だけではありません。そのため、血糖値をコントロールしてダイエットを成功させるためには、食事以外の要因も考慮しなければいけないのです。
そこで今回は、「血糖値をコントロールしてダイエットを成功させる5つのポイント」について解説します。
*ダイエットと血糖値の関係性を知りたいのであれば、「ダイエットのキーポイントは血糖値?ダイエットと血糖値の関係性」に詳しく書いていますので参考にしてください。

血糖値をコントロールしてダイエットを成功させる5つのポイントのまとめ

・血糖値の調整には、食事だけでなくさまざまな要因が関わっている
・血糖値のコントロールを高めるためには「外部(食事)から入ってくる糖質量を調整する」「体内に入った糖質を速やかに調整する」という2つの視点から考える必要がある
・「糖質量を減らす」「適量の糖質を摂取する」「ストレスをコントロールする」「十分かつ良質な睡眠を取る」「適度な運動を実施する」という5点がポイントとなる

血糖値をコントロールしている体の仕組み

血糖値を上手く調整してダイエットを成功するためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか? 血糖値を調整する方法について考えるために、まずは血糖値をコントロールしている体の仕組みについて解説します。
血糖値の調整は、主に「自律神経」と「ホルモン」によって行われます。
例えば、食事によって血糖値が上がった場合、血糖値の変動を脳(視床下部)とすい臓が感知します。血糖値が高い状態を知った脳とすい臓は、自律神経(副交感神経)を使ってインスリンを分泌させます。
インスリンは血糖値を下げるホルモンです。そのため、インスリンが分泌されると、血糖値は落ち着きます。

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逆に血糖値が下がった場合も、同じように脳とすい臓が感知します。そして、脳とすい臓は自律神経(交感神経)を使ってグルカゴンやアドレナリンといった血糖値を上げる働きをもつホルモンの分泌を促すのです。
*血糖値を上昇させるホルモンは他にもありますが省略します。

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ここでのポイントは、血糖値の調整に自律神経が関与しているということです。
血糖値のコントロールというと、一般的には食事の影響ばかりが考慮されます。例えば、「血糖値が上がり過ぎるのであれば、血糖値を上げる糖質の摂取量を減らす(糖質制限)」、逆に「血糖値が低いことが問題であれば、糖質の摂取量を増やす」といった感じです。
しかし実際には、食事による血糖値の調整は、あくまで血糖変動の入り口を意図的にコントロールしているに過ぎません。糖質を摂取して血糖値が上がった後は、自律神経によって無意識に調整されているのです。
血糖値のコントロールについて考えるときには、「血糖調整には自律神経が関与している」ということの理解が重要になります。

血糖値のコントロールに影響を与える要因

それでは、ここからは血糖値に影響を与える要因について、具体的に解説していきます。

食事が血糖値に与える影響

食事が血糖値に影響を与える最も大きな要因であることは、一般的に認識されているとおりです。
例えば、炭水化物(糖質)を摂取すると血糖値は上がります。逆に、タンパク質は血糖値を下げる場合があります(人によっては血糖値が上がります)。
基本的には「糖質の摂取が血糖値を上げる」ということだけを認識しておけばいいでしょう。

ストレスが血糖値に与える影響

あまり意識されていませんが、ストレスも血糖値を変動させる要因です。
ストレスは、自律神経(交感神経)を介してアドレナリンなどを分泌させることで血糖値を上げます。以下の図に記すように、血糖値の低下とは別ルートで血糖値を上昇させるのです。

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このように、ストレスは自律神経に直接作用することで血糖値を上げます。
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ダイエットとストレスの関係性:ストレス太りの原因と解消法

睡眠が血糖値に与える影響

睡眠不足もストレスと同じように自律神経を介して血糖値を上昇させます。
例えば、睡眠不足の翌日にイライラしたり、頭痛がしたりした経験はないでしょうか? これは、睡眠不足によって自律神経(交感神経)が過度に刺激されたために起こる現象です。

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実際に、睡眠不足のときは同じ食べ物を食べても血糖値が上がりやすくなります。
例えば、以下のグラフは40代女性の昼食後の血糖値変動を記したものです。糖質量は約50gで同じ食べ物を同じ人物が同じ時間帯に食べています。朝食も全く同じです。違うのは睡眠時間だけです。
青の血糖値が急上昇している日は睡眠不足であり、赤のグラフは十分な睡眠を取っています。

「睡眠時間だけでこれだけ違うの?」と感じるかもしれませんが、実際にこれだけ変化します。
このように、睡眠不足も血糖値を上げる要因となります。
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睡眠不足は太る原因となる?睡眠とダイエットの関係性

運動が血糖値に与える影響

運動は血糖値を上げる方向にも下げる方向にも働きます。簡単にいうと、激しい運動は血糖値を上昇させ、軽度な運動は血糖値を下げるのです。
激しい運動は、自律神経(交感神経)を刺激するため血糖値を上げます。

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ただ、運動すると筋肉を使うことになるため、血液中の糖分がエネルギー源として利用されます。つまり、血糖値が下がるのです。
もちろん、「とにかく軽い運動をすれば血糖値が下がる」というわけではありません。「食後で血糖値が上がっているとき(食後)に、軽く運動をすると血糖値が下がりやすくなる」というイメージを持っていると良いでしょう。
血糖値を測定できる人は、運動を実施してみた後に血糖値が上がるかどうかを確認すれば、交感神経を刺激するレベルの運動かどうかが明らかになります。
どちらにしても、運動も血糖値に影響を与える要因になることを理解してください。
<関連記事>
運動が血糖値のコントロールに有効である理由:糖尿病と運動

血糖値をコントロールしてダイエットを成功させる5つのポイント

ここまで述べたように、血糖値の変動は食事だけでなくさまざまな要因が関連しています。
それでは、血糖値をコントロールしてダイエットを成功させるためには、具体的にどのようなことを意識すればいいのでしょうか?
血糖値をコントロールするポイントは主に「糖質の摂取量を減らす」「適量の糖質を摂取する」「ストレスコントロールを行う」「十分な睡眠を取る」「適度な運動を実施する」という5つになります。
ただ、全てに共通することとして「自律神経を整える」ということが重要です。

自律神経を整える生活習慣を意識する

血糖値をコントロールする方法を簡単にいってしまうと、「自律神経を整える生活習慣をする」ということになります。
既に述べたように、血糖値のコントロールには自律神経が深く関係しています。言ってしまえば、自律神経が血糖値を調整しているのです。
例えば、糖質を摂り過ぎると血糖値は大きく上昇します。ただ自律神経が正常に働いていれば、上がった血糖値は短時間のうちに調整されます。逆も同じであり、自律神経がしっかりと働いていれば、血糖値が下がってもすぐに調整されるのです。

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人間の体には、このように体内の異常(血糖値の変動)を自動で調整する仕組み(ホメオスタシス)が備わっています。
そのため、ホメオスタシスの中心的な役割を担う自律神経のバランスが崩れない生活をすることが、血糖値コントロールには欠かせないのです。

糖質の摂取量・頻度を減らす(糖質制限を実施する)

自律神経のバランスを整えるために、食事から摂取する糖質量を制限することは重要になります。
そもそも、糖質制限によって血糖値が上昇しなければ、血糖値は乱れません。つまり、図にある一番上の「血糖値上昇」を起こさせないようにするアプローチです。

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こうすれば、食事では血糖値が上がらなくなるため、血糖値は乱れにくくなります。
さらに、厳格な糖質制限による血糖値のコントロールまではしないにしても、糖質制限は自律神経の乱れを防ぐことにつながります。
いくら「血糖値が乱れたときには自律神経が調整してくれる」とはいっても、糖質を無制限に摂って頻繁に血糖値が変動していては、自律神経が疲れて正常に働かなくなってしまうのです。
例えば、毎食のように糖質をたくさん摂取した上に、間食などでも甘いお菓子などを食べたとします。そうすると、1日の中で何度も血糖値が上がり下がりすることになります。
そして、血糖値が上がるたびに自律神経が調整しなければいけないため、血糖値の変動回数が多くなるだけ自律神経への負担が大きくなるのです。
また、糖質の摂取量が多くなるほど血糖値は急激に上がりやすくなります。血糖値が大きく上昇するほど、下げるための努力が必要なことは想像できるはずです。つまり、血糖値の上昇幅が大きくなるほど、自律神経への負担も増えます。
図でいうと、血糖値を140まで上げる糖質量を摂取したときよりも、血糖値が100までしか上がらない糖質量を摂取したときの方が自律神経への負担は小さいです。

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こうしたことから、自律神経を乱さないようにするためには、糖質制限を実施することが有効です。
このように糖質制限による血糖値コントロールをする場合、「そもそもの血糖値上昇を防ぐ」「血糖値を調整している自律神経の乱れを防ぐ」という2つの側面から考えなければいけません。

糖質を適度に摂取する

ただ、「そもそもの血糖値上昇を防ぐ」という目的で、糖質の摂取量を減らすほどよいかというと、そうではありません。糖質を制限し過ぎると、代謝が低下する場合があります。
また、あまりに厳格に糖質制限をしてしまうと、血糖値のコントロールも悪くなってしまう可能性があるのです。
先に述べたように、血糖値の調整は脳やすい臓が血糖値の変動を感知することで始まります。

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厳格な糖質制限をして血糖値がほとんど上がらなくなると、血糖値の上昇に対する脳やすい臓の感知機能が悪くなってしまうのです
糖質制限をすると、日常的に血糖値が上がらなくなるため、脳やすい臓のセンサーは血糖値の上昇を感知する必要性が低くなります。そうなると、血糖値の上昇を感知するセンサーが鈍ってしまうのです。
糖質をほとんど摂取しないような生活を続けていれば、血糖値が上がることはほとんどないため、センサーが鈍っても問題ないかもしれません。しかし、普通に生活していると、どれだけ意識しても糖質を摂取する機会があります。
普段からほとんど糖質を摂らずにセンサーが鈍っていると、たまに糖質を摂取したときに血糖値が調整されなくなるのです。
つまり、わずかな糖質の摂取で血糖値が大きく上がってしまうことになります。

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このように、糖質制限によって血糖値をコントロールしようとした結果として、血糖値が乱れやすくなる場合もあるのです。
こうしたことを避けるためにも、糖質は血糖値を大きく変動させない量を適量摂取することが大切になります。適度な糖質の摂取量は個人個人で異なるため、適量の見極めが重要です。
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糖質制限ダイエット実践者必見!糖質の正しい摂り方

ストレスをコントロールをする

ストレスコントロールをすれば、ストレスによる血糖値上昇を抑えられます。
ストレスコントロールの方法は人によって異なりますが、主に「価値観を変える」「運動して体力をつける」という2つが効果的です。
ストレスが過剰にたまる原因は、その人の考え方にあります。当然ですが、神経質な人はちょっとしたことでストレスがたまります。その一方でマイペースな人は、同じ出来事があってもストレスとして感じにくいです。
また運動習慣がなく体力が低い人は、ちょっとしたことでもストレスを受けやすくなります。体力とストレス耐性には密接な関係性があるのです。
このように、価値観を変えたり、体力をつけたりしてストレスをコントロールできれば、血糖値のコントロールは安定しやすくなります。
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ダイエットとストレスの関係性:ストレス太りの原因と解消法

十分かつ良質な睡眠をとる

ストレスと同じように、睡眠不足を解消すると交感神経の刺激による血糖値の上昇が抑えられます。
例えば、睡眠時間が6時間未満の人は、それだけで常に血糖値が上がりやすい状態になっている可能性が高いです。基本的には、7時間半は眠った方が良いでしょう。
またどれだけ長く寝ていても、睡眠の質が低いと交感神経が過度に刺激されます。
具体的には、「朝の目覚めがスッキリしていない」「日中(昼食後を除く)に毎日のように眠気が起こる」という人は、睡眠時間に関わらず睡眠の質が低い可能性が高いです。
こうしたことを避けるためにも、血糖値をコントロールするためには、十分かつ良質な睡眠をとるように心がけましょう。
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睡眠不足は太る原因となる?睡眠とダイエットの関係性

適度に運動する

既に述べたように、運動は血糖値を上げる可能性も下げる可能性もあります。また、抗ストレス力を高めるためにも有効です。
血糖値をコントロールするための運動は、基本的には交感神経を刺激しない程度の運動になります。簡単にいうと、ウォーキングやジョギングのような軽い運動です。
あまりにハードな筋トレや長時間のランニングなどでは、交感神経を強く刺激してしまい自律神経のバランスが乱れてしまう可能性があります。もちろん、趣味で行うのには良いと思いますが、血糖値をコントロールするためには適していないでしょう。
そのため、血糖値をコントロールするためには、週2~3回程度の有酸素運動を行うことをおススメします。
また食後の血糖値上昇が気になるのであれば、食後にウォーキングなどの軽い運動を行うと良いでしょう。
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ダイエットを成功させる正しい運動方法:有酸素運動
今回述べたように、ダイエットを成功させるためには血糖値をコントロールすることが重要です。
そして血糖値を上手くコントロールするためには、そもそも血糖値を乱さないという視点から「糖質の摂取量を減らす」「糖質を適量摂る」、変動した血糖値が速やかに調整されるようにするという視点から「ストレスをコントロールする」「十分かつ良質な睡眠を取る」「適度に運動する」という5点がポイントになります。
血糖値というと、食事ばかりに目がいきがちです。ただ、血糖値を調整している要因は食事だけではありません。
こうしたことからも、血糖値のコントロールを行う場合には、さまざまな視点から考えてアプローチすることが大切です。