ダイエット やり方

ファスティングダイエットの効果から注意点、実践法まで全て解説

ダイエット目的にファスティングを行うときに「ファスティングって大丈夫なの?」「ファスティングすれば本当に痩せるの?」「ファスティングって実際にどうするの?」という悩みをもったことがあるのではないでしょうか?
一言でファスティングダイエットといっても、ファスティングのやり方はさまざまです。
基本的に、24時間以内のような短期的なファスティングであれば、病気がない限りは安全に実施できます。ただ、24時間以上のファスティングは、専門家による管理下でない限りおススメはしません。
特にダイエット目的であれば、長期間ファスティングをする必要はありません。ダイエットのためにファスティングを行うのであれば、24時間以内の「間欠的ファスティング」をおススメします。
間欠的ファスティングは、数日間食べないようなファスティングとは違います。短時間のファスティングを数日置きに、断続的に実施するファスティング方法です。
間欠的ファスティングであれば、専門家の管理がなくても、安全に効果的なダイエット効果を得ることができます。
そこで今回は、「ファスティングダイエットの概要」「ファスティングダイエットで期待される効果・病気の改善について解説します。

ファスティングダイエットの概要と効果と期待される効果のまとめ

・ファスティングで期待できる効果

・インスリン抵抗性の改善
・内臓が休まる
・体内酵素が節約できる
・有害物質を避けられる
・体内毒素の排泄(デトックス)

ファスティングダイエットとは

ファスティングとは、一定期間食べ物を断つことをいいます。ここでいうファスティングとは、ユダヤ教やイスラム教などで行われる宗教的なファスティングではなく、身体の健康増進(ヘルスケア)を目的としたファスティングです。
ファスティングと同じような言葉に「絶食」があります。これらの違いは、昭和43年に絶食研究会で「宗教上の目的で行う場合をファスティング、医学的な目的で実施する場合を絶食」と決められていました。
ただここでは、ファスティングという呼び方の方が一般的に馴染みがあるため、医学的な(ヘルスケア)目的ではありますが、ファスティングという言葉を使います。
本来のファスティング(本ファスティング)では、一定期間水だけを摂取して、定められた期間は水以外の飲食物は一切食べません。そして本ファスティングは、基本的に3日以上ファスティングを継続します。
しかし、本ファスティングは初心者が自宅で実施することは難しいため、ヘルスケア目的で実施する人は少ないです。また、何も知識がない状態で、さらに医者など専門家の協力も得ずに本ファスティングを行うと、非常に危険な状態を招く可能性があります
そうしたこともあり、ヘルスケアを目的としたファスティングには、本ファスティングではなく酵素ジュースファスティングや半日ファスティング、1日ファスティングなどの方法が推奨されています。
このようにファスティングにはさまざまな方法がありますが、どれであっても「一定期間食べ物を断つ」ということには変わりありません。ただ本ファスティングと違って、酵素ジュースなどの水以外の飲食物を摂れたり、3日以上ではなく、朝食だけを抜いたりするなど、制限を緩くします。
このようにファスティングとは、どのような方法であっても「とにかく一定期間食べ物を断つ食事法」だと考えて良いです。

ファスティングダイエットで期待できる効果

ファスティングを行うと、体にはさまざまな変化が起こります。ファスティングを行うことで得られるメリットには、主に「インスリン抵抗性が改善される」「臓器が休まる」「体内酵素の消費が減る」「有害物質の摂取が減る」「体内毒素の排泄(デトックス)」の5つが挙げられます。

インスリン抵抗性が改善される

肥満の原因の一つとして「インスリン抵抗性」という状態が挙げられます。インスリン抵抗性とは、すい臓で作られるインスリンと呼ばれるホルモンが効きにくくなっている状態です。
インスリンは肥満ホルモンとも言われ、脂肪の蓄積を促す作用をもっています。そのため、インスリンが過剰に分泌されることが肥満の原因となるのです。
インスリン抵抗性になると、肥満ホルモンであるインスリンが大量に分泌されることになります。つまり、「インスリン抵抗性 → 高インスリン状態 → 肥満」という流れによって太ってしまうのです。
ファスティングには、こうしたインスリン抵抗性を改善して痩せやすくする効果があります。
インスリン抵抗性について詳しく知りたいのであれば「なかなか痩せない原因について解説:インスリン抵抗性の解消法」を参考にしてください。

ファスティングダイエットをすると臓器が休まる

食べ物を食べるためには、胃腸による消化・吸収活動が欠かせません。そして、消化・吸収は無意識下で起こっているものですが、内臓には負担がかかっています。
例えば、あなたがスクワットなどの筋トレを普段以上に行ったとき、体にはいつもより強い負荷がかかるため、筋肉痛が起こります。このことと同様で、食事を食べ過ぎると、内臓は普段以上に活動しなければいけなくなるため、疲弊します。
短期間であれば筋肉痛が起こっても生活に支障がないように、内臓も一時的に疲れることは問題となりません。
ただ、毎日食べ過ぎたり偏った食事を摂ったりして内臓が疲弊している状態が続くと、日頃から内臓が活動しにくくなります。その結果、消化不良や栄養吸収不良が生じて日常生活に支障をきたすようになるのです。
ファスティングを行うと、食事を断っている間は内臓が働く必要がないため、内臓を休めることができます。そのため、ファスティングを行うことは、内臓の疲労を解消させることになるのです。
こうした、ファスティングによって内臓の機能が十分に回復すると、消化や吸収といった内臓の機能が高まります。そして、食事の消化・吸収が高まると、結果的に代謝が高まるためダイエット効果も生まれることになります。

ファスティングダイエットをすると体内酵素の無駄づかいが減る

体には、体内で起こる反応を円滑化する役割を持つ「酵素」と呼ばれる物質が存在します。
例えば、食事をするときには、食べ物を体内に取り入れるために、食品を体が吸収できる大きさまで分解(消化)しなければいけません。このときに、食べ物の消化をスムーズにするために働くのが酵素です。
また、体が動くためにはエネルギーが必要になります。そのためのエネルギーは、「脂肪酸」や「ブドウ糖」といったエネルギー源を基に作られます。
そして、こうしてエネルギー源からエネルギーを産出するときにも、酵素が作用することで、スムーズにエネルギーが生み出されます。
このように、体の機能が円滑に働くために作用する物質が酵素です。
そして酵素には、主に食事を分解するために使われる「消化酵素」と、エネルギー源からエネルギーを作り出すときに働く「代謝酵素」の2つが存在します。またこれら2つの酵素は、体内に一定量しか存在していません。
つまり、酵素は使いすぎると無くなってしまうということです
当然、体内の酵素が不足すると、消化がスムーズに行われなかったりエネルギーが十分に作られなかったりするようになります。
そうなると、消化不良やエネルギー不足が生じて、さまざまな不調が出現します。
そして、ファスティングをすれば消化活動が必要なくなるため、消化酵素が消費されなくなります。つまり、ファスティングには消化酵素を節約する役割があるといえます。
このように、ファスティングによって消化酵素の無駄遣いが減ると、体内酵素の消耗が少なくなります。その結果、消化やエネルギー産生など体に必要な活動に酵素が利用できるようになり、健康的な体となるのです。
ちなみに、ファスティングによって消化酵素が節約されると、免疫細胞の活動に利用できる代謝酵素の量が多くなるため、免疫機能を高めることにもつながります。

ファスティングダイエットをすると有害物質が体内に入らなくなる

現代の食事では、体にとって有害となる物質を多く取り入れがちです。
例えば、ほとんどの加工食品には食品添加物が入っています。確かに、一般的に使用されている食品添加物は、厚生労働省によって安全性が認められているものです。
ただ、安全性が認められているといっても、ほとんどの場合は「一定量以下の摂取であれば直ちに体に影響が出ない」ということが動物実験によって示されているのみです。また、これらの実験の多くは、単一の食品添加物を摂取したときの反応しか確認されていません。
しかし、日常的に摂取する食品添加物は、ほとんどの場合が複数種類同時に摂取します。
そのため、いくら厚生労働省によって安全が認められているといっても、体にとって全く影響がないとはいえません。
そして、そもそも食品添加物は体にとって必須の栄養素ではないため、摂取する必要はありません。つまり、食品添加物は体にとって不必要な物質だといえます。
食品添加物の他にも、野菜や果物に付着している「残留農薬」や、牛肉、牛乳などに含まれている「ホルモン剤」、魚介類には入っている「水銀」など、私たちは、想像している以上に、有害である可能性がある物質を食事によって摂取しています。
ファスティングを行うことで、こうした有害である可能性がある余計な物質が体内に入ることを防ぐことができます。

ファスティングダイエットをすると体内毒素の排泄(デトックス)効果が期待できる

ファスティングには、排便活動が促される効果があります。そして排便は、体内に蓄積されている脂肪や有害物質などを取り除く(デトックス)作用を持っています。
例えば、半日ファスティングでは朝食を抜きますが、朝食を摂らないだけでも排泄が促されます。それは、人間の体に備わっている「生体リズム」と呼ばれる機能が関係しています。
生体リズムとは、外部環境とは関係なく体内で刻まれるリズムです。具体的な例を挙げると、人間には「夜寝て朝起きる」という睡眠覚醒リズムが存在しますが、これは生体リズムによって作られているものです。
そのため人間は、真っ暗な部屋で時間がわからないような状況になっても、だいたい「夜になったら眠り、朝になったら起きる」というリズムで活動します。
そうした生体リズムによって、午前中は尿を排泄する腎臓や便を排出する腸の活動が活発となります。つまり、午前中は排泄器官が働く時間だといえます。起床時に尿意や便意をもよおす人が多いのは、生体リズムによる影響です。
そして、このように体が排泄モードである午前中に食事を摂ってしまうと、体は食べ物の消化や吸収も同時に行わなければいけなくなります。
そうなると、胃やすい臓といった消化器官の活動にエネルギーが使われてしまうため、本来働くべきである排泄器官である腎臓や腸の活動が弱まってしまいます。その結果、尿や便の排泄が上手くいかなくなり、便秘などの不調が引き起こされるのです。
逆に、ファスティングによって午前中に食べ物を摂らずにいると、腸が活発に活動して排便がスムーズに起こります。
また、ファスティングによって一定期間食べ物を食べないでいると、ファスティング後に食事をした際に、腸が通常以上に刺激されることになります。そうした刺激は、腸で起こる便意を起こす反射を誘発し、排便を促すことにつながります。
このようにファスティングには、排便が促される(デトックス)という効果があります。
ちなみに、排便によるデトックスでは、先ほど述べたような食品添加物や水銀、農薬といった物質が排泄されることも期待できます。

ファスティングダイエットをすると精神的なゆとりが生まれる

ファスティングを行うと、今まで食事に充てていた時間が必要なくなります。そのため、その分だけ自由に使える時間が増えます。
例えば、朝食を30分かけて摂っていた人がファスティングすると、朝に30分間の余裕が生まれます。その結果、バタバタ準備する必要がなくなり、朝の忙しい時間に感じていたストレスが減ります。
特に小さな子どもを持っている親であれば想像できると思いますが、朝から30分間の空き時間ができれば、非常に精神的なゆとりが生まれます。また、朝起きるのが苦手な人にとっても、朝の30分は貴重な時間となるはずです。
さらに、その余った時間を趣味活動に充てることで、よりストレスを軽減させることなります。
このように、ファスティングを行うことには、精神的なゆとりが生まれてストレスを軽減させる効果もあります。

ファスティングダイエットによって効果があるとされている病気

ファスティングは、さまざまな病気を予防したり、改善したりする効果があることが明らかになっています。実際に、ファスティングを指導することで病気の治療を行っている医師も存在します。
そこで以下に、ファスティングによって予防・改善が期待できる病気の例を記します。

アレルギー疾患

アトピー性皮膚炎や花粉症、気管支喘息といったアレルギー疾患は、ファスティングによって予防・改善効果があるといわれている病気の一つです。
こうしたアレルギー疾患の原因は、腸内環境の悪化にあります。腸は、食事から摂取した栄養素を体内(血液中)に取り込む働きを持っています。また腸は、体にとって有害となる物質は吸収しないような「免疫(バリア)機能」も果たしています。
アレルギー疾患は、こうした腸のバリア機能が低下して、有害物質(アレルゲン)が血液中に取り込まれることが原因で起こる病気です
そして、腸内環境が悪化すると、腸のバリア機能は著しく低下してしまい、アレルゲンを体内に取り込むようになります。特に、便秘によって腸内で便が蓄積されると、便から有害物質が作られて、いわゆる「悪玉菌」が腸内で増殖し腸内環境が悪くなります。
その結果、アレルゲンが体内に侵入して、アレルギー疾患が発症するのです。
既に述べたように、ファスティングには排便を促す効果があります。つまり、ファスティングを実施して便秘を予防・解消すれば、「腸内環境が良好となり腸のバリア機能が適切に発揮され、アレルゲンが血液中に取り込まれなくなる」ということです。
こうしたことから、ファスティングにはアレルギー疾患の発症を防ぐ効果が期待できるといえます。

高血圧、動脈硬化

高血圧と動脈硬化(動脈が硬くなる病気)は、多くの人が悩まされている生活習慣病です。そして、これら2つの病気は相互に関係しています。
例えば、高血圧の状態は動脈硬化を進行させる原因になりますし、動脈硬化は血圧を上げる要因になります。ただ、多くの場合は、動脈硬化によって血管が狭くなることがきっかけとなり、高血圧を発症します。
人間の体において、血流不足の影響を最も受けるのは脳(神経)です。実際に、血流全体の20パーセントは脳に送られています。
想像してみるとわかると思いますが、手足を縛って数十分血流が手足へ届かないようにしても、命に別状はありません。また、縛っているのをほどけば、手足の血流はすぐに元通りになります。
それに対して脳は、血流が数分間止まるだけで死に至るか、もしくは脳に何かしらの障害が残ります。
動脈硬化が起こってしまうと、血管が狭くなってしまうために脳へ血流が届きにくくなります。そのため、体は血圧を高くすることで、脳へより血液を送るようにしているのです。つまり、高血圧は動脈硬化による脳への血流不足を補うために起こっている反応といえます。
そして、こうした高血圧の原因となる動脈硬化を引き起こしているのが、食生活の乱れです
具体的には、糖質(炭水化物)の過剰摂取による血糖値(血液中の糖分量を示す値)の変動が、動脈硬化を発症させる一番の原因となります。
血糖値の変動は、血管内の壁を傷つけます。そうなると、傷ついた血管を修復しようとして、傷の部分に脂肪(コレステロール)が集まります。コレステロールには、傷ついた血管壁を覆って治癒させる働きがあります。
つまり、傷ついた血管に対して絆創膏(ばんそうこう)のような役割をしているのがコレステロールです。ただ、傷を修復するために集まったコレステロールは、血管に付着して血管を硬くするだけでなく、血管内を狭くして、動脈硬化を起こします。
こうした理由から、ファスティングによって糖質の摂取が抑えられると、動脈硬化が予防でき、高血圧の発症を防ぐことになります。

糖尿病

糖尿病もファスティングによって予防・改善が期待できる病気の一つです。
糖尿病は、すい臓から分泌される「インスリン」と呼ばれるホルモンの量が少なくなる、もしくは働きが低下してしまう病気です。インスリンには、血糖値を下げる作用があるため、インスリンの作用が悪くなると、慢性的に血糖値が高くなります。
ただ、血糖値を高くする唯一の栄養素は糖質(炭水化物)であるため、食事から摂取する糖質量を制限すると血糖値は上昇しません。
そして、既に述べたように、血糖値が高い状態は動脈硬化を進行させる大きな原因です。
糖尿病の合併症として「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経症」の3つは「三大合併症」として有名ですが、これらは全て関連する血管の動脈硬化が原因で発症します。
ファスティングを行うと、まず血糖値を上げる原因である糖質の摂取を断つことになります。そうなると、食事によって血糖値が高くならないため、インスリンが働く必要がなくなります。そのため、糖尿病でインスリンの量が減ったり、働きが悪くなったりしていても問題ありません。
また、ファスティングで糖質を制限すると、血糖値が変動しないので動脈硬化も起こりません。
さらに、ファスティングによってすい臓によるインスリン分泌の必要性が少なくなると、その間すい臓は休憩することになります。その結果、すい臓の働きが活発になり、インスリン分泌不足が解消されます。
このように、ファスティングは糖尿病を予防・解消するための有効な手段です。
ただ、糖尿病でインスリンなどの薬を服用している人がファスティングを実施する際は、糖尿病に合併して起こる低血糖症に注意しなければいけません。そのため、必ず医師の診断と専門家のアドバイスを受けてから行うことが大切です。
その他にも、ファスティング療法で有名な甲田光雄医師は、以下のような疾患にファスティングが効果的であったと述べています。
・脳卒中、心臓病
・ウイルス性肝炎
・慢性疲労性
・慢性腎炎
・関節リウマチ
・慢性疲労症候群
・多発性硬化症
・潰瘍性大腸炎
・胃潰瘍、十二指腸潰瘍
・腰痛、肩こり、関節痛
・冷え症
・がん
・認知症
今回述べたように、ファスティングダイエットには、さまざまな効果が期待できます。ただ、ファスティングには危険性が伴う場合もあるため、正しい方法を理解して実践することが大切です。