脂質ダイエットによる体質改善

ダイエット目的にビタミンAのサプリメントを取るときのポイント

一般的に、ビタミンAは数あるビタミンの中でもあまり重要視されていません。しかし、ビタミンAは目の働きや精子・卵子などのさまざまな細胞の成長に欠かせない栄養素です。

 

ただ、ビタミンAは過剰に摂取することで「レチノイン酸症候群」という病気の発症につながることが心配されています。特に、妊婦の体内でレチノイン酸(活性化されたビタミンA)が異常に発生すると、胎児の奇形を招く可能性があるのです。

 

しかし、基本的にビタミンAは体内で作られる量が精密にコントロールされています。そのため、ビタミンAが豊富な食品を摂取しても、体内でレチノイン酸が過剰に作られることはないのです。

 

こうしたビタミンAの消化や代謝のメカニズムについて理解しておくことで、食事やサプリメントなどから正しくビタミンAを摂取することができるようになります。

 

そこで今回は、「ダイエット目的にビタミンAのサプリメントを取るときのポイント」について解説します。

 

サプリメントでビタミンAを摂取するときのポイント

 

・活性型のレチノイン酸は遺伝子に直接作用する
・活性型であるレチノイン酸をサプリメントで使用するときには過剰摂取に注意する
・ビタミンAを豊富に含む食品からの摂取であれば、過剰摂取を心配する必要はない

 

ビタミンAとは

ビタミンAとは「ビタミンAに似た生物学的効果をもつ物質および化合物のすべて」のことを指します。具体的には、「βカロテン(カロチン)」「レチニルエステル(脂肪酸エステル)」「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」の5つをビタミンAといいます。また、これら5つはまとめて「レチノイド」とも呼ばれます。

 

この中でも、一般的にビタミンAとして認識されているのはレチノールです。これら5つのビタミンAは、似てはいるものの構造や働きは異なります。

 

そのため、以上の5つは大まかにビタミンAとして認識しても問題ありませんが、それぞれにおける詳細な機能の違いを理解しておくことが大切です。

 

ビタミンAの構造と機能

βカロテンは、植物中に含まれているビタミンAの前駆体です。一般的に「プロビタミンA」といわれます。

 

例えば、ニンジンや大葉(シソ)、モロヘイヤなどの野菜にビタミンAが豊富だといわれるのは、βカロテンがたくさん入っているためです。

 

βカロテンは、体内で「βカロテン → レチノール → レチナール、レチノイン酸」という過程を経て、活性化されたビタミンAであるレチノイン酸まで変換されます。そして、レチノイン酸の形になってはじめて細胞に作用します。ただ、βカロテンはそれ自体でも「抗酸化物質」としての働きをもっているのです。

 

抗酸化物質とは、細胞を老化させる現象である「酸化反応」を抑える働きをもつ物質です。つまり、βカロテンには体の老化を抑える役割があります。

 

βカロテンに対して、レチニルエステルは動物中に含まれているプロビタミンAです。「レチニルエステル → レチノール」というレチノールまでの変化はβカロテンとは違う反応が起こります。

 

しかし、レチノールに変換された後は、βカロテンと同じように「レチニルエステル → レチノール → レチナール、レチノイン酸」という過程を経て活性型であるレチノイン酸まで変換されます。(網膜では、レチノールはレチナールに変換されて明暗調節に関わります)

 

レチノールは、プロビタミンAとして摂取したビタミンAが体内に入った後に全身の細胞へ送られるまでの輸送形態です。ビタミンAは血液中をレチノールの形で移動します。

 

そして、目的の細胞に到着した後にレチナールやレチノイン酸に変換され、ビタミンAとしての役割を果たすことになるのです。

 

このようにビタミンAは、植物や動物中にはプロビタミンAという形で貯蔵されています。食品として摂取した後にレチノールに変換された後は、数段階の代謝を受けてレチナールもしくはレチノイン酸となって、はじめてビタミンAとしての役割を果たすことになるのです。

 

ビタミンAの役割

既に述べたように、ビタミンAとしての働きをするのは、主にレチナールとレチノイン酸の2つです。

 

レチナールは、視覚に欠かせない役割を担っています。具体的には、明暗の調節を行う「ロドプシン」と呼ばれる、網膜に存在する光を感受する受容体の構成成分となっているのです。

 

そのため、レチノールが不足すると、急に暗くなったときになかなか暗さに目が慣れなかったり(明暗調節障害)、周囲が薄暗く見えたり(夜盲症)といった症状が認められるようになります。

 

またレチノイン酸は、さまざまな組織の成長や分化に関わっています。具体的には、細胞内の遺伝子に直接働きかけることで細胞の成長や分化を促すのです。

 

例えば、レチノイン酸は、気道や腸の粘膜、皮膚、腫瘍細胞など、さまざまな細胞の成長に関与しています。その他にも、細胞分裂が盛んに起こっている卵や口腔内、骨髄、精子などに、レチノイン酸は作用しています。

 

そのため、レチノイン酸が不足すると、感染に対する抵抗力が弱くなったり、精子に異常が生じたりといった症状が出現することになるのです。

 

その他にも、ビタミンAの欠乏症状として「眼球乾燥症」は有名です。

 

このように、ビタミンAは視覚だけでなく、さまざまな細胞の成長・分化に深く関与しています。

 

ビタミンAの摂取基準量

ビタミンAの摂取基準量は、厚生労働大臣が定める「食事摂取基準」によって決められています。以下に、ビタミンAにおける第6次改定日本人の栄養所要量を記します。

 

年齢(歳) 所要量μg(IU) 許容上限摂取μg(IU)
0~ 300(1000) 1200(4000)
6ヶ月~ 300(1000) 1200(4000)
1~2 300(1000) 1200(4000)
3~5 300(1000) 1200(4000)
6~8 350(1200) 1200(4000)
9~11 450(1500) 1200(4000)
12~14

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
15~17

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
18~29

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
30~49

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
50~69

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
70以上

男性:600(2000)
女性:540(1800)

1500(5000)
妊婦 +60(200) 1500(5000)
授乳婦 +300(100) 1500(5000)

*1μg=0.001mg

 

ビタミンAの過剰摂取

ここまで述べたように、ビタミンAは卵子や精子、骨髄、皮膚など、さまざまな細胞の成長・分化に関わっています。具体的には、ビタミンAが遺伝子に作用することで、正常に細胞が成長・分化するのです。つまり、ビタミンAの摂取量が不足すると、こうした細胞の遺伝子発現が障害されてしまいます。

 

ただ、細胞の遺伝子に直接作用するという特徴をもつビタミンAは、過剰に摂取することで問題を引き起こすケースも多いのです。

 

ビタミンAが遺伝子に作用するメカニズム

ビタミンAの活性型であるレチノイン酸は、「DNA(遺伝子)に直接働きかける」という特徴があります。

 

通常、物質が細胞に作用するときは、細胞膜(細胞の壁)部分でレセプター(受容体)を介して細胞内に入ってDNAに働きかけます。当然、レセプターを上手く通ることができなければ、遺伝子に到達することはできません。

 

その一方でビタミンA(レチノイン酸)は、レセプターを介することなく細胞内に侵入し、直接遺伝子に作用するのです。つまり、遺伝子に対して容易に強い影響を与えることになります。

 

 

こうした、受容体を介さず直接的に遺伝子に作用する物質を「核受容体スーパーファミリー」といいます。ちなみに、核受容体スーパーファミリーとしては以下のような物質が挙げられます。

 

・女性ホルモン
・男性ホルモン
・甲状腺ホルモン
・活性型ビタミンD
・ビタミンA
・グルココルチコイド(糖質コルチコイド)
・ミネラルコルチコイド

 

このように、遺伝子に直接作用する核受容体ファミリーのほとんどは「ホルモン」と呼ばれる物質です。その中に、ビタミンAとビタミンDが含まれています。

 

こうしたことからも、ビタミンの中でもビタミンAとビタミンDは、ビタミンCやビタミンBといったその他のビタミンとは違って「ホルモンのような働きをするビタミンである」という認識をもっておくことが大切です。

 

ビタミンAは体内で精密にコントロールされている

ここまで述べたように、活性化されたビタミンAであるレチノイン酸は、細胞の遺伝子に直接作用します。つまり、「レチノイン酸は細胞に対して容易かつ強力に働きかける」ということです。

 

体に生じた炎症を抑える薬の一つに「ステロイド剤(副腎皮質ステロイド)」があります。ステロイド剤は、アトピーや潰瘍性大腸炎、リウマチなどの症状に対してよく処方され、薬剤の中でも非常に強い抗炎症作用を発揮する薬剤です。

 

ステロイド剤が体に対して強く作用する理由は、ステロイド剤が核受容体スーパーファミリーであるためです。先ほど挙げた核受容体ファミリーの中で「グルココルチコイド(糖質コルチコイド)」は、ステロイド剤のことを指します。

 

つまり、ステロイド剤は遺伝子に直接働きかけるため、強い抗炎症作用を発揮するのです。

 

このように、ステロイドが体に作用するメカニズムを知ると、同じように遺伝子に直接働きかけるビタミンA(レチノイン酸)が、どれだけ細胞に強い影響を与えるかが理解できます。

 

遺伝子に対してこれだけ強く作用するビタミンAは不足することも問題です。ただ、増えすぎることも遺伝子に対して悪影響を与えることになります。こうしたことから、ビタミンAは体内で増えすぎないように精密にコントロールされているのです。

 

ビタミンAの吸収・代謝過程

体内でビタミンAが過剰になると、遺伝子に対して悪影響を与えます。そうはいっても、ビタミンAの中で遺伝子に直接作用するのは活性化された状態であるレチノイン酸だけです。

 

つまり、βカロテンやレニチニルエステルレチノール、レチナールといった状態であれば、遺伝子の発現に問題を起こすことはありません。活性型のビタミンAであるレチノイン酸まで変換されて、はじめて遺伝子に作用するのです。

 

既に述べたように、ビタミンAは植物中にはβカロテン、動物中にはレチニルエステルというプロビタミンの形で存在してます。

 

食べ物としてプロビタミンを摂ると、βカロテンとレチニルエステルは腸内でレチノールに変換されます。そして、「カイロミクロン」と呼ばれるタンパク質と一緒に血液中に送り出されます。

 

そのため、体内でのタンパク質量が不足していると、ビタミンAは血液中に取り込まれにくくなる(体内に吸収されにくくなる)のです

 

血液に入ったレチノールは、肝臓に取り込まれて代謝されます。肝臓で「レチノール結合タンパク質(RBP)」というタンパク質と結合して再び血液中に送り出されたレチノールは、血流に乗って全身の細胞に運ばれます。
(*このとき、尿からレチノールが過剰に排泄されないように、「トランスサイレチン」と呼ばれる物質に結合します。)

 

血液中に入ったレチノールの一部は、腎臓から尿として排泄されます。その一方で、腎臓ではなく細胞に到達したレチノールは、細胞内でレチノイン酸に変換されるのです。このとき、網膜に届けられたレチノールはレチナールに変わり、視覚機能に働きかけます。

 

 

このように、食べ物からプロビタミンA(βカロテン、レチニルエステル)として摂取された後は、さまざまな過程を経てレチノイン酸、レチナールまで変換されて、はじめてビタミンAとして作用するのです。

 

レチノイン酸症候群

ここまで述べたように、ビタミンAはレチノイン酸という活性化された状態になって、はじめて細胞の成長や分化を促します。ただ、そうだからといって「サプリメントなどで既に活性化されたレチノイン酸の形で摂取すれば、ビタミンAを効率的に摂れる」というわけではありません

 

活性化されたレチノイン酸が体内で過剰になると「レチノイン酸症候群」という病態に陥ってしまう可能性があるのです。

 

レチノイン酸は、細胞の成長や分化を促す働きをもつため、体の健康を維持する上では欠かせない物質だといえます。ただ、必要以上に増えすぎると遺伝子に直接作用して悪影響を及ぼすのです。

 

レチノイン酸症候群は、癌(急性白血病)の治療薬でレチノイン酸を大量に投与したときに起こる可能性がある副作用として知られています。

 

通常、体内におけるレチノイン酸は、食べ物からβカロテンやレチニルエステルといった形で摂取された後に、さまざまな過程を経て作られます。このとき、体内ではレチノイン酸が過剰に作られないように制御されているのです。

 

つまり、体内でレチノイン酸が増え過ぎたときにはレチノイン酸の合成を抑制し、逆に少なくなったときには合成を促進しています。

 

 

こうしたメカニズムが働いているため、レバーやバター、ニンジンなどの食品からプロビタミンAを摂取してもレチノイン酸が過剰になることはありません

 

その一方で、サプリメントや薬などによって既に活性化されてレチノイン酸を摂取すると、体内における調整メカニズムが働くことなくレチノイン酸が増えてしまいます。その結果、レチノイン酸症候群を発症してしまうのです。

 

そのため、基本的に食事だけからビタミンAを摂取している場合には、ビタミンAの過剰摂取を心配する必要はないといえます。

 

ただ、妊婦におけるビタミンAの過剰摂取は胎児の奇形を引き起こす可能性があると考えられています。そのため、妊婦だけはビタミンAの摂取量を抑えるべきだとされています。

 

このようにビタミンAの摂取に関しては、食事から摂るのであれば妊婦以外は意識して減らす必要はないといえます。

 

ビタミンA(プロビタミンA)を豊富に含む食品

最後に、ビタミンAを豊富に含んでいる食品についてまとめます。

βカロテン レチニルエステル(脂肪酸エステル)
大葉、ニンジン、とうがらし、パセリ、モロヘイヤ、あしたば、大根の葉、春菊、にら、かぼちゃ、ひじき、こまつな、クレソン、のり、抹茶 レバー、あんこう、きも、やつめうなぎ、うなぎ、ぎんだら、フォアグラ、ほたるいか、あなご、クリーム、卵黄、バター

 

今回述べたように、ビタミンAには目の健康だけでなく、さまざまな細胞の成長や分化を促す働きがあります。そのため、普段からビタミンAを意識して摂取しておくことは大切です。

 

ただ、サプリメントや薬で活性化したレチノイン酸を摂取することは、レチノイン酸症候群を引き起こす可能性があるため注意してください。

 

そうはいっても、食事からβカロテンやレチニルエステルといった形で摂取すれば、体内でレチノイン酸が過剰に発生する心配はありません。こうしたビタミンAの吸収や代謝のメカニズムを理解しておくことで、正しく食事やサプリメントからビタミンAを摂ることができ、ビタミンAの効能を得られるようになります。

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