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ダイエット中に摂るべきビタミン11選:ダイエットとビタミン

ダイエットを成功させるためには、食事を意識することが大切です。その中でも「痩せるためにサプリメントや食事で摂るべき栄養素について知りたい」と考えている人は少なくありません。誰もが「どうにかして効率的に痩せたい」と考えているためです。
ただ、ダイエット中に摂取すべき栄養素について学ぶことは容易ではありません。
そのため、ほとんどの人は雑誌やウェブサイトで紹介されているサプリメントなどを何となく試しているのです。そして、大した結果を得ることなく短期間でサプリメントや食材の摂取を断念します。
そうしたことを避けるためにも、ダイエット中に必要な栄養素について理論的に学んだ上で、あなた自身に必要な栄養素を摂取することが大切です。
そうすることで、効率的かつ健康的に痩せることができるようになります。
そこで今回は、「ダイエット中に摂取すべきビタミン」について解説します。

ダイエット中に摂るべきビタミンのまとめ


ビタミン 役割 豊富に含まれている食品
ビタミンB1(チアミン) 血糖値をコントロールしてインスリン(肥満ホルモン)分泌を抑える 玄米、全粒粉、豚肉(赤身)、たらこ、うなぎ、大豆
ビタミンB2(リホフラビン) 脂肪の燃焼を促す レバー、うなぎ、ブリ、納豆、モロヘイヤ、卵
ビタミンB3(ナイアシン) 代謝を高める らっかせい、エリンギ、アボカド、魚介類(たらこ、かつお、さば)、牛・豚レバー、鳥ささみ
ビタミンB6 筋肉をつきやすくして代謝を高める 牛・豚レバー、鳥ささみ、マグロ、カツオ
ビタミンB12・葉酸 脂肪の燃焼を促す ・ビタミンB12
レバー(牛・豚・鳥)、サンマ、シジミ、アサリ、カキ、ハマグリ
・葉酸
枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、みずな、アスパラガス、納豆、鶏レバー、うなぎの肝、ウニ、日本茶、焼き海苔
ビオチン(ビタミンH) 血糖値を安定させる(糖質制限中の低血糖を防ぐ) アーモンド、カシューナッツ、あさり、らっかせい、イワシ、レバー、卵黄、きなこ、穀類
ビタミンD 血糖値を安定させる(インスリン抵抗性を防ぐ) 卵黄、黒カジキ、紅サケ、キクラゲ、干しシイタケ、バター、牛乳
ビタミンA・C・E 食欲を抑制する(酸化を防ぐ) ・ビタミンA
レバー(牛・豚・鳥)、ウナギ、銀ダラ、モロヘイヤ、ニンジン、ほうれん草
・ビタミンC
赤ピーマン、菜の花、ブロッコリー、柿、キウイ、イチゴ、オレンジ
・ビタミンE
アーモンド、トウガラシ、抹茶、モロヘイヤ、かぼちゃ

ビタミンB1(チアミン)とダイエットの関係性

ビタミンB1は、玄米や全粒粉といった未精製の穀物や根菜類、臓器類などに多く含まれている栄養素です。特に、インスタント食品や加工食品の摂取量が多い人には不足しがちな栄養素だといえます。
こうしたビタミンB1は、ダイエットを成功するために欠かせない栄養素なのです。

ビタミンB1はダイエットにおける糖質代謝に関わる

ビタミンB1の主な役割は、糖質の代謝をスムーズにすることにあります。つまり、ビタミンB1は、食事から糖分として摂取した栄養をエネルギーとして変換するときに必要となるのです。
食事から摂取した糖分は腸内から血液中に吸収された後、血流に乗って全身の細胞に送られます。そして、ビタミンB1を使って細胞が活動するためのエネルギーに変換されるのです。
そのため、ビタミンB1が不足してしまうと、血液中の糖質(ブドウ糖)をエネルギーに変換できなくなります。
その結果、血液中にたくさんの糖分があふれてしまい、血糖値(血液中の糖分量を表す値)が上昇してしまうのです。そして、血糖値が高くなると体への脂肪蓄積を促す「インスリン」と呼ばれるホルモンが分泌されます。
つまり、ビタミンB1が不足すると、血糖値が高くなることで体内のインスリン量が増えて太りやすくなるのです。
また、ビタミンB1は全体の70パーセントが筋肉で消費されます。そのため、筋肉量が低下すると、その分だけビタミンB1による糖分のエネルギー変換量が少なくなるため、血糖値が高くなり、脂肪を蓄積しやすくなるのです。
このように、ビタミンB1は血糖値のコントロールに関わる栄養素であるため、ダイエット中に摂取すべきだといえます。

ビタミンB1が不足すると起こる問題

ビタミンB1の欠乏症としては「脚気」「ウェルニッケ脳症」「多発性神経炎」が挙げられます。ただ、このように明らかな病気を発症するまでに至っていなくても、ビタミンB1不足は体の不調を招くのです。
ビタミンB1が足りないと、糖質からエネルギーが作られないため、エネルギー不足の症状が出現します。
例えば、ビタミンB1が不足して筋肉や脳で十分なエネルギーが作られないと、疲れやすくなったり、イライラしやすくなったりします。また、ビタミンB1が足りないと、記憶力の低下や夏バテなども起こりやすくなるのです。
既に述べたように、ビタミンB1の70パーセントは筋肉で消費されます。そのため、疲労感や倦怠感など、特に筋肉に関連した症状が表れやすくなります。
こうした不調が認められる場合には、ビタミンB1不足を疑う必要があるのです。

ダイエットに必要なビタミンB1を豊富に含む食品

ダイエット中にビタミンB1不足を疑った場合には、ビタミンB1を豊富に含む食品を摂取することが大切です。例えば、玄米や全粒粉は、ビタミンB1を豊富に含む食品になります。
その他にも、以下のような食品にはビタミンB1が豊富に含まれています。
・豚肉(赤身)
・たらこ
・うなぎ
・大豆
そして、ビタミンB1を体内へ吸収するためには「ナトリウム」と「葉酸」が必要です。また、「アリシン」もビタミンB1の吸収効率を高めるとされています。さらに、「ビタミンB3(ナイアシン)」は、ビタミンB1によるエネルギー産生を促すため、一緒に摂取すればダイエット効果を高めることにつながるのです
そのため、ビタミンB1を摂取する場合には、こうした栄養素も意識して摂取するようにしましょう。以下に、ビタミンB1と一緒に摂取すべき栄養素が含まれている食品について記します。


ナトリウム
葉酸 枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、みずな、アスパラガス、納豆、鶏レバー、うなぎの肝、ウニ、日本茶、焼き海苔
アリシン 長ネギ、にんにく、にら、タマネギ、らっきょう
ナイアシン らっかせい、エリンギ、なめこ、アボカド、魚介類(たらこ、かつお、さば)、豚・牛レバー、ハマグリ

ビタミンB2(リボフラビン)とダイエットの関係性

ビタミンB2は、乳製品や鶏肉、魚類、アスパラガス、ブロッコリーなどに豊富に含まれている栄養素であり「リボフラビン」とも呼ばれます。体内で合成することもできますが、貯蔵できないため食事から摂取しなければいけない栄養素です。
こうしたビタミンB2も、ダイエットを成功させるためには欠かせない栄養素だといえます。

ビタミンB2はダイエットに大切な脂質代謝に関わる

ビタミンB2は、糖質とタンパク質、脂質といった栄養素をエネルギーに変換するときに必要な栄養素です。ただ、その中でも脂質の代謝に深く関わっています。つまり、脂肪を効率的に燃焼するためにはビタミンB2が必須となるのです。
例えば、長時間の運動をするときには、脂肪を燃焼することでエネルギーを作り出します。このときに、体内でビタミンB2が不足していると、スムーズにエネルギーが産生できないのです。そのため、ビタミンB2の摂取が足りていないと、すぐに疲れてしまいます。
その一方で、体内に十分量のビタミンB2が存在していると脂肪からエネルギーがどんどん産生されるため、疲れにくくなるのです。またそれだけでなく、脂肪が燃焼されることで痩せることになるのです。
このように、ビタミンB2は脂肪の代謝に関わるため、特にダイエット中には意識して摂取することが大切になります。

ビタミンB2が不足すると起こる問題

ビタミンB2は「発育のビタミン」と呼ばれています。それは、ビタミンB2が三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)からエネルギーを作り出す過程に関わっているためです。
そのため、ビタミンB2が不足すると、体の成長に関わる問題が出現することになります。
例えば、発育の状況を確かめるためには、髪や爪、皮膚などの状態を確認することが有効です。こうした組織は、発育が妨げられていると早期に影響が表れることになるためです。
実際に、ビタミンB2が不足すると、髪の毛がぱさついたり、つめがひび割れたりするといった症状が出現します
また、口内炎や舌炎、皮膚炎、肌荒れ(ニキビなど)、目の充血、貧血なども、ビタミンB2の摂取不足で起こる可能性があります
そのため、こうした不調が認められる場合には、ビタミンB2の不足を疑うことが大切です。

ダイエットに欠かせないビタミンB2を豊富に含む食品

ダイエット中にビタミンB2の不足を感じた場合には、ビタミンB2を豊富に含む食品を意識して摂取する必要があります。例えば、レバーやウナギなどは、ビタミンB2を豊富に含む食品として有名です。
その他にも、以下のような食品にはビタミンB2がたくさん含まれています。
・ブリ
・納豆
・モロヘイヤ
・卵
またビタミンCには、ビタミンB2による脂肪燃焼をサポートする役割があります。そのため、ビタミンB2を摂取する際には、ビタミンCを一緒に摂るように意識することが、ダイエット効果をいっそう高めることにつながるのです。
さらに、ビタミンB2の吸収には腸内環境が大きく影響します。つまり、腸内環境が悪くなるとビタミンB2が不足しがちになるということです。
こうしたことからも、ビタミンB2不足を疑った場合には、腸内環境についても考慮することが大切になります。腸内環境に関しては「腸内環境を整えると痩せ体質になる理由」に詳しく書いています。
ちなみに、ビタミンB2のダイエット効果を高めるビタミンCを豊富に含む食品としては、以下のような食品が挙げられます。


ビタミンCを豊富に含む食品 赤ピーマン、菜の花、ブロッコリー、柿、キウイフルーツ、イチゴ、オレンジ

ビタミンB3(ナイアシン)とダイエットの関係性

ビタミンB3は、「ナイアシン」とも呼ばれる栄養素であり、体内で最も多く存在するビタミンです。基本的には体内で合成されるため不足する心配はありませんが、薬を飲んでいたり、腸内環境が悪かったりすると、体内で不足してしまうのです。

ナイアシンは全ての代謝に関わる

ナイアシンは、糖質と脂質、タンパク質における全ての代謝に「補酵素」として関わります。補酵素とは、代謝をスムーズにするために必要な「酵素」の働きをサポートする成分です。つまり、代謝が円滑に行われるためには、酵素と補酵素が欠かせないといえます。
そしてナイアシンは、体内における補酵素が必要となる全代謝の20パーセントに関わっているのです。そのため、ビタミンB3が不足すると、代謝が大きく低下して太りやすくなります
こうしたことから、特にダイエット中はナイアシンの摂取不足には注意しなければいけないのです。

ナイアシンが不足すると起こる問題

ナイアシンの欠乏症としては「ペラグラ」が有名です。ペラグラとは、ナイアシンが不足すると発症し、皮膚炎や嘔吐、下痢、口内炎などが生じる病気です。さらに、進行すると「うつ」などの精神障害が起こります。
ペラグラの診断を受けなくても、ナイアシンが不足すると歯茎がただれたり、舌が腫れたりといった症状が出現する可能性があります。特に、ナイアシンはアルコールの分解に必要な栄養素であるため、アルコールを大量に飲む人は注意が必要です。
また、ナイアシン不足で代謝が低下すると冷え症になります。
そして、ナイアシンを合成するためには、ビタミンB1とビタミンB2、ビタミンB6が必要になります。さらに、ナイアシンは「トリプトファン」と呼ばれるタンパク質を原料にして合成されるため、トリプトファンの摂取量が少なくなることでも不足する可能性があります。
ちなみに、これらの栄養素が豊富に含まれている食品としては、以下のような食品が挙げられます。


ビタミンB1 玄米、全粒粉、豚肉(赤身)、たらこ、うなぎ、大豆
ビタミンB2 レバー、ウナギ、ブリ、納豆、モロヘイヤ、卵
ビタミンB6 牛、豚レバー、鳥ささみ、マグロ、カツオ、バナナ
トリプトファン バナナ、豆乳、牛乳、乳製品、アーモンド、白米、そば、納豆


そのため、ペラグラ様の症状が認められたり、代謝の低下が疑われたりして、なおかつ以上に挙げた食品をあまり摂らない場合には、ナイアシン不足を疑う必要があります。

ダイエットに欠かせないナイアシンを豊富に含む食品

ナイアシン不足が疑われた場合には、ナイアシンを豊富に含む食品を意識して摂取することが大切です。例えば、マグロやなめこなどは、ナイアシンを豊富に含む食品になります。
また既に述べたように、以下のような食品にはビタミンB3が豊富に含まれています。
・らっかせい
・エリンギ
・アボカド
・魚介類(たらこ、かつお、さば)
・豚、牛レバー
・ささみ
そして、ナイアシン不足が疑われたときには、ビタミンB1とビタミンB2、ビタミンB6、トリプトファンを豊富に含む食品を一緒に摂取することが大切です。

ビタミンB6とダイエットの関係性

ビタミンB6は、ビタミンB2と同様に体内で合成されるビタミンであるため、比較的不足しにくい栄養素だといえます。
ただ、ビタミンB6が上手く働くためには、ビタミンB2や肝臓の作用が必要です。そのため、ビタミンB2が不足していたり、肝臓の機能が低下していたりする場合には、ビタミンB6が足りなくなる可能性が高くなります。
そして、ビタミンB6は筋肉の合成に関わるタンパク質の代謝に深く関与しているため、ダイエット中に欠かせない栄養素だといえます。

ビタミンB6はダイエット中に大切なタンパク質代謝に関わる

ビタミンB6は、体内におけるタンパク質の合成をサポートする補酵素です。そのため、ビタミンB6が不足してしまうと、タンパク質から作られる筋肉量が減ってしまうことになります。当然、筋肉量が少なくなると代謝も悪くなるため、脂肪が燃焼されずに痩せにくくなるのです。
またビタミンB6は、タンパク質だけでなく、脂質の代謝にも関わっています。具体的には、肝臓への脂肪蓄積を抑える働きをしているのです。つまり、ビタミンB6が不足すると、肝臓に脂肪が蓄積されやすくなるといえます。
このように、ビタミンB6も他のビタミンと同じようにさまざまな代謝に関わるため、ダイエット中には意識すべき栄養素です。

ビタミンB6が不足すると起こる問題

ビタミンB6が不足すると、タンパク質から合成される皮膚や粘膜などに悪影響が及びます。
例えば、ビタミンB6不足の症状としては、肌荒れや口内炎、湿疹、アレルギー症状などが挙げられます。
さらに、ビタミンB6は、脳内における神経伝達物質の生成やホルモンバランスにも関与しています。そのため、ビタミンB6が不足すると、イライラや落ち込み、うつなどの精神症状が出現したり、月経前症候群(PMS)が強くなったりするのです
こうした不調が認められた場合には、ビタミンB6の不足を疑う必要があります。

ダイエットに欠かせないビタミンB6を豊富に含む食品

ビタミンB6不足が疑われたときには、ビタミンB6を豊富に含む食品を摂取することが大切です。例えば、牛や豚のレバーには、ビタミンB6がたくさん含まれています。
またその他にも、ビタミンB6が豊富に入っている食品としては、以下のような食品が挙げられます。
・鳥ささみ
・マグロ
・カツオ
・バナナ
ビタミンB6不足が疑われたときには、こうした食品を意識して摂取するようにしましょう。

ビタミンB12・葉酸とダイエットの関係性

ビタミンB12と葉酸は、体内で協力して血液を作るビタミンです。そのため、これら2つのビタミンは、合わせて考えることが大切だといえます。
ビタミンB12は、ビタミンB2やビタミンB6のように体内で合成されるため、不足しにくい栄養素です。ただ、ビタミンB12は動物性食品に豊富に含まれており、植物性食品にはほとんど入っていません。そのため、菜食主義の人は摂取不足に注意しなければいけません
こうしたビタミンB12ですが、各組織に酸素を供給することに関わっているため、痩せるためには欠かせない栄養素だといえます。

ビタミンB12・葉酸は脂肪燃焼に欠かせない酸素供給に関わる

既に述べたように、ビタミンB12には葉酸と協力して赤血球をつくる働きがあります。そして、赤血球は呼吸で体内に取り入れた酸素を全身の細胞に送る役割をもっています。そのため、ビタミンB12や葉酸が不足して赤血球が十分に作られなくなると、全身に酸素が行き渡らなくなるのです。
こうした酸欠の状態は、いわゆる「貧血」と呼ばれる問題を引き起こします。
細胞が代謝によってエネルギーを作り出すときには、主に糖質と脂質の2つの栄養素をもとにエネルギーを産出します。当然、脂肪をエネルギー源として利用できれば、その分だけ脂肪が燃焼されて痩せることになるのです。
ただ、脂肪を燃焼するためには必ず酸素が必要になります。糖質からエネルギーを作るときには酸素が要りませんが、脂肪を代謝するときには酸素が必須なのです。
そのため、ビタミンB12や葉酸が不足して、酸素を全身に供給する役割をもつ赤血球が十分に作られないと、脂肪の燃焼も悪くなってしまいます。
このように、ビタミンB12と葉酸は、脂肪燃焼に深く関わっているため、ダイエット中には意識すべき栄養素だといえます。

ビタミンB12・葉酸が不足すると起こる問題

ビタミンB12と葉酸は、欠乏することで「悪性貧血」を引き起こす要因となる栄養素として有名です。また、ビタミンB12は、傷ついた神経を修復する働きもあります。そのため、ビタミンB12や葉酸が不足すると、貧血や神経に関連した症状が出現するのです
例えば、貧血になると倦怠感やめまいなどが生じます。そして、神経の回復に問題が生じると、手足の痺れや肩こりなどが出現することになるのです。以下に、貧血と神経症状についてまとめます。


貧血

神経症状

・集中力低下、情緒不安定、うつ
・頭痛、吐き気、めまい
・筋力低下
・脱力感
・倦怠感
・冷え症、代謝低下
・肩こり
・頭痛
・腰痛
・眼精疲労
・手足の痺れ


以上のような症状が認められた場合には、ビタミンB12もしくは葉酸不足を疑う必要があります。

ダイエットに欠かせないビタミンB12・葉酸を豊富に含む食品

ビタミンB12や葉酸の不足が疑われた場合には、これらの栄養素を豊富に含む食品を摂取することが大切です。以下に、ビタミンB12と葉酸を豊富に含む食品についてまとめます。


ビタミンB12 レバー(牛・豚・鳥)、サンマ、シジミ、アサリ、カキ、ハマグリ
葉酸 枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、ほうれん草、みずな、アスパラガス、納豆、鶏レバー、うなぎの肝、ウニ、日本茶、焼き海苔


ビタミンB12や葉酸不足の症状が認められる場合には、以上に挙げた食品を意識して摂取するようにしましょう。

ビオチン(ビタミンH)とダイエットの関係性

ビオチンは、皮膚炎を防ぐ役割があることで有名なビタミンです。ビオチンも、体内で合成できるビタミンであるため、よほどの偏食がない限り不足することはありません。ただ、ビオチンは抗生物質の長期服用などで腸内環境が悪くなると腸内での合成量が低下してしまい、欠乏する可能性があるのです
そして、ビオチンは糖質の代謝に関わるため、ダイエット中には不足しないように注意する必要があります。

ビオチンはダイエットに大切な糖質代謝に関わる

ビオチンは、糖質代謝の中でも「糖新生」に関わります。糖新生とは、肝臓で糖分が合成されるメカニズムです。糖新生は、血糖値を維持するために欠かせないシステムであり、糖新生が上手く働かないと血糖値が安定しなくなります。
例えば、健康的に痩せるためには食事から摂取する糖質量を制限することが大切です。ただ、食事からの糖質摂取量を抑えた場合、肝臓による糖新生が行わなければ、体内に糖質を供給するシステムがなくなってしまいます。
そうなると、血糖値が下がって低血糖状態となってしまうのです
その結果、さまざまな不調が出現するだけでなく糖質制限を継続できないため、スムーズにダイエットを行うことができなくなるのです。糖質制限をする上で、糖新生のメカニズムが正常に働いていることは必須になります(「糖質制限で不調が出現?糖質制限を行うべきでない人」)。
こうしたことから、特に糖質制限のダイエットをしている人は、ビオチンが不足しないように注意する必要があるのです。

ビオチンが不足すると起こる問題

既に述べたように、ビオチンは糖新生をスムーズにする働きがあります。糖新生では、疲労物質である「乳酸」を元にブドウ糖が産生されます。つまり、ビオチンが不足して糖新生が上手く行われないと、乳酸が溜まりやすくなるのです。
そのため、ビオチンが不足すると、筋肉痛や疲労などの症状が起こりやすくなります
さらに、ビオチンはタンパク質の代謝にも関わっているため、体内で十分な量が合成されないと白髪や脱毛、皮膚炎などのタンパク質不足の症状が出現することになるのです。
ビオチンが不足することは滅多にありません。ただ、腸内環境が乱れている場合にはビオチン不足となる可能性があるため、以上のような症状が認められた際には、ビオチン不足を疑うようにしてください。

ダイエットに欠かせないビオチンを豊富に含む食品

ビオチン不足が疑われた場合には、ビオチンを豊富に含む食品を摂取することが大切です。例えば、アーモンドやカシューナッツなどの種子類には、ビオチンが豊富に含まれています。
その他にも、以下のような食品にはビオチンが多く含まれています。
・あさり
・らっかせい
・イワシ
・肝臓
・卵黄
・きなこ
・穀類
ビオチン不足が疑われる場合には、以上に挙げた食品を積極的に摂取するように意識してください。

ビタミンDとダイエットの関係性

ビタミンDは、カルシウムやリンといった栄養素の吸収を助けるため、骨や歯の形成に重要な栄養素です。こうした、骨や歯の健康に関与していることは一般的にも知られているビタミンDですが、それだけではなく血糖調整にも関与していることが明らかになっています。

ビタミンDはダイエットを妨げるインスリン抵抗性に関わる

具体的には、ビタミンDを摂取すると「インスリン抵抗性」が改善することが、いくつかの研究で判明しているのです。
インスリン抵抗性とは「インスリンの効きにくさ」を表す言葉になります。つまり、インスリン抵抗性があるということは「インスリンによる血糖低下作用が起こりにくい」ということです。そのため、インスリン抵抗性がある状態では、インスリンが分泌されても血糖値が下がりません。
また、血糖値が下がらないと、体はどうにかして血糖値を落ち着かせようとして、さらにインスリンを合成するのです。その結果、体内に大量のインスリンがあふれること(高インスリン状態)になります。
既に述べたように、インスリンには脂肪を蓄積する作用があります。そのため、インスリン抵抗性によって高インスリン状態となると、どんどん太りやすくなるのです
トルコ・イスタンブール・バスケント大学病院のフルヤ・パリルダ医師によって行われた研究では、31~66歳までの糖尿病予備軍の患者66人に対してビタミンDによる治療を行ったところ、半年で、HbA1cと空腹時インスリン値、インスリン抵抗性指数(HOMA-RA)が軒並み下がったことが報告されています。
*HbA1cは、血糖状態を表す数値であり、糖尿病の診断基準に用いられているものです。
その他にも、マサチューセッチュ・メディカル・スクールの小児科医であるベンジャミン・ウドカ・ノウス医師、アムステルダム EMGO 保険医療研究所のポール・リップス医師、イラン カーシャーン大学医学部の調査チームが関わったそれぞれの研究で、ビタミンDのインスリン抵抗性改善効果が報告されているのです。
このように、ビタミンDは血糖コントロールに関わるため、ダイエット中には特に意識して摂取すべき栄養素だといえます。

ビタミンDが不足すると起こる問題

ビタミンDが不足すると、一般的に知られているように骨が弱くなります。そして、ビタミンD不足が重度になると「くる病」や「骨軟化症」という診断を受けることになるのです。
ただ、そこまでビタミンD不足が進行していなくても、ビタミンDが足りていないと、さまざまな不調が現れます。
例えば、ビタミンDは血液中にカルシウムを吸収させる働きがあるため、ビタミンD不足では血液中のカルシウム濃度が下がってしまう可能性があるのです
そうなると、カルシウムによってコントロールされている筋肉や神経に問題が起こるため、筋力低下や痺れ、脱力感などが生じることになります。また、倦怠感やイライラなどの症状も出現します。
そして、特にビタミンDは高齢者や妊産婦で不足しがちであるため注意が必要です。
こうした不調が認められた場合には、ビタミンD不足を疑うようにしましょう。

ダイエットに欠かせないビタミンDを豊富に含む食品

ビタミンD不足が疑われた場合には、ビタミンDが豊富に含まれている食品を摂取することが大切です。例えば、いわしやイクラなどは、ビタミンDが多く入っている食品になります。
その他にも、以下のような食品にビタミンDは豊富に含まれています。
・卵黄
・黒カジキ
・紅サケ
・キクラゲ
・干しシイタケ
・バター
・牛乳
また、ビタミンDは「脂溶性ビタミン」と呼ばれ、油と一緒に摂取することで体内に吸収されます。そのため、ビタミンDを豊富に含む食品は、油で炒めたり、肉類と一緒に摂取したりすることで、効率的に体内へ吸収できるようになるのです。
ただ、ビタミンDは食事ではなく、主に皮膚で産生されます。つまり、体内のビタミンDを増やすためには、食事よりも日光に当たることが大切なのです。
こうしたことから、食事でもビタミンDの摂取を意識しつつ、日光に当たるように外で運動することが、ビタミンD不足を防ぐポイントだといえます。

ビタミンA、C、Eとダイエットの関係性

ビタミンA、C、Eは、「抗酸化ビタミン」とも呼ばれ、体内における酸化を抑制するビタミンです。酸化とは、いわゆる細胞の老化であり、シミやシワ、動脈硬化などを作る原因となるものです。
そしてこうした酸化は、ダイエットにも深く関係しているのです。

酸化によって食欲が強くなる

体内で酸化が生じると、体内で「小胞体ストレス」と呼ばれる現象が起こります。小胞体ストレスとは、細胞内でタンパク質を合成する「小胞体」と呼ばれる場所で、上手くタンパク質が作られない状態のことをいいます。
そして、こうした小胞体ストレスは、食欲を抑える作用をもつ「レプチン」と呼ばれるホルモンの働きを悪くすることが明らかになっているのです。
つまり、酸化はインスリン抵抗性と同じような「レプチン抵抗性」を招く原因となります。
小胞体ストレスとレプチン抵抗性に関しては「ダイエット中の間食をやめられない原因と解消法」に詳しく書いています。
レプチン抵抗性が起こると、どれだけ食べても満腹感が得られません。その結果、食後にデザートを食べたり、間食が止められなくなったりするのです。こうしたことから、ダイエットを成功させるためには、レプチン抵抗性を作り出す酸化を抑えることが重要になります。
ビタミンA・C・Eには、こうした体内で起こる酸化を抑える働きがあるのです。

ビタミンA・C・Eが不足すると起こる問題

体内で酸化が起こると、さまざまな不調が生じます。例えば、シミやそばかすなどは、酸化反応が過剰になると発生する代表的な症状です。また、ビタミンEには血流を良くする作用があるため、不足すると冷え症や肩こりなどを感じやすくなります。
以下に、それぞれのビタミン不足によって生じる可能性がある不調についてまとめます。


ビタミンA不足 ビタミンC不足 ビタミンE不足
・ドライアイ
・乾燥肌、肌荒れ
・抜け毛
・爪がもろくなる
・風邪を引きやすくなる、感染症にかかりやすくなる(免疫低下)
・風邪を引きやすくなる、感染症にかかりやすくなる(免疫低下)
・シミ、シワ
・シミ、シワ
・冷え症、肩こり
・生理不順
・生活習慣病


食欲が抑えられなかったり、以上のような症状が認められたりした場合には「ビタミンA・C・E不足によって酸化反応が過剰に起こっている」ということを疑うようにしましょう。

ダイエットに欠かせないビタミンA・C・Eを豊富に含む食品

体内での過剰な酸化を疑った場合には、抗酸化作用をもつビタミンA・C・Eを豊富に含む食品を摂取することが大切です。
以下に、ビタミンA・C・Eを豊富に含む食品を記します。


ビタミンA レバー(鳥・豚・牛)、ウナギ、銀ダラ、モロヘイヤ、ニンジン、ほうれん草
ビタミンC 赤ピーマン、菜の花、ブロッコリー、柿、キウイ、イチゴ、オレンジ
ビタミンE アーモンド、トウガラシ、抹茶、モロヘイヤ、かぼちゃ


酸化反応が過剰に起こっている症状が認められた場合には、以上に挙げた食品を積極的に摂取するように心がけましょう。
今回述べたように、ビタミンはさまざまなメカニズムによってダイエットに関わっています。そのため、以上に挙げたような欠乏症状が認めれた場合には、不足しているであろうビタミンを豊富に含む食品を意識して摂取することが大切です。