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女性に多い「下半身太り」を招く16の原因について徹底解説

ダイエットをしている人に限らず「下半身太り」に悩まされている女性は多いです。下半身太りとは、上半身は痩せているのに「お尻や太ももといった下半身だけ太っている」といった状態のことをいいます。
女性は、体質的に下半身に脂肪が付きやすくなっています。そのため、ダイエットに成功して減量できても「上半身は痩せたものの、下半身は細くならない」といった事態になるのです。
ただ、いくら女性が下半身に脂肪がつきやすい体質だといっても、全ての女性が下半身太りに悩まされているわけではありません。つまり、下半身が痩せない人は体質以外にも原因があるのです。
下半身太りを予防・解消するためには、まずは下半身が太くなる原因について理解しておくことが大切になります。
そこで今回は、「下半身太りを引き起こす16の原因」について解説します。

女性に下半身太りが多い理由

一般的にも認識されているように、女性は男性と比較すると下半身に脂肪がつきやすいです。男性はお腹に脂肪がたまる「リンゴ型」の肥満となりやすいのに対して、女性は腰周りやお尻、太ももなどに脂肪がつく「洋ナシ型」の肥満となる傾向にあります。
こうした性差による太り方の違いは、脂肪を貯蔵する「レセプター」の違いによって作られるのです。

脂肪貯蔵レセプターと脂肪放出レセプター

肥満とは「脂肪細胞に脂肪が蓄積されることで脂肪細胞が肥大化した状態である」といえます。食事から摂取した栄養の中で余った脂質や糖質が脂肪細胞に取り込まれると、肥満となるのです。
そして、体のどの部位に脂肪がたまりやすいかは性別によって異なります。これは、脂肪細胞の表面にあるレセプター(受容体)の分布が男女で違うためです。
脂肪細胞のレセプターには、血液中から細胞内に脂肪を取り込む「脂肪貯蔵レセプター」と、脂肪細胞から血液中に脂肪を放出する「脂肪放出レセプター」の2つがあります。その名の通り、脂肪貯蔵レセプターが多い身体の部位に脂肪がたまりやすいです。
脂肪貯蔵レセプターがたくさんある部位では、血液中から脂肪をどんどん取り込みます。逆に、脂肪放出レセプターが多い場所では、脂肪細胞に蓄積された脂肪が燃焼されやすいのです。
こうしたレセプターの分布の違いによって、太りやすい部位が変わってきます。

女性は下半身に脂肪貯蔵レセプターが多い

女性に下半身太りが多いのは、女性の下半身に脂肪貯蔵レセプターがたくさん存在するためです。
例えば、ある研究によると、女性の下半身には脂肪放出レセプターが1個あるのに対して、脂肪貯蔵レセプターは6個も存在すると報告されています。逆に、上半身は脂肪放出レセプターが6個、脂肪貯蔵レセプターは1個となっているのです。
そのため、女性は太るときには下半身から脂肪がついて、ダイエットで減量するときには上半身から痩せることになります
こうした脂肪細胞のレセプターの分布の違いから、女性の下半身に脂肪がつきやすくなっているのです。ちなみに、男性は腹部周りに脂肪貯蔵レセプターが多いため、ポッコリお腹のリンゴ型肥満となりやすい傾向にあります。

下半身太りを作り出す16の原因

ここまで述べたように、女性が下半身太りとなりやすいのは、脂肪細胞に存在するレセプターにおける分布の違いに原因があります。ただそうはいっても、女性でも下半身が細い人が存在するのは事実です。
つまり、下半身太りとなるのは、脂肪細胞のレセプターだけの問題ではないといえます。
そして、下半身太りを招く原因としては、主に「栄養不足」「栄養過剰摂取」「体質の問題」「生活習慣の問題」の4つが挙げられます。脂肪細胞におけるレセプターの分布の違いに加えて、こうした要因が加わることで、下半身が太くなってしまうのです。
以下に、下半身不足を招く16の原因の一覧表を記します。


栄養不足 栄養過剰摂取 体質の問題 生活習慣の問題
・水分不足
・タンパク質不足
・ビタミンC不足
・ビタミンB群不足
・カリウム不足
・塩分の過剰摂取
・糖質の過剰摂取
・トランス脂肪酸の過剰摂取
・食品添加物の過剰摂取
・冷え症 ・睡眠習慣の崩れ
・姿勢の崩れ
・長時間のデスクワーク
・運動不足
・ハイヒール
・ストレス

栄養不足

下半身太りを作る要因の一つに、栄養不足が挙げられます。特定の栄養が足りないために血流の流れが悪くなって、下半身が浮腫んでしまうのです。
特に「水分」「タンパク質」「ビタミンB群」「カリウム」の4つの栄養素は、食事からの摂取量が不足すると下半身太りを招く原因となります。
 ・水分不足
水分をとることに関しては、多くの人が「水を飲むと浮腫みが強くなる」と考えています。しかし実際には、十分な量の水分を摂取することは、脚を細くするためには欠かせないことなのです。
例えば、下半身が浮腫む原因の一つに「老廃物の蓄積」が挙げられます。老廃物とは、体にとって不要な物質であり「乳酸」や「尿酸」「クレアチニン」など、代謝(エネルギーを作る)過程で産み出される物質です。
体内(細胞内)に不要な物質がたまると、細胞内における老廃物の濃度を薄めることで、乳酸などの老廃物による悪影響を減らそうとする反応が生じます。具体的には、血液中から細胞内に水分を取り込む反応が起こるのです。

こうした老廃物の蓄積が下半身に生じた結果、下半身が浮腫んで脚が太くなります。
そして、老廃物を体内へ溜め込まないようにするためには水が必要です。老廃物は、血液やリンパ液といった水分によって体外へ排泄されます。十分な水分量を摂取していれば、蓄積された老廃物が体外へスムーズに排出されることになります。
こうしたメカニズムから、水分不足は下半身太りを作る原因になるのです。
 ・タンパク質不足
また、食事から摂取するタンパク質量が不足することも、下半身の浮腫みを作る原因になります。
既に述べたように、体内(細胞内)に老廃物がたまったときは、細胞内に水を取り込むことで老廃物の濃度を薄めるような反応が起こります。同じように、血液中にタンパク質が不足してしまうと「血液中の水分を細胞内に送り出すことで、細胞内と血液の濃度を均等に保とう」とする反応が起こるのです
細胞は、血液中と濃度差があることを嫌います。
血液中に適量のタンパク質が存在しているときには、細胞内と血液中の濃度が釣り合っているため、水分の移動は起こりません。

それに対して、血液中のタンパク質量が少なくなると、血液のタンパク質濃度が薄くなります。つまり、細胞内と血液に濃度差が生じるのです。そうなると、細胞内と血液の濃度差を解消するために、血液中から細胞内に水分を送り出して、血液のタンパク質濃度を高めようとする反応が起こります。
血液中の水分を細胞に送ることで、相対的に血液中のタンパク質濃度を高くするのです。

こうした反応が下半身に起こった結果、下半身が浮腫むことになります。
このように、食事から摂取するタンパク質量が不足もすること、下半身太りを招く原因となるのです。
 ・ビタミンC不足
ビタミンCは、脂肪の代謝に関わる栄養素の一つになります。そのため、ビタミンCの摂取量が不足すると、脂肪が燃えにくい体になるのです。
例えば、ビタミンCは「カルニチン」と呼ばれる、脂肪の燃焼を促す物質の合成に関わっています。ビタミンCが不足すると、カルニチンが十分に作られないために、脂肪が蓄積されやすくなるのです。
その他にも、ビタミンCはストレスを緩和することでも、肥満を抑えることにつながります。
ストレスは、食欲や肥満に関わるホルモンのバランスを崩すため、肥満を招く原因となります。ビタミンCには、そうしたストレスを軽減させることで、肥満を防ぐ作用があるのです。
そして、女性は下半身に脂肪が蓄積されやすいため、ビタミンC不足になると下半身が太くなるのです。
このように、ビタミンCの摂取不足も、下半身太りを招く原因の一つになります。
 ・ビタミンB群不足
ビタミンB群は、体内で起こるほとんどの代謝に関わる栄養素です。そのため、ビタミンB群の摂取量が不足すると、代謝が悪くなって太りやすくなったり、浮腫みやすくなったりします。その結果、下半身が太くなるのです。
具体的には、ビタミンB1は糖質からエネルギーを作り出す反応に関わっています。そして、ビタミンB2は脂質、ビタミンB6はタンパク質を体内で利用するために欠かせない栄養素です。
こうしたことから、例えばビタミンB1が不足すると、糖質が上手くエネルギーに変換されないため、食事から摂取した糖分が脂肪として蓄えられやすくなります。また、ビタミンB2が足りないと、脂肪の燃焼が悪くなって痩せにくくなってしまうのです。さらに、ビタミンB6不足は、筋肉の合成を妨げることで代謝を低下させます。
このように、ビタミンB群の不足も、下半身太りの要因となるのです。
 ・カリウム不足
カリウムには、細胞内と細胞外の水分バランスを保つ役割があります。具体的には、「ナトリウム」とのバランスを調整することで、細胞内外の水分バランスを維持しているのです。
例えば、細胞内に塩分(ナトリウム)がたくさん存在すると、細胞内に過剰に水分がたまることになります。これは、老廃物が蓄積されたときと同じ原理です。細胞内の塩分濃度が濃いために、血液中(細胞外)から水分を吸収して、細胞内の塩分濃度を薄めようとする反応が起こります。
つまり、細胞内に塩分が多いと浮腫みやすくなるのです。

カリウムには、細胞内の塩分を血液中に連れ出す役割があります。そのため、カリウムをしっかり摂取することで、細胞内の塩分濃度が薄くなるため、細胞内外の濃度差を無くすことにつながるのです。その結果、血液中から細胞内へ水分が移動しなくなるため、浮腫みが生じなくなります。

こうしたメカニズムから、食事からのカリウム摂取量が少なくなると、下半身太りが起こりやすくなるのです。
以下に、摂取量が不足することで下半身太りを起こす原因となる栄養素と、その栄養素を豊富に含む食品についてまとめます。


栄養素 豊富に含まれる食品
タンパク質 肉類、魚類、大豆製品、乳製品、卵
ビタミンC 果物類、赤ピーマン、トマト、ブロッコリー
ビタミンB群 ・ビタミンB1
豚肉、たらこ、ウナギ、玄米、全粒粉、大豆
・ビタミンB2
レバー(牛、豚、鳥)、ウナギ、納豆、卵、モロヘイヤ
・ビタミンB6
レバー(牛、豚)、鳥ササミ、マグロ、かつお、バナナ
カリウム 野菜、果物、海藻類

栄養過剰摂取

ここまで述べたように、タンパク質などの栄養素が不足すると、下半身太りが起こりやすくなります。その一方で、特定の栄養素を過剰に摂取することも、下半身太りを招く原因となるのです。
特に「塩分」「糖質」「トランス脂肪酸」「食品添加物」の4つは、過剰に摂取すると下半身太りを引き起こすことになります。
 ・塩分の過剰摂取
塩分(ナトリウム)を過剰に摂取すると、細胞内の塩分濃度が濃くなってしまいます。その結果、先ほど述べたようなメカニズムによって、血液中から細胞内に水分が吸収されて、浮腫みやすくなるのです。
 ・糖質の過剰摂取
糖質は、肥満を招く主な原因となります。糖質の摂取は、肥満を促進するホルモンである「インスリン」の分泌を促すためです。
ご飯やパン、甘いお菓子などには糖質が大量に含まれています。そのため、そうした食品を摂取すると、血糖中の糖分量が増えて血糖値が高くなります。そうなると、体は血糖値を下げようとして、血糖値を抑える作用をもつインスリンを分泌するのです。
ただ、インスリンには血糖値を下げるだけでなく、脂肪細胞に脂肪をため込ませる作用があります。つまり、インスリンが分泌されるほど太りやすくなるのです。
このように、糖質の過剰摂取は肥満を促すことで下半身太りを招きます。
 ・トランス脂肪酸の過剰摂取
脂質は、体を動かすエネルギーやホルモン、細胞の原料となる栄養素です。そのため、一般的に脂肪は太る原因として悪者扱いされがちですが、体にとって欠かすことのできない栄養素だといえます。
通常、脂質は摂取するとエネルギー源として利用されるため、簡単には中性脂肪として体に蓄えらることはありません。ただ、「トランス脂肪酸」と呼ばれる脂肪は、エネルギーに変換されることなく、体内に脂肪として蓄積されるのです。つまり、トランス脂肪酸を摂取すると、太りやすくなるといえます。
トランス脂肪酸とは、植物性油を加工して作られた人工的で不自然な脂肪です。
基本的に、サラダ油などの植物性油は常温で液体の状態となっています。その一方で、トランス脂肪酸は植物性油であるにも関わらず、常温で固体なのです。
例えば、トランス脂肪酸が豊富な食品の代表例がマーガリンです。マーガリンは、植物性油であるにも関わらず、常温で固体となっています。これは、植物性油に「水素」を加えることで、無理やり脂肪の組成を変えているために起こる現象です。
そして、トランス脂肪酸は不自然な構造をしているため、人間の体内では代謝されません。つまり、トランス脂肪酸はエネルギー源として利用されないのです
そうなると、必然的にトランス脂肪酸は脂肪として蓄積されることになります。実際に、ある研究によって、同じカロリーのトランス脂肪酸とその他の脂肪を摂取した場合、同じカロリーであるにも関わらず「トランス脂肪酸を摂った方が体重の増加が大きくなった」ということが報告されています。
こうしたメカニズムから、トランス脂肪酸を摂取すると太りやすくなるのです。ちなみに、トランス脂肪酸を多く含む食品には、以下のような食品が挙げられます。
・マーガリン
・菓子パン
・クッキー
・ケーキ
・スナック菓子
 ・食品添加物の過剰摂取
保存料や着色料、甘味料などの食品添加物を過剰に摂取することも、下半身太りを招く原因となります。食品添加物には、食べた物を脂肪として蓄積することを促したり、代謝を悪くしたりする作用があるためです。
例えば、食品添加物は体にとって必要のない物質になります。いってしまえば、食品添加物は体にとって毒なのです
体内に毒物が入ると肝臓で解毒されます。アルコールを摂取すると肝臓に負担がかかるのは、アルコールが体にとって毒であり、肝臓で解毒されるためです。食品添加物もアルコールと同じように肝臓で処理されます。
つまり、食品添加物を過剰に摂取することは、肝臓に負担をかけることになるのです。
肝臓は、食事から摂取した栄養素をエネルギー源として利用できるように分解したり、貯蔵したりする働きがあります。
例えば、健康な人が食事から糖分を摂取した場合、食品から摂った糖分の半分が肝臓に蓄えられて、残りの半分は血液中に放出されます。そして、蓄積された糖分は必要に応じて血液中に放出されて血糖値を保つことに役立っているのです。
このように、肝臓が糖分を蓄積してくれているおかげで、急激な血糖値の上昇は抑えられてます。
ただ、食品添加物を過剰に摂取すると、こうした肝臓の働きが障害されてしまいます。具体的には、肝臓への糖の取り込みが悪くなるのです。
つまり、食事から摂った糖分が肝臓に蓄積されずに、大量に血液中へ送り出されることになります。その結果、血糖値が急激に上昇して、肥満ホルモンであるインスリンが大量に分泌されることになるのです

また、食品添加物が肝臓で解毒されるときには、大量のビタミンやミネラルが消費されます。ビタミンやミネラルは、代謝をスムーズにするために欠かせない栄養素です。
そのため、食品添加物の解毒でビタミンやミネラルが消費されると、代謝が悪くなってしまいます。代謝が低下するということは、言い換えると「血液の循環が悪くなる」ということです。そうなると、脂肪が燃焼されにくくなったり、浮腫みが起こりやすくなったりするため、下半身が太りやすくなるのです。

このように、食品添加物の過剰摂取は下半身太りを招く原因になります。

体質の問題

食事の影響だけでなく、体質の問題によっても下半身が太りやすくなることがあります。特に女性には「冷え症」が原因で、下半身太りとなっている人が多いのです。
例えば、デスクワークで運動習慣がない人は、体を動かす機会が少ないため、代謝が悪くなっています。そうなると、体内で熱が産生されにくくなるため、必然的に低体温で冷え症体質となるのです。
こうした低代謝・低体温状態では、脂肪が燃焼されにくくなります。また、代謝が低下しているということは、血液循環も悪くなっているため、下半身の浮腫みも起こりやすくなるのです。
このように、体質が原因で下半身太りとなっている人も少なくありません。ちなみに、冷え症を招く要因としては、以下のような要因が挙げられます。
・運動不足
・冷房環境下での仕事
・糖質の過剰摂取
・ビタミン、ミネラル不足
・お風呂をシャワーで済ませる
・睡眠不足

生活習慣の問題

下半身太りは、食事や体質だけでなく、睡眠や運動、姿勢といった生活習慣が問題となって起こることもあります。そのため、下半身を細くするためには、生活習慣を意識することも大切です。
 ・睡眠習慣の崩れ
睡眠習慣の崩れは、下半身太りを作る要因の一つになります。睡眠は、体重の増減に関わるホルモンのバランスに大きく影響するためです。
例えば、睡眠時間が短くなると、食欲を抑えたり脂肪の燃焼を促したりする「レプチン」と呼ばれるホルモンの分泌が少なくなります。そのため、睡眠不足は食欲増進と脂肪燃焼の低下を招き、下半身太りを促進させるのです。
また、人間の脂肪組織の中には「BMAL1」と呼ばれるタンパク質が存在しています。BMAL1は脂肪の蓄積を促す物質ですが、夜の10時~午前2時の時間に、最も数が増えることが明らかになっているのです。
つまり、夜の10時~午前2時までの間に何かを食べると、BMAL1の働きによって太りやすくなるといえます。
睡眠習慣が崩れており夜遅くまで起きていると、小腹が空いて何か食べたくなるものです。そして、実際に夜10時以降に間食をした結果、太りやすくなります。
こうしたことから、就寝時間が遅くなるほど、下半身太りを招きやすくなるといえます。
このように、睡眠習慣の崩れも下半身太りを引き起こす原因の一つになります。
 ・姿勢の崩れ
姿勢の崩れも、下半身太りを招く要因になります。姿勢が悪いと、下半身の循環が悪くなったり、基礎代謝が低下したりするためです。
例えば、姿勢が崩れて背骨に歪みが生じると、背骨の土台部分である骨盤が影響を受けます。具体的には、以下のように背骨が丸くなると、骨盤は後ろに傾き、逆に腰を反り過ぎると骨盤が前に傾くのです。

このように、骨盤の傾きが変化すると、下半身に溜まった血液を心臓に送り返す血管が、骨盤部分で圧迫されやすくなるのです。下半身からの血流は骨盤の前方を通っているため、骨盤に歪みが生じると、血管が捩れたり圧迫されたりすることになります。
つまり、姿勢の悪さは下半身の血流を阻害することで、下半身の浮腫みを強くするといえます
また、背中が丸い「猫背」のような姿勢は、腹筋や背筋をあまり使っていないような状況です。そうなると、必然的に筋肉によるエネルギー消費(代謝)が少なくなるため、脂肪も燃焼しにくくなります。
このように、姿勢の悪さは下半身太りを招く原因になるのです。
 ・長時間のデスクワーク
長時間のデスクワークも、下半身太りを招く要因になります。座っていることは、下半身の血流を悪くして、足の浮腫みを作るためです。
下半身は、重力の影響で血液がたまりやすい傾向にあります。ただ、通常であれば、歩いてふくらはぎの筋肉を収縮させることで、足に溜まった血液は心臓に送り返されるのです。
筋肉には、収縮して血管を圧迫することで血液を心臓に向かって押し出す働きがあります。これが、ふくらはぎの筋肉が「第二の心臓」と呼ばれる理由です。
しかし、デスクワークなどで座りっぱなしになってしまい、ふくらはぎの筋肉を使わない状況であると、下半身に血液がどんどん溜まってしまうことになります。その結果、足が浮腫んで下半身が太くなるのです。
さらに、座っていると椅子によってお尻や太ももが圧迫されます。そうなると、血管やリンパなど、下半身から心臓へ血液を送り出す組織が圧迫されて血流が阻害されるため、下半身がむくみやすくなるのです。
このように、長時間のデスクワークは下半身の血流を悪くするため、下半身太りを作ることにつながります。
 ・運動不足
長時間のデスクワークが下半身の浮腫みを作ることと同じように、運動不足も下半身太りを招く要因の一つです。
既に述べたように、重力で下半身にたまった血液を心臓に送り返すためには、ふくらはぎの筋肉を収縮させることが大切になります。そのため、普段からウォーキングやジョギングなどの運動を行う習慣がなければ、必然的に下半身は浮腫みやすくなるのです。
また、運動によって日ごろから下半身の筋肉を使っていれば、筋肉が引き締まってスタイルが良くなります。逆に、運動不足で筋肉がだぶついていると、実際以上に足が太く見えるのです。
このように、運動不足も下半身太りを招く要因だといえます。
 ・ハイヒール
普段からハイヒールを履く習慣がある女性は多いです。そして、中には「ハイヒールを履くと足が細くなる」と考えている人も存在します。しかし実際には、ハイヒールを履く習慣があると、足は細くなるどころか逆に太くなってしまうのです。
それは、「ハイヒールを履いた状態で歩くと、ふくらはぎの筋肉が上手く働かないため、下半身の浮腫みが強くなってしまう」ということに原因があります。
ふくらはぎの筋肉は、歩いているときに足首が動くことに合わせて収縮します。裸足やスニーカーなどで歩いているときには、自然と以下のような足首の運動が生じるため、ふくらはぎの筋肉によって下半身の血液がたまらないようになっているのです。

それに対してハイヒールを履いて歩いているときは、常に足首が下向きに固定されています。その結果、足首の運動が起こらず、筋肉によって血液が心臓へ送り返されないため、浮腫んでしまうのです。

このように、ハイヒールを習慣的に履くことも、下半身太りを作る要因となります。
 ・ストレス
ストレスは、下半身太りを招く大きな要因の一つです。強いストレスは「自律神経」の活動を乱して血液の流れを悪くしたり、ホルモンバランスを崩したりすることで下半身太りを招きます。
自律神経とは、血管やホルモン分泌などを無意識下でコントロールしている神経です。
例えば、食事の後に意識することなく食べ物が消化されて体内に吸収されるのは、内臓の働きが自律神経によってコントロールされているためです。
そして、強いストレスがかかると、自律神経によって血管が収縮して血流が悪くなります。そうなると、下半身に血液が溜まって浮腫みやすくなるのです。さらに血流の低下は、代謝を悪くすることでも肥満を招きます。
また、ストレスは「コルチゾール」と呼ばれるホルモンの分泌を促します。コルチゾールは、「血糖値」や「インスリン抵抗性」「食欲」に影響して、体重を増加させる働きがあるのです。
例えば、コルチゾールが体内で合成されると、血糖値が上昇します。血糖値が高くなると、肥満促進ホルモンであるインスリンの分泌が促されるため太ります。コルチゾールが肥満を招くメカニズムに関しては「ストレスで太る理由について徹底解説」に詳しく書いています。
このように、ストレスは体重増加を招き、下半身太りを引き起こす要因となるのです。
今回述べたように、下半身が太るのには、さまざまな原因が存在します。確かに、女性はもともと下半身が太りやすい体質です。ただ、下半身太りとなるのは、体質だけが原因ではありません。
これまでダイエットをしても下半身だけが痩せなかった人は、以上に挙げた要因を見直すことで、下半身太りを解消できるはずです。